新規事業の立ち上げ・事業化を支援するプロフェッショナルファーム

東京ガス・出光・みずほ、JCMクレジット創出で協業

ニュースの要点

東京ガス、出光興産、みずほ銀行は2026年10月19日、二国間クレジット制度(JCM)に基づくクレジットの創出に向け、協業の運営協定を締結したと発表しました。

海外の脱炭素プロジェクトについて、発掘・評価から事業開発、契約までの流れを標準化する方針です。2028年頃からのクレジット創出を見据え、東南アジアを候補の一つとして協議を始めました。具体的な案件や投資額、創出量は今回公表していません。

クレジットの安定供給という課題に対応するため、3社の事業開発、金融、脱炭素分野の知見を持ち寄ります。案件の探索から契約までを一体で進め、将来の創出拡大を目指す取り組みです。

ニュース出典:東京ガス、出光興産、みずほ銀行JCMクレジット創出に向けたアライアンスを形成(発表主体の公式発表、2026年10月19日)。ニュース部分は原文の転載ではなく、内容に基づく要約です。

イノベーション総研の考察

なぜクレジットの購入ではなく、創出に取り組むのか

JCMは、海外の脱炭素事業による温室効果ガスの削減・吸収を両国で評価する仕組みです。今回の3社は、需要に対して創出量が限られ、継続的な供給が課題だと説明しています。既存のクレジットを調達するだけでなく、供給の元になる事業をつくる取り組みです。

調達したい顧客がいても、供給できる案件が不足しているなら、事業機会は売買の前段階にあります。

ただし、設備を建設しただけで想定どおりのクレジットが得られるとは限りません。削減量の測定や確認、関係国の手続きなど、事業開始から価値を利用できるまでに複数の段階があります。今回も、創出実績ではなく協業の枠組みを発表した段階です。

エネルギーと金融を組み合わせる理由

発表では、3社の事業開発、ファイナンス、カーボンクレジットの知見やネットワークを持ち寄るとしています。現地の案件が技術的に成立しても、資金や販売先が決まらなければ事業化は進みません。

案件を探す人、実行する人、資金と需要をつなぐ人を、早い段階から組み合わせることに意味があります。

今回、探索から契約までを標準化する方針も示されました。案件ごとに手順を作り直す負担を減らす狙いと読めます。一方で、個別案件の出資者、購入保証、損失負担などは未公表です。3社が組んだことと、資金や売り先が確約されたことは区別すべきです。

2028年の目標と、今確定していることを分ける

クレジット創出の時期は2028年頃を見据えたものです。東南アジアも候補の一つで、対象地域や方法論を限定しないとしています。したがって、特定国の事業が受注済み、特定量を販売できるというニュースではありません。

数年先の需要を狙う事業では、需要予測、案件の進捗、制度上の扱いを別々に確認する必要があります。

3社はGX-ETSでの活用を見込むと説明していますが、本記事は個別クレジットの制度適合や利用可能性を保証するものではありません。対象案件が具体化した時点で、最新の制度と契約条件を確認することが前提になります。

自社で先に決めたいのは、買い手が必要とする条件

脱炭素事業を検討する際、削減技術から出発すると、作った価値の買い手を後から探すことがあります。今回の協業は、実需を捉えて案件を開発する方針です。量だけでなく、必要な時期、品質や利用条件、価格を顧客側から確認することが重要です。

顧客が必要とする条件を先に定めると、開発すべき案件と引き受けるリスクを絞れます。

次の観測点は、対象国・技術、購入者、資金調達、創出量の見通しが具体化するかです。自社が参加するなら、技術提供、現地開発、資金、購入のどの役割を担うのかを分けると、提携の議論を進めやすくなります。

担当者の方が参加を検討するなら、創出が遅れた場合や想定量に届かなかった場合に、誰がどの費用を負担するかまで議論する必要があります。制度の変更、設備の不具合、現地の運用など、異なる原因を一つの不確実性として扱うと、契約条件を決めにくくなるためです。

また、複数案件を束ねることで安定供給を目指す場合でも、似たリスクの案件だけを集めれば、同時に遅れる可能性があります。供給時期と需要家の調達期限を合わせ、代替手段を確保できるかを確認すると、技術の有望さだけでは見えない事業上の課題が明らかになります。

共同で進める案件と中止する案件を、誰がどの基準で判断するかも明確にしたいところです。

まとめ

3社はクレジットを継続的に供給する案件づくりへ協業範囲を広げます。現時点では開発の枠組みであり、創出量や採算の確定ではありません。新規事業では、需要、開発、金融を早期に結び付け、誰がどのリスクを担うかを明確にする事例として参考になります。

ARTICLE INFORMATION

この記事の執筆

執筆:イノベーション総合研究所

CONTACT

お問い合わせ

脱炭素プロジェクトの協業を検討する方へ

買い手、開発者、資金提供者の役割を分け、成立までの条件を整理します。

この記事をシェアする