公開: 最終更新:
電通デジタル、生成AIとの連続対話を分析する検索対策支援を開始
ニュースの要点
電通デジタルは2026年10月30日、企業の情報が生成AIの回答で適切に参照されるよう支援する既存サービスに、「マルチターンカンバセーション分析」を加え、同日から提供すると発表しました。生成AIと複数回やり取りする過程を分析する支援です。
国内電通グループの調査データをもとに生成したAIペルソナ、つまり生活者像を模したAIを使い、対話をシミュレーションします。予算や用途などの条件、推薦される商品やブランドがどう変わるかを可視化し、企業の情報発信の改善に役立てる狙いです。
クライアントの顧客データや市場データを反映する分析にも対応します。料金、標準の分析期間、導入企業での成果は公表されていません。
ニュース出典: 電通デジタル「AIペルソナ活用でGEO支援を高度化「マルチターンカンバセーション分析」を提供開始」(2026年10月30日)
イノベーション総研の考察
生成AIの回答に自社名が一度現れることと、比較を重ねる人の候補に残ることは同じではありません。今回の拡張は、検索対策をどの場面まで検証するかという、企業側の投資範囲を問い直します。
最初の回答だけでは、比較途中で消える理由を追えない
対話の入口だけでなく、条件が加わった後の候補を確かめます。
生成AIで商品を探す場面では、最初は大まかな質問でも、やり取りの中で予算や使い道を絞る場合があります。入口の回答に自社が引用されても、その後の条件に合う情報がなければ、比較の候補から外れる可能性があります。
電通デジタルは従来、主に最初の質問に対する回答を分析していたと説明しています。今回は条件の変化を含めて調べるため、担当者の方は、引用回数だけを増やす施策と、比較に必要な情報を整える施策を分けて検討できます。
すべてのブランドに同じ対策が必要という意味ではありません。
AIペルソナの会話は、実際の顧客が話した記録ではない
模擬対話で見つけたニーズは、顧客検証へ渡す仮説です。
今回の分析は、調査データから作ったAIペルソナが生成AIと対話する仕組みです。公表されたランニングシューズの図も、やり取りが進むと用途や重視点が枝分かれする様子の例であり、実生活者の購入履歴を示したものではありません。
設定した人物像や質問の続け方によって、現れる条件は変わり得ます。新規事業で使うなら、模擬対話で多く出た悩みを市場全体の需要とせず、実際の顧客への確認や利用データで確かめる対象として扱うのが妥当です。
対話の量を増やしたことだけで、需要の確かさが増したとは判断できません。
新しい分析を、既存の情報設計と実装へ接続する
分析結果を受けて、何の情報を誰が直すかまで定めます。
同社の2025年5月の開始発表には、情報構造の診断、コンテンツの設計・実装、更新後の再分析が既に含まれていました。今回初めてWebサイトの改善に取り組むわけではなく、改善すべき情報を探す分析範囲が広がった点が変化です。
このため外部支援を選ぶ際は、会話の可視化資料だけを成果物にしないことが重要です。予算や用途の情報が不足していると分かった後、商品部門が説明を確認し、Web担当が公開内容を直し、再度検証するまでの担当を決めます。
取引先のデータを渡す場合も、利用目的と対象項目、更新や削除の条件を先に確認すべきでしょう。
同じ条件で比べなければ、回答の変化を施策効果にできない
モデルや質問条件の変化と、情報改善の効果を分けます。
生成AIが薦める商品は、問い方や利用するモデル、その時点で参照できる情報によって変わる可能性があります。改善前と後で人物像や質問内容まで変えてしまうと、回答が変わった理由を自社サイトの修正だけに求めることはできません。
検証では、対象とする商品群、人物像、対話条件、モデルと実行時点を記録し、同じ条件で繰り返す方法が考えられます。同時に、実生活者が必要な情報へ到達できたか、問い合わせ内容が変わったかも別に確認します。
AIの回答内での見え方と、実際の顧客の行動を同じ成果として足し合わせないことが必要です。
全商品へ広げる前に、修正できる一つの購入場面で試す
分析の細かさより、情報を変えて判断できたかを見ます。
新規事業では、商品や顧客像がまだ変わるため、大量の対話パターンを最初から固定すると、分析をやり直す負担が増えます。今回の料金や標準期間は未公表であり、継続費用と改善に必要な社内の作業も含めて比較する必要があります。
分析対象を広げると、結果を確認して情報を直す社内人員の確保も制約になります。
まずは一つの商品群と具体的な利用場面を選び、不足情報の仮説、修正内容、確認する結果を揃える進め方が考えられます。資料の納品だけで終わらず、顧客への確認や修正まで進んだか、その結果で次の分析範囲を変えられたかを見ます。
効果が確かめられない場合は、対話数を増やす前に仮説や人物像の設定へ戻る判断も必要です。
まとめ
電通デジタルは、生成AIとの単発の応答から複数の対話へ、検索対策の分析範囲を広げました。導入判断では、AIペルソナの結果を実需要と混同せず、情報改善を実行する担当と、実顧客で確かめる方法まで揃えることが重要です。
まず限定した場面で、分析が実際の改善判断につながるかを見極めたいところです。
関連記事: 仮説検証の進め方 / 新規事業の仮説の立て方
CONTACT
お問い合わせ
AIを使う顧客検証の進め方を相談する
模擬対話の仮説と、実顧客で確かめる方法を一緒に整理します。