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東京都、ナフサ代替開発に三菱ケミカルとGEIを採択
ニュースの要点
東京都は2026年10月29日、ナフサ代替素材等開発支援事業の対象に、三菱ケミカルとGreen Earth Instituteの2事業者を選んだと発表しました。ナフサは、プラスチックなどの基礎原料となる石油由来の原料です。
三菱ケミカルは廃プラスチックやバイオマスの油化技術を開発します。Green Earth Instituteは木質バイオマス由来のイソブタノール製造に向け、連続発酵や精製の条件、事業開発体制を検討します。個別の供給開始時期は示していません。
都は中東情勢などに伴う調達の不確実性を背景に、石油だけに依存しない技術・素材の開発を支援します。期間は最長3か年度で、開発経費、専門家の助言、企業とのマッチングを支援します。協定金の上限は2026年度1億円、2027年度2億円、2028年度3億円で、各社への交付額ではありません。
ニュース出典: 東京都「ナフサ代替素材等開発の支援対象事業者を決定」(2026年10月29日)
イノベーション総研の考察
今回決まったのは商用製品の完成ではなく、代替原料を作り、供給するための開発支援先です。イノベーション総研は、石油以外の原料を集めて既存の化学品市場へ接続する工程を、支援期間の中でどこまで確かめるかに着目します。
代替原料は、油を作る前後の工程までつながって価値になる
ナフサを代替する開発では、原料の調達と既存の製品工程への接続が一続きの課題です。
化学品の供給では、原料が変わっても顧客が求める品質や量を保つ必要があります。三菱ケミカルの油化事業の説明は、使用済みプラスチックを原料へ戻し、既存の化学プラントで基礎化学品などを生産する仕組みを示しています。
この接続ができれば、新しい原料を使って既存の用途へ供給する道が開けます。ただし、使える原料の範囲や不純物、回収・前処理の費用が変われば、安定供給の条件も変わります。油化する技術だけを確認しても、供給全体の採算は判断できません。
都が三菱ケミカルの事業として挙げたのも、廃プラスチック原料の活用拡大に向けた運転・プロセスの高度化と、未利用バイオマスの探索から製品化までの開発です。設備の完成発表とは区別し、使える原料と工程条件を広げる開発と捉えるべきでしょう。
三菱ケミカルの油化とGEIの発酵は、別々の検証段階を持つ
二つの採択テーマは、同じ代替原料でも次に必要な証拠が異なります。
三菱ケミカルは既存の油化技術を持ち、今回は原料の活用範囲やプロセスを広げます。同社などが6月に公表した建設系廃プラの実証でも、再資源化の可能性に加え、立地や規模などによって経済性が変わることを示しました。これは今回の採択事業の成果そのものではなく、過去の背景です。
一方、Green Earth Instituteのテーマには、木質由来の原料からイソブタノールを連続的に作る発酵条件、精製工程、事業体制の検討が含まれています。都の発表だけでは、既にどの規模で安定運転できたか、商用供給契約があるかは確認できません。
イノベーション総研は、採択者を同じ成果指標だけで並べるのは適切でないと考えます。油化側では受け入れられる原料の範囲と安定運転、発酵側では連続運転や精製後の品質など、各工程で残る制約に応じて次の投資判断を分ける必要があります。
年度別上限は、供給や採算を保証する金額ではない
支援の上限と実際の交付額、開発後の製品採算を混同しないことが重要です。
公表されたのは年度別の協定金上限と最長期間です。上限を足した金額が各社へ必ず交付される、あるいはそれだけで商用設備を賄えるという発表ではありません。対象経費の詳細や各社の自己負担、年度間の評価条件も今回の資料だけでは分かりません。
開発中の費用負担が軽くなっても、支援終了後の原料調達、運転、精製、顧客への供給費用は残ります。石油由来の原料と比較する際は、品質や安定供給も含め、顧客が何に対価を払うかを確かめる必要があります。
石油調達の不確実性が代替への関心を強めるという読み方はできますが、今回の採択で価格競争力や大量供給が実証されたわけではありません。原料価格が落ち着く場合でも選ばれる用途や契約条件があるかが、長期の事業性を左右すると考えられます。
支援期間には、原料供給者と利用企業が判断する場を置く
代替素材の開発では、試作性能と顧客が採用する条件を同時に確かめます。
担当者の方が同様の開発支援を使う際は、技術の達成項目と、供給者・利用企業の合意事項を対応させる方法が有用です。原料側には量と品質の変動、顧客側には受け入れ規格や試験期間を確認し、誰の判断を待っているかを明らかにします。
技術試験が進んでも原料を継続調達できなければ供給は続きません。逆に原料を確保しても、顧客の認定や支払条件が決まらなければ収益を見込めません。都が示す助言やマッチングも、紹介件数ではなく、どの採用条件が明らかになったかで評価すると判断につながります。
次に追うのは、各社の開発計画の具体化、安定運転や製品品質の結果、原料供給・製品採用に関する合意です。支援先の決定を入口として、どの証拠が次年度の開発継続や商用化判断を支えるかを分けて確認する必要があります。
まとめ
東京都はナフサ代替開発の支援先として三菱ケミカルとGreen Earth Instituteを選びました。採択は商用化の完了ではありません。原料の確保、製造工程、顧客の採用条件をつなぎ、年度別の支援上限と実際の費用、支援終了後の採算を区別することが、次の投資判断の要点です。
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