投稿日:2026.10.12 最終更新日:2026.10.12
DHL、ベイクルーズの物流拠点に自動倉庫導入 約60台のロボットで運用
ニュースの要点
DHLサプライチェーンジャパンは2026年10月8日、ベイクルーズの物流を担う千葉県の柏沼南ロジスティクスセンターに自動倉庫を導入したと発表しました。約1万800個の保管ケースを約60台のロボットで運用し、作業者のもとへ商品を運びます。
店舗向けとネット通販向けの物流を同じ拠点で行いながら、保管の密度と処理能力を高める取り組みです。従来の棚で十分に使えていなかった上部空間も活用し、拠点を増やさず事業成長へ対応する狙いです。
両社は2016年の4拠点集約、2020年の無線タグによる管理、2024年の自動梱包ライン導入を経て改革を進めてきました。ベイクルーズは約5年後の成長への対応に目途が立ったと説明しています。投資額や改善率、回収期間は示していません。
ニュース出典:DHL/原題:DHLサプライチェーンジャパン、ベイクルーズ向け物流拠点にASRS(自動倉庫)を導入し、成長戦略を支援/公開日:2026年10月8日/公式発表
イノベーション総研の考察
物流需要が増えたとき、倉庫を増やす方法だけが選択肢ではありません。既存拠点の保管と作業を変え、同じ面積で扱える量を増やす方法もあります。今回の事例は、事業の拡大と設備の拡大を分けて考える材料になります。
十年間の改善が次の設備を受け入れる土台になった
発表では、2016年に分散していた4拠点を集約し、その後に無線タグの管理と自動梱包を導入した経緯が示されています。2024年の公式発表もEC向け自動梱包の導入を説明しています。今回のロボットだけで物流全体が一度に変わったわけではありません。
入庫、在庫管理、商品取り出し、梱包、出荷はつながった工程です。前の工程の情報や作業が安定していれば、次の自動化を接続しやすくなります。イノベーション総研は、段階的な改善を設備の導入条件として見ることが重要と考えます。
拡大に使える自動化は、機器の性能だけでなく、それを受け入れる既存工程の整備から生まれます。
自社で設備投資を検討する場合も、先に機種を選ぶのではなく、商品情報、在庫の精度、工程間の受け渡しを確認します。そこに不整合があれば、機器を増やしても確認作業が残ります。
作業者へ商品を運び移動の負担を減らす
今回の自動倉庫では、商品をまとめた小型ケースが、保管場所と作業場所の間を移動します。作業者が保管場所まで歩く代わりに、その場で商品を取り出す仕組みです。
約60台というロボット数は導入規模を示しますが、物流の処理量そのものではありません。商品を受け取った後の仕分けや梱包に時間がかかれば、ロボットが運んでも全体の出荷量は増えない可能性があります。
物流の能力は、ロボットの台数より、入庫から出荷までの最も遅い工程で決まります。
評価では、商品取り出しの時間だけでなく、締切までに出荷できた注文数を見ます。通販と店舗補充の注文が重なる時間帯や、販促で注文が急増する日も、比較の対象にする必要があります。
拠点を増やさない選択にも費用とリスクがある
既存拠点を使う方法は、新しい倉庫への移転や追加の固定費を抑える可能性があります。今回も、上部空間を使い、保管効率を高める狙いが示されています。
一方、同じ拠点へ集めるほど、その拠点や設備が止まった場合の影響も大きくなります。保守、予備部品、復旧の手順、手作業で続けられる範囲を確かめる必要があります。
既存拠点への集約は、増設しない費用の利点と、一か所が止まる影響を合わせて比較します。
反対仮説は、設備の保守費や障害時の損失を加えると、新しい拠点を作る案より不利になることです。投資額や回収期間が未公表のため、この事例だけで他社にも同じ選択が有利とは判断できません。
五年後の成長は予測と実績を分けて確認する
ベイクルーズは、約5年後の成長にも対応できる目途が立ったと説明しています。これは顧客側の見通しであり、5年分の需要を既に処理した実績ではありません。
成長の内容によって必要な物流は変わります。同じ注文数でも、商品点数、返品、出荷先、小口配送の割合が変われば、設備にかかる負担は違います。平均的な物量だけで将来の能力を判断すると、ピークに対応できない可能性があります。
拡大投資では、将来の平均需要ではなく、注文の組み合わせとピーク日の処理能力を確かめます。
自社の判断には、現在の実績を基準に、需要が上振れ・下振れした場合の設備利用率と採算を置きます。今後は全工程の処理量、出荷品質、保守を含む費用の変化が公表されるかを確認します。
まとめ
DHLとベイクルーズは、長年の物流改革に自動倉庫を加え、既存拠点で成長へ対応する方針です。導入済みの機器の数と、将来需要への対応見通しは分けて読みます。
新規事業の拡大を考える際は、新しい拠点を増やす前に、既存工程のどこが制約かを調べる点が参考になります。ピーク時の処理量、品質、障害からの復旧と総費用をそろえて比較することが重要です。
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