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イトーキ、上海に新拠点 家具販売から働き方の支援へ中国事業を転換
ニュースの要点
イトーキは2026年10月16日、中国・上海に「ITOKI DESIGN HOUSE SHANGHAI」を開設したと発表しました。家具の製造販売から企業の働き方を考える「ワークスタイルデザイン」へ広げ、経営や組織の課題を解くことを目指します。
新拠点は、現地従業員が実際に働きながら、顧客へ空間の使い方を示すワーキングショールームです。経営者への聞き取り、従業員調査、ワークショップを通じて課題を把握し、オフィスの設計・施工、家具、運用まで支援する方針です。
日本で培った支援手法と中国の事業基盤を組み合わせ、家具を納める前後の課題にも関わります。ただし、サービスの契約主体は現地の法規制や資格要件などに応じて異なる場合があります。中国事業の料金や売上・利益目標は公表していません。
ニュース出典:イトーキ:イトーキ、中国事業の拡大で上海に新拠点、家具の製造販売から高付加価値のワークスタイルデザインへ事業転換(2026年10月16日)
イノベーション総研の考察
今回の変化は、上海の展示面積を広げたことだけではありません。家具を選ぶ場から、「その会社はどう働きたいのか」を相談する場へ変えています。製品の輸出に加えて、課題を見つけ、導入後も関わるサービスを海外へ広げる動きです。
家具の選定より前にある、経営と働き方の課題へ入る
椅子や机を買うことと、従業員が働きやすい環境をつくることは同じではありません。席数が足りないのか、部署間の対話が少ないのか、集中する場所がないのかによって、必要な空間は変わります。
原典は、経営者との対話や従業員調査を起点に、設計から運用までを支援すると説明しています。製品の仕様が決まってから見積もるのではなく、何を解くために投資するかという早い段階から関わる方針です。
製品販売をサービスへ広げる入り口は、購入する前に顧客が決められずにいることです。
この位置に入れれば、家具だけでは解けない課題も見つけられます。一方、相談を受ける範囲が広がるため、どこまでを有料で支援し、どこから専門会社へつなぐかを明確にする必要があります。
日本の成功した空間を、そのまま再現する事業ではない
イトーキは日本で、実際に従業員が働く拠点を顧客へ見せてきました。2026年6月の東京拠点の刷新では、働き方のデータを踏まえて空間の使い方を見直したと説明しています。
今回も自社の働く場所を見せる仕組みを採用しますが、日本と中国で同じ家具配置をすれば同じ成果が出るとは言えません。職種、組織、出社の運用、経営者が重視するものが異なれば、適した空間も違います。
海外へ移すのは完成したレイアウトではなく、課題を調べ、試し、直すための進め方です。
自社で試していることを示せるのは、提案への理解を助ける材料になります。ただし、国内の従業員調査や業績の変化を、上海の顧客にも起きる効果として扱うことはできません。現地の導入前後で別に確かめる必要があります。
ワーキングショールームは、使った後の提案も見せられる
一般の展示では、完成時点の見栄えや製品の仕様を示せます。実際に働く場所であれば、席の選び方、会議の運用、使われなくなった場所など、導入後に起きることも話題にできます。
例えば、よく使う席と使わない席が分かれた場合、家具の問題なのか、予約方法やチームの動き方の問題なのかを考えられます。今回の原典が掲げる運用支援は、こうした導入後の見直しと相性のよい領域です。
使いながら見せる拠点は、製品の展示に加え、導入後も改善できることを伝える場になります。
一方、自社で使える方法が顧客でも使えるとは限りません。顧客ごとの制約を調べず、自社拠点を唯一の正解として押し付ければ、相談型の事業にはなりません。新拠点は成果の証明ではなく、顧客との検討を始める手段として評価すべきです。
付加価値が増えても、個別対応の費用が増え過ぎないか
調査、設計、施工、家具、運用をつなぐと、顧客へ提供できる価値は広がります。その一方、顧客ごとの会議や調整が多くなれば、案件が増えても担当者の時間が同じように増える可能性があります。
原典は、現地の法規制や資格によって契約主体が異なる場合があるとも注記しています。相談の窓口をまとめることと、すべての責任を一社が引き受けることは別です。見積もりと契約の段階で、誰が何を提供するかを確認する必要があります。
製品販売から継続支援へ広げる際は、売上だけでなく、調査・調整・運用にかかる工数も測ります。
自社への転用では、共通化できる調査手順と顧客ごとに変える提案を分けます。次に追うのは、上海での受注事例、継続支援の内容、現地での効果と採算です。拠点の開設だけで、事業転換が完了したとは判断できません。
まとめ
イトーキの上海拠点は、製品を見せるだけでなく、顧客の働き方の課題を見つける入り口になります。読者への示唆は、製品の前後にある顧客の仕事まで提供範囲を広げることです。海外展開では、国内の成功をそのまま移すのではなく、現地で調べて直す仕組みと、個別対応を含む採算を確認します。
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