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NTTインフラネット、道路幅員データをAPIで提供開始

ニュースの要点

NTTインフラネットは2026年9月25日、データ連携サービス「ちばんAPIワイド」で、道路の幅を示す道路幅員データの提供を始めると発表しました。全国に対応する地図データを、不動産調査や金融機関の不動産評価などに活用してもらうことが目的です。

同社が整備してきた電子地図から道路幅員データを生成します。企業は、システム同士をつなぐAPIを通じて情報を取得し、地番、土地の面積、用途地域、災害リスクなどの情報と組み合わせられます。自治体の資料などで確認していた机上調査の効率化を支援します。

併せて、土地の番号と区画を示す「GEOSPACE 地番地図」の提供範囲を9道府県の10市町で拡大しました。こちらは地番地図の拡充であり、道路幅員データの全国対応とは別の更新です。今回の発表では、料金や導入企業の業務削減効果は示されていません。

ニュース出典:NTTインフラネット「『GEOSPACE 地番地図』提供エリア拡大」(公開日:2026年9月25日)。原題:「GEOSPACE 地番地図」提供エリア拡大「ちばんAPIワイド」で全国対応の高精度な道路幅員データを提供開始

イノベーション総研の考察

地図のデータを持つ企業が、不動産を調べる企業に情報を売る。そう聞くと従来事業の延長に見えます。今回の発表を新規事業の視点で読むなら、データを増やしたことより、顧客が日々繰り返す調査作業に入り込もうとしている点が重要です。

地図を見る仕事から、候補を絞る仕事へ広げる

不動産の調査では、土地の場所が分かるだけでは判断できません。周辺にどのような道路があるか、どの用途に使える地域か、災害リスクはどうかなど、複数の情報を集めて候補を絞ります。資料ごとに住所や位置を探し直す作業は、対象物件が増えるほど負担になります。

今回の道路幅員情報は、こうした調査の一部を既存の地番情報に近づける追加です。一つの物件について情報をまとめて取得できれば、担当者は資料を探す時間を減らし、現地で確認すべき物件の選別へ時間を使える可能性があります。

データの追加価値は、項目数の多さではなく、顧客が一件の判断に必要な情報を集める手間が減ることです。

重要なのは、道路の幅だけで土地の利用可否や融資の結論が出るわけではない点です。APIは判断材料の収集を支援するものとして捉え、必要な公的資料や現地確認まで不要になると読み替えないことが大切です。

過去に整えた地図が、新しい用途への入口になる

NTTインフラネットは、長年整備してきた電子地図から今回のデータを生成すると説明しています。道路の幅を売るために全国を一から調査するのではなく、保有資産を別の用途へ加工する形です。

さらに、顧客が使っている地番やエリア情報のサービスに追加すれば、まったく別の販売先を開拓する場合より、利用場面を説明しやすくなります。「地図があります」ではなく、「この物件調査の工程を短くできます」と提案できるためです。

保有データの事業拡大では、既存顧客が次に調べている情報を見つけることが、新しい用途への近道になります。

自社で設備、取引、位置などのデータを持っている場合も、データの一覧から売れそうなものを探すだけでは不十分です。既存顧客の仕事を一工程先まで追い、その工程に使える形へ加工できるかを確かめると、拡張先が具体化します。もちろん、外部提供できる権利や利用条件の確認は別途必要です。

全国対応の価値は、品質と更新を続けて初めて残る

一地域で便利なサービスでも、全国に展開するとデータの欠けや更新時期の違いが問題になります。利用者が場所によって取得方法を切り替えたり、古い情報を見分けたりしなければならないなら、業務に組み込む利点は小さくなります。

発表はデータの精度の高さを説明していますが、具体的な誤差の指標や更新頻度、実際に削減した調査時間は示していません。全国対応という提供範囲と、すべての用途で十分な品質があるという評価は、分けて見る必要があります。

データ事業は、販売範囲を広げるほど、情報の鮮度と欠けを管理する継続費用が採算を左右します。

事業を作る側には、更新にかかる費用と顧客の利用頻度を照合する作業が必要です。毎日使う情報と年に一度しか見ない情報では、求められる更新の細かさも料金の納得感も違います。今回の採算は未公表であり、既存資産を使うから高収益とまでは判断できません。

APIの呼び出し回数より、調査工程への定着を見る

APIにすると顧客のシステムから繰り返し利用しやすくなります。ただし、呼び出し回数が増えたことだけでは、顧客が成果を得たかは分かりません。重複した取得や試験利用でも回数は増えるためです。

今後の導入事例では、一物件の調査時間がどう変わったか、取得後に同じ資料を調べ直す割合が減ったか、担当者が継続して使っているかを確認したいところです。これらはイノベーション総研が提案する観測項目で、今回の発表に掲載された実績値ではありません。

データ販売の成功は、アクセス数ではなく、顧客の調査工程に定着して再契約されるかで確かめます。

自社の試験販売でも、対象業務を一つに絞り、手作業の調査とデータ利用を並行して比べると有効です。省けた作業だけでなく、追加で必要になった確認作業まで記録すれば、有料化できる範囲と改善すべき部分が見えてきます。

まとめ

今回の発表は、地図資産を不動産・金融分野の調査業務へ広げる動きです。保有データを新規事業にする際は、情報量の多さより、顧客が判断するまでの手間をどこまで減らせるかが重要になります。その価値を保つ更新体制と費用も、販売時点から事業計画に組み込む必要があります。

執筆:イノベーション総合研究所

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保有データを継続収益につなげる

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