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古賀市、自動運転バスの一般試乗を開始 既存の予約環境と連携

ニュースの要点

アイサンテクノロジーとA-Driveは2026年10月19日、両社が参画する福岡県古賀市の自動運転バス事業で、同日から11月24日まで一般試乗を行うと発表しました。ししぶ駅東口とコスモス館前を結ぶ片道約3.7kmが対象で、運転士不足の下で地域交通を維持する狙いです。

固定ルート上の予約がある停留所で乗降する方式で、既存の「のるーと古賀」と同じアプリ、市のLINE、電話で予約できます。1便の一般乗客は13名まで、無料・事前予約制です。地元の古賀タクシーと花鶴タクシーが運行を担います。

今回は運転士が乗務し、いつでも手動へ切り替えられるレベル2の実証です。無人運転の開始ではありません。12月7日から2027年1月14日には別途AI学習走行を予定していますが、その期間は一般試乗を行わないとしています。

ニュース出典: 福岡県古賀市の自動運転バス事業に参画~10月19日から「自動運転のるーと」の一般試乗を実施~(アイサンテクノロジー、2026年10月19日)

補足出典: 古賀市の実証運行案内 / A-Driveの同日発表


イノベーション総研の考察

自動運転の地域交通への導入では、車両が走ることに加え、予約から乗車までの仕組みを地域の暮らしへ組み込む必要があります。今回の論点は、既存の予約環境と新しい車両をつなぎ、次の段階で何を検証するかを分けられる点です。

3月の実証から、既存利用者の導線を引き継ぐ

古賀市の取り組みは今回初めて始まったものではありません。ネクスト・モビリティの2026年3月の発表では、既存の「のるーと」と自動運転バスを連携させ、同じ予約環境を使う実証を行っています。10月はその継続として、新たな区間で一般試乗へ進む発表です。

利用者にとっては、運行する車両が変わっても、いつもの方法から予約できる構成です。サービスの導入側から見ると、新しい車両のために利用登録や予約方法を一から覚え直す負担を抑えられる可能性があります。ただし、今回その効果を利用者数や予約完了率で確かめた結果は示されていません。

新しい移動手段は、車両の性能だけでなく、既存の予約導線へ接続できるかで評価します。

一方、同じ入口でも利用できる停留所や運行時刻は異なります。通常のオンデマンド交通のように経路も自由に変わると受け取られないよう、固定ルートで予約のある停留所を使う方式だと伝える必要があります。

運転士が乗る実証と、人員削減を切り離す

発表では、A-Driveが実証全体を統括し、アイサンテクノロジーが実証の実施と高精度3次元地図の作成・提供を担当します。システムの設計・運行に関与する企業にはKDDIや損害保険ジャパンなども挙げられています。運行そのものは地元のタクシー事業者が担う構成です。

重要なのは、今回の運行では運転士が常時ハンドルやブレーキを操作できる態勢を取ることです。自動運転という言葉から、すでに運転士が不要になった、あるいは人件費が下がったと結論付けることはできません。

運転士が乗務するレベル2の実証を、無人運行や省人化の実績として扱わないことが前提です。

参画を考える担当者の方は、予約対応、乗降支援、手動への切り替え、地図更新といった仕事を誰が引き受けるかを分けて考えます。走行を自動化しても残る仕事を把握しなければ、運行全体に必要な費用や人員を見積もることは難しくなります。各社の契約や詳しい責任分担は非公表です。

同じ予約環境でも、表示と実際の運行をつなぐ

市の案内は、アプリやLINEで案内される乗降時間が、システムの都合で運行ダイヤと異なることがあり、実際にはダイヤ表の時刻で走ると注意を促しています。これは、予約の入口が共通でも、利用者へ届く情報をそのまま一体化できるとは限らないことを示す具体的な条件です。

時刻の理解が食い違えば、予約が成立していても乗れない可能性があります。車両の運行成績だけを測っていると、こうした予約から乗車までの間で生じる問題を捉えにくくなります。今回、実際に乗り遅れが発生したという結果は確認できません。

予約の成立と乗車の完了を分けて測ることで、システムの接続部分に残る負担が見えてきます。

導入側には、予約完了後の問い合わせ、表示の確認、乗車できなかった理由を分類する検証を提案します。利用者への説明を増やして運用する方法と、表示側を改修する方法の費用を比較すれば、他の地域へ広げる前に直すべき条件を判断できます。

一般試乗、AI学習、商用運行の合否を分ける

10月からの一般試乗と、12月以降に予定するAI学習走行は別の段階です。後者には一般の乗客を乗せません。将来のAIベースの走行を検討していることを、現在の試乗ですでに達成した成果へ置き換えないようにする必要があります。

また、無料で利用されることと、有料でも継続して使われることは異なります。定員13名の車両で、時間帯によってどれだけの移動を受け止められるか、既存のバスやタクシーとの役割をどう分けるかが事業上の課題になります。今回の発表は有料化や採算が成立したことを示していません。

体験、走行技術の学習、費用を負担して続ける運行は、それぞれ別の合否条件を置きます。

需要が少ない時間帯では、既存のタクシーなどを組み合わせた方が合理的という反対仮説も残ります。次に確認したいのは、乗車と予約の実績、人が対応した仕事と費用、AI学習後の検証計画です。技術の高度化だけでなく、地域交通全体で続けられる形へ近づいたかを追います。

まとめ

古賀市の自動運転バスは、既存の予約環境を使った一般試乗へ進みました。今回も運転士が乗務するレベル2で、無人化や採算の達成を示すものではありません。車両の走行に加え、予約表示と実際の乗車をつなぎ、一般試乗・AI学習・商用運行の評価を分けることが事業化判断の要点です。

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この記事の執筆

執筆:イノベーション総合研究所

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