投稿日:2026.10.07 最終更新日:2026.10.07
ファーウェイとクアルコム、5G・AIなどの特許契約 米国特許の取得も
ニュースの要点
ファーウェイとクアルコムは2026年10月5日、5G、計算、AI、ネットワークなどの技術分野を対象とする、複数年の特許ライセンス契約を発表しました。両社の特許ポートフォリオを相互に利用するクロスライセンスを含みます。
契約には、クアルコムがファーウェイの米国特許の一部を取得する取引も含まれます。対象は計算、AI、ネットワークなどで、必要な規制当局の承認を受けた後に取引を完了する予定です。
両社は知的財産の尊重と、公正・合理的・非差別的な条件を意味するFRAND原則に沿ったライセンスへの取り組みを示しました。金額、対象となる個別特許、具体的な契約期間は公表していません。製品の共同開発を始めたという発表ではありません。
ニュース出典: ファーウェイ・クアルコム(ファーウェイ公式発表)/原題「Huawei and Qualcomm Announce Broad Patent License Agreement」/2026年10月05日/発表本文
イノベーション総研の考察
通信やAIの製品を事業にするには、自社が技術を持つことだけでなく、他社の特許をどの条件で使うかも課題になります。今回の発表は、協力して新製品を作る話とは分けて、技術の利用と所有を整理する取引として読みます。
競合する企業でも、特許を使う条件を取り決める
ファーウェイは2025年の報告で、売上の21.8%を研究開発へ投じ、世界で165,000件の有効な登録特許を持つと説明しています。これは同社の保有全体の説明であり、今回の契約対象が165,000件だという意味ではありません。
今回の合意は通信の5Gだけでなく、計算やAIにも及びます。両社は自社の技術的貢献を認める発表をしていますが、個別の製品や技術の採用は明示していません。契約が広いことを、新しいAI製品が完成したことへ読み替えることはできません。
競合との協力は、共同開発だけでなく、技術を利用する条件を決める方法もあります。
読者が技術事業を考える際も、競合だから協力できないと決めつけず、販売、開発、権利利用のどこを協力するかを分けます。特許契約は製品を共同で作る提携とは異なる選択肢であり、目的に合う範囲を設定する必要があります。
相互に使う権利と、一部を買う取引は違う
クロスライセンスは相互の特許を利用する取り決めです。一方、発表に含まれる米国特許の取得は、特定の権利をクアルコムが取得するものです。この二つは同じではなく、すべての特許を譲り渡すという説明でもありません。
取得対象の番号や価格、両社が支払う金額は未公表です。一般にクロスライセンスという名称だけで金銭の授受がないとも、支払う側が一方だけとも判断できません。今回の発表から、支払方向や各社の得失を推定して断言することはできません。
利用を許す契約と、特許を取得する取引は、対象・期間・地域を分けて確認します。
担当者の方が提携の条件を整理するなら、使う権利、持つ権利、対象地域と期間を分けて記録します。開発や販売の計画と権利の条件が合うかを、社内の知財・法務担当者と確認することが、後の変更負担を抑える判断につながります。
契約の見出しだけで、第三者の利用条件を決めない
この合意は両社間の取り決めです。第三者が同じ技術を自由に使えるという発表ではありません。FRAND原則への姿勢を示していても、今回の具体的な料金や第三者への条件は読み取れません。
また、取引の完了には必要な規制承認が条件になっています。発表と完了を分けて追う必要があります。承認時期や対象特許が示されれば、どの製品分野の権利関係が変わったかを、より具体的に確認できます。
他社間の合意は自社の利用許諾ではなく、自社の製品と地域に必要な条件を確認します。
次に見たいのは、取引完了の公表と、対象技術や製品に関する追加説明です。自社の事業でも、大企業同士の合意を自社の実施許諾と誤認せず、自社が使う技術と販売地域について、必要な許諾を個別に整理することが重要です。
まとめ
今回の契約は、広い技術分野の相互利用と一部米国特許の取得を組み合わせます。共同開発、利用許諾、権利取得を混同せず、未公表の金額や条件を補わないことが重要です。技術を事業化する前に、使える条件を整理する必要性を示しています。
執筆:イノベーション総合研究所
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