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オープンイノベーションとは?3つの型・事例・進め方を解説

オープンイノベーションとは、社内外の技術や知識を活用して、新しい製品・サービスや事業を生む考え方です。

社外の技術を取り込むだけでなく、自社の技術を他社に使ってもらう方法も含みます。大企業とスタートアップの共同開発は、その一例です。大切なのは、外部と組む目的と、成果を事業に使う条件を先に決めることです。

「連携先は見つかったが、何を一緒に進めるか決まらない」「実証実験の後に止まってしまう」。こうした事態を避けるには、相手探しと同時に、自社の役割や判断基準を整える必要があります。

この記事では、基本的な意味と3つの型、ダイキンの公開事例を紹介し、始め方を7つの手順で解説します。担当者が最初の打ち合わせで何を確認すべきかまで、具体的に整理します。

この記事のポイント

  • オープンイノベーションは、社外の知識を取り込むことと、自社の知識を社外で生かすことを含む
  • 外注や業務提携と重なる場合があり、契約名だけで区別するものではない
  • 連携先を探す前に、解決したい課題、自社の提供資源、必要な能力を整理する
  • 実証実験の結果に加え、顧客が使う条件と事業化後の担当を確認する

目次

オープンイノベーションとは、社内外の知識で新しい価値を生むこと

オープンイノベーションは、自社だけで研究・開発・事業化を完結させず、社外の技術やアイデアも使う考え方です。自社で使い切れていない技術を、他社の商品や別の市場で生かすことも含みます。

ヘンリー・チェスブロウが2003年に提唱した概念として知られています。OECDの『Oslo Manual 2018』も、組織の境界を越えて知識を取り入れたり、外へ出したりする活動として整理しています。

たとえば、自社に材料技術があっても、医療現場の知識や製品化の経験がなければ、用途を見つけるのは容易ではありません。現場を知る企業や研究機関と組み、誰のどんな問題を解決できるかを確かめる方法があります。これは仕組みを説明するための例です。

イノベーション総研では、この考え方を実務に落とし込む際、何を社外から補い、得た成果を誰が使うかを最初の確認点にしています。提携先が増えても、製品や事業へつなぐ担当がいなければ活用が止まるためです。

「オープン」は、すべての情報を無料で公開する意味ではない

必要なのは、目的に合った相手に、必要な情報を使える条件で渡すことです。無制限の公開や無償提供を意味するわけではありません。秘密保持、利用範囲、対価を定めた技術ライセンスも選択肢になります。

まず、自社の技術・データ・顧客接点のうち、共有できるものと守るものを分けてください。外部の力を使うことと、自社の競争力を守ることは、両立させて設計します。

クローズドイノベーション・外注・業務提携とは、何が違うのか

クローズドイノベーションは、主に社内の資源で開発から事業化まで進める考え方です。一方、外注や業務提携は仕事の頼み方・企業間の関係を表すため、オープンイノベーションと重なることがあります。

これらを別々の分類として、どれか一つに当てはめる必要はありません。オープンイノベーションを実現する手段として、外部への開発委託や業務提携を使う場合もあります。

開発の考え方と、社外との関係を表す言葉の違い
言葉 何を表すか 実務での見方
オープンイノベーション 社内外の技術・知識を活用して新しい価値を生む考え方 外部から得るものと、自社から提供するものを見る
クローズドイノベーション 主に社内の資源で開発・事業化を進める考え方 必要な能力を自社でそろえられるかを見る
外注・開発委託 特定の仕事や成果物を外部に依頼する方法 外部の技術・知見を取り込む手段にもなる
業務提携 独立した企業同士が協力する関係 共同開発や新市場開拓なら、オープンイノベーションと重なる場合がある

経済産業省は2025年に、スタートアップの製品・サービスの調達を通じた協業を扱う「共創パートナーシップ 調達・購買ガイドライン」を公表しています。「購入だから対象外」「共同研究でなければ該当しない」と狭く捉える必要はありません。

イノベーション総研として重視するのは呼び名よりも、今回の目的に合う関わり方です。仕様が固まった仕事なら成果物と受入基準を明確にして委託し、解き方を探す必要があれば、途中で計画を見直せる共同検証を設計します。

社内に必要な能力がそろい、外部との調整や情報開示の負担が大きいなら、自社で進める方が適した案件もあります。なお、新規事業は新しい価値と収益の仕組みを作る取り組みで、オープンイノベーションはその実現方法の一つです。既存事業の改善にも使えます。

オープンイノベーションの3つの型は、知識が動く方向で分かれる

基本的な型は、社外から取り込む「インバウンド型」、社外へ出す「アウトバウンド型」、互いに持ち寄る「双方向型」です。自社に何があり、何が足りないかを整理すると、選ぶ方向が見えてきます。

1. インバウンド型:社外の技術や知見を自社に取り込む

社外にある技術やノウハウを、自社の製品・サービスに生かす型です。他社技術のライセンス導入、研究開発の委託、外部の専門家との連携などが方法になります。

たとえば、設備メーカーが他社の画像認識技術を使い、自社製品に検査機能を加える場面です。重要なのは技術を見つけることだけでなく、自社の設備で動くかを評価し、保守できる状態まで持っていくことです。社内の評価担当と運用担当を決めてから候補を比べます。

2. アウトバウンド型:自社の技術や知識を社外で生かす

自社の技術・特許・アイデアを他社が使い、新たな用途や市場につなげる型です。技術の利用許諾や移転などが当てはまります。自社で製造・販売まで抱えない選択もできます。

たとえば、自社製品には使わない加工技術を、別業界のメーカーへ提供する場面です。特許の一覧だけでは相手は判断しにくいため、「何の性能を改善できるか」「利用に必要な設備や条件は何か」を示します。収益の得方も、利用料にするか、市場の拡大を狙うかで変わります。

3. 双方向型:双方の強みを持ち寄り、共同で開発する

互いに技術や知識を出し合い、同じ課題に取り組む型です。大学との共同研究、企業同士の共同開発、複数組織が参加する共同事業などがあります。

たとえば、メーカーが設備と現場データを提供し、スタートアップが解析技術を提供して、保守サービスを共同で検証する場面です。相手に求めることだけでなく、自社が出せる人員・時間・設備も明確にします。ここで挙げた例は、型の違いを説明するための想定例で、実在企業の実績ではありません。

一つの案件でも、技術導入から始めて共同開発へ進むなど、型を組み合わせられます。 契約相手の属性だけで決めず、実際にどの知識を誰が使うかで整理してください。

オープンイノベーションのメリットは、追加の負担と合わせて判断する

主なメリットは、自社にない技術を使えること、開発の選択肢が広がること、自社の技術を別の市場へ展開できることです。ただし、連携すれば必ず速く、安く進むわけではありません。

開発を速められる一方、評価・調整の仕事は増える

すでにある外部技術を使えれば、ゼロから開発する工程を省ける可能性があります。一方で、技術の適合確認、データの準備、契約、相手との日程調整には時間がかかります。

比較するときは、外部への支払いだけでなく、社内担当者の工数や導入後の保守まで含めます。「どの工程を短くできるか」を一つずつ確認すれば、速くなるという期待と実際の計画を分けられます。

新しい用途を探せる一方、相手との目的の違いを調整する必要がある

異なる業界の顧客知識や販売経路に触れることで、自社では気づかなかった用途が見つかる可能性があります。ただし、研究成果を出したい大学、早く売上を得たい企業、長期で技術を育てたい企業では、重視する成果や時間軸が違います。

違いをなくす必要はありません。「今回は何を共通の成果にするか」を決めることが重要です。共同検証の結果を、相手は研究に、自社は製品化判断に使うなど、成果の使い道が異なる場合もあります。

課題・共有範囲・社内担当が決まらないなら、先に整える

外部と組む前に、少なくとも、解決したい課題、共有できる情報、検証を動かす担当を具体化します。どれかが空欄なら、候補募集を広げるより、その空欄を埋めることが先です。

顧客の課題が曖昧ならヒアリングへ戻り、必要な技術が社内にあるなら社内連携を調べます。秘密情報を安全に渡せない場合は、加工したデータや限定した試験で検証できないかを検討します。それでも難しければ、連携の範囲や時期を見直してください。

事例:ダイキンは特許の無償開放で、冷媒の普及を目指した

オープンイノベーションには、自社の技術を外へ出し、市場全体の普及を促す方法もあります。ダイキンの冷媒関連特許の取り組みは、その考え方を理解するための事例です。

ダイキンの2019年7月の発表によると、同社は冷媒HFC-32(R-32)を使う空調機器等に関する特許について、無償利用の対象を拡大しました。HFC-32を採用する機器の普及を後押しすることを目的として示しています。

イノベーション総研は、この取り組みを「自社で囲い込む技術」と「普及のために他社が使えるようにする技術」を分けた例と捉えています。すべての技術を開放したわけではなく、対象の特許や利用条件を定めている点が重要です。

自社へ応用するなら、まず、技術が広がることで自社の事業にも利点が生まれるかを確認します。特許の利用料を得たい場合と、関連市場の拡大を狙う場合では設計が異なります。この発表だけから、特許開放による売上効果や、自社でも同じ成果が出るとは判断できません。

用途を探している技術がある場合は、外部に出せる権利やノウハウを棚卸しし、相手が何に使えるかを検討してください。技術の強みを顧客の用途へ結び付ける考え方は、研究開発成果を事業化する進め方でも解説しています。

いま、外部連携のどこで迷っていますか?

近い状態を開くと、確認項目と記事内の説明・関連支援が分かります。

01 社外と組む目的が曖昧

解決したい課題と、自社に足りないものを分けます。

  • 誰のどんな困り事を解決したいか
  • 社内でできることを確かめたか
  • 外部の何を使いたいか

目的の決め方を読む →

02 どんな方法を選ぶか決まらない

技術導入・共同開発・技術の外部活用を比べます。

  • 社外から何を取り込むか
  • 自社から何を提供できるか
  • 共同で開発する必要があるか

3つの型を読む →

03 候補企業を絞れない

会社の知名度ではなく、今回必要な能力で比べます。

  • 必要な技術や実績を確認したか
  • 実際に動く担当者が分かるか
  • 相手にも取り組む理由があるか

パートナーの選び方を読む →

04 知財や情報共有が心配

開示する前に、共有範囲と利用条件を決めます。

  • 秘密情報を分けているか
  • 持ち込む知財と新しい成果を区別したか
  • 終了後も使える範囲を確認したか

契約・知財の確認点を読む →

05 PoCの後に事業化が進まない

実験の結果と、本番導入の条件を分けます。

  • 顧客の導入条件を確認したか
  • 運用する部門が参加しているか
  • 次の投資を決める人がいるか

成果と体制の見直し方を読む →

06 用途探索や連携先探しを相談したい

外部に任せたい工程と、自社の役割を整理します。

  • 技術の用途を説明できるか
  • 不足する能力が具体的か
  • 自社の窓口と判断者がいるか

技術事業化支援の内容を見る →

NEXT STEP

次のステップ

連携先を探す前に、何が足りないかを整理する

自社技術の用途や、協業に必要な能力が曖昧な場合は、技術事業化支援で整理できます。新規事業全体の状態を点検したい方には無料診断を用意しています。

オープンイノベーションは、目的を決めてから7つの手順で進める

連携先を探す前に、解決したい課題と自社の役割を決めます。以下は、共同開発や共同検証を始める担当者に向けて、イノベーション総研が整理した実務の手順です。技術ライセンスだけを行う場合などは、必要な工程に絞って使ってください。

1. 取り組む目的と、判断する人を決める

「新しい技術を探す」だけでなく、どの顧客に何を提供したいかを一文にします。同時に、検証の開始や次の投資を誰が決めるかを定めます。

たとえば「工場の目視検査の負担を減らすため、画像検査サービスを提供できるか確かめる」と置きます。現場改善なのか、他社へ販売する新規事業なのかでも目的は変わります。両方を狙うなら、最初にどちらを確かめるか決めてください。

2. 最初に確かめることを、一つに絞る

目的を、検証できる問いに直します。「画像認識の技術は使えるか」だけでなく、「実際の照明や作業速度でも、見逃してはいけない不良を検出できるか」と具体化します。

技術、顧客の需要、採算、運用を一度に確かめようとすると、必要な相手も検証範囲も広がります。今の事業判断を左右する未確認事項を選び、どんな結果があれば次へ進めるかを先に書きます。

3. 自社が出せるものと、外部に求める能力を分ける

自社の技術、顧客接点、設備、データ、担当者の時間を棚卸しします。持っているだけでなく、今回の検証に実際に使えるものを記載します。

画像検査の例なら、自社は検査対象の画像と試験場所を用意し、相手には解析技術と調整する技術者を求める、と分けられます。画像を社外へ出せるか、現場担当が同席できるかも確認してください。ここまでの工場の例は、手順を説明するための架空の設定です。

必要な能力が決まったら、企業、大学・研究機関、支援機関などから候補を探します。公募やマッチングの場を使う場合も、先に条件を示すと提案を比較しやすくなります。

候補への説明には、解決したい課題、期待する役割、自社が提供できるもの、最初の検証範囲を含めます。最初からすべての秘密情報を渡さず、公開可能な内容で適合を確認し、必要に応じて秘密保持の手続きへ進みます。

5. 双方の役割・費用・期限・成果の扱いを合意する

共同テーマが見えてきたら、誰が何を担当するかを決めます。「協力する」という表現だけで終えず、データの準備、開発、現場調整、結果の評価をそれぞれ割り当てます。

計画には、成果物、費用と工数の上限、判断日、計画を変える条件、終了する条件を残します。新しく生まれる技術やデータを誰が使えるかも、検証に入る前に法務・知財担当と確認します。

6. 小さく試し、結果から継続・変更・中止を選ぶ

最初は対象顧客、設備、利用場面などを限定して試します。PoC(概念実証)はその方法の一つです。実施したこと自体ではなく、開始前に決めた問いへ答えられたかを確認します。

結果が足りない場合は、試験条件の問題なのか、技術や需要の前提が違ったのかを分けます。追加で確かめれば判断が変わり得るなら、条件を変えて再検証します。次の見込みが立たなければ、終了も選択肢にします。

7. 事業化後の担当・費用・運用条件を決める

検証で良い結果が出ても、本番導入の条件がそろったとは限りません。誰が売るか、誰が運用するか、障害や問い合わせに誰が対応するかを決めます。

受入部門は、検証が終わってから探すのではなく、計画の段階から参加してもらいます。本番で必要な費用、品質、保守、利用権を確認し、条件を満たせる範囲で事業化へ進みます。

次へ進む条件が満たされていないときは、提携の継続ではなく、未確認事項を埋める行動を決めます。 連携先の変更が必要なのか、自社の準備が足りないのかを切り分けることが大切です。

パートナーは、能力・参加理由・実行体制で選ぶ

パートナーは、知名度や技術の新しさだけで選びません。今回必要な能力があるか、相手にも取り組む理由があるか、実際に動ける人がいるかを確認します。

グラフと計算機を置いた机で握手する二人。協業の役割を話し合う場面のイメージ

実績の数より、今回の条件でできることを確認する

「画像認識に強い」といった説明だけでは、工場ごとの照明や速度に対応できるかまでは分かりません。類似する利用条件での検証記録や、対応が難しかった条件を聞きます。

面談では「この条件で最初に確かめるべき点は何ですか」「どこまでが今回の担当範囲ですか」と質問してください。できることと、追加検証が必要なことを分けて説明できるかが比較材料になります。

自社の要望だけでなく、相手が得たい成果も確認する

自社が低コストで試したい一方、相手は有償契約や別顧客への展開を期待しているかもしれません。この違いを曖昧にしたまま進めると、検証後の条件で折り合わなくなります。

「この協業で何を得たいか」「成果をほかの用途へ使いたいか」を互いに確認します。条件をすべて一方へ寄せるのではなく、検証への貢献と成果の使い道を合わせて話し合います。

提案する人と、実際に担当する人を区別する

担当する技術者や現場責任者、使える時間、変更を承認する人を確認します。自社側も同じ情報を示し、判断待ちや担当者の不在で止まらない体制を作ります。

外部の支援会社に探索や検証を頼む場合は、共同開発先の選定とは分けて考えます。支援会社には、紹介する範囲、評価する範囲、実行する範囲を確認してください。より具体的な質問は、コンサル選びで契約前に確認する項目も参考になります。

契約・知財は、情報を渡す前と検証を始める前に確認する

契約は最後にまとめて済ませる作業ではありません。秘密情報を渡す前、共同検証を始める前、事業化する前では、必要な合意が異なります。段階ごとに扱う情報と成果を整理します。

特許庁・経済産業省は、協業の段階や技術分野に応じたモデル契約書を公開しています。2025年4月のモデル契約書ver2.2の公表も、その一つです。以下は契約条項のひな形ではなく、担当者が法務・知財部門へ相談する際の確認表です。

協業の段階に応じて合意しておきたいこと
確認する時点 主な論点 担当者が用意する情報
秘密情報の開示前 共有する相手、利用目的、保存・返却の扱い 渡す情報の一覧と、見せる必要がある理由
共同検証の開始前 既存の技術・知財、新しい成果、費用・役割 各社が持ち込むものと、検証で作るもの
事業化へ進む前 成果を利用できる範囲、対価、保守・運用 製造・販売・運用の計画と担当部門
変更・終了時 未完了の仕事、費用精算、成果・データの継続利用 残すもの、返すもの、顧客対応が必要なもの

特に、権利を持つことと、事業で使えることは分けて確認します。成果の帰属だけを決めても、利用分野や再利用の条件が曖昧なら、想定した販売や改良ができない可能性があります。

「共同だからすべて共有」「自社が費用を出すからすべて取得」と決めつけず、貢献と利用目的を整理します。 モデル契約書の想定と自社案件の違いを確認し、具体的な条項や法的判断は自社の法務・知財担当、弁護士・弁理士などの専門家に確認してください。

オープンイノベーションの成果は、提携数と事業への進展を分けて測る

面談数や提携数は活動量を表しますが、それだけでは事業が進んだか分かりません。成果を測る指標(KPI)は、探索・検証・事業化の段階に合わせます。

以下は指標の設定例であり、全社共通の合格ラインではありません。対象にする案件と集計期間をそろえ、数字が増減した理由を確認します。

活動量と合わせて確認する、事業の進展を測る指標
段階 指標の例 数字と一緒に確かめること
候補探索 必須条件を満たす候補数、評価完了までの日数 不足する能力を本当に補えるか
検証 重要な検証項目の判定完了率、判定までの日数 良い結果だけでなく、不成立も記録されているか
本番導入 導入を決めた案件数、実運用に移した案件数 運用担当と費用・品質の条件がそろったか
事業の運営 継続利用、売上、利用料収入、削減できた工数 当初の事業目的に対応する価値が出ているか

たとえば、検証項目の判定完了率は「判定できた重要項目数÷開始前に決めた重要項目数」で確認できます。ただし、難しい項目を途中で外して達成率を上げても意味がありません。項目を変えた理由も残してください。

自社の目的が技術の外部活用なら、利用契約や利用料収入を確認します。業務改善なら、導入後に減った作業時間や維持費用を見ます。どの案件も提携数や新規売上だけで評価すると、目的とのずれが生まれます。

外部との窓口だけでなく、成果を使う部門を参加させる

最低限、目的と予算を判断する人、外部との窓口、技術・事業性を評価する人、事業化後に運用する人を定めます。役割を兼ねることはできますが、誰も引き受けていない仕事を残さないようにします。

定例会では、進捗報告に加えて「何が分かったか」「何がまだ分からないか」「次に誰が何を決めるか」を確認します。保留にする場合も、追加確認の担当と期限を決めます。

PoCの完了と、事業部が引き取れる状態は同じではありません。 技術結果が良くても運用担当が決まらないなら、追加の実験より先に受入体制を整えます。どの時点で続けるかを決める方法は、新規事業のステージゲートで詳しく解説しています。

オープンイノベーションについてよくある質問

小さく始める際や、連携の条件を整理する際に迷いやすい点をまとめます。

Q. オープンイノベーションは中小企業でも取り組めますか?

A. 取り組めます。大規模な公募制度よりも、自社の技術や顧客接点を生かせる一つのテーマから始める方法があります。専任部署の有無より、相手との窓口、判断する人、検証に使える時間と予算を確保できるかを確認してください。

Q. オープンイノベーションとCVCは同じものですか?

A. 同じではありません。CVCは事業会社によるベンチャー投資の取り組みで、外部の技術や事業とつながる手段の一つになり得ます。オープンイノベーションは出資なしでも行えます。まず必要な連携を定め、出資が必要かは別に検討します。

Q. 連携先が見つからないときは、どうすればよいですか?

A. 条件を技術名だけで絞っていないかを見直します。解決したい課題、必要な性能、試せる現場を整理し、別の技術や隣接業界でも解決できないかを探してください。大学の産学連携窓口や支援機関に相談する際も、この条件を伝えます。

Q. 費用や期間は、最初にどこまで決めるべきですか?

A. 事業全体の総額を断定するより、まず一回の検証に使う費用の上限、担当者の工数、判断日を決めます。外部への支払いに加え、データ準備、契約確認、現場対応、本番運用の負担も含めて確認します。条件が変わるときは、範囲と費用を再合意します。

Q. 成果が出なかった共同検証は、失敗として扱いますか?

A. 狙った性能や需要が確認できなかったことと、検証で判断材料を得られなかったことは分けます。開始前に決めた条件に沿って結果を評価し、続ける、方法を変える、止めるのいずれかを選びます。判明した事実と使える成果は、契約で認められた範囲で記録・共有してください。

まとめ:相手探しの前に、解決したい課題と自社の役割を決める

オープンイノベーションは、社外の技術や知識を取り込むことと、自社の技術を社外で生かすことを含みます。共同開発だけが方法ではなく、技術導入や利用許諾など、目的に合う形を選べます。

最初の打ち合わせまでに、検討中のテーマを一つ選び、次の内容を一枚にまとめてください。

  • 誰のどんな課題を解決したいか
  • 自社が提供できるものと、外部に求める能力
  • 最初に確かめることと、次へ進む条件
  • 検証を動かす担当と、事業化を判断する人

空欄があれば、それを埋める行動から始めます。候補を増やすことより、必要な相手を選び、得た成果を事業に使える状態を作ることが大切です。

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この記事の執筆・監修

執筆

イノベーション総合研究所 編集部

監修

長尾 浩平(株式会社イノベーション総合研究所 代表取締役)

外部出典

OECD『Oslo Manual 2018』、経済産業省・特許庁の公開資料、ダイキンの2019年の発表を参照。出典は本文の該当箇所に記載しています。実務上の手順・点検例はイノベーション総研の整理です。

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