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ラクス、AIで専用業務システムを作る「ASURACORE」を発表
ニュースの要点
株式会社ラクスは2026年10月14日、企業ごとの業務に合わせて専用システムを構築する「ASURACORE(アスラコア)」を発表しました。2027年4月からの販売を予定しています。
同社の専門担当者が顧客の業務課題を聞き、AIと連携して要件整理、設計、構築、検証・調整を行います。顧客自身が設定や開発を行う方式ではなく、担当者と実際のシステムを操作して仕上がりを確かめます。
ラクスは、既存の「楽楽クラウド」で得た業務・開発の知見を活用し、専用システム導入時の費用やIT人材不足などの課題に対応する狙いです。構築費60万円から、月額5万円からを検討していますが、価格は変更の可能性があります。2027年度中にインドネシアへ展開し、続いてベトナムなどへ広げる計画も示しました。
ニュース出典:ラクス:ラクス、自社専用システム作成サービス「ASURACORE」を発表(2026年10月14日)
イノベーション総研の考察
専用システムをAIで早く作れても、現場で使い続けられるとは限りません。今回の発表で注目したいのは、ラクスが開発用のAIだけを渡さず、業務を聞き取って納品まで進める人を組み込んだことです。
共通のクラウドでは埋まらない仕事を、専用システムで拾う
経費精算や請求書発行のように、多くの会社に共通する仕事では、既製のクラウドサービスを選ぶ方法があります。一方、会社独自の見積もりや承認の流れまで合わせようとすると、既製品に仕事を合わせるか、別のシステムを作るかという選択が生まれます。
ラクスは10月9日公表の「業務システムの利用に関する調査」で、導入後も手作業が残ることや、専用システムの費用・人材面の課題を報告しています。全国の有職者1,027名への調査であり、ASURACOREへの購入申し込みを集計したものではありません。調査の原典からは、同社が狙う不便は読み取れますが、有料の需要まで確かめられたわけではありません。
ASURACOREが狙うのは、既製品だけでは残ってしまう会社固有の仕事です。
イノベーション総研は、既存サービスと競合する部分だけでなく、導入後にも残った手作業を新しい提供領域にする動きと捉えます。ただし、何でも個別開発することが正解とは限りません。仕事の手順をそろえる方が安く済む場合は、システムを増やさない提案にも価値があります。
ラクスはAIの操作を顧客に任せず、聞き取りと検証を引き受ける
業務担当者が困りごとを話すことと、開発に必要な条件をそろえることは別の仕事です。例えば承認を電子化するだけでも、代理承認、差し戻し、権限の変更時にどう動くかを決める必要があります。これは仕組みを説明する例であり、同サービスに確認済みの機能を列挙したものではありません。
発表では、ラクスのディレクターが業務を聞き取り、AIが必要な確認事項を洗い出し、顧客と使いながら調整するとしています。同社が「楽楽クラウド」の開発・提供で培った知見を使うという説明は、AIだけでは不足する業務理解をどこで補うかを示しています。
ラクスが商品に組み込んだのは、AIによる作成と、人による業務確認の組み合わせです。
顧客にとっては、開発のための専門知識を自社でそろえる負担を減らせる可能性があります。提供側にとっては、聞き取りや検証に人手を使う事業です。AIがコードを作る速度だけでなく、担当者一人が何社を支えられるか、納品後の手戻りがどれだけ発生するかが採算に関わると考えられます。
月額料金が続く理由は、納品の速さではなく業務で使えること
発表時点の検討価格は、初期の構築費と月額利用料に分かれています。ラクスは最短1か月の作成を掲げていますが、すべての案件が同じ期間で完成するとの保証ではなく、価格も確定していません。
初期の導入判断では、早く動く画面を見せることが役立ちます。しかし、月額料金を払い続ける判断では、担当者の交代や業務変更があっても使えること、データを取り出せること、不具合時の対応が分かることなどが重要になります。契約でどこまで引き受けるかは、販売時の条件を確認する必要があります。
専用システムの継続利用は、作成日数よりも、変更や不具合への対応で評価されます。
反対に、顧客ごとの例外を際限なく受け入れれば、改修や問い合わせの費用が積み上がります。共通化できる開発手順と、個別料金を要する変更を分けられなければ、顧客が増えても利益が増えるとは限りません。継続的に改良できるという提供方針と、無制限の改修を約束することも別です。
販売開始後は契約数とともに、改修負担と継続率を追う
ラクスは2029年3月期の年間経常収益、ARRで10億円を目指すとしています。これは継続課金収益の年換算に関する目標であり、すでに達成した売上や利益ではありません。2027年4月の販売開始、海外展開、パートナー展開という順序で、提供方法を広げる計画です。
担当者の方がAIを使った業務支援サービスを企画するなら、最初の検証では、顧客の一つの仕事を最後まで動かす範囲を決めると比較しやすくなります。作成にかかった時間に加え、利用者の作業時間、納品後の修正時間、翌月も使ったかを同じ案件で記録します。開発が速くても、修正負担が大きければ価格や提供範囲を見直す材料になります。
AI開発支援の拡大判断では、契約件数と一社当たりの対応負担を一緒に見ます。
ASURACOREでは、確定価格と提供条件、実際の導入事例、継続利用、担当者やパートナーの体制が次の確認点です。海外へ広げる際も、国内で使った画面を訳すだけでなく、現地の業務を誰が聞き取り、誰が改修するかが問われます。これらの実績は、今回の発表だけではまだ分かりません。
まとめ
ラクスのASURACOREは、AIで専用システムを作る技術と、業務の聞き取り・検証を組み合わせる新サービスです。販売と海外展開は今後の計画で、需要や採算の実績は未確認です。AIを使った新規事業を考える際は、作成速度だけでなく、顧客が使い続けられる提供範囲と対応費用を確かめることが参考になります。
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