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東邦ガスなど4社、地域のCO2回収・利用を一体で実証 事業化へ

ニュースの要点

東邦ガス、アイシン、東洋建設、三井住友銀行は2026年10月9日、地域の工場から回収したCO2を輸送し、合成燃料のe-メタン製造や廃棄物処分場での固定に利用する共同実証を開始すると発表しました。環境省の補助事業に採択され、期間は2026年10月から2031年3月までを予定しています。

地域の中小規模の排出源からCO2を回収し、地域内で使う供給網を構築する狙いです。愛知県の工場、知多LNG共同基地、衣浦港の処分場などで、気体・液体のCO2輸送、導管によるe-メタン供給、中和・固定を検証します。三井住友銀行は供給網全体の事業性と、需給調整・環境価値の管理を検討します。商用化や融資実行の決定ではありません。

ニュース出典:東邦ガス・アイシン・東洋建設・三井住友銀行/原題:地域でのe-メタンの製造・供給やCO2の固定化に関する実証事業を開始 〜環境省の令和8年度「民間事業者を主体とした地域での炭素循環事業モデル実証補助事業」に採択〜/公開日:2026年10月9日/公式発表

イノベーション総研の考察

CO2を再利用する技術があっても、工場から集め、運び、使い続ける事業が成立するとは限りません。今回の中心となる問いは、個々の装置が動くかだけでなく、地域の複数企業をつないだときに、必要な量と品質を、支払える費用で届けられるかです。

3月の実証から、液化輸送と別の利用先へ

2026年3月の共同実証では、アイシンとデンソーの工場から回収した気体のCO2を容器で輸送し、e-メタンをつくり、両社へ導管で供給する取り組みを始めました。今回初めて合成燃料を試す、という経緯ではありません。

10月の実証では液化したCO2も扱い、AGCなどの排出源や処分場での利用を加えます。東邦ガスは受入量の拡大、輸送用コンテナを保存容器としても使う方法の検証を挙げています。技術の確認から、輸送や保管、需要の組み合わせへ検証範囲を広げた点が今回の変化です。

今回の実証は、CO2を使う装置の確認から、地域で集めて使い続ける仕組みの確認へ進めたものです。

e-メタン供給と処分場の固定は、別の価値を持つ

e-メタンは、水素とCO2を原料に合成するメタンです。今回の計画では都市ガス導管を通じ、アイシンとデンソーへ供給します。一方、処分場では、アルカリ性の廃棄物や水の中和にCO2を使い、固定条件や維持管理期間の短縮を検証します。燃料へ戻すことと、処分場で固定することは同じ事業ではありません。

イノベーション総研は、二つの利用先を設けることが、回収量の変動に対応する選択肢になり得ると考えます。ただし、どちらがいくらで受け入れるか、季節や稼働条件によって需要がどう変わるかは不明です。年間1,000tの固定も、運用方法の確立に向けた目標であり、達成済みの削減実績ではありません。

利用先を増やすだけでは需要は確定せず、用途ごとの必要量、品質、対価を確かめる必要があります。

銀行が加わる意味は、全体の事業性を見ること

回収装置の効率が高くても、液化と輸送に費用がかかり、利用先の受入れが不安定なら事業の採算は悪化します。今回、三井住友銀行は供給網全体の事業性評価、CO2と環境価値の一体管理、将来の制度・運用課題を担当します。銀行が参加した事実を、採算の証明や融資の確約と読み替えることはできません。

技術ごとの費用を積み上げるだけでなく、回収側と利用側が止まる場合、輸送容器を待つ場合など、工程間のずれを考えることが重要です。環境価値を誰が管理し、誰に帰属させるかも、顧客が支払う理由に関わります。燃料の供給と環境価値の説明は、双方が検証されて初めて販売条件になります。

事業化の評価単位は個別装置ではなく、回収から利用までをつないだ費用と責任の全体です。

自社の脱炭素実証は、補助終了後の顧客から逆算する

今回の実証は補助事業への採択を受けています。採択は検証を進める条件になりますが、補助が終わった後に顧客が購入を続けるかは別問題です。新規事業担当者は、設備導入への支援と、日常の運転に必要な収入を分けて考える必要があります。

自社の計画では、CO2を出す企業、輸送する企業、燃料や固定サービスを使う企業を分け、各社が負担する費用と受け取る価値を整理するとよいでしょう。安価な水素がない場合や回収源が止まる場合にも、契約を維持できるかを検証します。実証結果が良くても、利用先の契約がなければ設備拡大を急ぐ理由にはなりません。

補助で実証を始めることと、補助なしで顧客が買い続けることは、別の判断として扱うべきです。

今後は、輸送量、回収・液化費用、e-メタン供給の実績、処分場の固定量、環境価値の管理方法を確認します。今回の資料にない商用料金や削減効果を、一般的な脱炭素の期待で埋めることはできません。

まとめ

今回の4社実証は、既存の気体CO2循環から、液化輸送、処分場での固定、供給網の事業性へ検証を広げます。自社への示唆は、技術の成立だけでなく、工程の間の費用・責任・顧客需要を一体で確かめることです。

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この記事の執筆

執筆:イノベーション総合研究所

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回収から利用までの役割と費用を、実証計画に落とし込みます。

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