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パナソニック、ベトナムとフィリピンでエアコン回収を実証

ニュースの要点

パナソニックは2026年10月8日、ベトナムとフィリピンで、使用済みエアコンの回収・再生・再資源化に向けた実証を行うと発表しました。現地法人と家電量販店が連携し、2027年3月末までの実施を予定しています。

ベトナムでは同日に回収を開始し、フィリピンでは10月に開始する予定です。提携する量販店でパナソニック製品を購入した人を対象に、他社製を含む使用済みエアコンを各国500〜1,000台回収することを目指します。

目的は、適正な回収・処理と資源循環の仕組みを現地で作ることです。販売網を使った回収方法と、回収品を資源に戻す事業の実現可能性を調べます。フィリピンでは再生したエアコンを販売する可能性も検証し、日本で蓄積した再生品の品質管理などを活用します。

ニュース出典:掲載元:パナソニック株式会社/原題:パナソニック、ベトナム・フィリピンで使用済み家電の回収・再資源化実証を開始/公開日:2026年10月8日/原文を読む

イノベーション総研の考察

イノベーション総研は、今回の中心課題を「再生技術があるか」ではなく、「使い終わった製品を継続的に集められるか」と捉えます。製造時の技術だけでは、回収した製品をもう一度売る事業や、素材へ戻す事業は成立しません。

新品を売る場所が、使用済み品を集める場所になる

原典が説明するASEANの課題は、家電の普及が進む一方で、使い終えた製品を適正に回収・処理する仕組みの整備が追い付かないことです。特にエアコンは冷媒を含み、適切に扱う工程が必要になります。

今回の実証は、量販店での買い替えを回収の接点にします。単に回収の広告を出す方法より、購入と取り外しが生じるタイミングに合わせて、顧客へ回収を案内できると考えられます。

循環型事業の出発点は、再生設備を増やすことだけではなく、使い終わる瞬間に顧客とつながることです。

家電以外でも、設備更新、リース満了、修理受付などが接点になり得ます。ただし、回収対象を他社製にも広げれば、状態や部品がばらつきます。集める量が増えるほど必ず効率が良くなるとは限りません。

再販売と素材回収は、別の採算で見る必要がある

まだ使える製品を整備して売る方法と、解体して素材を使う方法では、必要な作業が異なります。前者では検査・修理・保証、後者では解体・選別・輸送が費用になります。

原典では、ベトナムでの解体や再生材の自社製品への利用は将来の検討事項です。フィリピンのエアコン再販売も、可能性を確かめる段階であり、商用販売が成立した実績ではありません。

回収台数だけでなく、一台ごとに「再販売する」「素材へ戻す」のどちらで価値が残るかを見極める必要があります。

例えば再生品として売れても、修理費や回収後の保管費が高ければ利益は残りません。素材の売却価値も、分別や運搬の費用を上回る必要があります。新品販売への効果と回収事業単体の収支を分けると、続けられる理由が明確になります。

冷蔵庫で積んだ経験を、エアコンへそのまま移せるか

フィリピンでは、2025年11月に再生冷蔵庫80台の販売実証を実施し、2026年9月からは状態に応じたランクと保証を付ける販売実証へ進んでいます。今回のエアコン実証は、その経験を別の製品へ広げる取り組みです。

ただし、冷蔵庫とエアコンでは取り外し、設置、輸送、修理の方法が違います。冷蔵庫の販売で得た知見があっても、エアコンで同じ費用や販売条件になるとは言えません。

別製品への横展開では、共通の品質管理を使いつつ、回収と再設置で増える作業を確かめることが重要です。

自社で循環型サービスを始める場合も、最初に対象製品と回収地域を限定し、状態別の検査・修理費を記録する方法が考えられます。「日本でできている」という理由だけで現地に移すのではなく、現地の販売網と処理体制に合うかを確認します。

実証終了後は、回収目標より継続できる収支を見る

各国500〜1,000台は回収目標であり、達成実績ではありません。期間終了後には、何台回収したかに加え、回収一台当たりの費用、再生できた割合、販売できた数量を確認したいところです。自社が次の投資を決める基準も、台数の達成だけでなく、回収・修理・処理費を含めて継続できる収支に置く必要があります。

次の観測点は、回収した量ではなく、量販店・処理事業者・メーカーが継続できる役割と収支が示されることです。

顧客の買い替え頻度や回収地点がばらつけば、集荷費が増える可能性があります。検査後に再利用できない製品を誰が処理するのかも重要です。今回の発表には、こうした単価や負担分担の詳しい条件は示されていません。

まとめ

今回の実証は、新品の販売網を使って使用済み品を集め、再販売と再資源化の可能性を調べるものです。循環型事業を考える企業には、技術だけでなく、回収の接点と製品の状態別の採算を先に検証する示唆があります。

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この記事の執筆

執筆:イノベーション総合研究所

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