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NGKのセラミックス、米国のCO₂回収実証に採用 SAF向け供給を検証

ニュースの要点

NGKは2026年10月6日、米Avnosの二酸化炭素(CO₂)回収実証「Project Brighton」に、自社のDAC用セラミックスが採用されたと発表しました。米ニュージャージー州ブリッジウォーターの設備で、実際の運転条件における性能や耐久性を確かめ、実用化につなげる狙いです。

DACは、大気からCO₂を直接回収する技術です。NGKは、自動車の排ガス浄化に使うハニカム構造の技術を応用し、空気を通しながらCO₂を吸着させる部材を供給します。回収したCO₂の持続可能な航空燃料(SAF)への利用も検証します。

Avnosは設備の稼働を9月1日に公表済みです。年間最大450トンのCO₂回収能力は設計上の能力で、達成した回収量ではありません。今回の発表では、NGKの供給額や長期運転の結果は示していません。

ニュース出典: NGK/原題「Avnosの商業規模DAC実証「Project Brighton」に NGKのDAC用セラミックスが採用」/2026年10月06日/発表本文


イノベーション総研の考察

新しい脱炭素市場へ入る方法は、設備をすべて開発することだけではありません。NGKは、長く使ってきたセラミック技術を、CO₂回収の中核部材へ移しました。既存技術の用途転換と、実環境で評価される段階の違いに注目します。

排ガスの技術を、大量の空気を扱う課題へ移す

DACは大気からCO₂を取り出すため、多くの空気を処理する必要があります。空気を送る抵抗が大きければ、その分の電力が必要です。NGKは小さな体積で広い表面積を持ち、空気が通りやすいハニカム構造を使います。

同社の技術説明は、自動車排ガス用で蓄積した構造と製造設備を応用する点を示しています。技術の名前が同じだから使えるのではなく、新用途でも必要な表面積、空気の流れ、温度変化への対応が重なることが参入の根拠になります。

用途転換は、技術の名前ではなく、新市場の費用と性能を左右する課題との一致で考えます。

担当者の方が用途転換を考える場合も、保有特許や設備を並べるだけでなく、新しい顧客の費用や性能を何が左右するかを調べます。設備全体を売るより、その課題に効く部材を担う方が、自社の強みを生かせる場合があります。

実証への採用と、量産の継続受注は違う

NGKはAvnosへハニカム構造の活用を提案し、共同開発を進めたと説明しています。今回は実際の設備へ採用され、運転条件における性能や耐久の知見を集める段階です。試作品の評価から一歩進んだものですが、長期の量産契約の発表ではありません。

また、Avnosは9月1日の発表で設備の稼働を公表しています。10月6日を設備が初めて動いた日とせず、NGKが採用と役割を説明した日として扱う必要があります。年間450トンも能力の説明で、実際の年間実績ではありません。

実証採用の次は、長期の耐久と交換・供給の条件を確かめ、継続受注につなげます。

次に見たいのは、運転時間、部材の交換周期、供給数量と後続設備での採用です。自社の部材事業でも、試作採用を売上拡大と直結させず、耐久、交換周期、継続購入の条件を事業化の判断基準にします。次の製造投資は、それらの証拠を確認してから決めます。

回収設備の原価と、回収後のCO₂の用途を見る

部材で空気の抵抗を減らせても、設備全体には送風以外の費用がかかります。NGKの採用が設備の原価をどれだけ下げたか、CO₂一トン当たりの費用がいくらかは未公表です。部材の特長を設備全体の採算と混同しないことが重要です。

今回、回収CO₂をSAFへ利用する可能性を検証します。燃料として利用することは、地中などへ長く貯めることと同じではありません。CO₂を回収した量だけで、永久的な除去や炭素クレジットが成立したと呼ぶことはできません。

部材性能、設備全体の原価、回収後の用途は、別々の証拠で確認します。

読者が環境技術の事業を考える際は、自社が改善する工程と、顧客が買う成果を分けます。部材の実運転性能を確認しつつ、設備運営者がどの用途へ供給し、収入を得るかを追うと、市場の期待から実際の需要へ判断を進められます。

まとめ

NGKの事例は、既存の部材技術で新市場の重要な工程を担う参入です。実証への採用を量産受注や設備全体の採算と混同せず、長期耐久と顧客の購入条件まで追うことが、技術の用途転換を事業へ育てる際の示唆になります。

執筆:イノベーション総合研究所

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実環境の評価と、供給・量産の条件を整理します。

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