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豊田通商と東邦ガス、ブラジルのバイオガス実証が補助事業に採択
ニュースの要点
豊田通商と東邦ガスは2026年10月23日、ブラジルでのサトウキビ残渣由来バイオガス製造実証が、経済産業省のグローバルサウス向け補助事業に採択されたと発表しました。両社は準備を進め、2028年7月の実証開始を目指します。
現地パートナーが持つ砂糖・エタノール工場の敷地内に実証プラントを建設する計画です。未利用の残渣を回収し、前処理と発酵を経てガスをつくります。1日5,000m³規模の実証運転で、大規模生産に必要な条件やデータを集めます。
両社は今後、みずほ銀行などとブラジルに特定目的会社を設立し、2030年1月頃まで実証する予定です。現地のモビリティ燃料需要を見据え、将来の日本向け輸出も視野に入れています。補助額、販売価格、購入契約は公表していません。
ニュース出典: 豊田通商・東邦ガス「経済産業省の令和7年度補正「グローバルサウス未来志向型 共創等事業(大型実証 非ASEAN加盟国)」に採択 ~ブラジルでのサトウキビ残渣由来のバイオガス生産実証~」(2026年10月23日)
イノベーション総研の考察
農産物の残りから燃料をつくる事業では、発酵の技術だけでなく、原料を集めて使える状態にする工程が収益を左右します。今回の発表を、未利用資源の量と、継続して販売できる量の間を検証する計画として読みます。
未利用の残渣は、そのまま安定した燃料原料にはならない
バイオガスは有機物を発酵させて得るガスです。原料が工場の近くにあることは利点になり得ますが、使うための回収、保管、前処理に手間がかかれば、原料の価値だけで事業性を説明できません。「余っているから安い」という仮定のまま生産設備へ投資するのは危険です。
未利用資源を事業に変えるには、回収から発酵までを一続きで確かめます。
今回の計画が回収、前処理、発酵の一連の工程を対象にしている点は、この問題に対応しています。工場敷地内で実証するため、原料の発生地点と設備を結び付けて運転条件を確認できます。ただし、具体的な工場名や原料の季節変動、回収費用は発表されておらず、安定供給が確立したとまでは言えません。
共同開発の検討から、大規模生産の条件を測る段階へ
両社はすでにブラジルのパートナーと共同開発契約を結び、実証プラントの建設・運営を検討してきたと説明しています。今回の新しい動きは補助事業への採択です。日量5,000m³は、これから実証する規模であって、現在の生産実績ではありません。
補助事業への採択は、商業生産を決めたこととは区別して捉えます。
豊田通商は成長市場での生産・供給モデル、東邦ガスは供給エネルギーの低炭素化という狙いを示しています。その組み合わせは確認できますが、両社と現地パートナーの詳細な知財や業務分担は非公表です。特定目的会社も今後設立する予定であり、出資条件や経営の権限を推測で埋めることはできません。
補助金は、採算を測る費用と商用時の費用を分けて扱う
補助事業は大型実証の費用の一部を支援する仕組みです。実証の負担を抑えて運転データを集めやすくする一方、商用化した後も同じ支援を受けられるかは別問題になります。採択されたことを需要や採算の保証とみなすと、実証終了時の判断が曖昧になります。
実証で得る運転データを、補助のない商用条件の費用へつなぎ直します。
担当者の方が同様の事業を検討するなら、原料回収、前処理、運転、保守にかかる費用を分け、販売できたガス量に対応させる方法が考えられます。技術が動いても、前処理に想定以上の人手や電力が必要なら、設備拡大より工程の修正を優先する判断になります。これは自社検証の例であり、今回の計画の費用や中止基準が明らかになったわけではありません。
ブラジルの燃料販売と日本向け輸出は、別の事業仮説
両社が直近で見据えるのはブラジル国内のモビリティ燃料向け需要です。日本向け輸出は将来の視野として示されています。生産地に近い需要家へ供給する場合と、国をまたいで運ぶ場合では、追加工程、輸送、受入先の条件が変わります。
現地で売れる条件と、日本へ届けて売れる条件を一つにまとめないことが重要です。
現地販売が成立しても、輸出の供給網や購入条件まで成立したことにはなりません。反対に、輸出の準備が整わなくても現地市場だけで事業を組める可能性はあります。現地需要の確認と輸出の追加費用を分けておけば、一方の遅れによってもう一方の判断を不必要に止めずに済みます。
2030年の実証終了までに、拡大できる工程を特定する
2028年7月の開始と2030年1月頃までという期間は予定です。その間に得るべきものを、累計の生産量だけにすると、別の工場へ展開できる条件が見えにくくなります。生産量が増えても、現場ごとに大幅な設計変更が必要なら、同じ方法で拡大できるとは限りません。
横展開を判断するには、共通化できる工程と工場ごとの制約を分けます。
次に確認したいのは、特定目的会社の設立と役割、プラントの着工・運転開始、実際の運転条件、燃料を引き取る顧客の具体化です。ガスの生産ができるか、継続供給できるか、顧客が対価を払うかを段階別に見ることで、設備を増やす前に修正すべき箇所を選べます。大きな資源量を、そのまま大きな事業機会とみなさないための検証計画です。
まとめ
豊田通商と東邦ガスの計画は、サトウキビ残渣からの大規模生産条件を調べる実証です。採択、設備建設、生産、販売は別の段階です。回収と前処理を含む費用、補助終了後の採算、現地販売と輸出の条件を分けて追うことが、次の投資判断につながります。
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