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NTT、既存システムの設計書とコードの不整合を検出する技術を開発
ニュースの要点
NTTは2026年10月23日、既存システムの仕様書や設計書、コード、テストを対応付け、不整合や不足を検出・補完する技術を確立したと発表しました。長年蓄積したソフトウェア資産を、AIが理解し活用しやすい状態に変えるための研究です。
成果物の対応関係を解析する技術と、既存のテストで確認できていない条件を整理し、テストを生成する技術を組み合わせます。サンプルアプリの設計書に意図的に入れた41件の誤りを対象とする予備実験では、提案手法が33件、従来手法が11件を検出したとしています。
同社は検出率をそれぞれ80%、27%と公表しています。今後は実際の開発・保守案件などへ適用し、有効性を検証する計画です。11月のNTT R&D FORUMで展示しますが、商用サービスの提供日や価格は発表していません。
ニュース出典: NTT「”人が読む”既存ソフトウェア資産を、”AIが読む”開発資産へ」(2026年10月23日)
イノベーション総研の考察
既存システムをAIで改修する際、コードが読めるだけでは十分とは限りません。設計書と実際の動きが違うなら、どちらに合わせて直すかを判断する必要があります。今回の研究は、AIに仕事を任せる前に、何と何の関係を整えるべきかを考える材料になります。
仕様書・設計・コードの対応をそろえてからAIに読ませる
NTTは、改修を重ねたシステムで設計書とコードが一致せず、変更の影響を確認する手間が増えることを課題に挙げています。今回の技術では、文書を単に細かく分割するのではなく、機能を意味のある単位に整理し、仕様、設計、実装などの対応を解析すると説明しています。
イノベーション総研が注目するのは、資料をたくさん渡すことと、資料同士の関係を分かる状態にすることを分ける点です。関連文書が見つかっても、その記述がどの機能やコードに対応するかが不明なら、変更してよい範囲を決めにくくなります。対応関係を整えることが、改修を支える前提になると考えられます。
AIへ渡す資料の量だけでなく、仕様・設計・コードが何を指しているかをそろえます。 ただし、不整合が見つかったときに文書とコードのどちらを正しいとするかは別の判断です。実際の業務で求める動作まで、整合性の検査だけで確定したとは扱えません。
80%は仕込んだ誤りの検出率で、現場の改修成功率ではない
予備実験は、ATRSというサンプルアプリを使い、設計書へ意図的に入れた41件の誤りを対象にしています。提案手法は33件、従来の検索した資料を参照する方式は11件を検出しました。この比較から言えるのは、今回用意した条件の下で、検出できた誤りが増えたことです。
業務での改修が80%成功する、開発費を同じ割合で削減できる、と読み替えることはできません。誤りを見つけること、修正方法を決めること、修正後の業務を確認することは別の作業です。検出されなかった誤りに加え、正しい箇所を誤りと判断する負担も、現場の適用評価では確認する必要があります。
実験の検出率と、改修後に業務が正しく動くことは別々に検証します。 自社でAIを評価する担当者の方も、比較する対象と分母をそろえ、できた案件だけでなく、見逃しや追加確認が生じた条件を残すと、導入範囲を決める材料になります。
テストを増やす前に、既存テストが見ていない条件を特定する
もう一つの技術は、既存のテストを、何を確認するテストなのかという観点へ対応付けます。その上で、不足している異常時の動きや境界値、複数条件の組合せなどを特定し、テストを生成する仕組みです。既存のテストを捨てて作り直すのではなく、確認済みと未確認の範囲を整理しています。
ここからは、テストを生成した件数だけを成果にしないという読み方ができます。同じ動きを重ねて確認するテストが増えても、変更による影響の見落としが減るとは限りません。何を確認していないかが分かれば、人が優先して確かめる条件も決めやすくなると考えられます。
追加するテストの数より、これまで確認できなかった条件を埋められるかを見ます。 一方、元の仕様や設計に業務上の例外が書かれていなければ、それをどう補うかは課題として残ります。NTTも今後、暗黙の知識の抽出・補完や、扱う品質観点を広げる方針を示しています。
次の判断は、実案件で残る調査と確認の負担で決める
NTTは今後、規模や特性の異なるシステムへ適用し、実際の開発・保守で有効性を検証する計画です。今回の予備実験で見えた可能性を、顧客が使うシステムへ広げられるかが次の段階になります。価格や提供時期がない現時点で、導入効果や採算が確立したサービスとは評価できません。
自社で試すなら、既存資産の整理、変更箇所の特定、修正、テスト、結果の確認を分け、どこに人の作業が残るかを記録する方法が考えられます。資料を整える初期作業だけでなく、改修のたびに対応関係を保つ負担も含めれば、継続して使えるかを判断できます。
導入の可否は、情報整理の初期負担と、継続する改修・確認の変化を併せて見ます。 元の情報の誤りを整えてしまい、かえって確認が増えるという反対仮説も残す必要があります。対象を広げる判断基準は、見逃しと追加確認を含む負担が現在の手順より改善し、その状態を維持できるかです。改善しない条件は適用範囲から外し、人の判断を残すという進め方が考えられます。
まとめ
NTTは、既存システムの成果物を対応付け、不整合やテストの不足を補う研究成果を発表しました。サンプルでの検出率を業務の成功率に読み替えず、情報の対応、未確認の条件、実案件の確認負担を分けて評価することが、AIの導入範囲を決める材料になります。
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