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アシックスとヴィッセル神戸、選手動作の共同研究を開始

ニュースの要点

アシックスと楽天ヴィッセル神戸は2026年9月15日、サッカー選手のパフォーマンス向上を目的とする共同研究を始めたと発表しました。対象はU-21ヴィッセル神戸の選手で、アシックススポーツ工学研究所において動作を計測・解析します。

サッカーで繰り返される加速、減速、方向転換などを継続的に測り、選手の変化を追います。ヴィッセル神戸が持つ選手育成と競技現場の知見を、アシックスのスポーツ工学、計測・解析技術と組み合わせます。

得られた知見は、選手の指導やトレーニングに加え、サッカー用スパイクなどの製品開発へ活用する予定です。研究期間、対象人数、評価指標、製品へ反映する時期は公表されていません。

ニュース出典:アシックスとヴィッセル神戸、サッカー選手のパフォーマンス向上に向けた共同研究を開始(アシックス、2026年9月15日)


イノベーション総研の考察

今回の共同研究では、アシックスの計測技術だけでも、ヴィッセル神戸の指導経験だけでも得にくい知見を作ろうとしています。機械が出す数値と、競技現場が重要だと考える動作を結び、選手の成長、指導、製品設計へ共通に使える判断材料を増やす取り組みです。

単発計測では成長と一時的な変化を分けにくい

サッカー選手の動作は、体格、疲労、けが、練習内容、対戦相手によって変わります。一度だけ測っても、その値が選手の特徴なのか、その日の状態なのかを判断しにくい問題があります。U-21世代は身体と技術が変化する時期であり、継続計測によって初めて成長の過程が見えます。

アシックスは計測・解析技術を、ヴィッセル神戸は日々の練習と試合の情報を持ちます。時間を追ったデータと現場の記録を重ねることで、数値の意味を解釈しやすくなります。今回の研究価値は測定精度だけでなく、同じ選手を継続して追い、成長と一時的な変動を分けられることにあります。

アシックスとヴィッセル神戸は技術と現場知を持ち寄る

研究所は精密な測定ができますが、競技でどの動作が勝敗や成長に関係するかを研究室だけで決めることは困難です。反対に、指導者は重要な変化を経験から見抜けても、選手間や時点間で同じ尺度を使って比較することには限界があります。

両者が共同で研究すれば、計測項目を現場の課題から選び、結果を指導へ戻し、再び計測できます。役割が明確である一方、数値の解釈と利用範囲は共同で決める必要があります。提携の理由は設備の貸し借りではなく、研究所の数値へ競技現場の意味を加えるためです。

製品開発へつなぐには動作と用具仕様の因果を絞る必要がある

選手の動きが分かっても、それだけで新しいスパイクの仕様は決まりません。例えば方向転換の安定性に、靴底の形状、硬さ、重量、フィット感のどれが影響するかを分けて検証する必要があります。練習内容や選手自身の成長による変化も考慮しなければなりません。

製品開発へ進むには、計測値とプレー上の課題を結び、試作品で改善するかを確かめる段階が要ります。共同研究を事業成果へ変えるには、選手の変化を観察するだけでなく、変更できる製品仕様との因果を特定する必要があります。

次に見るべきは指導変更と製品仕様へ反映された件数

担当者の方が大学、研究機関、顧客企業と共同研究を行う場合、論文やデータ取得を最終成果にしないことが重要です。開始前に、研究結果を誰が判断し、どの業務や商品仕様を変えられるのかを決めます。成果物、知財、個人データの利用範囲も、後からではなく先に合意する必要があります。

今回の発表では期間や指標が示されていないため、今後は計測した選手数、継続期間、指導方法を変えた例、試作品へ反映した知見を確認します。共同研究の進捗は取得したデータ量より、現場の指導と製品仕様が実際に何件変わったかで測るべきです。

まとめ

アシックスとヴィッセル神戸は、計測技術と競技現場の知見を継続データで結ぼうとしています。今後は研究期間、対象人数、評価指標に加え、分析結果が指導や製品仕様へどう反映されたかが焦点です。共同研究を事業成果へ進めるには、データ取得後の意思決定者と変更対象を明確にする必要があります。

執筆:イノベーション総合研究所

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