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トヨタ系財団とPOLIS、欧州都市の移動支援プログラムを開始

ニュースの要点

トヨタ自動車が設立したToyota Mobility Foundationと、欧州の都市・地域のネットワークPOLISは2026年10月12日、移動の格差解消を目指すプログラムを始めた。3〜5都市を選び、住民や関係者と移動サービスを共同で設計し、実装と評価を最長4年間支援する。

募集対象は、欧州の指定地域にあり、人口10万〜100万人で、POLISに参加するか財団と既存の関係を持つ都市など。財団の専門知識と資金、POLISの都市ネットワークを組み合わせ、費用、利用しやすさ、安全性などの課題に対応する。

応募締切は12月11日23時59分(中央欧州時間)。事前選定の通知は2027年2月を予定する。日本の自治体向けの公募ではなく、具体的な支援金額や採用都市、導入するサービスはまだ公表されていない。

ニュース出典:Toyota Mobility Foundation/原題「Toyota Mobility Foundation and POLIS Launch Inclusive Mobility Cities Challenge Across Europe」/公開日:2026年10月12日/公式発表

イノベーション総研の考察

移動サービスの新規事業では、車両やアプリを作っても、必要な人が使えなければ課題は残ります。今回のプログラムは、単体の技術を競うのではなく、利用できない理由を都市と住民が共有してから実装する点に特徴があります。

「移動できない」を、距離だけで捉えない

財団は2026年7月の別の都市チャレンジで、デトロイトの貨物輸送、ベネチアの低炭素交通の利用促進、インドのバラナシの混雑対策を紹介していました。同じ移動分野でも、都市ごとに解く課題を変えてきた経緯が分かります。今回の欧州公募とは別のプログラムで、その成果や予算を今回の実績とは扱いません。

公式発表は、交通費の負担、身体的な使いにくさ、サービスの不足など、重なり合う障壁を挙げています。対象は車両の導入だけではなく、公共交通、共同利用、移動に関する情報や行動を支える取り組みも含みます。

例えば停留所が近くても、料金が高い、乗り降りが難しい、帰りの便がないという理由で利用できないことがあります。これは今回選定された都市の実績ではなく、地域の利用条件を具体化するための例です。距離だけを指標にすると、利用できない理由を取りこぼします。

地域の移動事業は、交通手段の有無だけでなく、利用できない理由を特定するところから始まります。

新規事業の担当者は、利用している人だけでなく、必要なのに利用できていない人にも話を聞きたいところです。乗車数が少ないことを需要の弱さと決めつける前に、価格や時間、手続きが入口を塞いでいないか確かめます。

財団の知見と都市の実装力を組み合わせる

トヨタ系財団は資金と専門知識、POLISは都市のネットワークを持ち寄ります。実装を支援するRupprecht Consultも参加します。都市側には複数年の計画を実行する組織能力と、政治的な意思の表明を求めています。

この役割分担には、外部の技術や資金だけでは地域サービスを動かし続けられない、という課題への対応があると考えられます。道路や公共空間の利用、既存交通との関係、住民への説明には都市側の判断が必要です。ただし、今回の個別契約や責任分担はまだ確認できません。

都市との共同開発では、技術提供者だけでなく、地域で実行を決められる主体を同じ計画に入れる必要があります。

自社が自治体と提携する場合も、協定の締結を完成とせず、実施場所、住民参加、許認可、運営費を誰が決めるかを確認します。持ち寄る資産と、決定権を持つ組織の両方を整理することが出発点です。

最長4年の支援を、継続サービスへの助走にする

複数年で設計、導入、評価まで扱うため、一度の実証だけでは見えない利用変化を確認できる可能性があります。公式発表は、アクセス、費用負担、使いやすさ、安全性、社会参加に関する合意指標で評価するとしています。

ただし、支援期間が長いから採算が取れるとは限りません。資金が出ている間だけ安く利用できても、終了後に運賃が上がったり運行が減ったりすれば、当初の課題が戻ります。今回、支援終了後の費用負担は未公表です。

移動サービスの実証では、支援が終わった後も運営できる費用負担を検証する必要があります。

利用者、自治体、企業のうち誰が何に対して支払うのかを早い段階で仮置きし、提供費用と分けて記録します。利用者にとっての便利さと、提供側の継続可能性を同時に評価することが事業化への条件です。

他都市へ広げる前に、地域ごとの違いを残す

プログラムは、得られた知見を他都市の参考にすることも目指しています。複数の都市を対象にする意味は、同じ設備を配ることだけではなく、何が共通で何が地域条件に依存するかを比べられる点にあります。

例えば人口が似ていても、通院先の配置、既存のバス、住民の年齢構成、行政の負担能力は異なります。一つの地域で成功した価格や便数を、そのまま別の地域へ移せるとは限りません。

地域事業を横展開する際は、再利用できる仕組みと、地域ごとに決め直す条件を分けることが重要です。

今後は、選定都市、対象住民、実際のサービス、合意した評価指標を追います。都市ごとに異なる結果を隠さず残すことが、他地域への提案を現実的にする材料になります。現時点で実装済みの成果が出たとは扱いません。

まとめ

今回始まったのは、欧州の都市を対象とする共同実装の募集です。日本の担当者への示唆は、応募情報そのものより、移動できない理由を捉え、都市の決定権、費用負担、住民参加を含めて事業を作る方法にあります。

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この記事の執筆

執筆:イノベーション総合研究所

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利用者の負担と運営側の採算を、同時に整理します。

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