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三菱重工、ダラジャット地熱3号機の改修完了 技術協力契約も締結
ニュースの要点
三菱重工業株式会社は2026年10月20日、インドネシアのダラジャット地熱発電所3号機の設備改修を完了し、商業運転を始めたと発表しました。同社によると、改修前の12万1,000kWから12万9,000kWへ出力が増加しました。商業運転の正確な開始日は公表していません。
発電所を保有するStar Energy Geothermal Darajat IIの案件で、三菱重工が設計・製造・据付支援、現地法人が据付工事を担当しました。10月14日の式典に合わせ、今後の出力や信頼性、稼働率の改善を検討する技術協力契約も締結しています。
同社は、機器のライフサイクル全体で継続的に価値を提供することを目的に掲げています。改修額や継続支援の収益条件は非公表です。なお、運営者側グループの10月26日発表は異なる出力値を記載しており、両者の数値の対応は確認できていません。
ニュース出典: 三菱重工業「インドネシア・ダラジャット地熱発電所の設備改修工事を完了」(2026年10月20日)
補足出典: Barito Pacific掲載の運営者側発表(2026年10月26日)
イノベーション総研の考察
今回の事例は、発電設備を納めた後にも、既存資産の能力を高める仕事があることを示しています。改修の完了と、これから検討する支援の価値を分けると、機器販売から長期的な事業へ進む際の判断を考えられます。
新設ではなく、稼働済み3号機を改修する選択
運営者側の発表によると、改修の一括請負契約を三菱パワーへ発注したのは2024年10月です。今回の10月20日発表は新しい受注ではなく、既存設備の一部を更新して商業運転へ進んだ報告です。長崎で製造した蒸気タービンを用い、設計から現地据付までを組み合わせています。
地熱発電設備の能力を増やす方法には、既存設備の改修と新設という異なる選択があります。イノベーション総研は、本件を、既にある設備や設計の知識を使い、顧客の資産を長く活用する仕事を具体化した事例と捉えます。ただし、改修の採算が新設より優れていたという比較結果は公表されていません。
ダラジャット3号機の改修は、既存設備と設計知見を使って能力を高める事業の実行段階です。
停止期間や工事費が大きければ、得られる能力が増えても投資の魅力は弱まります。改修できることと、顧客が費用を払う価値があることを分け、設備の残りの利用期間まで含めて判断する必要があります。
タービンの性能と、現地で戻せる仕事を組み合わせる
三菱重工は設計・製造・据付支援を、三菱パワーインドネシアは現地の据付を担いました。同社は、性能保証値を上回り、契約工期を短縮して無災害で完工したと説明しています。これらは当事者の報告であり、短縮日数や費用削減額は開示されていません。
改修では、単体の機器性能に加え、既存設備に取り付け、運転へ戻すまでの仕事が必要です。製造技術だけを他の国へ持ち込めば同じ結果が出るとは限りません。現地工事を担う体制と、設計側で蓄積した設備の知識を接続できるかが、別案件へ広げる際の確認点になります。
地熱改修を横展開するには、機器の性能と現地の施工・再稼働の条件を一緒に確かめます。
自社の既存機器をサービス事業へ広げる担当者の方も、共通化できる技術と、現場ごとに調査が必要な条件を分けると採算を比較しやすくなります。本件の現地遂行を別拠点で再現できるかは、今回の一案件だけでは証明されていません。
出力値の差は、計測条件を推測して埋めない
三菱重工は3号機の出力を121MWから129MWへ増強したとしています。一方、Barito Pacificが掲載した運営者側の10月26日発表は、同じ3号機を122MWから130.55MWへ増強したと記載しています。両発表とも改修の完了を説明していますが、数値は一致しません。
イノベーション総研が確認した二つの資料には、その差を説明する計測条件や定義の対応はありません。送電端と発電端の違い、試験時と定格の違いなどで整合すると推定することもできません。このため、本稿では両者の報告値を帰属付きで分け、独自の増加率や追加売電収入は算出していません。
改修の成果を投資判断に使う前に、出力の定義と比較条件をそろえる必要があります。
同様に、能力の増加が年間の販売電力量や利益の増加と一致するとは限りません。実際の稼働状況や費用が分からなければ、設備の数値だけで収益を推定できないためです。複数の当事者資料に差があるときこそ、都合のよい値だけを選ばない姿勢が必要です。
技術協力契約の価値は、次の改善と継続条件で測る
今回の技術検討・協力契約は、最新のメンテナンス技術を用い、さらに出力や信頼性、稼働率を高めるための協議を始めるものです。改修に続いて長期的に顧客と関わる入口ですが、新たな有料保守契約や継続収入が確定したとまでは発表されていません。
技術協力の成立と、顧客が継続的に支払うサービスの成立は、別の判断段階です。
自社で改修後の支援を事業にするなら、顧客が次に改善したい運転上の課題と、改善を確かめるデータを対応させます。点検や助言の回数だけでなく、停止、性能の維持、現地対応の負担がどう変わるかを、従来の支援と比較する方法が考えられます。
その結果が費用に見合わなければ、対象設備や支援範囲を絞る判断も必要です。本件では、協議の対象、責任範囲、料金、継続や終了の条件の具体化が今後の観測点です。設備の改修実績を強みにしつつ、未契約の将来収益を成果に足さないことが、サービス展開を評価する基準になります。
まとめ
三菱重工はダラジャット3号機の改修完了と技術協力契約を発表しました。既存設備を生かす仕事を継続支援へつなぐ事例ですが、各社の出力値の差や今後の契約条件は残ります。改修の達成、比較条件、サービスの採算を分けて追うことが判断に役立ちます。
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