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三菱地所など、国産木材の柱保護材「KiNEMAKI」を販売開始

ニュースの要点

高島、三菱地所、MEC Industryは2026年10月8日、国産のCLT材を使った柱保護材「KiNEMAKI(キネマキ)」の販売を開始したと発表しました。CLTは、木の板を繊維の向きが直交するように重ねた材料です。

物流倉庫などの鉄骨柱の足元を覆い、フォークリフトの接触から柱を守ります。従来のコンクリート製の保護部分に代わり、木製パネルなどを組み立てる方式を採用しました。破損した面だけを交換できる構造としています。

三菱地所が計画・開発、MEC Industryが木材の製造、高島が設計・施工の支援と販売を担います。施工や維持管理の負担軽減と国産材の活用が目的です。2026年8月31日に竣工した物流施設「ロジクロス三郷」で採用されています。

ニュース出典:掲載元:高島株式会社(PR TIMES)/原題:国産CLT材を活用した柱保護根巻「KiNEMAKI(キネマキ)」を共同開発、販売開始/公開日:2026年10月8日/原文を読む

イノベーション総研の考察

この事例は、木材を使うこと自体より、倉庫の施工と補修に困る場面を狙っている点が興味深いと考えます。環境配慮の材料を、施設の持ち主が日常的に負担する工事や管理の問題へ結び付けています。

倉庫全体を木造にせず、交換しやすい部位から入る

倉庫ではフォークリフトが荷物を運び、柱の近くを通ります。柱を守る設備は、安全に関わる一方、衝突で壊れれば補修も必要になります。今回の製品は、建物全体の構造を変えるのではなく、この限られた部位を対象にしています。

原典では、三菱地所が2016年から木材活用を進め、MEC Industryが2020年に設立された経緯を説明しています。蓄積してきた材料の供給能力を、物流施設という既存の顧客接点へつなげた形です。

新素材の事業化では、建物全体を置き換えるより、困り事が明確な部位で採用理由を作る方法があります。

用途を絞れば、その用途に必要な性能と、従来品との比較が具体的になります。ただし、部位を絞ったことは安全確認が不要になることを意味しません。柱、車両、通路の条件に合った確認は必要です。

環境価値だけでなく、工事と補修の手間を減らす

コンクリートを現場で施工する場合と、部材を組み立てる場合では、準備と作業の進め方が変わります。原典は、乾式工法による施工と、破損した一面の交換を特徴として説明しています。

利用者にとって重要なのは、材料が変わったことだけではありません。倉庫を止める時間、補修する人の手配、交換部材の入手まで含めて管理が容易になるなら、環境配慮以外にも購入の理由が生まれます。

環境配慮を購入理由に加えるには、導入費だけでなく、工事中の不便と補修の負担まで減らせるかが鍵になります。

ただし、販売価格、実際の施工時間、従来品との総費用比較は未公表です。「破損面だけを交換できる」という構造上の特徴と、「維持費が下がった」という実績は分けて読む必要があります。

施設の持ち主、製造者、販売者がそれぞれを補う

三菱地所は、公式会社概要で物流施設の開発・賃貸を事業として挙げています。施設を作り使ってもらう側が開発に参加することで、材料メーカーだけではつかみにくい現場の必要条件を製品へ反映しやすくなると考えられます。

一方、試作品を自社施設へ置くだけでは事業は広がりません。継続して供給する製造体制と、他の施設へ売り、施工する窓口が必要です。今回の三社は、その役割を分けています。

共同開発の価値は、技術を持ち寄ることだけでなく、採用する現場、安定供給、販売と施工を一続きにした点にあります。

自社で似た取り組みをする場合も、実証先だけでなく、採用後の交換部材や施工を誰が担うのかを先に決めます。環境への評価が高くても、修理に時間がかかれば継続採用を妨げる可能性があります。

次は、自社施設の採用から他社への販売へ進めるか

ロジクロス三郷での採用は、具体的な導入場所ができたことを示します。ただし、開発当事者の施設で使われたことと、外部の顧客が価格や管理負担を比較して選んだことは同じではありません。

事業化の次の節目は、他社施設での採用と、施工・補修を含む費用の比較が示されることです。

衝突への試験値も、実際の倉庫で想定する車両や衝突条件と照合する必要があります。製品の試験を、すべての使用条件での安全保証へ広げて解釈してはいけません。採用数、使用後の傷み、交換のしやすさが、継続的な需要を判断する材料になります。

まとめ

KiNEMAKIは、国産材の用途を倉庫の柱保護という具体的な課題へ結び付けた製品です。新素材を扱う企業には、環境価値に加え、使う人の工事・補修の負担を減らす用途を探す示唆があります。

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この記事の執筆

執筆:イノベーション総合研究所

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