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コクヨ、176億円の新滋賀配送センター着工 国内物流を再編

ニュースの要点

コクヨは2026年9月29日、滋賀県愛荘町の「(仮称)コクヨ新滋賀配送センター」の造成工事を、同月24日に始めたと発表しました。投資額は約176億円で、同社最大規模の物流拠点になります。

オフィス家具の需要に対応する、総額345億円の国内供給体制強化の一環です。供給の安定化と物流コストの削減を目的に、全国物流網の基幹機能を集約します。敷地は約6万6,000平方メートル、建物は地上2階建てで、トラックが2階へ直接入れるスロープを設けます。

竣工は2029年2月、稼働は同年9月の予定です。広い荷捌きスペースなどにより、積み降ろしを円滑にし、ドライバーの待機時間を減らす方針です。

ニュース出典: コクヨ/原題「176億円投資、コクヨ最大規模となる「(仮称)コクヨ新滋賀配送センター」造成工事着工」/公開日:2026年9月29日/公式配信の全文

イノベーション総研の考察

配送センターの建設は、新商品を発売するニュースではありません。ただし、事業を広げるときには、注文を取る力と同じくらい、約束した日に届ける力が必要です。イノベーション総研は、この投資を、需要拡大の前提となる供給能力を作り直す事例として捉えます。

売れる量と、届けられる量を同時に増やす投資

オフィス家具では、製品を保管するだけでなく、必要な場所へ運び、顧客の利用時期に間に合わせる必要があります。注文が増えても、出荷や積み込みで滞留すれば、納期が延びたり、追加の輸送費が発生したりします。倉庫の面積だけでは解けない問題です。

コクヨは物流網の再編と基幹機能の集約を示しています。需要に合わせて保管場所を増やすだけでなく、全国へ供給する流れを変えようとしていると読めます。ただし、どれだけ出荷能力が増えるのか、物流費が下がるのかは未公表で、建物の規模をそのまま事業効果に置き換えることはできません。

事業拡大では、受注能力だけでなく、納期と費用を守って届けられる能力へ投資する必要があります。

2階へ直接入る構造は、庫内だけでなくトラックの時間を変える

今回の施設には、トラックが2階へ直接入れるスロープと広い荷捌きスペースを設けます。これは、保管量に加え、車両が到着して積み降ろしを終えるまでの動線を考えた設計です。ドライバー不足への対応では、一台が拠点で待つ時間を減らすことも輸送能力に関係します。

もっとも、建物の構造だけで待機がなくなるわけではありません。車両の到着が集中したり、積み込む製品の準備が遅れたりすれば、広い場所でも待ち時間は発生します。実際の効果を見るには、入庫予約、出荷準備、積み込みの運用を含め、到着から出発までの時間を比較する必要があります。

物流設備の効果は、保管面積より、車両が待たずに荷物を受け渡せる運用まで含めて評価したいところです。

集約による効率化と、停止時の影響をセットで考える

物流機能を集めると、在庫や作業をまとめ、重複を減らせる可能性があります。主要道路へのアクセスも、拠点配置を考えるうえで重要です。一方、一つの拠点が担う範囲が広がるほど、災害やシステム障害で止まったときの影響も大きくなります。

発表は全国物流網の再編を示していますが、代替出荷の方法や在庫配分の詳細は明らかではありません。読者が同様の投資を考えるなら、平常時の物流費に加え、停止した場合にどこから出荷し直せるかを検討する必要があります。集約による節約分だけを計算すると、継続供給のために残す費用を見落とすおそれがあります。

拠点の集約は、通常時の効率化と、止まったときに供給を続ける方法を同時に考える投資です。

176億円の回収は、需要と稼働の前提を分けて見る

投資額176億円は配送センターの計画で、345億円は国内供給体制強化全体の金額です。この二つを足して新しい投資総額にしたり、センターの金額を全体計画と同じに扱ったりしてはいけません。何に使う資金なのかを分けることが、投資を評価する最初の条件です。

採算を見るなら、出荷量、輸送距離、作業負担、稼働率などの変化が必要です。需要が見込みを下回れば、改善した物流単価より固定費の負担が目立つ可能性があります。回収年数や需要予測の数値は未公表のため、今回の着工だけで投資の成功を断定することはできません。

大型設備投資では、需要が増える見込みと、増えなくても負担できる固定費を分けて検討する必要があります。

竣工と稼働の間に、物流網の切り替えがある

予定では2029年2月に建物が完成し、同年9月に稼働します。建物の完成と、事業としての運用開始は別です。設備、情報システム、作業手順などを整える工程は一般に必要ですが、この期間の具体的な作業内容は公表されていません。

今後は、建設進捗に加え、移す物流機能、供給の切り替え方、稼働後の待機時間や物流費を追いたいところです。AT&Tとコーニングの供給契約と比較すると、事業拡大を先に支える能力を確保する点は共通します。読者にとっても、販売目標だけでなく、それを実現する供給側の工程を計画する参考になります。

設備投資の完了は建物の完成ではなく、既存の供給を守りながら新しい運用へ切り替えられた時点です。

まとめ

コクヨの新拠点は、保管能力の増強と全国物流網の再編を組み合わせた投資です。今後は、稼働後の供給能力や待機時間、物流費がどう変わったかを確認し、設備の大きさではなく運用の成果で評価する必要があります。

拠点を既存ネットワークへ組み込む別の例として、日本郵便とKDDIのドローン拠点実証も参考になります。

執筆:イノベーション総合研究所

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