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イノベーションのジレンマとは?優良企業が新市場を逃す理由と対策

顧客の声を聞き、利益も守っている。
それなのに、なぜ新しい市場を逃してしまうのでしょうか。

イノベーションのジレンマとは、既存顧客を大切にする優良企業が、その顧客や収益に合う投資を優先することで、新しい市場への対応に遅れるという問題です。経営者の危機感や技術力が足りない場合だけに起こるものではありません。

イノベーション総研は、この問題を「挑戦する人がいない」という人材論だけで捉えません。新しい顧客の可能性を、既存事業と同じ物差しだけで判断しない。そのための予算、担当者、評価の決め方まで見直す必要があると考えます。

この記事では、理論の意味と破壊的イノベーションとの違いを説明し、自社で確認したい5つのサイン、対策を進める4ステップを紹介します。製造業の架空例と独自調査を使い、次の会議で何を決めればよいかまで具体化します。

この記事のポイント

  • イノベーションのジレンマは、既存事業では正しい判断が、新市場では不利に働く問題
  • 破壊的イノベーションは「すごい新技術」ではなく、利用しやすい商品が新たな顧客から広がる過程
  • 主力顧客、市場規模、利益率、兼務、完成度の5つから自社の判断を点検する
  • 顧客を確かめる予算と時間を確保し、次の投資に進む条件を経営と合意する

目次

イノベーションのジレンマとは、既存事業の成功が新市場への対応を難しくすること

既存顧客の要望に応え、利益の出る商品に人とお金を集めるのは、通常は良い経営判断です。しかし、その基準では魅力が小さく見える市場に、将来の競争相手が育つことがあります。この食い違いを説明するのが、イノベーションのジレンマです。

理論を理解する出発点となるのが、バウアーとクリステンセンによる1995年の論文「Disruptive Technologies: Catching the Wave」です。既存顧客への対応と、将来の顧客への備えの両立を扱っています。

「良い商品を作れば安心」とは限らない

例えば、高性能な検査装置を大工場に販売するメーカーを考えてみましょう。以下は仕組みを理解するための架空例です。大工場から精度や処理速度の改善を求められれば、メーカーが開発費をそこへ使うのは自然なことです。

一方、小規模な工場には「そこまでの性能はいらないが、価格や操作の難しさで導入できない」という需要があるかもしれません。安価で使いやすい簡易型なら選ばれても、主力顧客に評価を頼めば「性能不足」と判断されるでしょう。

同じ商品でも、誰が評価するかによって価値は変わります。簡易型が本当に売れるかは別途確かめる必要がありますが、主力顧客に不要だからといって、すべての顧客に不要とは限りません。

問題は、将来の需要を調べる機会まで失うこと

小規模工場向けの商品は、既存商品より単価も初期売上も小さく見えます。既存事業との比較だけで開発を止めると、メーカーはその顧客が何を求めるのかを学べません。その間に別の企業が商品を改善し、より幅広い用途で使われるようになる可能性があります。

対策は、すべての小市場に投資することではありません。「今の事業には合わない」と「顧客に価値がない」を分け、調べる価値のある需要を残すことです。既存事業を守る判断と、新しい需要を確かめる判断を別に用意します。

持続的・破壊的イノベーションは、技術の新しさではなく顧客と広がり方が違う

持続的イノベーションは、今の顧客が重視する性能や品質を高めることです。破壊的イノベーションは、既存の商品では満たされない顧客から始まり、商品や事業の仕組みを改善して、やがて主流の市場にも広がる過程を指します。

クリステンセン研究所の公式解説も、破壊的イノベーションを単なる画期的な技術とは区別しています。性能の高さだけでなく、手頃さや利用しやすさ、市場への入り方に注目する理論です。

既存顧客の改善と、新たな顧客からの市場拡大の違い
比べる観点 持続的イノベーション 破壊的イノベーション
最初の顧客 今の市場で、より良い性能を求める顧客 既存商品が過剰な顧客や、費用・技能などの理由で使えなかった人
評価される価値 精度、速度、品質などの向上 必要十分な機能、手頃な価格、利用のしやすさ
広がり方 既存市場の競争軸に沿って改善する 最初の市場で成立し、改善を重ねて主流市場へ進む
確認すること 今の顧客が改善に対価を払うか 新たな顧客が使うか、低いコストで提供できるか、用途を広げられるか

持続的イノベーションにも、大きな技術革新は含まれます。反対に、安い商品を売っただけで破壊的イノベーションと呼べるわけではありません。「新技術かどうか」より、誰の利用を可能にし、どう市場を広げるかを見ます。

入口は大きく二つあります。高機能・高価格の商品が過剰な顧客に必要十分な商品を届ける「ローエンド型」と、これまで使えなかった人に利用を可能にする「新市場型」です。先ほどの工場の例なら、前者は機能を持て余す利用者、後者は導入できずに手作業を続けていた工場に当たります。

企画段階で、将来の市場拡大を断定する必要はありません。最初の顧客、その顧客に合う提供コスト、商品を改善できる見通しを確かめます。小市場で長く続く事業にも価値があり、「破壊的」という名称が付かないことは、投資しない理由にはなりません。

優良企業ほどイノベーションのジレンマに陥るのは、今の顧客と利益を優先するから

優良企業には、売上を計画し、投資を比較し、品質を守る仕組みがあります。その仕組みが強く働くほど、実績が少ない新しい顧客向けの案件は、予算や人員を得にくくなります。

例えば営業部門には、今期の売上に貢献する顧客を優先する理由があります。開発部門には、主力商品の不具合や改善要望に対応する責任があります。経営にも、限られた予算を利益の見込める案件へ配分する理由があります。

こうした判断が重なると、新しい顧客への面談は後回しになり、試作の時間も取れず、結果として「需要の根拠が足りない」という理由で投資が見送られます。最初から調べる時間がなかったのに、調査結果がないことを理由に止めてしまうのです。

イノベーション総研は、ここで担当者の説得力だけでなく、調べる機会が与えられていたかを確認します。具体的には、直近で見送った案件について、誰の需要を確認したか、何を根拠に止めたか、担当者が実際に使えた時間を並べます。

需要を調べたうえで採算が合わなかった案件と、調べる前に既存商品の利益率で落とした案件では、直すべき点が違います。前者は案の変更や中止、後者は評価方法や小口の検証予算の見直しが候補になります。予算の組み方は新規事業の予算・稟議の進め方でも解説しています。

自社のイノベーションのジレンマを点検する5つのサイン

図表のある資料を広げた机で、握手をする二人
イノベーションのジレンマを避けるために既存事業と探索事業の資源配分を検討する会議のイメージ

以下は、会議や日々の仕事で確認できるサインです。当てはまる数で危険度を判定するものではありません。新しい顧客を確かめる前に、既存事業の基準だけで案件を止めていないかを、一つずつ見てください。

1.主力顧客の「いらない」だけで、新商品の検討を終えている

既存顧客の意見は、既存商品の改善には欠かせません。ただし、新商品で想定する顧客が違うなら、その意見だけで需要の有無を判断することはできません。

検査装置の例では、大工場が簡易型を求めなくても、小規模工場には導入の余地があります。担当者はまず「誰から断られたのか」を分けて記録し、新たに想定する顧客にも、現在の作業、負担、購入を見送ってきた理由を聞きます。欲しいかどうかだけでなく、どの条件なら試すかまで確認しましょう。

2.初年度の売上が小さいという理由で、調査予算も出していない

既存事業と同じ売上規模を最初から求めると、小さな顧客層から始まる案は通りません。ここでは、本格参入の投資と、需要を調べるための支出を分けて考えます。

「大きな売上になるか分からない」なら、その不明点を減らす調査にいくらまで使うかを決めます。顧客数、利用頻度、支払える金額などを確かめ、追加投資するかを判断します。大市場に育つという期待だけで継続するのでも、現在の規模だけで切るのでもありません。

3.既存商品と同じ利益率・販売方法を、新商品にも求めている

簡易型の商品を安く売っても、営業訪問や個別設計、保守の手間が既存商品と同じなら、採算は厳しくなります。見直すべきなのは価格だけでなく、販売・提供・サポートの方法です。

例えば、仕様を絞り、遠隔で導入を支援できるなら、顧客ごとの対応コストを下げられる可能性があります。一方、実際には毎回訪問が必要なら、その費用を見積もりに戻します。「新規事業だから赤字でもよい」ではなく、対象顧客に合う方法で利益が残るかを確かめるのが次の作業です。

4.新規事業の担当者が、既存業務の空き時間でしか動けない

兼務自体が問題なのではありません。どちらの仕事を優先するかが決まっておらず、既存業務の依頼が来るたびに検証が延期される状態が問題です。

上司と担当者は、新規事業に使う時間だけでなく、その分減らす既存業務も決めます。急な依頼が重なった場合に、誰が優先順位を決めるかも必要です。週次の確認では、予定した面談や試作が進まなかった理由を見て、本人の努力では解決できない競合業務を取り除きます。

5.需要を確かめる前に、主力商品と同じ完成度を求めている

買い手がいるかを確かめる段階で、すべての機能や販売体制をそろえると、検証費用が膨らみます。顧客に提案する内容を絞り、今回の疑問に答えるために必要な部分から試します。

ただし、安全性や顧客への説明責任まで下げてよいわけではありません。検査装置なら、実験用の評価と、本番の品質判定を分けることが必要です。機能は絞っても、守るべき安全条件と検証の限界は明確にします。試す範囲の考え方はリーンスタートアップの進め方を参考にしてください。

独自調査では45.5%が、KPIを運用しても経営層との認識のズレを回答

指標を作れば、経営と現場が同じ判断をするとは限りません。イノベーション総合研究所が大企業の新規事業関与者888名に行った調査では、45.5%が「KPIを設定・モニタリングしたが、経営層との認識にズレがあった」に該当しました。

出典:イノベーション総合研究所「新規事業の実態と意思決定に関する調査」(2026年4月、n=888、調査実施:株式会社マクロミル)

イノベーション総研は、この結果から、数字の報告だけでなく「その数字なら何を決めるか」の合意が必要だと考えます。例えば現場が試用した顧客の反応を報告していても、経営が初年度売上だけで評価していれば、双方が同じ資料を読んでも結論はそろいません。

KPIの名前をそろえるだけでなく、次の投資に進む条件をそろえます。売上がまだない段階なら、誰が、どの条件で試し、何に対価を払う見込みがあるかを確認します。販売を始めた後は、継続利用や提供コストなど、実際の事業を維持できるかを見る指標へ移します。

この数値は、新規事業のKPI運用についての回答です。自社でジレンマが起きているかを判断するときは、指標のズレが既存顧客・既存採算の優先によって生じているのか、対象案件で確かめてください。単に数値目標が未達なこととは分けて考えます。

経営が見る指標と現場の行動をつなぐ方法は、イノベーション会計の考え方で詳しく整理しています。

いま止まっている理由から、確認することを選ぶ

需要がないのか、調べていないのか分からない

見送った案件の顧客面談記録を確認し、話を聞いた相手と、新商品で想定する顧客が同じかを比べます。

案は承認されたが、検証に使える時間がない

担当者だけで抱えず、既存業務を減らす範囲と、業務が重なったときの判断者を上司と決めます。

検証は終わったが、次の予算が決まらない

報告した結果と、経営が追加投資に求める条件を並べ、足りない情報と確認の担当者を一つずつ整理します。

NEXT STEP

次のステップ

新しい顧客を評価する基準が、経営と現場でそろわない方へ

イノベーション総研の新規事業リスク診断「Compass」では、顧客・収益・実行体制などを点検し、判断に足りない材料を整理します。指標や報告を増やす前に、どこを確かめるべきかを明らかにしたい場合にご活用ください。

対策の4ステップは、顧客の確認から投資判断まで

制度を全面的に変える前に、見送られた案件や止まっている案件を一つ選びます。以下は、イノベーション総研が提案する実務上の進め方です。理論の公式なチェックリストではなく、自社の判断方法を見直すために使ってください。

1.既存顧客とは別に、まだ使えていない顧客を確かめる

最初に、新商品を届けたい顧客を具体的にします。「中小企業」のような大きな区分だけでなく、どの作業に困り、なぜ今の商品を使えないのかまで説明できる状態を目指します。

小規模工場なら、導入費用が高いのか、操作できる人がいないのか、設置場所がないのかで提案が変わります。訪問や試用では、現在のやり方と負担を確認し、解決後に何が変わるかを聞きます。困り事が弱い、現行手段で十分という結果も、そのまま判断材料に残してください。

2.確かめる範囲を絞り、予算・担当者・期限を確保する

次に、顧客の需要を確かめる最小の活動を決めます。最初から量産や全機能開発の予算を求めず、提案、試用、提供コストの確認に必要な範囲へ絞ります。

責任者は、費用の上限、担当者が使える時間、終了日を合意します。既存部署に協力を求めるなら、その部署の上司とも優先順位をそろえます。「協力してもらえるはず」を前提にした計画では、予定どおりに進むか判断できません。

この段階の承認は、本格参入の約束ではありません。何を確かめるために使う予算かを限定することで、小市場でも検証に進みやすくし、同時に支出が広がり続けることを防ぎます。

3.顧客の反応と採算を、次の投資判断に結び付ける

試す前に、良い反応が出た場合と、出なかった場合の行動を決めます。「評判が良い」「面談できた」だけでは、開発費を増やす根拠として弱いことがあるためです。

例えば「担当者が便利だと言った」と「購入責任者が導入条件の協議に応じた」は別の事実です。顧客が試用に時間やデータを提供したか、費用を誰が負担するか、繰り返し使えるかまで確認し、事業段階に合った証拠を集めます。

検証を進める段階ごとに、投資判断へ持ち込む材料
今の段階 確認したいこと 次の判断に使う材料
顧客を探す 本当に困っており、今の方法では解決しにくいか 具体的な作業、費用・時間の負担、導入できなかった理由
使ってもらう 機能を絞っても、利用する理由があるか 試用中の行動、使わなかった理由、購入に必要な条件
提供を続ける 顧客の支払額で、繰り返し提供できるか 単価、原価、サポート時間、継続利用の状況
対象を広げる 顧客が増えても価値と採算を維持できるか 販売経路、品質・供給の制約、追加人員と費用

表の材料を一度にそろえるのではなく、今の疑問に合うものから確かめます。初期は顧客の行動を、事業化が近づいたら収益と運用を厳しく確認します。既存事業の評価をなくすのではなく、求める証拠の順番を変える考え方です。

4.結果を見て、追加投資・案の変更・中止を決める

検証の終了日に、確認できたことと残る疑問を並べて判断します。需要があっても提供コストが高すぎるなら、対象顧客や提供方法を変える案が必要です。需要が弱く、改善しても選ばれる見通しが立たないなら、今の案を止める判断になります。

判断を延期する場合も、何を調べれば決まるのか、追加で使う予算と期限を記録します。会議の開催だけを決めて宿題を増やす状態から、次の行動を一つ選べる状態へ変えましょう。複数案件への配分は新規事業のポートフォリオ管理で扱っています。

組織を分けるなら、独立した予算と評価を持たせ、本体との接点も残す

別部署や別会社を作っても、予算・評価・承認が今までと同じなら、判断は変わりません。分けるべきなのは組織名よりも、新しい顧客を調べ、その顧客に合う価格や提供方法を試せる権限です。

社内の小さなチームでも、検証用の予算、担当時間、上限内で試せる権限があり、経営が継続判断を担うなら、別会社を作らずに進められる場合があります。一方、既存の販売網や採算管理と強く衝突するなら、より独立した運営方法を検討します。

イノベーション総研が重視するのは、現場から経営判断までの距離です。報告を受ける人だけでなく、部署をまたぐ優先順位や追加予算を決められる責任者を置きます。担当者が部門ごとに説明を繰り返し、誰も最終判断をしない状態を避けるためです。

新しい事業を守るための分離と、育った事業を支える連携をセットで設計します。既存の技術、顧客接点、品質管理を使えることは、企業内で取り組む強みでもあります。すべてを切り離すのではなく、使う資産と費用負担を明確にしてください。

事業化が見えたら、誰が販売・提供・採算に責任を持つのかを決めます。既存部署へ引き継ぐ場合は、その部署が今の顧客や価格でも運営できるかを確認します。合わなければ無理に戻さず、独立した運営や提携も比較します。考え方は両利きの経営、人の評価は新規事業の評価制度で解説しています。

権限や評価、部門間協力の設計が課題なら、イノベーション総研の組織・人材開発サービス「Talent」もご活用ください。担当者向けの研修だけでなく、新規事業を進める組織の仕組みから相談できます。

次の会議では、止まった1案件の「断った理由」と「確かめる方法」を並べる

最初から全社制度を変える必要はありません。直近で見送った案件か、進んでいない案件を一つ選び、判断の根拠を確認するところから始めます。次の表は、検査装置の架空例を会議用に整理したものです。

小規模工場向けの簡易検査装置を、再検討するための記入例
会議で決めること 記入例
これまで見送った理由 主力の大工場が求める性能に届かず、既存商品の売上規模にも及ばない
別に確かめる顧客 高価な検査装置を導入できず、手作業を続けている小規模工場
顧客に確認すること 現在の検査負担、必要な精度、導入できる価格と操作条件
採算面で確認すること 仕様を絞っても毎回訪問が必要か。導入・保守を含めた提供コストはいくらか
着手前に合意すること 担当者、既存業務を減らす範囲、費用上限、検証終了日、投資判断をする責任者
終了時の選択肢 条件を満たせば次の検証へ進む。採算が合わなければ提供方法を変える。需要が弱ければ案を止める

この表は、見送った判断を覆すための資料ではありません。根拠がある見送りは維持し、調べていない点だけを明らかにするための資料です。担当者は未確認事項を示し、経営はその確認に使える時間と費用を決めます。

「誰が悪かったか」ではなく、「何を確かめれば次を決められるか」を議論します。確認の結果、進めないと決めることも前進です。次の案件で同じ未確認を繰り返さないよう、対象顧客と判断理由を残してください。

よくある質問

理論を自社の新規事業に使うときに、迷いやすい点をまとめます。

Q. イノベーションのジレンマは大企業だけに起きますか?

A. 大企業だけの問題ではありません。特定の顧客や商品からの利益に強く依存している企業では、規模が小さくても、新しい顧客向けの案を選びにくくなることがあります。自社の顧客・採算・人員の判断基準を確認してください。

Q. 新しい技術なら、破壊的イノベーションになりますか?

A. 技術が新しいだけでは決まりません。既存の商品が過剰な顧客や、これまで使えなかった人に選ばれ、改善しながら主流市場へ広がる過程に注目します。既存顧客の性能要求に応える革新は、大きな技術革新でも持続的イノベーションに当たる場合があります。

Q. 既存顧客の声を聞かない方がよいのですか?

A. 既存商品の改善には、既存顧客の声が欠かせません。ただし、新商品で想定する顧客が違うなら、その顧客にも確かめます。今の顧客に不要なことと、すべての顧客に需要がないことを分けて判断します。

Q. 対策として、別会社を作る必要がありますか?

A. 必須ではありません。社内チームでも、検証予算、担当時間、試せる権限、段階に合う評価を確保できれば進められる場合があります。既存の販売方法や採算管理との衝突が大きいときに、より独立した運営を検討します。

Q. 新規事業は、赤字でも続けるべきですか?

A. 新規事業であることだけを理由に、赤字を続けるべきではありません。初期の検証費用と、顧客に提供するたびに生じる損失を分けて確認します。需要、提供コスト、改善の見通しをもとに、追加投資・案の変更・中止を決めます。

まとめ|イノベーションのジレンマには、新市場を確かめる別の判断方法を用意する

イノベーションのジレンマは、今の顧客や利益を守る合理的な判断が、新しい市場への対応を難しくする問題です。既存事業の強みを捨てるのではなく、その強みだけでは拾えない顧客を調べる機会を確保します。

自社では、主力顧客の意見、初年度売上、利益率、兼務、完成度の5つから見直せます。そのうえで、顧客を確かめる、予算と担当者を確保する、投資の条件をそろえる、結果から次を決める、という順に進めましょう。

まず、止まっている1案件の「見送った根拠」と「まだ調べていないこと」を分けてください。そこから、次に使う予算・時間・担当者を決めることが、掛け声で終わらない対策の第一歩です。

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ARTICLE INFORMATION

この記事の執筆・監修

執筆

イノベーション総合研究所 編集部

監修

長尾 浩平(株式会社イノベーション総合研究所 代表取締役)

外部出典

バウアー・クリステンセンの1995年論文クリステンセン研究所の公式解説。自社調査の出典は数値の直後に記載しています。

更新日:2026年9月9日

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