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IIJとNTTドコモビジネス、データスペース相互接続を実証

ニュースの要点

インターネットイニシアティブ(IIJ)とNTTドコモビジネスは2026年9月10日、仕組みが異なる二つのデータスペースを接続する実証を同年7月までに完了したと発表しました。企業がデータの利用条件を保ったまま、国内外の異なる基盤へ安全に渡せるかを確かめることが目的です。

IIJは、NEDOから受託した研究で開発中のデータ流通基盤を使いました。NTTドコモビジネスは、欧州の自動車業界などで使われるオープンソース「Tractus-X」を基にした検証環境を提供しました。

実証では、提供者が閲覧権限や利用範囲を設定し、二つの基盤をまたいでも条件を反映したデータを受け取れることを確認しました。両社は今後、接続サービスやAIを組み合わせたデータ活用へ広げますが、商用化時期や料金、導入企業は公表していません。

ニュース出典:NTTドコモビジネス「IIJとNTTドコモビジネス、異なるデータスペース間の相互接続による信頼性を確保したデータ流通を実証」(2026年9月10日)


イノベーション総研の考察

今回の実証は、同じ仕様のシステム同士をつないだものではありません。国内で開発中の基盤と、欧州で社会実装が進む仕組みを接続し、提供者が決めた利用条件を保てるかを確認しました。

企業間データ連携では、送信できることより、送信後も使い方を管理できることが参加企業を増やす条件になります。

国内基盤と欧州基盤をつないだ点が新しい

データスペースは、企業がデータの主導権を保ちながら他社と共有する仕組みです。ただし、業界や地域ごとに設計が異なる基盤が増えれば、それぞれが閉じた島になります。国際的な供給網では、日本の部品会社と欧州の完成品メーカーが別の基盤を使う場面も想定されます。

今回の実証は、IIJの方式とTractus-Xを基にした環境を横断しました。今回初めて確かめた価値は一つの基盤の性能ではなく、異なる設計を残したままデータを流せる相互運用性です。

検証対象はデータ移送より利用条件の保持にある

通常のファイル送信でも、データを別の会社へ渡すことはできます。企業が共有をためらうのは、受け手が誰か、どの範囲を見られるか、複製や加工を許すかを、渡した後まで管理しにくいからです。IIJの仕組みでは、マスキング、複製禁止、加工制限などを提供者が設定します。

実証では、その条件が異なる基盤をまたいでも反映されるかを確認しました。企業間連携の未検証事項は通信速度ではなく、提供者の契約条件を技術的に守れるかでした。

技術実証から商用サービスへの距離は残る

両社は相互接続の運用性と信頼性を評価し、有効性を確認したと説明しています。ただし、どれだけのデータを処理したか、障害時にどの程度で復旧したか、企業が設定を完了するまでの時間は示していません。実際の取引では、誤った権限設定、契約変更、監査、問い合わせにも対応する必要があります。

接続できたことは事業化の入口です。次段階では、処理量、設定時間、障害復旧、監査対応、利用企業の費用を商用条件で測る必要があります。

参加企業が得る利益はまだ検証されていない

データスペースが広がるには、提供企業と利用企業の双方に具体的な利益が必要です。例えば、製品の原材料情報を共有して規制対応を早める、設備データを使って保守費を下げるなど、業務成果へつながらなければ接続費用を負担できません。

今回の発表では、実際の企業間取引や有料顧客は示されていません。PoCの成功を接続完了で終わらせず、参加企業の時間、費用、売上がどう変わるかまで確かめる必要があります。

自社では共有ルールを先に技術要件へ落とす

担当者の方が企業間データ連携を検討する場合、最初に「何を共有するか」だけでなく、「誰が、何の目的で、どの期間、どこまで加工できるか」を決めます。その条件がシステム上で設定、変更、記録できるかを実証し、違反や障害が起きた場合の責任分担も定めます。

その後、実際の取引一件を使って費用と効果を測り、本契約へ進む基準を置きます。次の観測点は、両社が商用接続サービスを開始し、国際供給網の実取引で利用条件を守りながら運用できるかです。

まとめ

IIJとNTTドコモビジネスは、国内で開発中のデータスペースと欧州で使われる仕組みを接続し、利用条件を保ったデータ流通を確認しました。今後は、技術的な接続に加え、実際の取引で参加企業の費用や業務時間を改善できるかが事業化の焦点になります。

執筆:イノベーション総合研究所

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