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KDDIなど9者、自動運転バスの映像伝送を塩尻で実証へ
ニュースの要点
KDDI、アルピコ交通、アイサンテクノロジー、塩尻市振興公社など9者は2026年10月29日、長野県塩尻市で11月2日から、自動運転車両の遠隔監視映像を伝送する技術実証を行うと発表しました。通信が混雑しても、監視映像と一般利用者の通信の双方への影響を抑えることが目的です。
遠隔監視用の通信を論理的に分けるネットワークスライシングと、混雑の予兆・解消を検知するL4Sを組み合わせます。映像品質の安定性、一般通信との共存性、複数台を見守る監視者の負担を検証します。検証結果を基に、他地域へ導入しやすい通信モデルの確立を目指します。
一般乗車は11月と12月の一部期間に予定し、塩尻駅~市役所ルートはレベル4、東回りはレベル2としています。前者では、監視を担う特定自動運行主任者を車内に配置します。今回の発表は実証開始の予告であり、通信性能や1人で多数の車両を監視する効果を達成した報告ではありません。
ニュース出典: KDDIスマートモビリティ「自動運転の複数台運行を見守る、安定した映像伝送技術を実証」(2026年10月29日)
イノベーション総研の考察
自動運転サービスを広げる際、車両を安全に走らせる技術と、運行中の状態を人が遠くから把握できる技術は別の役割を持ちます。今回の実証は、車両の性能だけでは決まらない、運行を支える通信と監視の条件を扱っています。
通信を分ける仕組みと、混雑に合わせる仕組みを重ねる
ネットワークスライシングは、遠隔監視の通信を一般利用者の通信と論理的に分け、必要な品質を確保するために使います。一方、L4Sはエリクソンのネットワーク設備に導入された機能で、混雑の予兆や解消を検知し、映像品質を動的に最適化するために使います。今回の狙いは、片方の通信だけを優遇するのでなく、両者への影響を抑えることです。
監視映像を安定させる設計では、専用の扱いと、状況に合わせた調整を分けて考えます。周辺の通信利用が変わる環境で、空いている時間に映像が流れることだけを確認しても、運行継続の根拠として十分とはいえません。混雑時に監視へ必要な情報を残しつつ、一般の利用者へどの程度の影響が出るかを見る必要があります。
同じ通信基盤を地域サービスへ使う担当者の方は、平均的な伝送速度だけでなく、映像の一時停止や極端な乱れが生じる場面を評価対象にするとよいでしょう。今回もそれらをどの程度減らせるかが検証項目であり、現時点で改善率を見込んで投資採算へ織り込むことはできません。
一人で多くを見るほど、映像の量より判断の負担が重要になる
9者は将来の「1対N型遠隔監視」を目指しています。しかし、映像の通信が安定すれば、監視者が何台でも見守れるわけではありません。複数の車両で異常が重なった場合には、どれを先に確認し、誰へ連絡するかという判断が増えます。
監視台数を増やせるかは、映像が届くことと、人が判断を続けられることの両方で評価すべきです。今回、心理的負担の軽減を独立した検証項目に置く点は重要です。監視画面の数を増やすだけで人員削減を計算すると、注意の切り替えや異常対応の負担を見落とします。
事業化の判断では、通常時の監視と異常時の対応を分け、監視者が支援を求めた回数や、確認に要した時間などを見る方法が考えられます。これらは今回公表された実績ではなく、今後のサービス設計に用いる評価の案です。通信の改善が、実際の監視業務を軽くしたかを確かめる必要があります。
レベル4という表示と、今回の要員配置を混同しない
一般運行では、塩尻駅~市役所ルートと東回りルートに、それぞれ車両1台を用いる計画です。前者はレベル4ですが、特定自動運行主任者を車内運転席に配置し、開始・終了の操作だけを行い運転操作はしないと説明しています。東回りルートはレベル2です。
運転の自動化段階と、現場に必要な人員や仕事を分けて見積もることが大切です。レベル4という名称だけから、車内の人員が不要になった、遠隔の少人数で全運行が完結する、と読み替えることはできません。乗客への案内、車両点検、運行管理など、運転以外の仕事も残ります。
新規事業として収益性を見るなら、運行する時間・範囲に対して必要な人員を積み上げ、どの仕事を技術で減らせるかを確認します。今回の通信実証の成果と、実際の交通サービスの要員配置がどう結び付くかが、拡大前の判断材料になるでしょう。
既存の通信機能を、他地域で使える運用へ変える
塩尻市は2020年度から自動運転の実用化を段階的に進めてきました。また、KDDIは今回の発表の注記で、5G SAへのL4S導入を2025年11月に公表したと説明しています。今回の新しさは、通信機能そのものを初めて作ることではなく、自動運転の遠隔監視で使う効果を地域の実証で確かめる点です。
他地域へ広げるには、成功した設備構成だけでなく、現地で調整した仕事を残す必要があります。通信の混み方、道路、運行体制が違えば、同じ設定を使うだけでは再現しない可能性があります。構築・評価・運行管理の分担を整理し、どこまで共通化でき、どこに追加費用が必要かを見ることが、導入しやすい通信モデルにつながります。
まとめ
KDDIなどの実証は、混雑下の映像伝送と、一般通信への影響、監視者の負担を一緒に検証する計画です。通信品質、監視台数、実際の人員配置を分けて評価し、その関係を他地域でも再現できるかが、事業拡大の判断につながります。
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