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ネクソン、「デイヴ・ザ・ダイバー」をモバイル展開
ニュースの要点
ネクソンは2026年9月17日、連結子会社MINTROCKETが開発するゲーム「デイヴ・ザ・ダイバー」のiOS版とAndroid版を配信開始しました。発表された本編の通常価格は1,500円で、9月17〜30日は割引販売を行います。販売は、序盤を無料で遊び、製品版をアプリ内で購入する方式です。なお、同作はPCや家庭用ゲーム機で展開し、全プラットフォームの累計販売本数が1,000万本を超えています。
モバイル版では、スマートフォン向けに画面と操作を最適化し、3段階の表示拡大、魚人族の村にいる登場人物への直接移動、端末を傾けてお茶を注ぐ操作などを追加しました。既存の追加コンテンツにも対応し、最新の有料追加コンテンツは別途購入できます。
ネクソンは既存IPを新しい利用場面へ広げるため、モバイル端末で利用者と追加販売の機会を増やします。ただし、モバイル版の販売目標、予約数、開発費、既存機種からの購入割合、追加コンテンツの購入率は公表していません。
ニュース出典:『デイヴ・ザ・ダイバー』、iOS/Android向けに本日より配信開始!(ネクソン、2026年9月17日)
イノベーション総研の考察
ネクソンのモバイル展開は、新作を一から作るのではなく、累計1,000万本を販売した既存作品を別の利用場面へ広げるものです。認知された作品を使うため、新規顧客へ内容を説明する負担を下げながら、スマートフォン利用者へ接点を増やせます。
一方、PCや家庭用ゲーム機とスマートフォンでは、画面の大きさ、操作方法、一回の利用時間、支払い方が違います。成功の条件は移植(別の機種向けに作り直すこと)したことではなく、モバイルで遊び続けられる体験へ作り直し、1,500円の購入と追加コンテンツへつなげることです。
累計1,000万本の既存IPを、新しい端末の顧客へ届ける
新しいゲームを発売する場合、内容や遊び方を知ってもらい、購入を促すまでに大きな宣伝費が必要です。その点、「デイヴ・ザ・ダイバー」はすでにPCや家庭用ゲーム機で1,000万本を販売し、作品名や評価が蓄積されています。ただし、1,000万本は全機種の累計販売規模であり、重複を除いた利用者数やモバイル版の販売数ではありません。それでも、モバイル版は既存の知名度と利用者の口コミを使えます。
また、以前遊んだ利用者が、外出先や別の端末でもう一度購入する可能性があります。ただし、既存利用者の買い直しだけでは市場は広がりません。家庭用ゲーム機を持たない利用者や、短時間で遊ぶ層へ届くかが成長の条件です。
累計1,000万本の実績は、モバイル版が作品説明と信頼獲得に使う顧客獲得資産になります。
モバイル向けの操作変更が遊びやすさにつながるか
スマートフォンでは、物理的なボタンがなく、画面上の操作が表示領域を狭めます。そこでネクソンは、画面の拡大率、魚人族の村にいる登場人物への直接移動、端末の傾きを使う操作を追加しました。つまり、元の操作をそのまま再現するのではなく、モバイルの画面と操作に合わせています。ただし、短い時間でも遊びやすくなるかは、こうした変更から考えられる効果で、実測結果は発表されていません。
魚人族の村の登場人物への直接移動は、その場所で移動に使う時間を減らせます。ゲーム内のどこでも自由に移動できる機能ではありません。一方、操作を単純化しすぎると探索の面白さを損なう可能性があります。継続率(一定期間後も遊び続けている利用者の割合)や一回当たりの利用時間を見ながら調整する必要があります。
新しい端末への展開では機能を同じにするより、その端末で利用しにくい待ち時間と操作を減らすことが重要です。
無料体験から1,500円の製品版へ進む理由を作る
本作も序盤は無料で体験できます。開発元が掲載したApp Storeの説明では、製品版を購入して本編を進める仕組みです。そのため、無料ダウンロードと、本編全体が無料で遊べることは区別します。また、売上を見る際も、ダウンロード数と製品版の購入数を分ける必要があります。
一方、無料ゲームと並ぶ売り場では、購入前に価値を伝えなければなりません。たとえば、期間限定の割引は初期販売を増やしますが、値引き終了後も購入が続くかを確認する必要があります。また、追加コンテンツを別売りするため、本編購入後の満足度が次の売上に影響します。
買い切りモデル(一度購入すれば遊べる販売方式)は既存IP(作品などの知的財産)の信頼を売上へ変える方法であり、無料ゲームとは課金体験の違いで競争します。
有料転換率と追加購入率がIP拡張の再現性を示す
担当者の方が既存商品を新しい販売経路へ広げる場合、既存顧客の買い直しと新規顧客の獲得を分けて測る必要があります。無料体験、製品版購入、追加コンテンツ購入を分けて、どこで進まなくなるかを確認します。例えば製品版の購入率なら、同じ時期に体験を始め、同じ観測期間を確保した利用者を分母にします。
ネクソンについては、モバイル版の販売本数、地域別構成、割引終了後の販売速度、30日後の継続率、追加コンテンツ購入率が重要です。買い切り作品では、本編を遊び終えて利用が減った場合と、不具合や不満で途中離脱した場合を分けます。さらに、既存機種からの購入の置き換えがあっても、全機種合計で増えた収益から移植・運用・販売の追加費用を引いて評価します。つまり、新規顧客数や30日後の継続率だけで、横展開の成功を決めないことが重要です。
モバイル展開の成功は配信数ではなく、有料購入後の継続率と追加コンテンツ購入率で判断できます。
この分野の市場構造と参入の考え方は、知的財産(IP)ビジネスは「作る」だけではないで詳しく整理しています。
まとめ
ネクソンは累計1,000万本を販売した「デイヴ・ザ・ダイバー」をiOSとAndroidへ広げました。既存IPの認知を使いながら、操作や移動をモバイル向けに作り直しています。今後は、割引終了後の販売、有料購入後の継続率、追加コンテンツ購入率、新規利用者の割合を確認する必要があります。
執筆:イノベーション総合研究所
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