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NTTデータとインテージ、購買データとAIで商品企画から配合設計を連携

ニュースの要点

インテージ、NTTデータ、NTTデータビジネスシステムズは2026年10月5日、食品・飲料・日用品などの商品開発を支援する戦略的連携を始めたと発表しました。実際の販売・購買データを基に、AIによる商品企画から、原材料の配合や原価などの商品化の検討までをつなぐ仕組みを共同で構築します。

インテージの市場・消費者データをNTTデータの企画AIへ組み込み、生成した企画を、NTTデータビジネスシステムズの「FooDesigner」で扱う開発業務へ接続する計画です。部門やシステムをまたぐ情報の分断を減らすことを目指します。

今後は消費財メーカーや小売業の自社ブランドを対象に実証を進めます。共同基盤の完成、商用提供日、開発期間の短縮実績を示した発表ではありません。

ニュース出典: NTTデータ・インテージ/原題「インテージ、NTTデータグループ、AIで商品企画から処方設計までをつなぐ商品開発基盤の共同構築に向け戦略的連携を開始」/2026年10月5日/発表本文


イノベーション総研の考察

商品企画で魅力的な案を作れても、工場で作れなければ発売には進めません。今回の提携は、AIの発想力だけでなく、企画の根拠と製造条件をつなぐ試みとして読むと、狙いが分かりやすくなります。

商品開発で困るのは、案不足だけではなく後工程のやり直し

例えば、消費者に好まれそうな飲料の案でも、原材料が高い、必要な設備がない、表示条件を満たせないという理由で、設計のやり直しが起こり得ます。市場での魅力と、作って販売できる条件は別だからです。これは工程の違いを説明する例で、今回の参加企業で確認された失敗事例ではありません。

3社は、企画と商品化の情報が部門やシステムに分かれ、途中で手戻りが生じることを課題に挙げています。AIが多くの案を出すほど、開発部門が確認する案も増えます。案を作る時間だけ短くなっても、その後に確認待ちがたまれば、発売までの期間は短くなりません。

AI導入の成果は案の生成速度だけでなく、商品化までのやり直しが減るかで見ます。

読者がAI導入を検討するときも、企画書の作成時間と、発売判断までの時間を分けて測る必要があります。まず、どの情報が次の部門へ届かず、何を理由に差し戻されるかを記録すると、連携すべき工程を選びやすくなります。

既存の企画AIへ、購買データと製造条件を持ち込む

NTTデータは4月の発表で、7月から企画AIを提供する計画と、将来は商品設計へ広げる方針を示していました。今回の連携は、その方向に実販売・実購買データと開発業務の仕組みを組み合わせるものです。実際の連携成果はこれから検証されます。

市場を見るインテージ、企画を作るNTTデータ、配合・原価などを管理するNTTデータビジネスシステムズが、異なる工程を担います。一社が同じ範囲のAIを増やすのではなく、企画の前後にあるデータと業務をつなぐ分担です。

提携先は技術の種類だけでなく、前後の工程で不足するデータと業務能力から選びます。

ただし、役割表があるだけでは現場の受け渡しは完成しません。企画で決めた価格や対象顧客を、開発部門がどの形式で受け取り、変更時に誰へ戻すかが必要です。自社の提携でも、相手の強みを並べる段階から、一つの商品を共同で進める手順まで具体化できるかを確認します。

AIの仮想消費者は、実際に買う人と同じではない

関連する共同検証では、購買履歴を基に作るAIペルソナで商品案を比較します。AIペルソナとは、消費者の属性や購買傾向を反映した仮想の評価者です。当事者は、この検証を今回の提携の一環と位置付けています。

過去に何を買ったかを反映することは、年齢や性別だけで消費者像を作る方法とは異なります。それでも、AIが示す購入意向は人間の回答でも実際の購入でもありません。過去の行動をよく表すことと、初めて見る商品の売れ方を当てることは別です。

実購買データを使っても、AIの評価を実際の購入意向や売上実績に置き換えません。

担当者の方にとっては、AIで候補を絞った後、実際の生活者調査や試験販売へ進める使い方が考えられます。選ばれた案だけでなく、落とされた案にも有望なものがなかったかを確認すれば、速さと見落としの両方を評価できます。今回、その一致度や精度は未公表です。

次の確認は、接続できたかよりも発売判断に役立ったか

共同基盤の価値を確かめるには、データが流れることに加え、その情報を使って判断が変わったかを見る必要があります。企画の差し戻し件数、開発期間、試作の回数などを導入前と比べれば、工程間連携の成果を捉えやすくなります。これらはイノベーション総研が提案する評価項目で、公表済みの実証結果ではありません。

反対に、入力や修正の作業が増えたり、既存システムへつなぐ費用が膨らんだりすれば、連携の利点が小さくなります。市場データの更新と、原材料や製造条件の更新を誰が担うかも、継続利用の負担を左右します。

工程をつなぐ投資は、判断の改善、手戻り、追加の運用負担をセットで評価します。

次に見たいのは、実証する商品・企業、評価期間、比較する業務、提供方法が具体化するかです。自社でも最初から全工程をAI化せず、差し戻しの多い受け渡しを一つ選び、現場の判断に必要な情報が届くかを確かめる進め方が有効です。

まとめ

今回の連携は、市場データ、企画AI、商品化の業務をつなぐ共同構築です。実績はこれからですが、読者にとっては、AIで案を増やす前に、企画の根拠が後工程まで伝わるかを点検する事例になります。AIの仮想評価と実際の顧客反応を分けて扱うことも欠かせません。

執筆:イノベーション総合研究所

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