投稿日:2026.09.25 最終更新日:2026.09.25
スターバックス、北米約250店を閉鎖
ニュースの要点
米スターバックスは2026年9月24日、北米の約250店舗を同週中に閉鎖すると発表しました。対象は、同社が目指す顧客・従業員体験を安定して提供できない店舗、または十分な採算へ到達する道筋を描けない店舗です。 閉鎖数は北米にある1万8,000店超の約1%に当たります。同社は北米事業全体については再び力強い成長へ戻ったと説明しており、今回の決定を一律の縮小ではなく、店舗網を選別する「Back to Starbucks」戦略の一環に位置付けています。 スターバックスは一方で、店舗の座席や内装を見直す改装を進め、2026年度末までに少なくとも1,500店の改装完了を目指しています。店舗数を増やすだけでなく、体験と採算の両方を満たす場所へ投資を集中する方針です。
ニュース出典:Creating Coffeehouses Customers Love and Partners are Proud of(Starbucks、2026年9月24日)
イノベーション総研の考察
今回の250店閉鎖は、業績悪化に伴う全面的な店舗削減とは性質が異なります。北米事業が成長へ戻る中でも、体験と採算を満たせない店舗を閉じ、改善できる店舗へ資金を振り向ける判断です。撤退を成長戦略の反対側ではなく、資源配分の一部として扱っています。
成長局面でも不採算拠点を残さない
事業全体の売上が伸びると、個別店舗の問題は見えにくくなります。しかし、立地や客席、動線に制約がある店舗は、従業員を増やしてもサービス時間や居心地を改善できないことがあります。赤字が小さくても、改善投資を続けるほど資金と管理時間が取られます。
スターバックスは、北米1万8,000店超のうち約1%を選んで閉じます。規模だけを守るのではなく、回復が難しい店舗を切り分けることで、残る店舗の改装や運営改善へ集中しやすくなります。
事業全体が成長している時ほど、改善できない拠点を数字の勢いで隠さない判断が必要です。
撤退基準に顧客体験を含めた意味
同社が示した基準は採算だけではありません。顧客と従業員に望ましい体験を安定して提供できるかも判断材料です。短期的に黒字でも、待ち時間が長い、滞在しにくい、働きにくい店舗では、ブランド全体への信頼を損ねる可能性があります。
一方で「良い体験」は抽象的な言葉になりやすいため、待ち時間、再来店、従業員の定着、客席利用など測定可能な項目へ落とす必要があります。閉鎖理由と改善可能性を同じ基準で比較できれば、感覚的な撤退を避けられます。
撤退基準は損益だけでなく、将来のブランド価値を傷つける運営状態まで含めると機能します。
閉鎖と1,500店改装を同時に進める資源配分
スターバックスは閉鎖と並行して、2026年度末までに少なくとも1,500店の改装を目指しています。2025年末以降、米国とカナダで1,000店超を改装し、試行から拡大へ進んだと説明しています。すべての店舗を同じように扱わず、閉じる、直す、広げるを分けています。
新規事業でも、継続案件を一律に延命すると、有望な案件へ人材を移せません。中止だけを決めるのではなく、撤退によって生まれる予算と人員をどこへ再投資するかまで同時に決めることで、組織は前向きに動けます。
撤退を成長へつなげるには、止める対象と同時に、浮いた資源を投じる対象を明示する必要があります。
次に確認すべきは改装店の収益と再来店
閉鎖した店舗数だけでは、戦略が成功したかは分かりません。改装した店舗で客数、滞在、再来店、従業員定着、店舗利益が改善するかを追う必要があります。閉鎖店舗の利用者が近隣店へ移り、売上を維持できるかも重要です。
自社で撤退判断をする場合は、改善期限、追加投資の上限、継続条件を先に置きます。判断後には、顧客の移行、従業員の配置、契約終了の費用を測り、次の案件で同じ失敗を繰り返さないよう理由を記録します。
撤退の成果は閉鎖数ではなく、顧客と資源をより強い事業へ移せたかで判断します。
まとめ
スターバックスは北米約250店を閉じる一方、少なくとも1,500店の改装を進めます。採算と店舗体験の両方で回復が難しい拠点を選び、改善可能な店舗へ投資を集中する判断です。今後は、改装店の客数や利益、従業員定着が改善し、閉鎖店舗の需要を周辺店で受け止められるかが焦点になります。
執筆:イノベーション総合研究所
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