投稿日:2026.10.05 最終更新日:2026.10.06
新規事業の実態調査2026|20設問の結果と事業化への示唆
新規事業は、どこまで進み、何に困っているのか。
独自調査の結果から、自社の次の判断を考える。
顧客検証を次の投資や軌道修正につなげるには、情報を集めるだけでなく、その情報を使って何を決めるかを経営層と合意することが大切です。本記事では、大企業の新規事業経験者888名に尋ねた調査の20設問の結果と、顧客との対話、目標の運用、問題の報告、撤退基準などの比較を掲載します。進行段階、アイデアの起点、外部支援、生成AI、キャリアと負担までを、数値と解説で確認できます。
この記事のポイント
- 新規事業の20設問について、何を尋ね、どの回答が多かったかを確認できる
- 顧客対話と数値目標、報告の根拠と立場などの比較から、進め方の違いを読み解く
- 調査を自社の状況と照らし合わせ、検証・会議・支援体制の見直しに使う
目次
新規事業の進行段階と障壁を、全体から見る
まず、回答者が関わった事業はどこまで進み、どこに障壁を感じていたかを確認します。今の活動段階、これまでに到達した段階、推進全体の障壁、事業化へ移る際の障壁を分けて読むと、自社と比較する対象を選びやすくなります。
新規事業は、今どの段階にあるか
設問:直近で関わった新規事業プロジェクトは、現在どの段階にありますか。
最も多かったのは事業計画・ビジネスモデル策定で28.7%、次いで小規模な実証・試作品の検証で24.4%でした。市場に出す前の段階が目立つ一方、事業化・市場投入や拡大に取り組む回答もあります。
新規事業は、今どの段階にあるかの回答内訳
自社の会議では、企画中、検証中、販売中を一括して評価しないようにします。今の段階で決めたいことに合わせて、顧客への確認、技術検証、売上の確認を選びます。
現在までに到達した、最も進んだ段階
設問:直近の新規事業で、現在までに到達した最も進んだ段階はどこですか。
最多は顧客ヒアリング・実証で仮説を検証した段階(検証中を含む)の24.7%でした。黒字化・投資回収の見通しが立ち、社内で自走する事業として認知された回答は11.0%です。
現在までに到達した、最も進んだ段階の回答内訳
到達状況と現在の活動段階は別の問いです。企画・検証・販売を続けている回答も含むため、黒字化していない回答を一括して失敗とは扱いません。
推進全体で大きいと感じた障壁
設問:新規事業を進めるうえで、大きいと感じた障壁を大きい順に3位まで選んでください。
最大の障壁の1位は意思決定スピードの遅さ22.1%、次いで目標・指標や撤退基準の曖昧さ15.9%、経営層の理解・関与不足15.1%でした。一方、2位には適切な人材の不足が12.0%と多く挙がっています。
| 項目 | 1位 | 2位 | 3位 |
|---|---|---|---|
| 経営層の理解・関与不足 | 15.1% | 6.9% | 3.4% |
| 全社戦略での位置付け・方針が不明確 | 14.4% | 6.4% | 4.1% |
| 意思決定スピードの遅さ | 22.1% | 7.4% | 3.3% |
| 目標・指標や撤退基準が曖昧 | 15.9% | 6.8% | 3.5% |
| 社内の抵抗・既存部門との対立 | 2.3% | 6.2% | 5.3% |
| 社内に新規事業の専門組織がない | 1.8% | 4.7% | 5.0% |
| 既存業務との兼務で時間が足りない | 2.6% | 7.4% | 6.8% |
| 既存事業の評価制度が合わない | 1.1% | 4.1% | 3.5% |
| 適切な人材の不足 | 6.6% | 12.0% | 8.0% |
| 予算・リソースの確保が困難 | 5.4% | 8.6% | 8.9% |
| 知識・ノウハウが組織に蓄積されない | 2.6% | 8.0% | 6.0% |
| 市場・顧客ニーズの見極めが困難 | 2.6% | 3.6% | 7.1% |
| 技術的な実現可能性の壁 | 1.2% | 2.6% | 6.2% |
| PoCから事業化への移行が困難 | 0.5% | 2.1% | 3.8% |
| 外部パートナーとの連携不足 | 0.3% | 1.1% | 4.7% |
| 法規制・コンプライアンス対応 | 0.6% | 0.9% | 4.4% |
| その他 | 0.1% | 0.5% | 0.7% |
| 特に大きな障壁はない | 4.8% | 5.2% | 5.3% |
| 未回答 | 0.0% | 5.5% | 10.2% |
対象:888名。1位・2位・3位をそれぞれ集計し、各列の分母は888名です。
最大の問題だけを見ると、二番目以降の課題を見落とすことがあります。判断が遅い理由を、決める人が不明なのか、必要な情報が足りないのか、実行する人が足りないのかに分けて確認します。
小規模な実証から事業化へ進むときの障壁
設問:小規模な実証や検証から、事業化・拡大へ移る際に大きかった障壁を3位まで選んでください。
1位は経営層の継続的な支援不足19.6%、次いで継続・撤退・方向転換の基準が曖昧18.9%でした。技術的課題が解決しなかったという1位回答は2.6%で、技術以外の条件も挙がっています。
| 項目 | 1位 | 2位 | 3位 |
|---|---|---|---|
| 投資の承認を得られなかった | 11.1% | 4.5% | 2.6% |
| 経営層の継続的な支援不足 | 19.6% | 4.3% | 4.6% |
| 継続・撤退・方向転換の基準が曖昧 | 18.9% | 5.4% | 3.4% |
| 顧客課題を捉えきれず、市場に合わない | 7.0% | 7.9% | 4.2% |
| 顧客獲得・初期売上の見通しが立たない | 8.9% | 8.1% | 5.2% |
| 市場環境が変わり、前提が崩れた | 6.5% | 8.2% | 4.6% |
| 量産・事業運営の体制づくりが困難 | 2.9% | 7.0% | 6.3% |
| 事業化を担う人材・組織が不足 | 4.6% | 8.6% | 10.0% |
| 既存事業部門との利害調整が難航 | 2.7% | 7.5% | 7.1% |
| PoCの成果を事業計画にできなかった | 1.8% | 6.5% | 5.3% |
| 技術的課題が解決しなかった | 2.6% | 4.4% | 7.0% |
| その他 | 1.4% | 0.8% | 1.5% |
| 特に大きな障壁はない | 9.8% | 11.0% | 12.2% |
| 事業化への移行を経験していない | 2.1% | 2.8% | 3.0% |
| 未回答 | 0.0% | 13.0% | 23.1% |
対象:888名。1位・2位・3位をそれぞれ集計し、各列の分母は888名です。
技術が動くことを示した後には、誰が使い、誰が購入し、どの体制で提供するかが残ります。実証の結果を、追加投資の条件と提供・営業の計画へつなぐ準備を進めます。
アイデアの起点と顧客との対話を確かめる
アイデアがあることと、顧客の需要を確かめたことは同じではありません。アイデアを得た起点と、その後に顧客へ直接話を聞いた活動を合わせて確認します。
アイデアは、どこから生まれたか
設問:これまで取り組んだ新規事業のアイデアは、主にどこから生まれましたか。多かった順に3位まで選んでください。
最も多い起点の1位は現場社員の提案23.1%、中期経営計画・全社戦略からの逆算18.5%、経営層・トップダウンの指示18.1%でした。顧客の要望、技術、データ、外部との連携など、ほかの起点もあります。
| 項目 | 1位 | 2位 | 3位 |
|---|---|---|---|
| 経営層・トップダウンの指示 | 18.1% | 6.8% | 2.7% |
| 現場社員の提案 | 23.1% | 8.1% | 5.3% |
| 社内公募・ビジネスコンテスト | 10.1% | 4.4% | 3.9% |
| 中期経営計画・全社戦略からの逆算 | 18.5% | 7.5% | 4.7% |
| 顧客・取引先の要望 | 8.2% | 11.3% | 6.5% |
| 他社事例・競合分析 | 4.5% | 9.8% | 7.1% |
| 社会課題・社会の大きな変化 | 4.5% | 13.2% | 7.1% |
| 研究開発・技術の活用 | 5.4% | 6.2% | 7.2% |
| 自社・既存顧客のデータ分析 | 2.0% | 6.2% | 9.0% |
| 生成AIなど新技術の活用可能性 | 1.5% | 3.8% | 6.9% |
| 外部コンサルタント・アドバイザー | 0.6% | 2.4% | 5.4% |
| 異業種交流・オープンイノベーション | 0.7% | 1.8% | 3.9% |
| スタートアップとの協業・M&A | 0.7% | 1.5% | 3.6% |
| その他 | 2.1% | 0.1% | 0.3% |
| 未回答 | 0.0% | 17.0% | 26.2% |
対象:888名。1位・2位・3位をそれぞれ集計し、各列の分母は888名です。
起点によって、最初から持っている情報が違います。社員の困り事が社外でも起きているか、技術を必要とする顧客は誰か、戦略をどの需要に結び付けるかを確かめます。
チームは、ターゲット顧客と何回対話したか
設問:直近の新規事業で、チームがターゲット顧客(候補を含む)と直接対話した回数はどの程度ですか。
最多は4~10回の22.7%でした。0~3回を合わせると45.8%で、0回の回答も10.6%あります。チームの活動全体について尋ねているため、リーダー個人の面談回数とは異なります。
チームは、ターゲット顧客と何回対話したかの回答内訳
対話の回数は、活動の広がりを見る手掛かりです。何回会ったかと併せて、利用者、購入部門、導入条件など、どの問いに答えが得られたかを整理します。
対話回数ごとに、黒字化の到達状況を見る
それぞれの対話回数に該当する事業で、黒字化・投資回収の見通しが立った回答の割合を比べました。回数の分布と、各回数の事業がどこまで到達したかを区別して読みます。
顧客との直接対話回数別の黒字化率
11回以上の回答群をまとめた黒字化率は18.3%で、10回以下の8.5%を上回りました。回数が増えれば同じように率が上がるわけではないため、会う回数のノルマより、何を確かめる対話かを考えます。
顧客対話と、経営層と合意した数値目標を組み合わせて見る
顧客に会う活動と、事業を判断する活動が、別々に管理されていないでしょうか。独自調査の結果を両方から見ると、面談件数や報告頻度だけでは捉えにくい、新規事業の進め方の違いが見えてきます。
対話の多さに加え、その結果を判断に使えているか
2026年4月、大企業の新規事業経験者888名を対象に実施した独自調査では、直近のプロジェクトでチームがターゲット顧客と直接対話した回数を尋ねました。11回以上の回答群の黒字化率は18.3%、10回以下の回答群は8.5%でした。対話はリーダー個人ではなく、チームによる活動です。
ここでいう黒字化は、「単年度黒字または投資回収の目処が立ち、自走する事業として社内で認知されている」という到達状況です。投資回収の見通しが立った場合も含みます。
同調査では、事業の進捗や成否を判断する目標・指標(KPI)の設定・運用も確認しました。経営層と合意した目標を定期確認し、判断基準として機能していた回答群の黒字化率は15.7%、それ以外の回答群は9.1%です。
さらに、顧客との対話が11回以上で、合意した数値目標が判断基準として機能していた回答群では、黒字化率は24.3%でした。対話が10回以下で、数値目標が判断に機能していた回答に該当しない群では8.1%です。顧客との接点と、社内の判断の仕組みが両方そろっていた群で、高い割合が見られました。
顧客対話と数値目標の運用を組み合わせた黒字化率
「11回会う」ではなく、何を確かめる対話かを決める
この比較を、そのまま面談回数のノルマに置き換えるのは適切ではありません。事業の期間や進行段階が違えば、対話の機会も変わります。回数が多い事業でも、同じ説明を繰り返すだけなら、購入条件や導入の障害について分かることは増えません。
イノベーション総研が重視するのは、顧客と会うたびに、事業案のどの前提を確認できたかを整理することです。困り事を持つ人がいると分かったのか、現在の対処に費用がかかっていると分かったのか、購入する部門と予算の条件まで分かったのか。対話の件数とは別に、答えが得られた問いを見ます。
数値目標も、数字を報告するためだけに置くと、達成状況は分かっても次に何をするかは決まりません。面談件数を増やすことを目標にする場合にも、その面談で購入する理由を確かめ、どの結果なら試作品や有料テストへ進むかを合わせて話し合います。
探索の初期なら、まず困り事を持つ顧客の条件を明らかにすることが判断材料になります。販売を試す段階なら、価格を提示したときの反応や、購入手続きの条件を見ることになります。現在の段階に合わせ、面談で確かめる内容と、会議で使う指標を対応させます。
顧客検証と意思決定をつなぐとは、活動を増やすことだけではありません。「分かったことによって、次の判断がどう変わるか」を、検証を始める前から共有することです。
新規事業の数値目標と、経営層・現場の認識をそろえる
顧客から情報が集まっても、それを判断に使う仕組みがなければ、次の行動は決まりません。数値目標の運用、認識のずれ、第三者や客観的な指標による診断・評価の結果を確認します。
数値目標は、事業を判断する基準として使えたか
設問:直近の新規事業で、進捗や成否を判断する目標・指標をどの程度設定・運用していましたか。
経営層と合意した数値目標を定期確認し、評価に使えていた回答は28.6%でした。最多は、定期確認していたものの経営層との認識のずれで評価に使えていなかった回答の45.5%です。
数値目標は、事業を判断する基準として使えたかの回答内訳
報告する数字があることと、その数字で判断できることは別です。目標の達成状況に加え、どの結果なら顧客、価格、開発範囲を見直すかを合意しておきます。
立場別に、目標と撤退基準の運用を見る
事業を主導したオーナー、日常的に運営したリーダー、承認・判断に関わった意思決定者に分けて、目標が評価に機能していた割合と、明文化した撤退基準が守られた割合を比べました。
| 関わった立場 | 目標が評価に機能 | 撤退基準を明文化し、守られた |
|---|---|---|
| オーナー(事業責任者・発案者として主導)(234名) | 38.9% | 62.8% |
| リーダー(推進責任者として日常的に運営)(507名) | 24.7% | 47.7% |
| 意思決定者(承認・判断に関与)(147名) | 25.9% | 49.7% |
立場ごとに回答者と対象の案件が異なります。同じ事業を複数の立場から評価した比較ではありません。
オーナーでは、両方の項目で高い割合が見られました。自社では、基準を決める側と運営する側が同じ内容を理解し、会議で実際に使えているかを確認する材料になります。
経営層と現場で、成功の見込みや課題にずれがあったか
設問:新規事業の成功の見込みや課題について、経営層と現場メンバーの間で認識のずれを感じたことはありますか。
大きなずれ12.4%と、ある程度のずれ63.7%を合わせると76.1%でした。ずれを感じた回答が多数ですが、その内容や対処を確認せずに、ずれ自体を失敗の理由とは決められません。
経営層と現場で、成功の見込みや課題にずれがあったかの回答内訳
顧客の反応、採算、開発の条件など、どの前提が違うのかを話し合います。意見を同じにするだけでなく、追加で確かめることと、次に判断する場を決めます。
ずれの有無や生成AIの利用だけでは、黒字化率に大きな違いはなかった
認識のずれを感じたかどうかと、生成AIを利用しているかどうかについても、黒字化率を比較しました。どちらの比較でも、およそ11%でした。
認識のずれ・生成AI利用の有無別の黒字化率
ずれをなくすことや、新しい道具を導入することだけを目的にしないようにします。違う意見を手掛かりに、何を確認し、誰が次の行動を決めるかまで整理することをイノベーション総研は提案します。
第三者や客観的な指標で、事業を診断・評価したか
設問:新規事業の健全性や進捗を、社外の第三者や客観的な指標で診断・評価した経験はありますか。
定期的ではないが複数回実施した回答が45.5%と最多で、定期的な実施は19.8%、一度だけの実施は8.4%でした。何らかの診断・評価を経験した回答は73.8%です。
第三者や客観的な指標で、事業を診断・評価したかの回答内訳
診断したこと自体で終えず、指摘された課題を次の検証や計画変更へつなげます。一度の評価結果を固定せず、顧客や市場から新しい事実が分かったときに見直すことも考えられます。
診断・評価の経験別に、問題を感じた後の軌道修正を見る
「このままでは失敗する」と感じた回答者について、診断・評価の経験別に、報告・進言が軌道修正につながった割合を比べました。定期的または複数回の回答群では84.4%、一度だけは70.0%、経験なしは47.3%でした。
失敗を予感した回答者の、報告・進言が軌道修正につながった割合
自社で診断・評価を取り入れる場合は、結果の説明会だけで終えず、誰がどの課題を確かめるかを決めます。次の判断時に、その確認で何が分かり、計画をどう変えたかを振り返ります。
失敗の予感は伝えられていても、受け入れられない経験がある
顧客検証によって、当初の計画を続けにくいと分かる場合もあります。そのときは、率直に報告できるかだけでなく、報告を受けて何を見直すかまで確認する必要があります。
失敗を予感したとき、何を伝え、どう対応されたか
設問:プロジェクトの途中で「このままでは失敗する」と感じた経験について、報告・進言した根拠と、その後の対応に最も近いものを選んでください。
最多は、目標未達・収支データを示した報告が軌道修正につながった回答の25.7%でした。顧客の声・現場の事実が軌道修正につながった回答は17.5%、同じ根拠で伝えても受け入れられなかった回答は5.4%です。
失敗を予感したとき、何を伝え、どう対応されたかの回答内訳
報告できなかった理由には、根拠の不足だけでなく、組織の空気、評価への懸念、判断材料の曖昧さもあります。報告の仕方と、報告を検討する仕組みを分けて点検します。
予感から報告、軌道修正へ、どこで止まったか
失敗を予感した回答者は85.6%でした。その回答者の90.9%は報告・進言し、報告した回答者の83.4%は軌道修正につながったと答えています。
| 確認したこと | 該当する回答者 | 割合 |
|---|---|---|
| 失敗を予感した | 回答者全体888名 | 85.6% |
| 上層部・関係者に報告・進言した | 失敗を予感した760名 | 90.9% |
| 報告・進言が軌道修正につながった | 報告・進言した691名 | 83.4% |
| 報告・進言したが受け入れられなかった | 報告・進言した691名 | 16.6% |
| 予感したが報告・進言できなかった | 回答者全体888名 | 7.8% |
| 報告・進言したが受け入れられなかった | 回答者全体888名 | 13.0% |
全体に対しては、報告できなかった回答より、報告しても受け入れられなかった回答が多くなっています。話せる環境を整えるだけでなく、受け取った問題をどう検討し、対応を決めるかも確認します。
報告できる環境と、報告を判断に使う環境を分ける
独自調査では、プロジェクトの途中で「このままでは失敗する」と感じた経験がある回答者は85.6%でした。そのうち90.9%は上層部や関係者へ報告・進言していましたが、報告・進言した回答者の16.6%は、受け入れられなかったと答えています。
多くの担当者は、問題を感じたまま黙っていたわけではありません。リーダーが率直に伝えられる場を設けることに加え、受け取った情報を検討し、対応を決める場があるかも見直したい結果です。
報告・進言した回答者を、示した根拠別に比較すると、受け入れられなかった割合には違いが見られました。最も高かったのは、顧客の声・現場の事実を示した回答群です。
失敗の予感を報告・進言したが、受け入れられなかった割合
この違いは、顧客の声を集める必要がない、あるいは収支データに置き換えれば受け入れられる、という意味ではありません。顧客の声には、まだ売上に表れていない問題を知らせる役割があります。その情報が、今の事業計画のどこに影響するかまで共有できているかを考える材料です。
報告の根拠と、関わった立場を組み合わせて見る
顧客の声・現場の事実で伝えた場合と、収支データ・代替案・競合動向のいずれかを示した場合を、立場別に比較しました。リーダーと意思決定者では、顧客の声で伝えた回答群で受け入れられなかった割合が高く、オーナーでは逆の結果でした。
| 立場 | 顧客の声・現場の事実 | 収支データ・代替案・競合動向 |
|---|---|---|
| オーナー | 3.1%(2/65) | 14.0%(19/136) |
| リーダー | 34.9%(37/106) | 15.1%(41/271) |
| 意思決定者 | 28.1%(9/32) | 8.6%(7/81) |
括弧内は、受け入れられなかった人数/その根拠で報告した人数です。オーナーの顧客の声は65名中2名、意思決定者は32名中9名と少数のため、参考値として読みます。立場ごとに回答者・案件が異なる比較です。
同じ報告方法でも、関わる立場によって結果は一様ではありません。自社の報告では、顧客の声を誰がどう説明し、事業計画への影響を誰と整理するかを考えます。
企業規模別にも、報告の根拠を比べる
企業の従業員数で分けた比較では、3区分とも、顧客の声・現場の事実で伝えた回答群の方が受け入れられなかった割合は高くなっていました。
| 企業規模 | 顧客の声・現場の事実 | 収支データ・代替案・競合動向 |
|---|---|---|
| 従業員1,000~4,999名 | 23.5%(16/68) | 12.4%(23/185) |
| 従業員5,000~9,999名 | 30.3%(20/66) | 16.3%(23/141) |
| 従業員10,000名以上 | 17.4%(12/69) | 13.0%(21/162) |
括弧内は、受け入れられなかった人数/その根拠で報告した人数です。
企業規模だけで解決策を決めるのではなく、顧客の情報をどの判断へつなぐかを整理します。顧客の困り事を、購入条件、採算への影響、修正できる範囲まで具体化することが次の相談材料になります。
「もっとデータを集めて」で終える前に、足りない情報を特定する
報告を受けた側が、追加確認を求めること自体は不自然ではありません。一社だけの反応なのか、ほかの顧客にも共通するのか、価格や機能を変えれば解決できるのかによって、判断は変わるからです。
ただし、「もっとデータが必要」という返答だけでは、担当者は何を追加すればよいか分かりません。リーダーからは、顧客の条件、事業への影響、修正案のうち、判断に不足しているのはどれかを確認します。経営層や事業責任者にも、必要な情報を具体化する役割があります。
問題を伝えた後の会議では、「この報告を受けて何を決めたか」を記録します。すぐに継続・中止を決められない場合も、確認する相手、問い、担当者、次に判断する日を決めれば、報告を次の検証へつなげられます。
いま、どこで判断が止まっていますか?
自社に近い項目を開き、次に確認することを選んでください。点数や適性を判定する診断ではありません。
NEXT STEP
次のステップ
判断が止まっている場所を整理する
顧客の情報が不足しているのか、採算・体制・判断基準が決まっていないのか。まず現在の課題を整理し、関係者と話し合う準備に使えます。
顧客の声を、新規事業の意思決定材料に変える
顧客の発言を会議で紹介するだけでは、判断する人によって受け取り方が変わります。発言の意味を説明するためには、実際に起きていること、事業案への影響、次に選べる行動を分けて整理します。
発言と、確認できた事実を混ぜない
以下は、工場の点検業務を支援する新サービスを検討する想定例です。顧客から「便利そうだが、すぐには導入できない」と言われたとします。この発言だけでは、需要がないとも、追加開発すれば購入するとも判断できません。
リーダーが追加で確かめたいのは、直近の点検で何が起きたか、現在どのように対処しているか、誰が導入を決めるかです。現場担当者が作業の負担を感じていても、購入する部門が別なら、現場の感想だけで支払意思を確認したことにはなりません。
面談記録では、顧客が実際に話した内容と、チームがそこから考えた仮説を分けます。「既存の方法で対処している」は確認できた事実でも、「価格を下げれば導入する」は、価格条件を聞いていなければ仮説です。仮説を事実のように報告すると、後の開発判断の前提が曖昧になります。
顧客の声を尊重することは、その要望をすべて機能に変えることではありません。誰のどの作業を変えるための要望かを確認し、自社が提供しようとしている価値と結び付けることです。
事業への影響を、既存の計画と照らして説明する
同じ想定例で、導入には購入部門の承認と、既存設備との接続確認が必要だと分かった場合を考えます。顧客の条件が分かっただけでなく、営業と開発の計画にも変更が必要になります。
営業面では、現場担当者への説明だけでなく、購入部門に費用をかける理由を示す必要があります。開発面では、点検精度の向上に加え、既存設備との接続を先に確かめる必要があるかもしれません。計画していた機能追加より、購入条件の確認が先になる可能性もあります。
報告では、「顧客からこう言われた」に続けて、「そのため、予定していた販売時期や開発範囲のどこを見直す必要があるか」を説明します。費用や期間への影響がまだ不明なら、見積もり済みと扱わず、誰が確認するかを添えます。
経営層が必要とする情報へつなぐために、顧客の声を薄める必要はありません。発言を残し、その発言が事業計画のどの前提を変えるかを示すことで、現場の事実を判断材料として扱えます。
修正案だけでなく、比較する選択肢を出す
会議で「計画を変えたい」と伝える場合は、何を変え、何を保つかを具体化します。同じ想定例なら、既存設備との接続確認を先に行う、導入条件が合う別の工場で試す、対象とする作業を絞る、といった選択肢を検討できます。
その際は、各案で確かめたいこと、必要な費用や人員、結果を見て決めることを並べます。未確認の事項が多い案を、売上が確実な案として説明しないことも大切です。
選択肢には「当初の計画を続ける」も含めます。ただし、続ける場合は、顧客から分かった導入条件をどう満たすかを説明できる状態にします。修正を選んだ場合も、変更した理由を記録すれば、次の担当者が当初の計画に戻してしまうのを防ぐ助けになります。
リーダーの役割は、経営層に望む答えを出してもらうことではありません。確認できた事実と、まだ分からないことを整理し、会社として次の資源配分を選べる状態にすることです。
撤退基準は、書いた後の判断と見直しまで決める
顧客検証を進めると、事業を続けるための条件が変わる場合があります。撤退・中止の基準も、文書があるかだけでなく、条件に達したときの対応が決まっているかを確認します。
撤退・中止の判断基準を、いつ定め、守ったか
設問:撤退・中止の判断基準(期限、投資上限、達成条件など)を明文化していましたか。また、その判断基準は守られましたか。
開始後に明文化して守られた回答が27.7%、開始前に明文化して守られた回答が24.3%でした。一方、明文化したものの守られなかった回答や、口頭の合意が十分に機能しなかった回答もあります。
撤退・中止の判断基準を、いつ定め、守ったかの回答内訳
基準を作る時期だけでなく、基準に達したことを誰が確認し、継続・修正・中止を誰が決めるかを整理します。基準を変えるときは、検証で分かった事実と変更理由を残します。
明文化した基準が、判断の場面で守られたか
独自調査では、撤退・中止の判断基準を明文化していた回答者は72.7%でした。そのうち28.5%は、実際の判断の場面で基準が守られなかったと答えています。
明文化した時期別では、事業開始前に決めた回答群の方が、開始後に決めた回答群よりも、守られなかった割合が高くなっていました。開始前に基準を作らない方がよいという意味ではなく、基準を用意した後に、実際の判断へどうつなげているかを点検したい結果です。
事業開始前に明文化した基準が守られなかった割合は38.1%、開始後は17.2%でした。口頭の合意だけだった場合に「十分に機能しなかった」と答えた割合は40.8%です。
撤退・中止の基準の運用で、問題があった割合
期限や投資上限を文書にしていても、その条件に達したことを誰も会議に出さなければ、対応は決まりません。イノベーション総研は、基準の内容と合わせて、判断を始める担当者、決める人、確認する場を具体化することを提案します。
基準の変更と、基準を無視した継続を区別する
顧客への確認によって、新たな用途や購入条件が分かることはあります。そのため、当初の基準を変更すること自体をすべて否定する必要はありません。ただし、新しい事実に基づく変更と、続けたいから条件を緩める変更は分けて扱います。
基準を見直す場合は、当初の条件、新たに分かった事実、変更後の条件、追加する費用や期間を記録します。誰が変更を承認し、次はいつ判断するかも残します。これにより、同じ前提のまま判断が先送りされていないかを確認できます。
判断を保留する場合も、「もう少し様子を見る」で終わらせません。何が分かれば判断できるのかを特定し、その確認に使う範囲を決めます。期限だけを延長しても、不明なことを確認する活動が変わらなければ、次の会議でも同じ議論になるからです。
中止を選んだ場合は、顧客の反応、需要を確認できなかった条件、試作品や技術について分かったことを残します。次の事業で同じ前提を置いたときに、以前の検証結果を参照できる形にすることが、経験を生かすための具体的な仕事です。
外部支援は、頼む仕事と導入の判断材料を具体化する
足りない経験や実務を外部に頼む場合も、会社名や料金だけでは選びにくくなります。利用した支援の種類、不満・見送り理由、承認者、承認に必要な材料をまとめて確認します。
外部支援は、どの種類を使ったか
設問:新規事業の推進で利用した社外の支援サービスを、すべて選んでください。
何らかの外部支援を利用した回答は72.6%でした。種類別では日系シンクタンク・総合コンサルティング29.1%が最多で、外資系戦略コンサルティングと新規事業専門コンサルティングが各23.9%でした。
外部支援は、どの種類を使ったかの回答内訳
支援会社の名前だけで選ばず、必要な仕事を先に決めます。顧客調査、技術の試作、営業、社内の判断準備では、必要な経験と成果物が違うためです。
利用した外部支援への不満・見送り理由
設問:社外の支援サービスへの不満や利用を見送った理由で、当てはまるものをすべて選んでください。
外部支援の利用経験がある645名では、費用が高い36.6%、提案が一般論・テンプレート的26.5%、成果が出るまでの期間が長い25.3%が上位でした。料金だけでなく、支援内容や進め方も挙がっています。
利用した外部支援への不満・見送り理由の回答内訳
依頼前に、自社の前提をどう把握するか、誰が実務を行うか、いつ何が残るかを確認します。調査報告を受け取る仕事と、その結果で顧客検証や開発を進める仕事を区別します。
外部支援の導入を、最終的に誰が承認するか
設問:新規事業に関する社外の支援サービスを導入する場合、最終的な承認者は誰ですか。
最多は事業部長・本部長クラス34.5%で、経営層・役員27.7%、直属の上長19.4%が続きました。担当者自身が必要と感じるだけでは、導入を決められないケースがあります。
外部支援の導入を、最終的に誰が承認するかの回答内訳
提案を依頼する前に、最終承認者と、その人が確認したいことを把握します。金額の説明だけでなく、事業のどの問題を解決する依頼なのかを示せる状態にします。
外部支援の承認に、どの材料が必要か
設問:外部支援の導入承認を得るために重要な材料を、最大3つ選んでください。
最も多かったのは費用対効果の試算48.5%で、他社の導入事例・実績36.0%、経営課題・中期経営計画との整合24.2%が続きました。実行計画や担当者の専門性などを求める回答もあります。
外部支援の承認に、どの材料が必要かの回答内訳
他社の事例をそのまま自社の成果予測にはせず、どの条件なら参考になるかを確かめます。費用対効果がまだ読めない初期段階では、まず何を確かめ、その結果で次に何を決める依頼かを明らかにします。
生成AIは情報整理から、顧客への確認につなげる
生成AIの利用は広がっていますが、使っているという回答だけでは、何を任せているかまでは分かりません。業務別の利用状況と、利用していない理由を確認します。
生成AIを、どの業務に使っているか
設問:新規事業の推進で生成AIを活用している業務をすべて選んでください。活用していない場合は、最も近い理由を選んでください。
何らかの業務で利用している回答は90.7%でした。最多は市場調査・情報収集42.7%で、競合分析35.0%、社内の知見・過去事例の検索・要約34.8%が続きます。
生成AIを、どの業務に使っているかの回答内訳
イノベーション総研は、AIによる情報整理を、実際の顧客への確認につなぐ使い方を提案します。AIが作った顧客像や需要を確定した事実とはせず、未確認の前提と、次に聞く相手・質問を整理します。
新規事業のキャリアのプラスと、精神的負担を両方見る
成果が見えにくい新規事業は、担当者のキャリアに不利なのではないかと考える方もいるかもしれません。調査ではプラスの回答が多数でしたが、負担も多く挙がりました。成長を期待することと、会社が支えることを分けて考えます。
新規事業の経験は、キャリアにどう影響したか
設問:新規事業への関与によるキャリアへの影響として、最も大きかったものを選んでください。
最多は社内の役割・責任が拡大した23.3%でした。昇進、スキル、人脈、経営視点など、プラスの影響を挙げた回答を合わせると73.6%です。
新規事業の経験は、キャリアにどう影響したかの回答内訳
新規事業を担当することがキャリアに不利とは限りません。育成や評価を考える際には、事業の売上に加え、身に付いた力や担えるようになった仕事も振り返ります。
新規事業の推進で、何が精神的な負担だったか
設問:新規事業の推進で精神的な負担が大きかった項目を、すべて選んでください。
何らかの精神的負担を挙げた回答は89.9%でした。最多はチームのモチベーション維持32.7%で、経営層への説明・説得30.6%、既存事業部門との関係調整28.2%が続きます。
新規事業の推進で、何が精神的な負担だったかの回答内訳
本人の成長と、会社のバックアップは両立させるものです。担当者に任せる仕事と、責任者や経験者が支える仕事を分け、調整や説明を一人で抱え込む前提にしないようにします。
中止・撤退した新規事業を、次の挑戦へ生かす
中止・撤退という結論だけでは、次の案件で何を変えるかは分かりません。中止・撤退について回答した36名の結果から、判断のタイミングと、得た知見の再活用を確認します。
中止・撤退は、適切なタイミングだったか
設問:中止・撤退したプロジェクトの判断は、適切なタイミングで行われたと思いますか。
中止・撤退について回答した36名では、事前の基準に基づく適切な判断、基準はないが経営層が決断、続けるべきだったが早期に打ち切られた、が各22.2%でした。中止したという結果だけでは、判断が適切だったかは分かりません。
中止・撤退は、適切なタイミングだったかの回答内訳
振り返りでは、中止という結論だけでなく、判断の時期と根拠を残します。必要な検証が終わる前に止めたのか、条件に達した後も投資を続けたのかで、次に見直す仕事は異なります。
中止・撤退で得た知見は、再び使われているか
設問:中止・撤退したプロジェクトで得られた知見やデータは、社内で再活用されていますか。
中止・撤退について回答した36名では、わからない・把握していない33.3%が最多でした。撤退が否定的に扱われ共有しづらい16.7%に対し、市場・顧客・技術の成果物を別の事業へ転用した回答は13.9%です。
中止・撤退で得た知見は、再び使われているかの回答内訳
反省点の文章だけでなく、顧客の条件、確認できなかった需要、技術の使える範囲などを残します。後の担当者が探し、次の企画に使える置き場所と共有の場も決めます。
次の企画会議で、顧客検証と意思決定の接続を点検する
大きな制度を作り直す前に、次の会議で決めたいことを明確にするところから始められます。進捗報告を判断につなげるため、会議の前、会議中、会議後で確認する内容を分けます。
会議の前に、今回決めたいことを一文にする
「顧客ヒアリングの結果を報告する」だけでは、会議の目的が情報共有にとどまります。「導入条件を満たす小規模な試作へ進むか決める」「購入部門への確認を先に行うか決める」のように、今回の選択を一文にします。
その一文に必要な情報を選ぶと、報告の範囲も整理できます。購入条件を確認する会議なら、好意的な感想の数だけでなく、誰が買うか、現在の対処に何を使っているか、導入を妨げる条件は何かを用意します。
会議に参加する人が違う目的を持っている場合は、その違いも事前に確認します。現場は次の面談へ進みたいが、経営層は本格開発への投資判断を想定しているなら、必要な情報が違うのは自然です。議論を始める前に、今回どこまで決めるかを合わせます。
会議では、事実・解釈・提案を分けて話す
会議では、顧客が話したこと、チームの解釈、提案する行動を一続きの結論にしないようにします。事実には納得していても、解釈や行動には別の考えがあるという場合に、論点を特定しやすくなります。
次の問いを使って、自社の議論を点検できます。
- 今回、顧客から何が分かり、事業計画のどの前提が変わりましたか。
- その情報は、利用する人だけでなく、購入や導入を決める人にも確認できていますか。
- 現時点で足りないのは、顧客の条件、技術的な実現性、採算、担当体制のどれですか。
- 当初の計画を続ける案と、修正する案では、次に使う費用や人員がどう違いますか。
- 合意した判断基準に照らし、今決められることと、追加確認が必要なことは何ですか。
すべての問いを毎回扱う必要はありません。その会議で判断が止まっている部分を選び、不足する情報を具体化します。顧客の声の信頼性を議論しているのか、予算を確保できないのかを分けるだけでも、次に行う仕事を決めやすくなります。
会議の後は、決定だけでなく未決事項の担当を残す
会議記録には、継続・修正・中止の結論と、その根拠を残します。決められなかった項目には、確認する内容、担当者、次の判断日を記載します。担当を決める際には、顧客との接点や必要な経験を持つ人が参加できるかも確認します。
たとえば、購入部門の条件を聞く必要があるなら、顧客窓口を持つ営業担当者と役割を相談します。既存設備との接続が不明なら、開発担当者が確認できる場を用意します。新規事業リーダーがすべての情報を一人で集める前提にせず、判断に必要な仕事を関係者で分担します。
次の会議では、前回決めた確認ができたかから始めます。情報が増えた場合は、その情報で何を決められるかを見る。確認できなかった場合は、計画した方法や担当体制を見直す。報告の量ではなく、判断を進めるための仕事が進んだかを振り返ります。
具体的な検証の問いを作る際は、課題仮説の検証方法も参考にできます。数値目標を見直す際は、段階別の新規事業KPI例で、今の事業で確かめることを整理してください。
まとめ:顧客から分かったことを、会社としての次の判断へ
独自調査では、顧客との対話が多く、経営層と合意した数値目標が判断に機能していた回答群で、高い黒字化率が見られました。一方、失敗の予感を伝えても受け入れられなかった経験や、明文化した撤退基準が守られなかった経験も確認されています。
顧客を理解する活動と、会社として次の投資を決める活動は、どちらか一方で置き換えられるものではありません。顧客の発言を事実と仮説に分け、計画への影響と選択肢を示し、合意した基準を実際の判断に使う。そのつながりを作ることが、イノベーション総研が提案する進め方です。
次の会議の前に、「今回、顧客から分かった何を根拠に、誰が何を決めるのか」を一文にしてみてください。その一文を書けない部分が、追加の顧客検証や、経営層との話し合いで確認したい点になります。
この記事で参照した調査
調査主体:株式会社イノベーション総合研究所/調査実施:株式会社マクロミル。2026年4月3日~8日にインターネット調査を実施しました。対象は、従業員1,000名以上の企業に勤務し、過去5年以内に新規事業へオーナー・リーダー・意思決定者として関与した888名です。
この記事で掲載した20設問に加え、回答者の属性やサービス利用意向などを含む全31設問の集計は、新規事業の実態調査2026に収録しています。
調査結果の引用・図表利用について
本ページの調査結果を記事・レポートなどで引用する際は、調査名・調査主体・調査時期を出典として明記し、Web上では本ページへのリンクを添えてください。
出典表記の例
出典:株式会社イノベーション総合研究所「新規事業に関する実態調査」(2026年4月)
調査結果・調査方法の詳細:https://iri-group.jp/knowledge/new-business-survey-2026/
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