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長谷川香料、コーヒー豆を使わない代替飲料向け素材を開発
ニュースの要点
食品・日用品向けの香料を手がける長谷川香料株式会社は2026年10月27日、コーヒー豆を使わずにコーヒーの風味を設計する新素材「ビーンレスコンクミックス」を開発したと発表しました。焙煎した植物素材を土台に、同社の技術を組み合わせます。
11月18〜20日に東京ビッグサイトで開かれる第11回ドリンクジャパンで、この素材を使う飲料を試飲用に提供する予定です。ペットボトル・缶・チルド飲料やデザートへの利用を提案します。発売日や供給価格、採用企業は公表していません。
同社はコーヒー豆の調達や価格変動への課題意識を開発の背景に挙げています。カフェインを含まないことや、顧客の好みに合わせた風味の調整を特長として説明しています。
ニュース出典: 長谷川香料(共同通信PRワイヤー)「長谷川香料、第11回ドリンクジャパンに出展 コーヒー代替飲料向けにコーヒー豆不使用の新素材を提案」(2026年10月27日)
イノベーション総研の考察
コーヒー豆の代わりを作るとき、顧客が求めるのは原料の名前なのか、飲んだときの風味なのかが問いになります。今回の発表は、香料会社が持つ風味設計の技術を、豆を使わない素材の提案へ広げた動きと読めます。ただし、開発の発表と飲食品メーカーによる継続採用は別の段階です。
香りを作る技術を、豆に依存しない原料設計へ広げる
長谷川香料の新素材は、コーヒーの風味とコーヒー豆という原料を切り分けます。
同社は飲食品向けに香料を開発・供給してきました。今回の素材も、焙煎植物素材をベースに香りや味わいを設計する仕組みです。既存の知識を異なる用途へ使う点に連続性がある一方、豆を用いない配合を顧客が自社商品へ組み込むという、新たな採用判断が生まれます。
同社が背景に挙げたのは、コーヒー豆の調達や価格の問題です。ここからはイノベーション総研の解釈ですが、味を形づくる機能を別の素材で提供できれば、顧客は商品に必要な風味と、仕入れる原料の組み合わせを別々に検討できます。原料を置き換えるだけで売れるのではなく、既存の風味設計がどの顧客課題を解けるかが事業上の焦点です。
豆を外しても、代替原料の調達と品質は確かめる
豆不使用という特徴だけでは、調達の安定や採算の改善は証明できません。
コーヒー豆を使わなくても、代わりとなる植物素材を調達する必要があります。原料の内訳、供給量、価格条件は今回の発表にありません。安定調達や品質の両立に向けた方向性と、それを達成した実績は区別すべきです。環境面でも、豆を使わないことだけを根拠に、製造や輸送を含めた負荷が下がったとは言えません。
採用を検討する企業が比べる対象は、素材単価だけでなく、自社商品の処方を変える費用や品質確認を含む総費用です。調達部門には必要量を継続して確保できるか、開発部門には同じ風味を再現できるかという別々の確認が残ります。豆を使う既存素材の方が商品全体で有利な場合もあり、全面的な置換を初めから結論にしないことが判断の精度を上げます。
試飲の評価を、飲料工場での継続採用へ飛ばさない
展示会の試飲で得る反応と、量産商品の処方として採用できる証拠は異なります。
公表された次の場は11月の展示会であり、正式な顧客実証や量産採用の発表ではありません。来場者の感想は用途を絞る手がかりになりますが、その場で好まれた味が、製造工程や保存期間を経ても狙いどおりかは別の検証です。発表には、そうした試験の方法や合格数値までは示されていません。
担当者の方が代替素材の事業を進めるなら、試飲の好評だけで設備や供給量の拡大を決めず、顧客の商品に近い条件で試す段階を置けます。たとえば開発担当が既存処方と比較し、品質担当が必要な試験を確認し、調達担当が供給条件を照合する順序です。これは同社の確定計画ではなく、今回の未確認点から導く検証の組み方です。
飲料とデザートで、代替する風味と採用条件を絞る
新素材の展開は、用途を一つ選び、顧客が継続採用を決める条件から逆算します。
同社は複数の飲料形態やデザートを提案していますが、これらは採用済みの市場ではありません。飲み物の主役として風味を作る用途と、菓子の一部に風味を加える用途では、求める役割が異なります。幅広い用途候補を並べる段階から、誰が何と比較して採用するかが明確な用途へ絞ることで、検証結果を次の判断へ結びつけやすくなります。
検証開始前には、顧客側の開発責任者と、風味の評価、品質・供給条件、総費用について、次の試作へ進む判断基準を決めます。条件を満たさない場合は配合や用途を修正し、改善の見通しがなければ見送るという判断も含めます。今後追うべきなのは試飲の提供自体に加え、顧客との試作、条件の提示、実際の採用が公表されるかです。
まとめ
長谷川香料は、コーヒー豆を用いず風味を設計する素材を開発し、展示会で提案します。事業化の判断には、風味の評価と、品質・調達・採算の成立を分ける視点が欠かせません。新素材の特徴から出発し、用途ごとの継続採用を決める証拠へ進めることが、この事例から持ち帰る一点です。
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