投稿日:2026.09.08 最終更新日:2026.09.20
マテハンとは?主要9社の倉庫自動化と新規事業の狙い所
マテハンは、機器を増やせば完成するのか。
倉庫は、どの工程から変えるべきか。
結論は、荷物・情報・例外処理を工程横断でつなぎ、止まっても戻せる運用をつくることです。主要9社と5事例から、設備選びと新規参入の判断材料を整理します。
この記事の結論
マテハンの価値は、機器単体ではなく、入荷から出荷までの荷物・情報・例外処理をつなぎ、停止後に戻せる運用まで設計できるかで決まります。
- 国内の物流システム機器売上は、2024年度に6,570億円でした。
- 主要9社は、総合SI、高密度保管、搬送、ロボット知能化という異なる役割を担っています。
- 新規参入は、既存倉庫の改修、異種設備の接続、遠隔復旧、成果課金型運営から選びます。
マテハンとは、倉庫や工場の中で、荷物を移動・保管・仕分けする仕組みです。フォークリフトやコンベヤだけでなく、自動倉庫、搬送ロボット、ピッキング設備、それらを動かすソフトウェアまで含みます。
いま重要なのは、機器を何台入れるかではありません。入荷から出荷までの流れを切らず、荷姿の違いや設備停止にも耐えられる運用をつくれるかです。本稿では、マテハンの基本、主要9社の違い、5つの具体例、新規事業の狙い所を順に整理します。
目次
マテハンが注目される理由は、人手不足だけではない
マテハンへの投資が増える理由は、人を減らすためだけではありません。受注の小口化、翌日配送、店舗とECの在庫統合により、倉庫が処理すべき仕事そのものが細かくなっているからです。
さらに、2026年4月からは一定規模以上の荷主・物流事業者に、中長期計画や定期報告などが義務付けられました。国の判断基準には、予約システム、パレットの利用、入出庫を効率化する資機材の配置などが含まれます。倉庫内の設備は、物流部門だけの改善ではなく、経営側が説明すべき投資になりました。
ただし、倉庫をすべて無人にする必要はありません。人が歩く、探す、持つ、待つという負担を減らし、例外だけを人が判断する形でも効果は出ます。最初に考えるべきことは、自動化率ではなく、どの工程が全体を止めているかです。
マテハンとは、荷物の流れを設計する仕組み
マテハンは、マテリアルハンドリングの略です。商品の積み降ろし、運搬、積み付け、ピッキング、仕分け、荷揃えなどを指します。物流倉庫だけでなく、工場の部品供給、空港の手荷物、病院の物品管理にも使われます。

マテハンを理解するときは、機械の名前より、荷物がどこからどこへ動くかを見ると分かりやすくなります。たとえば、入荷した段ボールを自動倉庫へ入れても、出庫後の仕分けが人手のままなら、そこが新しいボトルネックになります。
もう一つ大切なのが情報の流れです。倉庫管理システムが出荷指示を出し、制御システムが自動倉庫やロボットへ仕事を割り当てます。荷物と情報がずれると、機械は動いていても、誤出荷や待ち時間が増えます。
マテハン機器は、六つの仕事で見分ける
マテハン機器には多くの種類があります。名称だけを覚えるより、何を減らす機器かで分けると、選定しやすくなります。
| 仕事 | 主な機器 | 減らせる負担 | 導入前に確認すること |
|---|---|---|---|
| 積み降ろす | パレタイザー、デパレタイザー、伸縮コンベヤ | 重量物の持ち上げ、トラック滞在 | 荷姿の崩れ、箱の強度、車種差 |
| 保管する | 自動倉庫、キューブ型保管、移動棚 | 棚までの移動、在庫探索 | 天井高、床荷重、商品回転率 |
| 運ぶ | コンベヤ、AGV、AMR、自動フォークリフト | 長距離歩行、台車搬送 | 通路幅、人との交差、床の段差 |
| 取り出す | GTP、ピッキングロボット、デジタルピッキング | 歩行、探索、取り違い | 商品サイズ、出荷頻度、把持の難しさ |
| 分ける | ソーター、仕分けロボット | 行き先判断、載せ替え | ピーク物量、配送先数、荷札精度 |
| 包む・確かめる | 製函・封函機、計量、画像検品 | 箱づくり、検査、記録 | 包装資材、誤差許容、返品対応 |
表は、機器名からではなく、現場で減らしたい負担から読むためのものです。対象物とピーク物量を確認し、候補を絞ってから実機検証へ進みます。

AGVとAMRの違いも、この考え方で整理できます。AGVは磁気テープなどで決めた経路を走る方式が中心です。AMRはセンサーで周囲を見ながら経路を選びます。レイアウトが変わりやすい倉庫ではAMRが合いやすく、一定の荷物を高速で流す工程では固定設備が有利な場合があります。
新しい機器が常に正解とは限りません。物量が安定し、10年以上同じ流れを使うなら、自動倉庫やコンベヤの強みが出ます。繁閑差が大きく、荷主が変わる3PLでは、台数を増減できるAMRが使いやすくなります。
倉庫自動化は、WMS・WES・WCSまでつながって完成する
倉庫自動化では、機器の上に三つのソフトウェア層があります。名前が似ていますが、役割は異なります。
WMSは、在庫、入荷、出荷、ロケーションを管理します。WESは、その日の仕事量を見て、人と設備へ作業を割り振ります。WCSは、自動倉庫、コンベヤ、ロボットなどの動きを制御します。
たとえば、WMSが「商品Aを100個出す」と指示しても、WESが作業順を調整しなければ、ピッキング台に仕事が集中します。WCSが異なるメーカーの設備をうまく連携できなければ、合流点で荷物が滞留します。
イノベーション総研では、倉庫自動化の設計を「設備」「制御」「仕事の割当」「経営管理」の四層で見ることが重要だと考えます。設備だけを比較すると、導入価格は分かっても、ピーク時の処理能力や停止時の復旧責任が見えないからです。
マテハン選定では、ピーク物量と例外を先に測る
機器を選ぶ前に、現在の作業を数字にします。最低限必要なのは、30分ごとの入出荷量、商品サイズと重量、SKU数、作業者の歩行時間、誤出荷、設備停止、季節ごとの波動です。
平均値だけでは、必要な能力を決められません。たとえば、一日の出荷が1万行でも、午前中に均等に流れる倉庫と、締め時刻前の90分に半分が集中する倉庫では、必要な設備が異なります。設備の公称能力は、荷物がきれいに流れ続ける条件で示されることがあります。現場では、補充、箱交換、ラベル不良、人との交差を含めた実効能力を見ます。
商品マスターも確認が必要です。縦、横、高さ、重量、包装材、重心、つぶれやすさが欠けていると、ロボットや自動倉庫の対象を正しく分けられません。透明な袋、反射する包装、取っ手のある商品、柔らかい商品は、画像認識や吸着が難しくなる場合があります。
次に、例外を数えます。入荷予定と違う商品、読めないバーコード、破損した箱、規格外サイズ、在庫差異が一日何件あるかを記録します。例外率が1%でも、一日10万件を扱う拠点では1,000件です。自動化後の人員は、通常作業ではなく、この例外件数から考える必要があります。
投資評価では、設備価格だけを比較しません。設計、建築工事、システム接続、教育、保守、消耗品、電力、増設、撤去まで含めた総保有コストを見ます。あわせて、出荷能力が増えることで受けられる注文、外部倉庫を返せる効果、労災や誤出荷の減少も分けて示します。
実証は、最も整った一日ではなく、物量が多く例外も出る条件で行います。成功件数だけでなく、人が介入した回数、復旧にかかった時間、作業者が迷った場面を残すと、本番に必要な運用が見えてきます。
マテハン市場は2024年度に6,570億円へ拡大した
日本ロジスティクスシステム協会の調査では、2024年度の物流システム機器の総売上金額は6,570億円でした。2023年度の6,330億円から3.8%増え、3年連続で6,000億円を上回りました。

この統計には、自動倉庫、台車、コンベヤ、仕分け・ピッキング、棚、パレタイザー、コンピュータなどが含まれます。ただし、物流SaaSやWMS市場全体を網羅する統計ではありません。機器市場の大きさを見る指標として使うのが適切です。
売上が伸びているからといって、どの機器でも売れるわけではありません。顧客が求めるのは、設備の新しさではなく、出荷能力、必要人数、保管密度、復旧時間の改善です。新規参入でも、この四つのうち何を改善するかを数字で示す必要があります。
市場を見るときは、新設と更新も分けます。新設倉庫では建物、ラック、搬送、ソフトウェアを一体で設計できます。既存倉庫の更新では、操業を止められる期間が短く、床や電源も制約になります。後者では大型設備の一括更新より、夜間や区画ごとに切り替えられる製品、既存機器と接続できる制御、仮設運用を含む工事計画に価値が生まれます。国内の多くの現場を狙うなら、完成時の性能だけでなく、止めずに移行できることが商品になります。
マテハン主要9社は、総合SI・保管・搬送・知能化に分かれる
主要企業を比べると、同じマテハンでも立ち位置が違います。大型センター全体を請け負う企業もあれば、保管、搬送、ロボットの知能だけに強い企業もあります。

以下の表では、各社を製品数ではなく、主にどの課題を解く会社かで比較します。自社の制約に近い企業を見つけ、接続・保守を含む責任範囲を確認してください。
| 企業 | 主な立ち位置 | 特徴的な提供内容 | 向いている課題 |
|---|---|---|---|
| ダイフク | 総合SI | 自動倉庫、搬送、仕分け、制御、保守 | 大規模拠点を工程横断で設計したい |
| 村田機械 | 総合SI | 自動倉庫、ソーター、AGV、ソフトウェア | 製造・流通の個別要件に合わせたい |
| IHI物流産業システム | 総合SI・特殊環境 | 冷凍、危険物、重量物、自動倉庫、AI荷役 | 温度・安全・荷姿に特殊条件がある |
| Mujin | ロボット知能化 | 3D認識、動作計画、積み付け、荷降ろし | 不揃いな段ボールを扱いたい |
| ラピュタロボティクス | 搬送・保管・制御 | PA-AMR、ASRS、自動フォークリフト、制御基盤 | 既存倉庫を段階的に自動化したい |
| ギークプラス | AMR・GTP | 棚搬送、仕分け、工程間搬送 | 繁閑に合わせて搬送能力を変えたい |
| AutoStore | 高密度保管 | キューブ型自動倉庫 | 床面積を増やさず保管量を増やしたい |
| Exotec | 3次元ロボット保管 | Skypod、コンベヤ、倉庫ソフトウェア | 保管とピッキングを柔軟に拡張したい |
| Dematic | グローバル総合SI | 保管、搬送、仕分け、ソフトウェア、保守 | 多国籍・大規模拠点を標準化したい |
この表は優劣ではなく、役割の違いを示しています。実際のプロジェクトでは、総合SIer、ロボットメーカー、WMSベンダー、設備工事会社が組むことも珍しくありません。顧客は一社を選ぶより、誰が全体性能と復旧を保証するかを決める必要があります。
主要企業を比べるなら、製品数より四つの対応力を見る
マテハン企業の比較では、製品カタログの多さだけでは判断できません。見るべき点は、対象物への適合、既存システムとの接続、拡張、保守の四つです。
一つ目は、対象物への適合です。段ボール、袋、小物、パレット、長尺物では、同じ搬送方式を使えません。IHIは、通常環境の自動倉庫に加え、マイナス60度までの冷凍、危険物、重量物、クリーン環境に対応する製品を示しています。食品、化学、医療、半導体では、速さより温度、安全、清浄度が先に条件になります。
二つ目は、既存システムとの接続です。新しい設備が高性能でも、WMSから正しい指示を受けられなければ動きません。商品コード、在庫単位、ロット、期限、出荷優先順位をどこで変換するかを確認します。海外製ロボットを使う場合は、日本側のSIerが接続と運用を担うこともあります。
三つ目は、拡張です。ギークプラスのALP事例では、70台のピッキングロボット、800台の棚、15のワークステーションが導入されました。AMRは台数を増減しやすい一方、充電場所、交差点、作業台が先に詰まることがあります。ロボット台数だけでなく、拠点全体の処理量が比例して増えるかを見ます。
四つ目は、保守です。停止した設備を遠隔で直せるのか、部品は国内にあるのか、現地要員は何時間で到着するのかを確認します。Dematicを含むKION GroupのSupply Chain Solutions事業では、設備の保守、近代化、アップグレードを継続サービスとして提供しています。長く使う設備では、新設時の性能より、10年後も直せる体制が選定条件になります。
比較表を作るときは、各社へ同じ条件を提示します。対象SKU、ピーク物量、稼働時間、停止許容時間、既存WMS、将来増設をそろえれば、価格の違いが機器の差なのか、責任範囲の差なのかを見分けやすくなります。
ダイフクは、食品共同物流で複数のマテハンを組み合わせた
F-LINEの福岡第一物流センターでは、食品メーカー6社の商品を共同で扱います。ダイフクは、パレット自動倉庫、ケース自動倉庫、搬送台車、無人搬送台車、パレタイズ兼デパレタイズロボットなどを組み合わせました。
高頻度・小ロットの商品はケース自動倉庫へ入れ、出荷時には重い商品を下、壊れやすい商品を上に置く積載順を計算します。ロボットはケースの大きさや位置を見て、吸着位置と動きを変えます。
同社の公開事例では、人手だけなら100人規模の作業を、80人体制で運営できたと説明されています。ここでの学びは、万能機を一台置いたのではなく、商品回転率と出荷ロットで保管方法を分けたことです。
Mujinは、不揃いな荷物の積み付けを自動化する
PALTACのRDC埼玉では、村田機械とMujinのパレタイズロボット8台が導入されました。パレット、カゴ車、カートラックという三つの什器に、形や大きさの異なるケースを積み付けます。
従来のロボットは、荷物の位置や動作を細かく教える必要がありました。MujinControllerは、周囲と荷物を認識し、積み方と動作経路を計算します。同社の公開事例では、対象工程の作業者を0人にし、従来比2倍の生産性を実現したとされています。
マテハンで残りやすい仕事は、決められた距離を運ぶ作業より、毎回状態が違う荷物を扱う作業です。Mujinの例は、ハードウェアよりも、認識と動作計画が差別化になることを示しています。
ラピュタロボティクスは、既存倉庫を段階的に変える
ラピュタロボティクスは、作業者について移動するPA-AMR、高密度保管のASRS、自動フォークリフトを展開しています。複数のロボットやマテハン機器をつなぐ倉庫制御基盤も提供します。
PA-AMRは、棚を全面的に作り替えず、作業者の歩行と搬送を減らせる点が特徴です。公式サイトでは、日本出版販売、アルプス物流、ホンダロジコム、ASKUL LOGISTなどの導入例が紹介されています。
既存倉庫では、柱、床、天井、賃貸契約が制約になります。全体改修が難しい現場ほど、一つの工程から入れ、運用データを見ながら台数や対象範囲を広げる方式が現実的です。
Exotecは、棚を上下に走るロボットで保管と出庫をつなぐ
ExotecのSkypodは、ロボットが床だけでなくラックを上下に移動し、商品を作業者の場所まで運びます。固定コンベヤを減らし、ラックとロボットの追加で拡張しやすい設計です。
2026年7月には、三菱食品の草加FSDCで本格稼働したと発表されました。常温エリアでは業務用食材、酒類、資材を扱い、作業者が棚を歩いて商品を探す時間を減らします。冷凍エリアではIHI物流産業システムのケース自動倉庫を使い、温度帯に応じて設備を分けています。
この例から分かるのは、倉庫全体を一種類の設備で統一する必要はないことです。商品、温度、出荷単位に合わせて複数方式を組み、その間の情報をつなぐ方が合理的です。
AutoStoreは、限られた床面積を高密度保管へ変える
AutoStoreは、格子状のグリッドにビンを積み、上を走るロボットが必要なビンを取り出す仕組みです。通路を減らし、高密度に商品を保管できます。
釣具・アウトドア用品を扱うハヤブサの事例では、76台のロボット、22,933個のビン、11のポートが使われています。公式事例では、保管容量が倍増し、以前のシステムの3倍のピッキング速度になったと説明されています。
一方で、キューブ型自動倉庫は、すべての商品に向くわけではありません。ビンに入らない大型品、危険物、極端に回転の遅い商品は別管理が必要です。導入効果は、対象SKUをどこまで絞れるかで変わります。
稼働後は、処理能力だけでなく復旧時間を管理する
マテハンは、完成した日より、稼働を続ける期間の方が長い設備です。本番後は、時間当たり処理量、設備稼働率、人の介入回数、誤出荷、平均復旧時間を同じ画面で追います。
処理量が落ちたとき、原因が設備とは限りません。前工程から商品が来ない、作業台に人が足りない、空箱が補充されない、出荷順が頻繁に変わるといった運用要因もあります。設備ログとWMSの作業ログを時刻でつなぐと、待ち時間が発生した場所を見つけやすくなります。
保守契約では、稼働率の数字だけでなく、計算方法を合わせます。計画停止を除くのか、一部能力が落ちた時間をどう扱うのか、上位システム障害は誰の責任かを決めます。連絡窓口、一次切り分け、遠隔操作、現地派遣、部品交換の順番も明文化します。
また、商品と物量は変わります。新商品が増えたとき、荷姿の画像と寸法を登録する担当者を決め、月ごとに対象SKUを見直します。機器を導入した時点の前提を固定すると、数年後に人手作業が増えてしまいます。
経営側には、削減人数だけで報告しません。出荷締めへの達成率、外部倉庫費、繁忙期の臨時人員、事故、顧客への遅配まで含めると、マテハン投資が売上と供給責任にどう効いたかを説明できます。
マテハン導入で失敗しやすいのは、設備より境目である
マテハン導入の失敗は、機器の性能不足だけで起きるわけではありません。設備と人、設備と設備、現場と上位システムの境目で起きます。
平均物量だけで設計する
平均で一日1万件を処理できても、夕方の2時間に注文が集中すれば出荷は遅れます。日次平均ではなく、15分または30分単位のピーク物量、波動、締め時刻で能力を確認します。
正常な荷物だけで試す
潰れた箱、透明フィルム、斜めに置かれた商品、読めないラベルは必ず発生します。実証では、成功率だけでなく、失敗した荷物を誰が何分で戻すかを測ります。
既存WMSとの接続を後回しにする
設備単体のデモが動いても、商品マスター、出荷優先順位、在庫差異がつながらなければ本番運用できません。接続項目と責任者を、機器発注前に決めます。
停止時の手作業を設計しない
設備が止まった瞬間に、出荷全体が止まる構成は危険です。迂回動線、手作業への切替、予備部品、遠隔対応、現地到着時間を契約と訓練に落とします。
人員削減だけで投資を評価する
投資効果には、必要人数だけでなく、処理能力、誤出荷、保管面積、労災、教育期間、停止損失を含めます。省人化だけで回収できない案件でも、売上機会や拠点統合を含めると意味が変わる場合があります。
自社はマテハンのどこへ入れるか
現場、ソフトウェア、拠点、金融の資産から、近い入口を確認します。
NEXT STEP
次のステップ
マテハンを、設備選びから事業設計へ。
物量、荷姿、例外、既存設備、運用責任を整理し、自社が継続して担える自動化の入口を設計します。
新規事業では、マテハン本体より四つの周辺領域を狙う
マテハンの標準機器は、国内外の大手が強い市場です。後発企業が同じAMRやコンベヤをつくるだけでは、価格、保守網、導入実績で不利になります。
一方で、現場ごとの差が大きく、まだ標準化されていない境目には参入余地があります。

次の表は、四つの入口を顧客、価値、提携先、懸念で比べたものです。自社が持つ資産に近い行から検討し、不足機能を提携で補えるかを確認します。
| 参入方法 | 最初の顧客 | 提供価値 | 足りない機能を補う相手 | 主な懸念 |
|---|---|---|---|---|
| 既存倉庫の診断・レトロフィット | 中堅3PL、卸、製造業 | 柱や低天井を前提に部分自動化 | AMRメーカー、施工会社、WMS企業 | 個別対応が増え、利益率が下がる |
| 異種設備をつなぐ制御ソフト | 複数設備を持つ大手荷主 | WMSと各社ロボットを接続し、渋滞を減らす | SIer、通信、設備メーカー | 接続責任と障害原因が曖昧になる |
| 例外処理・遠隔復旧サービス | 無人化時間を延ばしたい倉庫 | 夜間の詰まり、認識失敗、停止を遠隔支援 | 保守会社、カメラ、通信会社 | 24時間要員と安全責任が重い |
| 成果課金型の自動化運営 | 初期投資を抑えたい3PL・荷主 | ピック数や処理量で課金し、設備投資を変動費化 | リース、保険、機器メーカー | 稼働率、物量不足、資産残価を負う |
一つ目は、築年数の古い倉庫を対象にした診断とレトロフィットです。床を全面改修せずに使えるAMR、既存棚を使うGTP、低天井向けバッファを組み合わせます。顧客の建物制約をデータベース化できれば、個別受託から標準パッケージへ移れます。
二つ目は、異なるメーカーの設備をつなぐ制御ソフトです。新しいロボットを売るのではなく、WMS、WES、WCSの間をつなぎ、仕事の優先順位と通行権を調整します。価値の中心は、画面の見やすさより、止まらずに処理量を出せることです。
三つ目は、例外処理と復旧です。自動化が進むほど、人は通常作業ではなく、詰まり、認識失敗、破損、緊急停止への対応に集中します。複数社の設備を遠隔で監視し、原因切り分けと復旧を代行するサービスには継続収益の可能性があります。
四つ目は、設備を売り切らず、処理量に応じて課金するモデルです。顧客は初期投資を抑えられますが、提供側は物量変動と設備残価を負います。機器の知識だけでなく、リース、保険、保守、回収の設計が必要です。
自社が参入できるかは、保有資産と責任範囲で決める
参入判断では、「市場が伸びているか」より、自社がどの責任を持てるかを確認します。
設備会社なら、既存製品を倉庫へ転用するだけでなく、遠隔監視と保守部品の供給まで担えるかが重要です。ソフトウェア会社なら、API接続だけでなく、現場停止時の原因切り分けに入れるかが問われます。
物流会社や不動産会社は、自社拠点を実証場所として提供できます。複数荷主の物量を束ねれば、単独企業では採算が合わない自動化設備を共同利用する事業も考えられます。金融会社は、設備の残価と稼働リスクを評価し、成果課金を支える役割を持てます。
見送った方がよいのは、顧客現場へ入れず、設備停止の責任者も決められない場合です。マテハンは、デモで一度動くことより、繁忙期に止まらず、止まっても短時間で戻せることが価値になります。
マテハンについてよくある質問
マテハンの意味、機器の違い、導入順序について、よくある疑問を短く整理します。
まとめ:マテハンは、機器ではなく流れと復旧で選ぶ
マテハンとは、倉庫や工場で荷物を移動・保管・仕分けする仕組みです。自動倉庫、コンベヤ、AGV、AMR、ロボットだけでなく、WMS、WES、WCSをつなぐ設計まで含めて考える必要があります。
主要企業の事例を見ると、成功の共通点は、高性能な機器を一台入れたことではありません。商品特性と物量に合わせて方式を分け、入荷から出荷までの情報をつなぎ、停止時の戻し方まで決めています。
新規事業として狙うなら、標準機器の正面競争より、既存倉庫、異種接続、例外処理、成果課金という境目が有望です。自社の資産と、継続して持てる責任を照らし合わせて入口を選ぶことが、最初の判断になります。
参考文献
市場規模、制度、企業事例は、以下の一次情報を中心に確認しました。
- 日立製作所「マテハン」
- 国土交通省「物流効率化法について」
- 日本ロジスティクスシステム協会「2024年度物流システム機器生産出荷統計」
- ダイフク「F-LINE株式会社様」
- Mujin「株式会社PALTAC様」
- ラピュタロボティクス
- ギークプラス「ALP 物流業務の自動化に成功」
- AutoStore「ハヤブサ社の倉庫自動化事例」
- Exotec「三菱食品の草加FSDCでSkypodが本格稼働」
- IHI「物流システム」
- KION Group Annual Report 2025
CONTACT
お問い合わせ
マテハンの構想を、止まらない事業へ。
荷物、情報、設備、保守、責任分界を一つの事業構造にし、参入・提携・待機・見送りの判断を支援します。