投稿日:2026.09.15 最終更新日:2026.09.15
西濃運輸、AIボイスボットを11種類の問い合わせへ拡大
ニュースの要点
アルティウスリンクは2026年9月15日、西濃運輸のカスタマーセンターで従来型のボイスボットをAIエージェント型へ刷新したと発表しました。繁忙期や天候不良時に電話が集中した際の待ち時間を短くし、オペレーターの負担を減らす狙いです。
従来は4種類だった受付内容を、見積もり依頼、取扱商品、配送状況確認など11種類へ増やしました。利用者の発話から意図をくみ取り、必要な情報を対話で確認します。アルティウスリンクは過去の問い合わせと応対データを分析し、AIで完結する領域と人が対応する領域を分け、導入後の調整も担います。
西濃運輸は以前から、電話が集中した場合にボイスボットへ転送する運用を行っていました。今回の発表では、自動完結率、有人転送率、待ち時間、再入電率など、刷新後の実績は示されていません。
ニュース出典:西濃運輸のカスタマーセンターにおける AIエージェント型ボイスボットへの刷新を支援(アルティウスリンク、2026年9月15日)
イノベーション総研の考察
この発表は、西濃運輸が電話対応を初めて自動化した話ではありません。従来のボイスボットでは対応できる内容が4種類に限られ、利用者が適切な項目を選べず、折り返しが発生していました。今回は既存運用で見えた問題を基に、受付範囲を11種類へ広げ、人とAIの役割を組み直しています。
4分類の運用で自動受付の詰まり方が見えた
従来の仕組みは、電話が集中した際にIVRからボイスボットへ転送し、一次受付を行うものでした。受付できる内容が少ないと、利用者は自分の用件に近い選択肢を探さなければなりません。適切な項目が分からず「その他」を選ぶと、オペレーターの折り返しが必要になり、自動化しても待ち時間が残ります。
西濃運輸には既存の運用と応対データがあるため、どの問い合わせを追加すれば折り返しを減らせるかを判断できます。今回の拡大はAIありきではなく、4分類の実運用から自動化が止まる箇所を特定したことが出発点です。
11分類への拡大には会話より業務の再設計が効く
AIエージェント型ボイスボットは、固定の番号選択ではなく、利用者の話し方から用件を絞ります。しかし用件を正しく理解しても、配送情報を参照できない、受付後の処理先が決まっていない、例外時の引継ぎ情報が不足している状態では完結しません。
アルティウスリンクは過去データの分析から、AIが担う範囲と人が担う範囲を分け、受付業務そのものを設計しました。問い合わせ自動化の効果は会話の自然さより、受付後の処理と有人引継ぎまで一つの業務として設計できるかで決まります。
分類数が増えても再入電が増えれば拡大とは言えない
11種類に対応すると、自動で受け付けられる電話は増える可能性があります。一方、AIが誤って用件を判断したり、必要な情報を聞き切れなかったりすれば、利用者は電話をかけ直します。オペレーターへ渡す際に同じ説明を繰り返す場合も、顧客体験は改善しません。
成果を見るには、AIが受けた件数だけでなく、自動完結率、途中離脱率、有人転送率、再入電率、転送後の処理時間を比較する必要があります。受付件数ではなく、顧客が一度の電話で用件を終えられた割合が拡大の中心指標です。
自社では問い合わせ量と判断の難しさで自動化範囲を選ぶ
担当者の方が顧客対応へAIを導入する場合、すべての問い合わせを同時に自動化する必要はありません。件数が多く、必要情報と処理手順が決まっている用件から始めると、効果と誤りを測りやすくなります。判断が難しい苦情、契約変更、安全に関わる内容は、早く人へ渡す方が適切な場合があります。拡大後の採算は、AI利用料と改善作業の費用を、削減できた処理時間や再入電の減少と比べて確認します。
西濃運輸の次の観測点は、11分類それぞれの完結率と、導入後の調整によって再入電や待ち時間が下がるかです。AIへ任せる範囲は技術的に答えられるかではなく、誤ったときの影響と人への引継ぎまで含めて決めるべきです。
まとめ
西濃運輸は、既存のボイスボット運用で見えた折り返しの問題を基に、受付を4種類から11種類へ広げました。今後は自動完結率、有人転送率、再入電率、待ち時間、転送後の処理時間が改善するかを確認します。AIエージェントの導入効果は、会話の自然さではなく、顧客が一度で用件を終えられるかで判断する必要があります。
執筆:イノベーション総合研究所
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