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大林組、トンネル工事の自動化へ6技術の個別実証を完了
ニュースの要点
大林組は2026年10月19日、トンネル工事の自動化システム「OGENTS」を構成する6つの技術について、現場での個別実証を完了したと発表しました。2021年3月から国内10カ所のシールド工事現場で検証してきた成果です。
シールド工事は、円筒形の掘削機で地中を掘り、壁となる部材を組み立てながらトンネルを造る工法です。今回の対象は、測量、掘削機の運転、土砂搬出、掘削後の隙間を埋める注入、設備、壁の部材組立です。人手不足と技能継承の課題に対応し、施工品質を維持することを目指します。
6技術を工事全体に適用した場合の省人化率は40〜50%程度と試算しています。全技術を同じ現場で動かした実績ではなく、統合実証は2027年12月までに行う計画です。
ニュース出典:大林組:シールド自動化システム「OGENTS®」構成技術の実証を完了(2026年10月19日)
イノベーション総研の考察
今回の発表で進んだのは、個々の作業を自動化できるという証拠の蓄積です。次に必要なのは、技術をつないだときに工事全体の人手と作業時間が減るかを確かめることです。新規事業として現場向け機器を開発する企業にも、この違いは投資の進め方を考える材料になります。
掘る機械だけではトンネル工事の人手は減らない
トンネル工事では、掘削のほかに位置の測定、土砂の運搬、壁の組立などが必要です。掘削機の操作だけを自動化しても、土砂の搬出が滞れば機械は待ちます。別の工程で同じ人数の作業員が必要なら、現場全体の省人化にもつながりません。
国土交通省も、建設業では技能者の減少と就業者の高齢化が進んでいると説明しています。単に作業速度を上げるだけでなく、限られた人員で工事を続けられることが課題です。国土交通省の背景説明
大林組が測量や搬出まで含めて6技術を開発した理由は、こうした工程間のつながりにあると考えられます。機械の性能向上から、施工体制そのものの変更へ対象を広げた取り組みと読めます。
現場の自動化は、最も速い機械ではなく、人と機械が待っている工程を減らせるかで評価します。
10現場の個別実証と、全工程の省人化試算は別の証拠
今回、測量では従来2人の作業を1人で行えること、部材の組立ではオペレーター1人で高精度な組立が可能になることなどを確認しています。一方、40〜50%の省人化は、各実証の結果を基に全技術を適用した場合の試算です。
この数字を「工事の人員を半減した実績」と扱うと、検証段階を一つ飛ばしてしまいます。異なる現場で成立した技術でも、同時運用では設備の停止、データの受け渡し、作業順序の調整が新たな負担になる可能性があります。
投資判断では、個別技術の担当人数に加え、監視や保守へ新たに必要になる人数も数える必要があります。現場にいる人数だけでなく、遠隔支援や復旧を含めた総作業時間を比較すると、実際に減った負担が見えます。
40〜50%の省人化は現段階では試算であり、統合運用による実測結果とは分けて読む必要があります。
全技術を同時に使わない導入にも事業機会がある
大林組は今後、工事条件に応じた部分的な活用も含めて適用範囲を広げる方針です。この点は、設備を開発する側が販売単位を考えるうえで参考になります。すべてを入れ替えないと使えない製品より、既存設備と組み合わせて特定の困り事を解消する製品のほうが、試せる現場を増やせる可能性があります。
例えば、測量の負担が大きい現場と、危険な場所での部材組立が課題の現場では、最初に導入したい技術が異なります。これは今回の個別現場の事情を断定するものではなく、部分導入を事業化する際の考え方です。
ただし、部分導入のたびに大規模な個別開発が必要なら、販売が増えるほど支援要員も増えます。外部企業が同様の機器を事業化する場合は、使える条件、既存設備との接続、現場ごとの調整作業を切り分けておくことが重要です。今回の技術の外販価格や販売計画は公表されていません。
設備型の新規事業では、全体の完成形だけでなく、顧客が最初に購入できる部分まで設計することが有効です。
次は停止と復旧を含む、一つの工事の実績を見る
2027年12月までの統合実証では、作業が順調な時間帯だけでなく、どれか一つの設備が止まったときの対応が焦点になります。手動に切り替える人員が常に必要なのか、再開までにほかの作業がどれだけ待つのかで、省人化の実態は変わります。
イノベーション総研では、次の判断材料を、全工程に要した作業時間、施工品質、停止から復旧するまでの負担に置きます。省人化と引き換えに施工期間や手直しが増えていないかを、一つの工事のまとまりで確かめる考え方です。
地盤やトンネルの形状が異なる現場へ展開した際に、同じ体制で使えるかも未検証の論点です。単独作業の成功を重ねた後は、連携と現場差の検証へ資金を振り向ける。この順序が、新規事業の次の投資を説明しやすくします。
統合実証の成果は、省人数だけでなく、止まっても品質と工期を守れる運用まで含めて確かめます。
まとめ
大林組は、トンネル工事を支える6技術の個別実証を終え、全体をつなぐ検証へ進みます。省人化40〜50%は試算であり、今後の統合実証と区別する必要があります。
現場向けの新規事業では、単体性能、工程間の連携、停止時の復旧を段階的に確かめることが、投資と導入の判断材料になります。
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