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Daigasエナジー、第一工業製薬に廃液処理設備 初期投資不要の契約で導入

ニュースの要点

大阪ガスの全額出資子会社Daigasエナジーは2026年10月28日、第一工業製薬の滋賀工場に、蒸気を再利用するMVR型蒸発濃縮装置を使った廃液処理システムを設置し、エネルギーサービス契約を締結したと発表しました。同方式の導入は同社で初めてです。

製造工程の廃液を濃縮するために使う蒸気を減らす取り組みです。顧客が設備を購入するのではなく、Daigasエナジーが顧客施設に設置するため、顧客は初期投資不要で導入できる契約としています。導入前には実際の廃液を使うラボテストで処理可能かを確認しました。

年間約2,000トンのCO₂削減は、従来装置に比べた都市ガスの削減と電力の増加を差し引いた試算値です。稼働後の実測成果ではありません。サービス料金、契約期間、設備費、投資回収期間や詳しい運転条件は公表されていません。

ニュース出典: Daigasグループ「Daigasエナジー初、第一工業製薬 滋賀工場にMVR型蒸発濃縮装置を活用した廃液処理システムを導入」(2026年10月28日)


イノベーション総研の考察

装置を売るだけでなく、導入の負担を引き受ける

本件の変化は、初採用の装置と初期投資不要の契約を組み合わせたことです。 蒸気再圧縮という技術そのものを今回の発明と捉える必要はありません。発表が示すのは、既存の水処理サービス「D-Aqua」の中で、工場の廃液処理に適した装置を選び、設備設置とサービス契約を具体化した事例です。

製造業の脱炭素では、設備の省エネ性能が高くても、顧客が設備購入費を先に負担できなければ案件が進まない場合があります。顧客の初期投資を不要にする形は、その導入判断の障壁を下げる可能性があります。一方、初期投資が不要であることと、利用期間を通じた総費用が安いことは別です。月額料金や従量料金の有無、契約終了時の扱いは確認できず、安価なサービスとまでは判断できません。

供給側から見ると、装置販売時に対価を得る事業とは資金回収の条件が変わり得ます。設備の利用が続く期間、保守の費用、性能が想定を下回った場合の負担をどう決めるかが重要です。ただし、今回の契約でどちらが各リスクを負うかは未公表であり、成果保証や一定の料金設計があると推測してはいけません。

熱回収の性能より先に、廃液との相性を確かめる

横展開できるのは設備の型番だけでなく、廃液を確かめる手順です。 今回は、顧客の廃液を対象に、検討するシステムで処理可能かをラボテストで確認しています。濃縮工程で発生する蒸気を圧縮・昇温し、再び熱源に使う仕組みが、実際の製造工程と接続できるかを導入前に見ている点が手掛かりです。

新規事業として水処理サービスを広げる際、同じ業界の工場なら同じ装置で処理できる、と一括りにするのは危険です。処理対象や運転条件が変われば、必要な試験、設備構成、保守対応も変わり得ます。これは本件で不具合が生じたという意味ではなく、他の顧客へ展開するときの検証課題です。

事前試験を標準化し、どの条件なら提案でき、どの条件では追加検証や別方式が必要かを整理できれば、営業段階の見積もりと導入後の運転をつなぎやすくなります。案件ごとに全て作り直す仕事なのか、共通手順を持ちながら個別に調整できる仕事なのかで、供給側の拡大余地は変わります。今回の発表だけでは、その再現性や案件当たりの工数までは分かりません。

ガスが減った量と、全体の削減効果を混同しない

約2,000トンという見込みは、増える電力も含めて読む必要があります。 原典の注記では、CO₂削減量を都市ガスの年間削減量と電力の年間増加量の差し引きから試算しています。蒸気の使用量が減るという一つの指標だけで、事業全体の環境価値を説明していないことが重要です。

同じく、目標達成に必要な削減量の約27%に相当するという説明は、第一工業製薬の2030年度目標の達成に必要な年間約7,500トンを分母にしています。企業全体の排出量を27%減らす実績、あるいは工場のエネルギー費を27%減らす効果という意味ではありません。

今後は、想定した稼働条件に対して実際のガス・電力使用量がどう動いたかを比較する必要があります。処理量や運転時間が変わると比較の前提も変わるためです。顧客にとっての費用削減とCO₂削減が同じ方向を向くかも、料金条件や電力の調達条件が分からない現状では結論を出せません。

次の導入は、性能・負担・再現性の順に判断する

次の判断条件は、実運転の収支、契約の負担、別工場での再現性の三つです。 一つ目は、処理量などの条件をそろえた上で、ガス削減と電力増加を含む効果が実運転でも維持されるかです。試算から実績へ進んだとき、比較の条件を残すことが事業判断に役立ちます。

二つ目は、料金、保守、停止時対応、終了時の扱いを含む総負担です。担当者の方は、初期投資不要という入口の利点だけでなく、顧客と供給側の双方が継続できる条件を確かめます。三つ目は、廃液の性状や工場条件が異なる案件で、試験と設計をどこまで共通化できるかです。この三点が確認できて初めて、一工場への導入を、繰り返し提供できる事業へ広げられるかを評価できます。


まとめ

Daigasエナジーは、廃液処理の技術選定に、顧客の初期投資を不要にする契約を組み合わせました。新規事業担当者が見るべきなのは、削減量の大きさだけでなく、実運転の条件、利用期間全体の負担、別案件への再現性です。試算と実績を分けて追うことが、次の導入や提携の判断につながります。

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執筆:イノベーション総合研究所

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性能の再現性と利用期間の負担から、次の導入判断を考えます。

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