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アース製薬、DATAFLUCTのAI需要予測を本番運用へ

ニュースの要点

DATAFLUCTは2026年10月28日、アース製薬でAI需要予測モデルの本番運用を開始したと発表しました。実証実験で精度を検証した後、予測結果を実際の出荷判断の参考情報として使う段階へ移行します。返品や、それに伴う廃棄ロスの削減が目標です。

虫ケア用品、入浴剤、口腔衛生用品などを対象に、商品を管理する単位ごと、月ごとの一次出荷数を予測します。過去の出荷・返品・卸在庫、市場の販売動向、気象などのデータを使い、再学習と直近の予測の偏りを反映する補正を組み合わせます。

季節や天候で需要が変わる商品について、欠品による販売機会の損失を防ぎながら、過剰出荷と返品を抑える狙いです。予測精度の具体値、返品や費用の削減実績、導入費用は公表していません。出荷をAIが自動決定するとの発表ではありません。

ニュース出典: DATAFLUCT「DATAFLUCT、アース製薬でAI需要予測の本番運用を開始。返品・廃棄ロスを削減することで、社会課題及び事業課題の解決を目指す。」(2026年10月28日)補足出典: DATAFLUCT公式発表


イノベーション総研の考察

今回変わったのは、予測を作れるかを試す段階から、予測を日々の出荷判断へ使う段階に進んだことです。AIの精度と、実際の返品・欠品・業務負担がどう変わるかは、別々に確かめる必要があります。

季節商品の出荷は、売上の積み上げだけでは評価できない

これまでの実証では予測の精度を確認してきました。今回からは、実際の出荷判断へ使った場合に、返品と欠品をどう変えられるかが検証の中心になります。

アース製薬の事業リスクの説明では、虫ケア用品は春から夏に需要が集中し、その後に取引先から返品が生じるとされています。必要な時期に商品が足りなければ機会を失い、多く出しすぎれば後で商品が戻る構造です。

したがって、メーカーから商品を出した数量が増えたことだけを良い結果とするのは十分ではありません。消費者の購入や卸の在庫も合わせて見なければ、需要が伸びたのか、流通段階に積み上がったのかを区別できないためです。今回、予測に卸在庫や市場の販売動向を使う点は、この区別につながる設計と読めます。

季節商品の需要予測は、出荷を増やす判断と、後から返品される量を減らす判断をつなぎます。

ただし、今回のモデルは月別の一次出荷を予測するものです。最終消費者の購入をすべて直接把握する仕組みや、返品をなくす成果まで確認されたわけではありません。どの段階の数量を予測しているかを明らかにすることが、評価の出発点になります。

再学習と直近の補正は、異なる変化を取り込む

DATAFLUCTは、最新の実績による再学習に加え、予測と直近実績の差から継続的な上振れ・下振れを捉え、将来の予測へ反映する仕組みを開発したと説明しています。過去の傾向を学び直すことと、直近のずれへ対応することを組み合わせています。

予測を現場へ移す際は、外れた理由を調べ、補正後も判断の経緯を追える運用が必要です。

たとえば一時的な販促で増えた出荷と、需要の基調が変わった場合を同じ補正で扱うと、その後の計画が偏る可能性があります。これはモデルに問題が起きたという意味ではなく、直近の動きを将来へ延ばす際の確認条件です。補正を加えるほど良いと考えず、対象期間や例外をどう決めるかまで含めて運用します。

今回の発表は、補正係数の具体値や精度の比較結果を示していません。技術の優劣を断定するより、予測の変更と人の出荷判断を振り返れる仕組みが続くかを追う方が、事業化判断には有用と考えられます。

人の判断を残す本番運用では、採用しなかった理由も証拠になる

AIの結果は、実際の出荷判断の参考情報として使われます。AIが全量を自動決定する計画は、今回の発表には示されていません。現場が持つ取引先や販売施策の情報と、データから得られる予測を組み合わせる運用です。

人が予測を使う事業では、予測を採用した結果と、採用しなかった理由を一緒に残します。

予測を使わないことが多い場合も、すぐにAIが役に立たないとは言えません。データへ反映されていない事情があるのか、判断時点に間に合わないのか、説明が不足しているのかで、次の改善は変わります。逆に、利用率だけを高めると、例外を知る担当者の判断を生かせなくなる可能性があります。

担当者の方が同様の導入を行うなら、予測、最終計画、変更理由、後日の実績を対応付けて記録します。予測のずれと、人が変更したことによる結果を分けられれば、データ、モデル、使い方のどこへ投資するかを選びやすくなります。

返品の削減は、欠品と運用費を含めて次の季節に確かめる

出荷を抑えれば返品が減る場合がありますが、それだけでは事業の改善を証明できません。売り場で商品が不足し、販売機会を失っている可能性が残るためです。返品の減少と、必要な供給を守ることを合わせて評価する必要があります。

本番移行後の拡大は、返品・欠品と、予測を維持する総負担の釣り合いで判断します。

まず対象商品と時期をそろえ、従来の判断と比べる基準を決めます。天候や販促による違いを考慮しつつ、返品、欠品の兆候、計画を調整する工数を確認します。モデルの維持費やデータを整える作業が増えていないかも、採算を判断する材料になります。

今後は季節ごとの精度と安定性を高める方針が示されています。対象を広げる前に、繁忙期から返品の時期まで結果を追い、どの商品の条件なら同じ運用を使えるかを確認したいところです。本番運用への移行は重要な段階の変化ですが、削減効果の実現とは分けて扱います。

まとめ

アース製薬のAI需要予測は、実証から実際の出荷判断を支援する段階へ進みました。自社への示唆は、予測精度だけでなく、現場が使った経緯と返品・欠品の変化をつなげて記録することです。人の判断と補正を含む運用全体を評価し、次の季節や別商品への拡大を判断する必要があります。

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執筆:イノベーション総合研究所

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