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東急パワーサプライ、家庭用蓄電池457台を一括制御し需給ひっ迫に対応

ニュースの要点

東急パワーサプライは2026年10月23日、家庭用蓄電池「てるまるでんち」457台を遠隔制御し、21日の電力需給ひっ迫時に放電したと発表しました。15時から19時30分に、最大199kWの放電電力と累計787.5kWhの放電電力量を記録したとしています。

東京都の補助事業を活用するプロジェクトで、接続済みの家庭用蓄電池をまとめて制御しました。蓄電池から家庭へ電気を供給することで、電力網から購入する需要を抑える「下げDR(需要抑制)」の取り組みです。

同社は普段から需給状況や価格に応じて充放電を自動制御しています。今回の目的は電力網の安定化であり、市場取引を目的とした運用ではありません。事業全体の採算や家庭別の削減効果は公表していません。

ニュース出典: 東急パワーサプライ「家庭用蓄電池「てるまるでんち」457台の群制御で電力需給ひっ迫に対応し、累計787.5kWhの需要抑制“下げDR”を実施」(2026年10月23日)


イノベーション総研の考察

家庭用の設備をまとめて動かせれば、停電への備えと電力網への貢献を両立できる可能性があります。今回考えたいのは、設置台数を増やすことと、必要な時間に実際に動かせる能力を増やすことの違いです。

457台という数より、必要な時間に放電できたことを見る

家庭用蓄電池は、一軒ごとの電気代や停電対策のために導入されます。しかし、設置済みでも通信が切れていたり、残量が少なかったりすれば、事業者の指示どおりに動かせるとは限りません。設備の普及と、複数の設備をまとめて使う運用には別の検証が要ります。

分散した設備の価値は、台数だけでなく必要な時間に動かせる量で測ります。

発表が示した457台は遠隔制御下の台数であり、個々の放電量が同じだったことを示す数字ではありません。最大199kWはその時間の出力、787.5kWhは対象時間を通じた電力量です。両者を区別すると、「瞬間的にどこまで支えたか」と「どれだけ長く支えたか」を別々に評価できます。

無償貸与と電力小売を組み合わせ、制御の接点をつくる

プロジェクトの案内では、東京都の補助金を活用し、同社が保有する蓄電池を家庭に設置する仕組みを説明しています。機器を売って終わる形と異なり、小売電気サービスと日々の充放電制御を継続的に提供する設計です。

家庭との継続的な契約が、設置後も設備を制御する接点になります。

この組み合わせからは、事業者が設備の利用状態を把握し、需給に応じて運用する関係をつくろうとしていると読めます。ただし、家庭の便益と電力網への貢献が常に一致するとは限りません。停電への備えとして残したい電気と、需給ひっ迫時に使いたい電気が競合する場合の優先順位も、事業設計の論点です。

下げDRの実績を、市場収益の証明へ置き換えない

今回確認できたのは、21日の対象時間帯に放電を行ったという運用実績です。発表は市場取引が目的ではないと明記しており、取引収入や利益を得た事例として紹介することはできません。一般家庭の使用量への換算だけでも、事業採算は判断できません。

電力網への貢献を確認できても、そのまま商用収益が成立したとは言えません。

今後の事業性を考えるなら、機器の保有・保守、通信、制御の費用を誰が負担し、家庭と事業者がどの便益を得るかを確かめる必要があります。補助金は導入の負担を下げても、その後の運用費まで自動的に回収する仕組みではありません。これらの費用や収益の詳細は、今回の発表からは分かりません。

一日の制御を、異なる条件でも繰り返せるか

需給ひっ迫への対応は、平常時の制御が動くこととは別の証拠になります。一方、一日の速報だけでは、気温、家庭の使用状況、蓄電池の残量が異なる条件でも同じ能力を得られるとは言えません。接続台数の増加だけを成果指標にすると、この違いを見失います。

次の投資判断には、放電の再現性と家庭の備えを両方確かめる必要があります。

担当者の方が同様の事業を検討する場合は、次の制御期間を決め、指示した台数、実際に応答した台数、時間帯別の出力を対応させて記録する方法が考えられます。停電への備えを残す条件や、通信障害時の対応も併せて確認します。これは自社で検証する際の例であり、同社が公表した判定基準ではありません。

規模拡大の判断は、一台当たりの対応負担まで含める

設備が増えるほど利用できる電力量は増え得ますが、故障、交換、通信状態の確認、家庭からの問い合わせも増えます。各家庭の条件が違うまま個別対応を重ねると、制御で得る便益に運用費が追い付かない可能性があります。

拡大を判断する際は、追加した設備の貢献と対応費用を一緒に追います。

次に確認したいのは、別の日の制御結果、接続台数が増えた際の応答状況、保守や問い合わせを含む運用の説明です。今回の実績は分散設備を動かす一つの証拠ですが、安定供給への寄与量、顧客満足、事業収益のすべてを証明したものではありません。技術の作動から継続運用へ、判断を一段ずつ進める事例として捉えられます。

まとめ

東急パワーサプライは、家庭用蓄電池を需給ひっ迫時にまとめて動かした実績を示しました。持ち帰るべき点は、設置台数と使える能力を分けることです。市場収益を補って解釈せず、異なる条件での再現性、家庭の備え、継続運用費を次の判断材料にします。

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この記事の執筆

執筆:イノベーション総合研究所

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