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SBI証券、電話AIを本格導入 要約表示と担当配置を見直し
ニュースの要点
RightTouchは2026年10月22日、SBI証券が電話応対を担うAIオペレーター「QANT スピーク」を導入したと発表しました。同日公開の導入者インタビューによると、6月に本格導入し、パソコンやアプリなどの操作に関する問い合わせへ対象を広げています。
顧客の自由な発話から用件を把握し、適切な窓口へつなぐ仕組みです。試験導入では、AIが聞き取った内容を人が十分に使えなかったため、着信画面への要約表示と、電話を受ける担当者の配置を見直しました。
導入者は、平均通話時間が1件当たり1.6分短くなったと説明しています。一方、月間約2933時間の削減は主要ダイヤルの月間約11万件に当てはめた推計であり、実測した総削減時間とは区別が必要です。
ニュース出典: RightTouch「SBI証券、RightTouchとの取り組みでカスタマーセンター全体でAIオペレーター活用を推進、月間2,933時間の応対時間削減とCX向上を実現」(2026年10月22日)
イノベーション総研の考察
AIが用件を正しく理解しても、人がその情報を使わなければ業務は短くなりません。今回の学びは、試験で見つけた画面と運用の問題を直し、本格導入へ進めた過程にあります。
AIの要約があっても、使う瞬間に見えなければ聞き直す
性能の評価単位を、情報の生成から人が使う動作まで広げます。
当初は、着信画面のリンクから別ページを開かないと、AIが聞き取った内容を確認できませんでした。着信直後に開く余裕がなく、表示にも時間がかかり、顧客が用件を再び話し始めるため、有人担当が聞き直す状態だったといいます。
改善後は、既存の電話基盤Genesys Cloudの着信画面に、最低限の情報を着信と同時に表示する形へ変えました。AIから人へ情報を渡すサービスでは、要約の精度だけでなく、表示する場所と時機、読んだ後の最初の応対まで一緒に試すことが必要です。
少人数へ集めることで、学習できる回数を確保する
たまにしか使わない業務を、現場が習熟できる配置へ変えます。
試験初期は、担当者が受ける電話のうちAI経由の着信が少なく、対応方法をすぐに思い出しにくい問題もありました。SBI証券は柔軟に対応できる経験者へ担当を絞り、AIを経由した電話と、経由していない電話の両方を受けて成果を比較しました。
この設計は、全員へ一斉に配ることと、本格導入が同じではないことを示します。新しい業務が一定頻度で発生する担当を置き、通常業務との違いを確かめ、現場で共有できる手順を作ってから広げる方法が考えられます。
現場の違和感を、管理画面の数値で打ち消さない
なぜ使われないかは、応対する人の動作を見て確かめます。
転機として挙げられたのは、現場の管理者であるスーパーバイザーの参加です。管理画面や録音だけでは分からなかった操作の負担を、現場社員と委託先の管理者が聞き取り、画面と対応の流れの両方を変えました。
事業の検証でも、利用率が低い原因を、利用者の理解不足だけに求めると改善先を誤ります。新しい手順の目的が伝わっているか、いつ負担が増えるか、使い慣れた業務とどこで衝突するかを観察し、変更できる担当へ渡す経路が重要です。
削減時間の推計を、そのまま投資の回収額にしない
対象範囲と仮定を明示して、実際に減った作業を確認します。
月間約2933時間は、1.6分の短縮を月間約11万件へ当てはめた推計です。主要ダイヤル全体ですでにその時間を減らした実測値でも、そのまま人件費を減らせる金額でもありません。
導入を判断する担当者の方は、対象用件や混雑時にも同じ短縮が続くかを確かめたいところです。利用料、設定の修正、テスト、教育、例外対応にかかる時間を含め、応対に戻せた時間と実際に減らせる費用を分けて評価する必要があります。
自己解決率は、利用者の目的達成を直接示すとは限らない
測り方を確認してから、対象窓口を広げます。
自己解決率85%は一部の問い合わせについての数値です。インタビューでは、応対中の転送がなく、応対後24時間以内に再び電話がないことを条件に算出したと説明しており、全窓口の85%が用事を終えたという意味ではありません。
再入電がなくても、途中で諦めたり、別の手段で相談したりする可能性は残ります。拡大判断の指標として、用件別に転送、再問い合わせ、手続きの完了、利用者の負担を合わせて確かめることが、AIへ任せる範囲を決める材料になります。メインの証券ダイヤルへの拡大や取引情報との連携は、現時点の実績と分けて扱う必要があります。
まとめ
SBI証券の電話AIは、要約を作るだけでなく、人が使う画面と担当配置を変えながら本格導入へ進みました。業務AIの検証では、受け手の動作を観察し、限定した担当で繰り返し試し、対象や推計条件をそろえた成果で拡大を判断することが重要です。
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