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OnとGoogle Cloud、AIエージェントで基幹24サービスを移行

ニュースの要点

スイスのスポーツ用品企業OnとGoogle Cloudは2026年10月8日、Onの基幹サービス24件をGoogle Cloudへ移したと発表しました。コードの分析、設定の作成、データの複製、検証などを複数のAIエージェントに分担させ、計算処理、データ、AIの基盤をまとめる取り組みです。世界での成長に対応する技術基盤を作ることが目的です。

両社によると、1サービス当たりの移行期間を従来の3カ月から2週間に短縮し、15件は社内で移行しました。この比較は当事者の説明で、独立した検証結果ではありません。エンジニアが生成コードを確認し、設備の変更と本番環境への切り替えを承認しています。AIがすべて自律的に移行したわけではありません。全従業員にもGemini Enterpriseを展開したとしています。

ニュース出典: On・Google Cloud/原題「On Establishes Google Cloud as Enterprise AI Backbone, Beginning with Agent-Led Cloud Migration」/2026年10月8日/公式発表。リードは発表内容の日本語要約です。

イノベーション総研の考察

新規事業でAIを使うとき、機能を作る前に、データやシステムを整える仕事が必要になる場合があります。Onの事例は、その準備をどう進め、製品開発に必要な人材をどう確保するかに関わります。移行の速度だけでなく、AIに任せた仕事と、人が残した責任を読むことが重要です。

基盤の移行を、製品開発の人材配分と一緒に考える

Onは80カ国超で事業を行うスポーツ用品ブランドです。今回の発表では、世界で成長する中で、計算処理、データ、AIの分断を減らし、チームが共通の基盤で仕事を進める必要があったと説明しています。

既存のシステムを移す仕事に技術者が集中すれば、新しい製品やサービスの開発が遅れる可能性があります。Onは、販売活動や開発計画を妨げずに移行するため、複数のAIエージェントを使ったとしています。

AIによる準備作業の効率化は、新しい顧客価値を作る仕事へ人材を残せるかと合わせて評価します。

今回示されたのは移行に関する事例で、Onの新製品の売上が増えたという成果ではありません。基盤をまとめれば、顧客向けサービスが自動的に良くなるわけでもありません。移行後にどの開発が進んだかを別に確かめる必要があります。

24サービスの移行実績は、ほかの国や事業へ広げる際の参考になります。ただし、同じ手順を再現できるかは、システムの構成やデータの扱いで変わります。社内で移した15件と、支援が必要だった残りの案件の違いを確かめると、拡大に使える手順の範囲が見えます。

担当者の方が新規事業の基盤を整える場合も、移行期間だけでなく、その仕事にどれだけ開発者の時間が使われるかを見ると判断しやすくなります。準備を終えることと、その結果として実現したい事業の変化を分ける考え方です。

事業を拡大する際の採算には、移行後の利用料、保守人員、障害から復旧する費用も関わります。期間短縮で空いた時間を、新たな市場や製品の開発へ実際に回せたかまで追わなければ、基盤整備への投資効果は判断できません。

AIの作業を分け、本番の変更は人が決める

両社は、20超のコード保管場所にある構成を分析し、設定作成やデータ複製、環境の検証をAIへ分担させたと説明しています。一つのAIへ「すべて移行して」と任せる形ではなく、専門の作業と確認点を分けています。

当事者の配信原稿には、生成コードを人が確認し、インフラの変更を実行し、本番への切り替えを承認したことが明記されています。重要な変更の責任はエンジニアに残っています。

AIエージェントの導入では、作業の自動化と、重大な変更を承認する権限を分けます。

販売を支えるシステムの切り替えが誤れば、日常の事業に影響します。自動化の範囲を広げるほど、入力条件、検証方法、異常があった場合の中止や復旧を明らかにする必要があります。今回の資料から、すべての障害対応まで自動化したとは読めません。

同様の仕組みを作るなら、各作業に必要なデータと、次の作業へ渡してよい条件を定めたいところです。速く生成できることだけでなく、人が結果を確認できることが、実際の業務へ接続する条件になります。

期間の短縮と、全体費用の削減を区別する

1サービス当たり3カ月から2週間という説明は、移行の期間に関する比較です。対象サービスの難しさ、事前の準備、比較時の人数などの詳しい条件は示されていません。どの会社でも同じ割合で短縮できるとは一般化できません。

外部業者による一部の移行作業の見積もりも紹介されていますが、それは今回の全体費用との厳密な比較ではありません。社内の作業時間、AIの利用費、検証や運営の費用を含めた総額は確認できません。

移行が速くなったことと、全体の費用が下がり、安定運営できることは別々に確認します。

次に注目したいのは、移行後の障害、保守に必要な時間、同じ方法を別のシステムへ使った結果です。移行時に省けた作業が、その後の修正や運営へ移っただけなら、負担全体は減らない可能性があります。

担当者の方が自社で試す場合、移行前の作業時間と費用を記録し、AI導入後も確認や手戻りまで測ると、効果を判断しやすくなります。短縮した時間が、顧客向けの開発や改善へ実際に使われたかも見ると、準備投資の意味が明確になります。

まとめ

Onは、AIに移行の各作業を分担させ、人が重要な変更を承認する構成を採りました。この事例は、AIの性能だけでなく、仕事の分け方、権限、人材配分を合わせて考える参考になります。発表された期間短縮は当事者の説明であり、自社でも同じ効果が出る保証ではありません。

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この記事の執筆

執筆:イノベーション総合研究所

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