投稿日:2026.09.28 最終更新日:2026.09.28
ペトロブラス、トウモロコシ由来原料を舗装用アスファルトに活用
ニュースの要点
ブラジルの石油会社ペトロブラスは2026年9月22日、トウモロコシ由来の油を舗装用アスファルトの原料に使っていると発表しました。サンジョゼドスカンポスのRevap製油所で、6月から「CAP Pro R」の製造に使用しています。
使うのは、エタノール向けのトウモロコシ加工で生じる副産物油「TCO」です。同社はInpasaから調達しています。6月以降に同製油所で生産した、再生可能成分を含むアスファルトは9万5,000トンと説明しました。これは製品全体の量で、TCOの使用量ではありません。
TCOは従来から同社の航空燃料やディーゼル燃料でも使われており、今回、舗装材へ用途を広げました。再生可能原料の調達先と、低炭素製品の選択肢を増やす狙いです。製品中の再生可能成分の比率や、排出量の削減率は示していません。
ニュース出典:Agência Petrobras「Petrobras produz asfalto com óleo técnico de milho」(2026年9月22日)
イノベーション総研の考察
今回の新しさは、原料の発見ではなく、使い道を増やした点にあります。すでに調達している原料を既存製品へ組み込む判断は、技術を隣接市場へ展開する際の参考になります。
燃料で使っていた原料を、道路向け製品へ広げる
ペトロブラスは、すでにTCOを燃料の製造に使っていました。今回の用途は、道路舗装に使う材料です。原料が同じでも、最終製品で求められる働きは変わるため、燃料で使えたことだけで舗装材への適合が決まるわけではありません。
それでも、まったく新しい原料を探す場合と比べ、調達先や原料の性質に関する知識を利用できる余地があります。製油所、調達網、既存の舗装材という資産を結び付けることで、新たな用途に進んだ事例と読めます。
既存原料の用途展開では、使い回せる知識と新たに確かめる性能を分けます。担当者の方も、自社の技術を別業界へ売る前に、既存用途で確認済みの性質と、新しい顧客が求める性質を書き分けると、試験の範囲を絞りやすくなります。
生産9万5,000トンは、販売や環境効果の証明とは異なる
製油所で一定量を生産したという情報は、研究段階から製造工程へ進んだことを判断する材料です。一方、今回の公表量から、販売量、顧客数、舗装された道路の長さは分かりません。製造できることと、継続的に買われることは別の検証です。
生産量、販売量、再生可能成分の使用量は、同じ数字として扱いません。製品全体に占める再生可能成分の割合が未公表である以上、9万5,000トンすべてを植物由来と読むこともできません。排出削減量へ換算する根拠にもなりません。
自社で同種の新素材を評価する場合は、製造部門からは生産の安定性を、営業部門からは採用理由と継続注文を集める必要があります。両方がそろえば、生産規模を増やすべきか、製品条件を変えるべきかを判断しやすくなります。
舗装材では、原料の由来に加えて使用期間を比べる
ペトロブラスは、舗装用アスファルトは燃やして使う製品ではなく、主な排出は製造や施工に伴うと説明しています。燃料での評価を、そのまま舗装材へ移すことはできません。製品が果たす役割と使われ方が違うためです。
環境性能は、再生可能原料の採用だけでなく、同じ舗装機能を保つ条件で比較します。例えば維持管理や補修の頻度が変われば、材料の製造時だけを見た比較では全体像を捉えられません。今回の発表には、従来品との長期的な性能比較や削減率は示されていません。
これは製品の効果を否定する意味ではありません。導入判断に必要な証拠を、原料の説明と分けて考えるためです。自社が環境配慮型の素材を供給する場合も、顧客が比較する単位と使用条件を先に合意しておくことが、説明の行き違いを減らします。
調達先を増やす狙いと、安定供給の確認をつなぐ
発表では、Inpasaからの購入と、再生可能原料の供給先を広げる方針が示されています。技術面で使える原料が増えることは、調達の選択肢を増やす可能性があります。ただし、実際に必要な量を一定品質で入手できるかは、別に確認する必要があります。
原料を採用する判断には、価格と品質に加え、必要量を継続して調達できる条件を入れます。副産物の供給量は元の製品の生産にも関わるため、用途側の需要だけを見て拡大するのは難しい場合があります。今回の購入量、契約条件、他用途との配分は公表されていません。
担当者の方が供給側と共同で事業化するなら、増産時に優先して確保できる量、品質の変動幅、不足時の代替原料を具体的に確認できます。製品の性能試験と同じ時期に調達条件を詰めることで、採用後に供給が追い付かない事態への備えになります。
次の用途拡大は、施工先の評価と追加費用で決める
今後追いたいのは、舗装する側がどの条件で採用し、その後も使い続けるかです。再生可能成分の含有率だけでなく、取り扱いやすさ、必要な工程変更、品質の安定性が選定に影響すると考えられます。これらの実測結果は今回の発表からは分かりません。
隣接用途への展開は、顧客の採用条件と追加費用がそろった段階で拡大を判断します。既存設備を使える場合でも、原料管理や検査に費用が加わる可能性があります。顧客が評価する価値がその負担を上回るかを確認する必要があります。
自社なら、最初の用途で得た生産条件と顧客評価を記録し、次の用途へそのまま持ち込める項目を限定することから始められます。原料の使い道を増やすことと、すべての用途で同じ優位性を持つことは区別して考えたいところです。
まとめ
ペトロブラスは、燃料で使っていたトウモロコシ由来の原料を舗装材へ展開しました。既存の設備や調達網を生かせる点が論点ですが、生産量だけで販売成果や排出削減を判断することはできません。新用途の性能、供給条件、顧客が負担する費用を分けて確かめることが、拡大の判断につながります。
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執筆:イノベーション総合研究所
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