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住友商事・阪急電鉄、マニラの鉄道で未利用電力の活用を実証へ
ニュースの要点
住友商事と阪急電鉄は2026年10月19日、現地運営会社LRMCと、フィリピン・マニラ首都圏の都市鉄道LRT1号線で省エネルギーの実証事業を行うと発表しました。
電車が減速する時に生まれる回生電力のうち、使われず失われている分を駅設備へ供給する装置などを導入します。変電所の送出電圧の最適化、車両制御ソフトウェアの改修も組み合わせる計画です。現在失われる回生電力の約半数を活用できる見込みとしていますが、削減効果の実測結果ではありません。
鉄道の電力消費を減らすための取り組みで、阪急電鉄が受託したJICA技術協力の実測・分析を土台にしています。住友商事が機器提供と全体管理、阪急電鉄が技術支援を担います。
ニュース出典:フィリピン・マニラのLRT1号線で回生失効低減による省エネ化実証事業を開始 ~未利用の回生電力を有効活用し、電力消費削減とモーダルシフトを目指す~(発表主体の公式発表、2026年10月19日)。ニュース部分は原文の転載ではなく、内容に基づく要約です。
イノベーション総研の考察
回生電力は、発生すれば必ず使えるわけではない
電車はブレーキをかける時、動くエネルギーを電気へ戻せます。その電気を近くの別の電車が使えれば省エネになりますが、受け取る電車がいない場合などは余り、活用できないことがあります。今回の取り組みは、この失われていた電力を対象にしています。
新しく発電するのではなく、すでに生まれている電力の使い先を増やすことで、路線の運営費を減らす狙いです。
発表は、フィリピンの電力単価の高さを背景に挙げています。同じ設備でも電気料金や運行条件によって投資の効果は異なります。日本で有効な仕組みをそのまま売るのではなく、現地で何が損失になっているかを確認する必要があります。
JICA技術協力の実測が、次の事業の入口になった
今回の実証は、阪急電鉄が受託したJICA技術協力での実測・分析に基づくと説明されています。先に路線の状態を把握し、未利用電力があることを確認したうえで、機器と運用の改善を組み合わせています。
現地の課題を調べる活動が、導入すべき設備と運用を絞るための事業開発につながっています。
住友商事は機器の提供と取りまとめ、阪急電鉄は導入・効果検証の技術支援を担います。運営者LRMCも参加するため、単独の装置試験ではなく、路線の運行に接続する実証です。ただし日々の運行を変える条件や設備維持の詳細は未公表です。
「約半数を活用」の分母を間違えない
発表が示す見込みは、現在失われている回生電力の約半数を活用するというものです。鉄道が使う電力全体の半分を削減する意味ではありません。回生電力のうち失われる量と、路線の消費電力量は別の数値です。
削減率を見るときは、何に対する割合かと、実測か見込みかを必ず分けます。
実証後には、装置の電力消費や維持費、ダイヤの違いも含めて収支を比較する必要があります。省エネで生まれた資金を駅や車両サービスへ再投資する構想もありますが、実際にどれだけ再投資できるかは、電力削減の結果が出てからの判断になります。
海外展開では、効果を生む現地条件まで商品にする
両社は東南アジアへの展開も視野に入れています。しかし、別の路線では電車の間隔、電源設備、駅の需要、料金が違います。一つの路線の成果だけで、同じ回収期間や削減効果を約束することはできません。
横展開する際は機器だけでなく、実測、効果計算、運用変更までを再現できる形にすることが重要です。
自社の省エネ事業でも、導入費の提示より前に、顧客が確認すべき損失と判断に使うデータを定めると提案の精度が上がります。今回の次の観測点は、実測削減量、設備費、保守負担、投資回収の条件が公表されるかです。
担当者の方が次の導入へ進む判断基準を置くなら、実証前後を同じ条件にそろえることが重要です。運行本数や車両編成、駅設備の稼働が違う日の電力量をそのまま比べると、装置の効果以外の変化を含んでしまいます。
機器の追加と車両制御の変更を組み合わせる場合には、どの施策がどの効果を生むかも分けたいところです。すべてを一度に入れるより、路線の条件に応じて必要な部分だけを提案できれば、導入費を抑えられる可能性があります。顧客が支払える投資額と、削減できる費用の幅を示せるかが、実証から契約へ進む論点になります。
まとめ
LRT1号線の実証は、既存路線で失われる回生電力を設備と運用の両面から活用する計画です。約半数という数字は未利用の回生電力に対する見込みであり、消費電力全体の削減率ではありません。現地の実測から事業機会を絞る進め方が参考になります。
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