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NTT・安藤ハザマなど、トンネルのひび割れを遠隔確認

ニュースの要点

安藤ハザマ、NTT、富士通グループの1Finityは2026年10月19日、山岳トンネルで光通信技術IOWNを用いた遠隔施工管理の実証結果を発表しました。実証は同年3月、東海北陸自動車道の椿原トンネル工事で行いました。

坑内に約1,100mの光ファイバーを敷き、1,000kmの長距離通信を模擬した環境と接続。複数の映像を送りながら、4K映像で幅0.2mmのひび割れを遠隔で目視確認しました。今後は複数現場を接続した運用を試し、2027年度以降の段階的な実運用に向けて検証を進めます。

施工管理の人手不足や熟練者の高齢化を背景に、現場に必要な高精細映像を安定して伝送するための検証を実施しました。実際の運用での人員削減や費用の実績は公表していません。

ニュース出典:トンネル坑内における遠隔施工管理の実現に向けて、IOWN(R)技術を活用し建設現場のDXを加速(発表主体の公式発表、2026年10月19日)。ニュース部分は原文の転載ではなく、内容に基づく要約です。

イノベーション総研の考察

トンネルでは、通信の速さより「何を判断できるか」が先

トンネル工事の遠隔管理では、現場に人がいない場所から、掘削面や壁の状態を把握する必要があります。映像が届いても、確認したい異常が見えなければ検査には使えません。粉塵、振動、湧水に耐え、工事の進行に合わせて通信設備を延ばせることも必要です。

通信性能を現場の価値に変えるには、映像を送れたかではなく、必要な異常を見分けられたかを確かめます。

今回の幅0.2mmという結果は、検査対象と伝送技術を結び付けた点に意味があります。ただし、あらゆる距離や照明条件で同じ異常を見つけられると証明したわけではありません。試験の撮影条件や確認対象を外さずに読む必要があります。

2025年の用途検討から、実際の坑内へ進んだ

安藤ハザマとNTTは2025年8月の発表で、遠隔監視・検査などの用途を検討していました。今回は工事中のトンネルに通信設備を設置し、同時映像監視と大容量データの転送などを確認しています。机上の用途から、現場環境での技術検証へ進んだと捉えられます。

用途の合意、現場での技術確認、日々の運用は、それぞれ別の段階です。

安藤ハザマが実証環境を用意し、NTTが遠隔検査などのシステムを構築、1Finityが光通信環境と機器を提供しました。現場を持つ企業と通信企業が組むことで、装置の性能だけでは見えない設置・運用の課題を確認する構成になっています。

「1,000km先でも確認」を、実回線の運用実績と読まない

今回の1,000kmは、長距離通信を模擬した環境です。実際に遠く離れた複数の工事現場を結び、連日施工を管理した実績とは異なります。発表では24時間以上の連続稼働も確認していますが、工期全体の稼働率が示されたわけではありません。

模擬環境で通信と検査が成立しても、複数現場の運用負担まで減ったとはまだ言えません。

今後は、回線の復旧、機器の移設、現場での補助作業、遠隔担当者の判断待ちなどを確認する必要があります。一人の熟練者が何現場を支えられるか、通信費や保守費を含めて負担が減るかが、施工会社にとっての導入判断になります。

自社の遠隔サービスでも、実証結果を業務単位に直す

点検や保守を遠隔化する新規事業では、通信速度やAIの正答率が先に示されがちです。しかし、顧客は作業全体の時間や品質、事故時の対応を含めて判断します。現場に残る作業と、遠隔へ移せる作業を分けて測ることが大切です。

次の実証では、技術の追加より、どの判断をどこまで遠隔側へ移せるかを明確にすると投資判断に近づきます。

今回の次の観測点は、実際の通信環境で複数現場をつないだ結果です。検査の見落とし、再確認の回数、現地への移動時間、停止からの復旧を比較できれば、通信基盤が日常業務に使えるかを具体的に評価できます。

担当者の方が次段階への判断基準を置くなら、通信がつながった時間だけでなく、検査を完了するまでの時間や、画像が不十分で再撮影した回数を含めます。遠隔側で判断できず現地へ確認を求める作業が多いなら、移動は減っても現場の負荷は残るためです。

複数現場を一元管理する場合には、異常が同時に発生した時の対応順も必要になります。通信装置が高性能でも、判断する専門技術者が足りなければ、別の場所へ待ち時間を移すだけになる可能性があります。装置の安定性と人の処理能力をセットで確かめることが、日常運用へ進む条件になります。

まとめ

今回の実証は、トンネルで必要な検査映像を遠隔へ届ける技術的な有効性を確認したものです。長距離通信は模擬環境であり、複数現場の実運用は次の段階です。新規事業の実証でも、技術性能と顧客業務の改善を分けて積み上げることが重要です。

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この記事の執筆

執筆:イノベーション総合研究所

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