投稿日:2026.09.14 最終更新日:2026.09.14
JOGMEC、地熱資源調査への助成4件を採択
ニュースの要点
エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は2026年9月14日、地熱発電の資源量を調べる事業への助成対象を、第2回公募で1件、第3回公募で3件採択したと発表しました。地表調査や坑井の掘削などに必要な費用のうち、制度で認める費用を助成します。
地熱発電は天候による出力変動が比較的小さい一方、地下に十分な熱水などの資源があるかは、調査を進めないと分かりません。事業者が発電所の建設を判断する前に負う調査費用と資源リスクを減らし、国内の地熱開発を促すことが助成の目的です。
JOGMECは過去の助成案件から、運転中の発電所と建設段階へ進んだ発電所があると紹介しています。ただし、今回の採択4件が発電所の建設や商業運転まで決まったわけではありません。発電能力や稼働時期、助成総額を採択数だけから推計することはできません。
ニュース出典:令和8年度地熱発電の資源量調査事業費助成金交付事業の採択結果について(第2回公募及び第3回公募)(JOGMEC、2026年9月14日)
イノベーション総研の考察
地熱開発は、発電所を建てる前の「地下に何があるか分からない」段階に大きな投資が必要です。今回の助成は、完成した設備への補助ではなく、この最初の不確実性を減らす政策です。事業者にとっての意思決定がどこで変わるかを、調査から運転までの順に見る必要があります。
助成対象は発電所ではなく地下資源の確認
太陽光や風力は設置場所の条件を事前に調べられますが、地熱は地表の情報だけでは地下資源を確定できません。坑井を掘っても想定した熱水が得られないことがあります。調査費用をすべて民間が負担すると、有望な地域でも初期段階で事業を始めにくくなります。
JOGMECは認められた地表調査・坑井掘削などの費用を助成します。今回採択されたのは調査事業であり、発電所の建設を認可したという意味ではありません。地熱助成が下げるのは最初の地下資源リスクであり、発電所の事業化全体を保証するものではありません。
採択後も建設と地域の条件を一つずつ越える
調査で資源が見つかっても、発電所の規模、送電網への接続、設備投資額、周辺地域との調整を決める必要があります。温泉など既存の地域資源との関係も、立地によって重要になります。こうした条件は調査助成だけで解決するものではありません。
JOGMECは以前に助成した案件から、既に運転している発電所と建設中の発電所を紹介しています。これは調査から先へ進む例があることを示しますが、今回の4件も同じ速度で進むと決めつけることはできません。採択件数を新規発電所の数と数えず、調査結果から建設判断へ移った割合を見るべきです。
制度が変えるのは初期投資の損失負担
地下調査で失敗した場合、事業者は投じた費用を回収できません。助成があれば失敗時の損失が一部軽くなり、これまで調査に踏み出せなかった案件を検討できるようになります。一方、成功後の建設費や運転費まで自動的に支払われるわけではありません。
公的支援を使う事業は、助成がある状態の採算と、調査後に民間資金で建設する段階の採算を分ける必要があります。売電収入や建設費が見合わなければ、資源があっても事業は進みません。補助制度の効果は応募件数だけでなく、支援終了後にも民間投資が続くかで測ります。
自社の地域事業では不確実性の順序を描く
担当者の方が地域資源を使う新事業を考える際も、最初から完成後の売上予測だけを作ると重要な関門を見落とします。資源の存在、利用可能な量、地域との合意、顧客、建設費、運営体制を順に確認し、各段階で次の投資へ進む基準を決めることが有効です。
今回の採択は、そのうち地下資源という早期の関門に公的資金を使う例です。今後は調査結果、次段階へ移った案件、建設計画が示されるかを追う必要があります。公的支援を事業のゴールとせず、次に民間が判断するための証拠を得る手段として使うべきです。
まとめ
JOGMECは地熱資源量調査の助成対象として4件を採択しました。地下資源の不確実性を減らすための支援ですが、今回の採択だけで発電所の建設・運転は決まりません。今後は各調査の結果と、地域調整・送電接続・資金調達を経て事業化に進む案件があるかを確認します。
執筆:イノベーション総合研究所
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