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EY新日本、AIガバナンス「C認証」の取得支援を開始
ニュースの要点
EY新日本有限責任監査法人は2026年9月11日、日本ディープラーニング協会(JDLA)のAIガバナンス第三者認証制度「C認証」の取得を支援する助言サービスを始めました。対象は、AIを開発、提供、利用するスタートアップから大手企業、自治体までです。
C認証では、組織が利用するAIの把握、リスク対応組織の設置、リスク評価、リスク対応という四つの中核項目を審査します。EY新日本は認定コンサルティング企業として、現在のルールや体制を確認し、認証基準に達するまでの整備を支援します。
背景には、AI利用を広げたい一方、責任者や管理方法が定まらず導入が進まない企業の課題があります。EY新日本は、基礎的なC認証から、より包括的な国際規格ISO/IEC 42001の認証取得まで段階的に支援する方針です。
ニュース出典:EY新日本、AIガバナンス「C認証」の取得支援サービスを提供開始(EY新日本有限責任監査法人、2026年9月11日)
イノベーション総研の考察
今回の発表で注目したいのは、AIガバナンスを大規模な制度設計から始めず、四つの基本項目に絞った認証を入口にしたことです。
AI管理を始める企業に基本的な整備項目を示し、取引先の要請や自社の用途に応じて、より広い管理体制の構築も支援するサービスです。
AI活用の障壁を認証取得という仕事に変えた
企業内で生成AIや予測AIの利用が増えると、情報漏えい、著作権、誤判断などの問題が起きた際に、誰が説明し、どこまで利用を止めるかを決める必要があります。しかし、抽象的な「安全なAI利用」という目標だけでは、現場は何から整えればよいか分かりません。
具体的には、C認証は、利用AIの一覧、担当組織、リスク評価、対応記録という確認可能な状態へ課題を分解します。このサービスは、漠然とした不安を、共通の基準で点検できる体制整備へ変えています。なお、取得までの期間は、顧客の現状や整備範囲に応じて確認します。
EY新日本がこの事業を始められた理由
JDLAの8月4日の制度開始発表によると、EY新日本自身がC認証の先行取得企業であり、認定コンサルティング企業にも登録されています。つまり、自社で基準への適合を経験したうえで、顧客の現状確認と体制整備を支援する構成です。認証制度の公式案内では、支援する企業と審査するJDLAを分けています。そのため、EY新日本が顧客へC認証を付与するわけではありません。
さらに同社は、内部統制や保証業務で、規程を作るだけでなく、実際に運用され、記録が残るかを確認してきました。新しい認証市場へ入る鍵はAI技術だけでなく、組織の統制を確認してきた既存の専門性でした。
必要な認証を選び、取得後の運用を続ける
C認証が扱うのは四つの中核項目です。これは、AI方針、責任体制、継続改善まで含むISO/IEC 42001(AIマネジメントシステムの国際規格)より範囲を絞り、最初の一歩として位置付けられています。つまり、準備の負担が重くて動けない企業にも参加口をつくる設計です。
一方で、認証取得だけを目的にすると、審査時に書類を整えた後、現場のAI利用が変わらない恐れがあります。C認証とISO/IEC 42001は別の制度です。C認証を取得すれば自動的にISO認証へ進めるわけではなく、どの認証が必要かを、顧客の事業や取引条件から選びます。また、C認証の対象は組織の管理体制であり、個々のAI製品の性能を保証するものではありません。
認証サービスで測るべき成果
9月11日のサービス発表では、料金、標準期間、獲得目標は示されていません。顧客側では、認証取得数だけでなく、未登録のAIが減ったか、問題の報告先が明確になったか、リスク評価にかかる時間が短くなったかを見る必要があります。
EY新日本側では、相談から申請へ進む割合、取得までの期間、認証後の継続支援率が事業性を示します。認証取得に加えて、問題を把握し、利用を続けるか、一時停止して見直すかを判断できる運用が成果です。そのため、報告から判断までの時間や、再開時に必要な対策が実行されたかを確認します。
自社ではAI台帳から始められる
担当者の方が自社へ置き換えるなら、まず部署ごとに使っているAIの名称、用途、扱うデータ、判断への影響、責任者を一覧にします。すべての規程を先に作るより、利用実態を把握した方が優先順位を付けやすくなります。
次に、高リスク用途を選び、利用停止、担当者への連絡、影響確認、再開判断の手順を一件だけ通してみます。次に確認したいのは、取得後も台帳とリスク評価が更新され、問題発生時の対応が実際に機能するかです。
この分野の市場構造と参入の考え方は、シャドーAIは「禁止」で防げないで詳しく整理しています。
まとめ
EY新日本は、四つの基本項目を確認するC認証の取得支援を始めました。AIガバナンスを大きな制度論で終わらせず、認証という分かりやすい到達点へ変えたサービスです。今後は、顧客の用途に合う管理体制を整え、認証取得後もその運用を支援できるかが事業の広がりを左右します。
執筆:イノベーション総合研究所
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