投稿日:2026.10.02 最終更新日:2026.10.02
電通、AIと未来の事業機会を探索する「未来ファインダー」を提供
ニュースの要点
電通と国内グループ6社の横断組織「未来事業創研」は2026年10月2日、企業が未来の事業機会を探索する「電通 未来ファインダー for AI」の提供を開始しました。人とAIが一緒に将来の可能性を考えるセッション用のツールです。
2040年に向けた暮らしや働き方、健康、気候変動などの変化を整理し、AIへ入力して使える情報へ再構成しました。提供開始時のテーマは181で、自社の技術や市場情報を組み合わせ、長期戦略や新規事業を検討する用途を想定しています。
従来ツールは2023年から提供し、累計で約100社を支援したと説明しています。これは今回のAI版の導入実績ではありません。価格や具体的な導入条件は公表しておらず、11月には体験の共創セッションを予定しています。
ニュース出典: 電通/原題「AIで事業機会とあるべきくらしを探索 「電通 未来ファインダー for AI」を提供開始」/2026年10月2日/当事者発表
イノベーション総研の考察
AIに何を入力するかが事業探索の方向を決める
未来の事業を考えるとき、現在売れている商品を延長するだけでは、新しい生活や技術の変化を見落とす可能性があります。一方、長期の予測を集めても、自社の取り組みへ結び付けるには情報の整理と解釈が必要です。
電通は従来版の発表から未来情報を事業構想に使う取り組みを進めてきました。今回の変更は、その情報をAIの入力に使う形へ再構成したことです。AIに案を出させるだけでなく、どんな前提から考えるかを準備するサービスと読めます。
AIによる事業探索は、案を出す前に、入力する前提情報の範囲と根拠を決めます。
情報が体系化されていても、未来がその通りになる保証はありません。収録された予測と、現在確認できる事実を分けることが重要です。
181テーマの広さより自社に影響する変化を選ぶ
幅広いテーマは、普段の業務で考えない変化に気付く入口になります。ただし、全てを同じ深さで調べれば、検討する情報が増えるばかりで判断が進まない場合もあります。企業ごとに、強く影響を受ける変化は違います。
担当者は、まず顧客の行動、提供に必要な資源、収益の取り方のどこが変わるかを考えるとよいでしょう。自社の技術や人材がどの変化に対応できるかを絞れば、長期の予測を具体的な探索テーマへ移しやすくなります。
未来情報の活用は、テーマの数ではなく、自社の顧客や収益に影響する変化を選ぶことから始めます。
今回のツールが、その選択によってどれだけ判断を改善したかはまだ公表されていません。テーマが増えたことと、事業の成功確率が上がったことは別です。
AIが描く未来の生活者は需要の証拠ではない
会社は、AIで生成した未来の生活者との対話も体験に組み込む方針です。この方法は発想を広げる用途に使えますが、架空の人物が「欲しい」と答えても、実際の顧客が支払う証拠にはなりません。予測を入力した結果が、需要確認の代わりになるわけではないからです。
イノベーション総研は、AIによる探索の成果を、検証する仮説として残すのがよいと考えます。誰の行動が変わると考えたか、何を解決するか、どんな事実が見つかれば見立てを修正するかを記録し、現実の顧客や試験提供で確認します。
AIが作った未来の顧客像は発想の材料であり、需要や購入意思を確認した証拠ではありません。
この区別がなければ、もっともらしい説明が多く出るほど、未確認の前提に自信を持ってしまうおそれがあります。
利用の成果は案の数より次の検証へ進んだかで測る
新しいツールの価値を、出したアイデアの数だけで測ると、量を増やす使い方へ偏りがちです。事業開発では、その案から調査や実験を選び、予算と担当を決める必要があります。実務へ接続できて初めて、探索の時間が意味を持ちます。
導入する担当者は、従来の方法と比べ、調査すべき前提が明確になったか、異なる選択肢を比較できたか、次の検証を決めるまでの時間が変わったかを見る方法が考えられます。これらは提案する評価項目で、今回のツールの確認済み効果ではありません。
事業探索ツールの成果は、案の数ではなく、根拠を確認する次の行動へ進めたかで測ります。
次の観測点は、具体的な利用条件と、新AI版を使った企業の判断や検証の事例です。約100社の旧来ツールの支援実績を、新AI版の効果として読み替えないことも大切です。
まとめ
電通の新ツールは、未来情報をAIと使う事業探索へ組み直す取り組みです。担当者への示唆は、予測を事実と混同せず、AIの案を検証する仮説へ変えることです。探索の広さを、現実の顧客を確かめる行動につなげられるかが焦点になります。
執筆:イノベーション総合研究所
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