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日立システムズ、森林の自然価値を評価する新サービスを開始
ニュースの要点
日立システムズは2026年10月27日、森林調査DXサービスの新オプションとして「ネイチャーポジティブ推進支援サービス」の提供開始を発表しました。企業や自治体、森林組合などによる自然資本の価値把握と、自然の回復に向けた取組を支援することが目的です。
既存のドローンやAIによる森林解析に、サンリット・シードリングスが持つ環境DNA分析、地理情報、現地調査などを組み合わせます。森林の水源涵養、炭素蓄積、生物多様性を評価し、適切な植樹を行った場合の将来の価値もシミュレーションします。
先行する群馬県内の約50ヘクタールの検証では、森林が持つ公益的機能の経済価値を推計しています。これらの成果は5月に公表済みで、今回は提供サービスへの展開です。料金や契約顧客数は公表されていません。
ニュース出典: 日立システムズ「森林の価値を評価し将来変化を可視化する「ネイチャーポジティブ推進支援サービス」提供開始」(2026-10-27)
イノベーション総研の考察
森林の価値を可視化するサービスは、環境に良いことを示すだけでは継続的な事業になりません。新規事業を検討する担当者の方には、評価の結果を使って誰が何を決めるのか、管理にかかる費用を誰が負担するのかまで見ることが重要です。
評価するのは木材の販売価値だけでなく、森林が生む複数の便益である
林野庁が説明する水源涵養とは、森林の土壌が雨を蓄え、河川の水量を平準化したり、水質を浄化したりする働きです。日立システムズの新サービスは、木材としての量や価値だけでなく、こうした機能や炭素蓄積、生物多様性を合わせて扱います。森林の所有者と、流域で便益を受ける企業や地域が一致するとは限らない点が特徴です。
この構造から考えると、評価の購入者も一種類とは限りません。所有林の管理計画を考える企業と、地域の自然環境への依存や影響を把握したい企業では、必要な範囲や指標が変わります。今回、対象顧客の類型は示されましたが、具体的な契約や利用目的別の料金は不明です。顧客を広く並べるより、どの判断に使う評価なのかを定める必要があります。
価値がある森林と、その評価に対価を払う顧客を分けて考える。
推計した経済価値は、サービス売上や森林からの現金収入ではない
5月28日公表の先行検証では、現状の公益的機能を年約4900万円相当、適切な植樹をした場合の将来を年約6000万円相当と推計しています。この金額は、機能を代替するインフラの費用などから見積もった参考の便益です。森林から同額の売上が生まれたり、その差額をそのまま投資回収に使えたりすることを示してはいません。
担当者の方が投資判断へ使う場合は、便益を受ける主体と費用を負担する主体を対応させる必要があります。社会的な便益が大きくても、管理主体に収入が戻らなければ施業は続きません。評価サービス、森林管理、費用負担の契約をつなぐ工夫には事業機会があり得ますが、今回、その分配や支払いの仕組みまで成立したとは公表されていません。
推計した公益的便益を、そのまま売上や投資回収額に置き換えない。
現在の評価と将来シミュレーションをつなぐには、変化の観測が要る
環境DNAや現地調査は、ドローン画像だけでは捉えにくい生物や土地の状態を補う手段です。一方、異なる調査を組み合わせたからといって、将来予測の誤差がなくなるわけではありません。植樹後の成長、気象、管理の継続などの条件によって、実際の変化は想定と異なる可能性があります。
イノベーション総研が次の確認点と考えるのは、基準となる現状を保存し、同じ範囲・方法で継続して観測できるかです。更新の頻度や推計の限界が分かれば、施業を続けるか、場所や方法を変えるかの判断に使いやすくなります。これらは当社の提案であり、当事者が公表した精度保証や契約条件ではありません。
将来の価値の予測は、条件をそろえた継続観測と組み合わせる。
提供開始の次は、評価結果が森林管理の行動に使われるかが焦点になる
今回の新しさは、5月に示した検証結果そのものではなく、既存の森林調査DXのオプションとして提供を始めた点です。個別の実証で得た手法を複数の顧客へ提供する段階では、調査の範囲、成果物、説明責任を一定の形に整える仕事が重要になります。
発表では、将来的な森林整備などの実行支援も検討していますが、現時点の評価・可視化・予測と混同すべきではありません。森林管理の主体が評価をどう使い、どの作業を変えたかが見えて初めて、単発の調査から継続サービスへの道筋を評価できます。評価の導入数だけでなく、利用後の意思決定と更新の状況が今後の観測点になります。
評価を売る段階から、管理の判断を支える段階へ進めるかを見る。
まとめ
日立システムズは、森林の公益的機能や生物多様性の評価を、新しい提供サービスへ展開しました。推計金額は売上ではなく、将来の改善も未達成です。誰の判断に使うかを定め、費用負担と継続観測を組み合わせられるかが、自然価値の可視化を事業として定着させる焦点になります。
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