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青木信用金庫、電力契約情報で顧客管理を確かめる実証を開始

ニュースの要点

カウリスは2026年10月29日、青木信用金庫が電力契約情報を使う本人確認支援サービス「Grid Data KYC」で、継続的な顧客管理の実証実験を始めたと発表しました。顧客の登録情報を定期的に確認する業務の効率化と高度化を目指します。

青木信用金庫が持つ顧客情報の一部を、カウリスを通じて全国の一般送配電事業者の電力契約情報と照合します。届出住所に契約があるか、契約情報と一致するか、居住実態がない可能性があるかを確かめます。

郵送による確認の回答率低下、郵送費や人の作業負担、誤送付の課題が背景です。サービスは約8000万世帯の情報を活用するとしていますが、今回の対象人数、実証期間、費用、検証結果は公表していません。

ニュース出典: カウリス(PR TIMES)「青木信用金庫、電力契約情報を活用した本人確認サービス「Grid Data KYC」を用いた実証実験を開始」(2026年10月29日)


イノベーション総研の考察

郵便が返ってきたかに代わり、別の生活インフラの情報を確認に使う実証です。ただし、情報が一致しない口座を見つけることと、その口座が不正だと判断することは同じではありません。

2025年のサービス開始から、青木信用金庫の確認業務へ進む

全国の情報を使えることから、個別の金融機関で役立つかを確かめる段階です。

金融機関は、口座を開く時だけでなく、その後も顧客情報を確認する業務を抱えています。郵送で回答を求める方法には、届いても返答がない場合や、情報の更新に人手がかかる問題があります。青木信用金庫は、確認完了率の向上と顧客負担の軽減を狙いに挙げています。

カウリスは2025年9月にサービスを発表し、同年11月の決算説明資料では、東京電力パワーグリッドなど全国10社との提携と照合の流れを示しています。今回の新事実は、その基盤を使う青木信用金庫の実証開始です。既存の全国連携を、今回初めて作ったものと混同しないことが重要です。

電力契約の一致は、確認を進める材料になる

照合結果から、誰をどう追加確認するかまで検証する必要があります。

今回の仕組みは、金融機関が持つ顧客情報と送配電事業者が持つ契約情報を比較します。カウリスが間をつなぎ、結果を金融機関へ返します。広い地域を支える契約情報を使えるため、郵便への回答とは別の手掛かりを得られると考えられます。

一方、照合で得た不一致をそのまま不正の証拠にすることはできません。どの項目の違いを追加確認へ回し、確認の結果をどこへ記録するかが残ります。発表は居住実態がない「可能性」を示すとしており、判定だけで顧客対応を完結できると説明したものではありません。

郵送の削減分と、例外を調べる負担を合わせて測る

照合件数ではなく、確認が完了するまでの全体の仕事を比べます。

期待される効果は、郵送費や作業負担の削減、リスクの高い口座を見つけやすくすることです。しかし今回の発表には、照合で何件を確認完了にできたか、不一致を調べる時間がどう変わったかという結果はありません。費用の削減を実績として書ける段階ではありません。

反対仮説は、結果の違いを人が調べ直す負担が大きく、郵送を減らしても総費用が下がらないという見方です。確認完了率に加え、追加連絡、情報修正、人の判断にかかった時間を同じ対象で記録すれば、照合を使うべき範囲と、従来手段を残す範囲を決めやすくなります。

データを使える範囲と、顧客への対応を先にそろえる

新しいデータを使う事業では、利用目的と確認後の責任を共有します。

2025年の決算説明資料は、照合結果を返した後、受け取った個人情報を早期に削除する仕組みも説明しています。データを集め続ける事業ではなく、比較する役割を担う構造です。ただし、今回の実証に適用する保管期間や各社の具体的な契約条件は公表されていません。

担当者の方が別業界のデータを自社の確認へ使うなら、利用目的、照合できる範囲、結果が食い違った場合の判断者を先に合わせる方法が考えられます。法令や当局回答の適用条件、本人への説明、情報管理は実際の導入条件で確認する事項です。本記事は、同意や規制への適合を独立に保証するものではありません。

実証後は、完了率と顧客負担から採用範囲を決める

次の証拠は、確認の質を守ったまま業務全体を軽くできたかです。

今回、期間や合格基準は示されていません。実証の開始から本導入を決めたと先回りせず、対象のどこで確認が進み、どの結果には人の追加対応が必要だったかを追う必要があります。新しい確認手段は、従来の手段を一律に置き換えるとは限りません。

検証後に確認完了率、顧客からの問い合わせ、追加対応の時間、総費用を同じ条件で振り返れば、利用の継続や対象拡大を判断できます。生活インフラの情報を新しい用途へ転用する事業にとっても、保有データの大きさより、相手の判断と責任に接続できることが採用の条件と考えられます。

まとめ

青木信用金庫の実証は、全国の送配電事業者の契約情報を、顧客管理の確認に使えるか確かめる取り組みです。不一致の検出を不正の判定と同一にせず、追加確認と顧客対応まで含めて効果を測ります。データの規模から、確認完了と総費用の改善へつなげられるかが次の判断材料です。

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この記事の執筆

執筆:イノベーション総合研究所

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