新規事業の立ち上げ・事業化を支援するプロフェッショナルファーム

C&R子会社リヴァイとPolyscape、ゲーム業界のAI導入で提携

ニュースの要点

クリーク・アンド・リバー社は2026年10月19日、AI・デジタル化支援を担う子会社リヴァイが、ゲーム開発とAI開発を手掛けるPolyscapeと提携を開始すると発表しました。日本のゲーム・エンターテインメント企業に対し、生成AIの導入構想から開発、研修、利用ルールの整備、運用改善までを一貫して支援します。

リヴァイは導入方針、人材育成、管理体制、現場定着を主に担当し、PolyscapeはAIの設計・開発と既存システムへの実装・運用を主に担います。対象業務には、ゲームの動作確認、設定データの整合性確認、試作品づくり、問い合わせ対応、作品の設定に合っているかの確認などを挙げています。

作品ごとの品質や権利、情報管理に配慮し、クリエイターが企画や表現に集中できる環境をつくることが目的です。今回の共同支援による導入社数、契約金額、削減効果の実績は公表されていません。

ニュース出典:クリーク・アンド・リバー社「Polyscapeとパートナーシップを開始 ~ゲーム・エンタメ業界特化のAI活用を、個人利用から組織実装へ~」(2026年10月19日)

イノベーション総研の考察

ゲーム制作向けAIでは、速く生成できることと、作品に採用できることは異なります。今回の提携は、AIを作る技術と、制作現場で使い続けるための仕事を組み合わせています。特定業界向けのAI事業を考える企業にとって、何を内製し、誰と組むかを検討する材料になります。

ゲーム制作では、出力の速さより確認と修正が残る

ゲームには、キャラクターの設定、用語、時系列、演出方針など、作品ごとの約束事があります。文章や画像を生成できても、その内容が作品に合っているとは限りません。開発中に設定が変われば、参照する情報も更新する必要があります。

今回の発表でも、生成物は人が確認・修正・監修することを前提とした運用を説明しています。ここでAIの生成時間だけを短縮しても、後工程の確認が増えれば、制作全体の負担は下がりません。

イノベーション総研では、業界特化の価値は、一般向けAIより多くの文章を作ることよりも、作品固有の判断材料を扱い、確認する人の仕事を減らせることにあると考えます。単に「ゲーム向け」という名称を付けるだけでは、この違いは生まれません。

ゲーム向けAIは、生成時間ではなく、作品に採用できる状態にするまでの時間で評価します。

開発の知見と、現場に定着させる役割を分けた

Polyscapeは、自社ゲームの開発経験とAIの設計・実装を持ち寄ります。リヴァイは、顧客の課題整理、利用者の研修、社内ルール、効果測定などを担います。両社はヒアリングや実証の設計・評価、運用改善を共同で行う方針です。

リヴァイが属するクリーク・アンド・リバー社は、ゲームなど専門分野の人材・制作支援を事業としています。公式会社概要では従業員数2,577人を示しており、今回の主体は、同社のAI分野の子会社と技術企業の組み合わせです。会社概要

技術企業だけでは、顧客の制作工程や教育まで支援しきれない場合があります。一方、導入支援だけでは、実際に使うAIと既存システムを接続できません。今回の役割分担は、この二つの不足を補う狙いと読めます。ただし、案件ごとの責任や収益配分は未公表です。

業界特化AIの提携では、開発担当だけでなく、顧客の制作工程と利用ルールを整える担当も必要です。

作品ごとの個別対応を、どこまで共通化できるか

両社は、ゲームの品質確認から運用、問い合わせ対応まで広い支援領域を挙げています。しかし、最初からすべての業務を一度に変えれば、どの機能が成果に効いたのか分かりにくくなります。発表でも、対象業務を限定した実証を経て本格導入を判断する流れを示しています。

新規事業として同様の支援を提供する場合は、まず一つの工程に絞り、確認時間や差し戻しの変化を測る方法が考えられます。例えば、設定の整合性確認なら、指摘件数だけでなく、担当者が指摘を採用したか、確認の負担が減ったかまで見る必要があります。これは今回の導入実績ではなく、検証設計の例です。

また、作品が増えるたびに情報整理と個別開発をやり直すなら、売上と同じ割合で支援工数も増えます。再利用できる仕組みと、作品ごとに人が判断する範囲を分けることが、事業を広げる際の論点になります。

作品に合わせる部分と、複数社に共通して提供できる部分を分けることが、支援事業の採算を左右します。

次は共同案件で、修正工数と継続利用を確かめる

今回の発表にあるPolyscape単独の過去の効果説明は、新しい共同サービスの成果と同じではありません。対象業務、使う情報、作品の条件が違えば、同じ効果になるとは限りません。

次に確認したいのは、共同で支援した企業の具体的な業務と、導入前後に何が変わったかです。確認・修正を含む時間が減ったか、使う担当者が一部にとどまっていないか、更新後も品質を維持できたかを追うと、試用と定着を区別できます。

提携を検討する企業にとっては、得意分野を並べるだけでなく、一つの顧客案件で両社が共同で判断する場面を決めることが参考になります。AIの出力が使えないときに、技術の修正か、参照情報の整備か、業務の変更かを一緒に切り分けられる体制が重要です。

提携の実効性は、両社の得意分野の多さより、顧客の課題を共同で解決した実績から判断します。

まとめ

リヴァイとPolyscapeは、ゲーム・エンタメ企業のAI活用を、技術実装と現場運用の両面から支援します。共同事業の実績はこれから確認する段階です。

業界特化の新規事業では、顧客固有の品質基準への対応と、繰り返し提供できる仕組みを分けて考えることが、提携先選びと採算検証に役立ちます。

ARTICLE INFORMATION

この記事の執筆

執筆:イノベーション総合研究所

CONTACT

お問い合わせ

業界特化AIの事業化を進めたい方へ

顧客の工程と品質基準を整理し、提携先と検証する対象を絞り込みます。

この記事をシェアする