投稿日:2026.10.02 最終更新日:2026.10.02
freee・ちゅうぎんら、地域企業向けBPOを2027年4月開始へ
ニュースの要点
freeeは2026年10月1日、ちゅうぎんフィナンシャルグループ、デロイト トーマツ smoothと連携し、地域企業向けのBPO事業を2027年4月から本格開始する計画を発表しました。BPOは、企業が社内で行う業務の一部を外部へ委託するサービスです。
人手不足や事務負担に悩む地域企業を支援するため、会計などのバックオフィス業務を中心に展開します。freeeがクラウドサービスを提供し、デロイト トーマツ smoothが運用設計の知見を持ち寄ります。
ちゅうぎんフィナンシャルグループは、地域の顧客接点に加え、業務の実運用を担う方針です。単にソフトを紹介するだけではなく、業務を引き受ける体制を目指します。今回の発表時点では、料金や具体的な導入企業数、サービスの採算は公表していません。
ニュース出典: freee/原題「freee、ちゅうぎんフィナンシャルグループおよびデロイト トーマツ smoothと連携し、地域企業のDXを支援する「BPO事業」を2027年4月より本格開始」/2026年10月1日/発表本文
イノベーション総研の考察
会計ソフトがあっても日々の作業は残る
クラウド会計は、情報を集めたり処理したりする道具です。ただし、資料をそろえ、内容を確かめ、締め切りまでに処理する人がいなければ、道具の導入だけでは業務は終わりません。ソフトを購入できる企業と、社内で運用できる企業は同じではありません。
中小企業庁の白書も、人材確保と省力化投資の両方を課題として整理しています。今回のBPOは、ソフトを売ることから、業務を進める人と仕組みを提供することへ、支援の範囲を広げる取り組みと読めます。
業務支援の需要は、ソフトの不足だけでなく、日々の作業を担う人の不足からも生まれます。
顧客にとっての価値は、機能が増えることより、経理作業のために本業を止めずに済むことにあります。どこまで任せられるかを分かりやすく示す必要があります。
銀行が紹介だけでなく運用を担う点が新しい
三社の役割は異なります。freeeはクラウド、デロイト トーマツ smoothは業務の設計や運用の知見、ちゅうぎんは地域顧客との関係と実運用を持ち寄ります。この組み合わせは、顧客を見つける力と、顧客の業務を引き受ける力を別々に用意する設計です。
2025年の発表では、銀行との提携が2019年に始まり、業務をサービスとして提供する検討や職員の実地研修へ進んだ経緯が示されています。今回は、運用設計を支える相手を加え、本格開始の時期を示しました。最初から三社の役割が完成していたわけではありません。
顧客紹介と実際の業務運用を分けて担うことで、販売提携を共同サービスへ進めています。
ただし、本格開始は計画です。今回の連携で実際に処理件数や顧客数が伸びたという成果までは確認できません。
例外処理を誰が引き受けるかが共同事業の採算を決める
業務を外部へ任せるとき、すべての顧客が同じ資料を同じ時期に提出するとは限りません。請求書が足りない、内容に確認が必要、締め切りが近いといった場合には、人による対応が残ります。標準的な処理が速くても、例外が多ければ運用費用は膨らみます。
イノベーション総研は、料金を決める前に、引き受ける業務と、顧客に残す作業を明確にすることが重要だと考えます。問い合わせ、訂正、判断が必要な案件の責任者を決めずに広げると、各社の得意分野の間に対応の空白ができます。
BPOの採算は、自動化できる処理だけでなく、例外対応の件数と責任分担で変わります。
顧客に任せきりを期待させながら、多くの作業を後から戻すと継続利用につながりません。逆に、何でも引き受ければサービス側の負担が増えます。境界の説明が事業の品質になります。
契約数より一社当たりの運用負担と継続を確かめる
地域金融機関の顧客接点は、初期の利用企業を見つける強みです。しかし、契約が増えることと、利益が積み上がることは別です。処理を増やすたびに同じ割合で人員が必要なら、規模が大きくなっても費用は下がりません。
担当者の方が共同サービスを設計するなら、導入後の一社当たりの処理時間、例外対応の割合、継続率を確認するとよいでしょう。これらは今回公表された実績ではなく、イノベーション総研が提案する評価指標です。共通の指標で三社が改善を判断できることも重要です。
BPOの拡大は、契約数と同時に、一社当たりの運用負担と継続率を見て判断します。
今後は、最初の対象業務、料金、導入企業の運用実績が観測点になります。共同事業を終了・縮小する場合に、顧客の業務を誰が引き継ぐかも、開始前に整理しておきたい論点です。
まとめ
三社連携の意味は、クラウドと販売網だけでなく、業務を実際に担う体制を組み合わせた点にあります。本格開始までに、引き受ける範囲と例外対応の責任を明確にできるかが重要です。契約数、運用負担、継続を合わせて見ると、提携の成果を判断できます。
執筆:イノベーション総合研究所
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共同サービスの役割と採算を考える
運用する業務、例外への対応、各社の責任を整理します。