投稿日:2026.09.04 最終更新日:2026.09.20
新規事業マーケティングの進め方|認知ゼロから顧客を増やす5要素
新しい商品をつくったのに、
誰に、何を伝えれば選んでもらえるのか。
新規事業マーケティングは、顧客の困りごとを捉え、商品・価格・届け方・伝え方を整えて購入につなげる活動です。広告やSNSを始める前に、顧客、価値と証拠、価格、販売経路、訴求内容の5要素をつなげて考えると、施策の目的がはっきりします。日本マーケティング協会の定義も、宣伝だけでなく価値づくりや顧客との関係を含んでいます。イノベーション総研が重視するのは、「誰が、どんな理由で買うのか」を確かめ、その理由が伝わる接点を増やすことです。本記事では、認知ゼロからの集客方法、成果の見方、営業との役割分担を解説します。法人向けサービスの架空例を使い、初めて担当する方でも、次に試す施策と確認事項を決められるように整理しました。
この記事のポイント
- 顧客・価値と証拠・価格・販売経路・訴求内容の5要素をつなげる
- 広告やSNSは、顧客が探す場面と購入までの流れに合わせて選ぶ
- 閲覧や問い合わせだけでなく、購入・利用と費用まで確認する
- 顧客の反応を営業と商品担当で共有し、次に変えることを決める
目次
新規事業マーケティングは、宣伝だけでなく「買われる条件」を整える
「新しい商品を知ってもらうこと」は大切です。ただし、知られた後に購入する理由がなければ、広告で人を集めても事業は育ちません。まず、マーケティングがどこまでを扱う活動なのかをそろえます。
商品づくり・価格・届け方も、マーケティングに含まれる
日本マーケティング協会は、2024年のマーケティングの定義で、顧客や社会との価値づくり、その普及、関係づくりを含む活動として位置づけています。広告を出すことだけを指しているわけではありません。
イノベーション総研では、これを新規事業の実務に置き換え、「顧客が欲しいと思う条件」と「実際に買える条件」を一緒に整えることが重要だと考えます。便利だと感じても、価格が合わない、購入方法が分からない、社内で承認を得られない、といった理由で選ばれないことがあるためです。
たとえば業務用サービスなら、機能を紹介するだけでなく、誰の作業が変わるのか、費用をどの部署が持つのか、導入前に何を確認するのかまで考えます。個人向け商品なら、使いたい場面と、店頭・通販などの買いやすさをつなげる必要があります。
自社の施策一覧が「広告、SNS、展示会」だけになっていたら、それぞれで誰に何を判断してもらうのかを書き添えてみてください。目的が書けない施策は、実行を増やす前に見直す候補です。
既存事業の経験は生かしつつ、新しい顧客に合うかを確かめる
既存事業では、誰が買うか、何を評価されるか、どの販売経路が機能するかについて、積み重ねた情報があります。一方、新規事業では、その経験をどこまで使えるかが分からないことがあります。
ただし、新規事業だから何もかもゼロから調べ直す、という意味ではありません。同じ顧客へ関連商品を売るなら既存の営業接点を活用できます。自社の名前が知られていれば、初めての説明を聞いてもらいやすい場合もあるでしょう。
注意したいのは、顧客や使い方が変わっても、従来の売り方が通じると思い込むことです。既存取引先の担当者が新商品を評価しても、その人が購入予算を持っているとは限りません。「使える資産」と「今回確かめる条件」を分けて進めます。
新規事業マーケティングの5要素を、顧客から伝え方までつなげる
中小機構のJ-Net21「市場や業界の調べ方」では、製品・価格・流通・販売促進をまとめて考える4Pの視点が紹介されています。商品だけでなく、買う側にとっての価格や届け方も検討する考え方です。
本記事では、この視点を踏まえ、新規事業の担当者が決める内容を「顧客」「価値と証拠」「価格」「販売経路」「訴求内容」の5要素に整理します。これはイノベーション総研による実務上の整理であり、順に一度決めれば終わりというものではありません。顧客の反応に応じて、前の要素にも戻って見直します。
1. 顧客:困りごとが強い人と、購入を決める人を捉える
「中小企業」「子育て世帯」のような属性だけでは、誰にどんな提案をするかが決まりません。属性に加えて、どの場面で、何に困り、現在はどう対処しているかを具体化します。
たとえば「店舗を持つ会社」よりも、「店舗ごとの備品発注がメールや電話に分かれ、本部担当者が毎回まとめ直している会社」と捉えると、聞くべき相手や話題が見えてきます。現在のやり方に大きな不便を感じていない会社まで、最初から同じ提案で狙う必要はありません。
法人向けでは、使う人、運用を管理する人、費用を決める人が異なることがあります。決裁権のない利用者を対象から外すのではなく、それぞれが何を重視するかを分けて聞きます。利用者は入力のしやすさ、本部は集計の手間、責任者は費用や導入負担を気にする、といった違いです。
まず、優先する顧客を「誰の、どの作業や場面で、何を変えるか」の一文で書きます。その人に実際に会える接点があるかも確認してください。顧客像が具体的でも、接点がなければ調査や販売を始められないためです。
2. 価値と証拠:便利な機能を、顧客の変化と確かめ方に置き換える
価値とは、機能の数ではなく、その機能によって顧客の仕事や生活がどう変わるかです。「発注情報を一覧化できる」だけでなく、「本部担当者が店舗からの連絡を探し、転記する作業をまとめられる」と説明すると、使う場面が伝わります。
さらに、その変化を何で確かめられるかを用意します。実演画面、試作品、試用時の作業記録などが候補です。まだ計測していないのに「業務時間を半減する」と言い切るのは避け、「実際の発注作業を使い、どの工程が減るか一緒に確認する」と提案できます。
顧客は競合商品だけでなく、今の方法を続ける選択とも比較します。安価な表計算で十分な相手に、高機能であることだけを説明しても、乗り換える理由にはなりません。現在の対処方法に残る不便を理解してから、違いを伝えます。
商品紹介を見直す際は、顧客が得る変化と、それを確かめる材料を一組にすると、説明の過不足を見つけやすくなります。実証できた内容と、今後確かめたい効果も混ぜずに書き分けます。
3. 価格:金額だけでなく、何にいくら払うのかを明確にする
価格を考えるときは、競合の金額だけを参考にせず、対象顧客が支払う理由と、提供を続けられる費用の両方を確認します。価格を下げれば解決すると思い込まず、必要性や提供範囲が伝わっているかも見てください。
備品発注の管理サービスなら、月額料金に含まれる店舗数、初期設定の支援、追加店舗の扱いなどが、比較の前提になります。同じ金額でも、どこまで含まれるかが不明だと判断しにくくなります。
顧客が負担するのは利用料だけではありません。既存データの移行、社内説明、担当者の操作習得などにも手間がかかります。断られた場合は、金額が高いのか、その手間に見合う変化を感じていないのかを分けて聞きます。
無料の試用を設ける場合も、有料に切り替わる条件を示します。無料で使われたことと、通常価格で継続されることは別の結果です。具体的な決め方は、新規事業の価格設定で詳しく解説しています。
4. 販売経路:顧客が知ってから買うまでのつながりをつくる
販売経路とは、直販、代理店、店舗、通販など、商品を購入してもらうための道筋です。顧客が商品を知る場所と、購入する場所が同じとは限りません。記事を読んで知り、説明会で理解し、営業担当と条件を相談して契約する場合もあります。
そこで、「知る→内容を確かめる→相談・試用する→購入する」の流れを、顧客の立場で一度たどります。広告から販売ページへ進めても、問い合わせ後に何が起きるか分からなければ、そこで止まるかもしれません。
新規事業だから必ず直販がよいわけでもありません。既に信頼されている販売店や提携先を通じた方が顧客に届く商品もあります。その場合は、問い合わせ内容や未購入の理由を、どの範囲で自社へ戻してもらえるかを決めておきます。
最初の顧客との接点づくりに迷う場合は、新規事業で初期顧客を獲得する進め方も参考になります。媒体を増やす前に、購入までに途切れている接点がないかを確認しましょう。
5. 訴求内容:機能の一覧より「自分に関係がある」と分かる説明にする
訴求内容は、顧客に伝える提案の中身です。専門用語や新しさだけでは、読む人が自分の課題と結びつけにくいことがあります。誰向けの商品か、何が変わるか、次に何をすればよいかを、分かる順番で示します。
たとえば「次世代の店舗業務DXプラットフォーム」では、扱う業務も購入する理由もはっきりしません。「店舗から届く備品の発注依頼を、本部で一つの一覧にまとめるサービス」とすれば、対象業務と使う人が伝わります。
その後に、対応する発注方法、試用の範囲、料金の考え方、相談後の流れを説明します。相手がまだ困りごとを整理している段階なら、すぐに契約を迫るより、現在の業務を整理する資料や実演の方が判断に役立つ場合があります。
広告、販売ページ、営業資料で、同じ言葉を使うことも重要です。広告では簡単に使えると案内し、商談で大きな導入作業が必要だと分かれば、期待とのずれが生じます。入口の表現だけでなく、その後の説明までつなげて点検します。
認知ゼロからの集客方法は、顧客の探し方に合わせて選ぶ
集客方法を選ぶときは、流行しているかではなく、対象顧客に届くか、必要な説明ができるか、次の行動を確認できるかで考えます。初期は管理できる範囲に絞り、反応を受けて組み合わせを広げます。
次の表は、代表的な方法を使い分けるための整理です。費用対効果の順位ではなく、顧客の状態に合わせて候補を選ぶために使ってください。
| 集客方法 | 候補になる場面 | 始める前に確かめること |
|---|---|---|
| 直接提案・紹介 | 対象企業や担当者を絞れ、個別の事情を聞きたい | 紹介先が対象に合うか。面談後の提案や購入条件まで記録できるか |
| 検索広告・検索向けの記事 | 顧客が悩みや解決方法を言葉にして探している | 実際に使う検索語は何か。検索した目的と販売ページの内容が合うか |
| SNS・動画 | 使う場面を見せると理解されやすく、対象顧客がその媒体を使っている | 閲覧者が狙う顧客か。関心を持った後、購入や相談へ進めるか |
| 展示会・体験会 | 実物や実演が必要で、比較・相談する場が役立つ | 来場者の役割は何か。体験後に誰が、いつ連絡するか |
| 販売店・提携先 | 顧客が普段使う購入先や、信頼している相談先がある | 販売条件が合うか。顧客の質問や見送り理由を受け取れるか |
検索向けの記事は、公開しただけですぐに集客できるとは限りません。短期で提案への反応を知りたいなら広告や直接提案も候補です。一方、商談のたびに繰り返し説明する内容を、記事や動画で事前に伝える組み合わせも考えられます。
顧客が課題を言葉にして探していない場合、検索広告だけでは接点が生まれにくい可能性があります。実際の仕事や生活の場面を見せる、既存の相談先を通じて紹介するなど、「どう探しているか」だけでなく「まだ探していないか」も見ます。
集客方法を増やす前に、今の方法で誰に届き、どこで止まっているかを確かめます。接触数が少ないのか、対象外の人が多いのか、提案を理解された後に断られるのかで、次に変えることが異なるためです。
たとえば対象企業への面談依頼に反応がないとき、すぐ別の媒体へ移る必要があるとは限りません。送付先が違う、依頼文から相談内容が分からない、繁忙期に当たっている、といった可能性を確かめる余地があります。
顧客獲得で迷っている点から、次の確認を選ぶ
近い状態を開くと、確認項目と記事内の説明・関連支援が分かります。
NEXT STEP
次のステップ
集客施策の前に、顧客と提案を整理する。
誰を狙うか、何を確かめるか、社内のどこが止まっているか。無料診断で課題を整理し、必要に応じて検証設計や初期顧客の獲得を支える新規事業立ち上げ支援をご確認ください。
具体例:備品発注サービスで、問い合わせ後に止まる理由を確かめる

複数店舗の備品発注をまとめる法人向けサービスを、初めて販売する場面を考えます。以下は進め方を説明する架空例であり、実在企業の実績や効果を示すものではありません。
最初に、本部担当者が困っている作業を一つに絞る
このサービスでは、各店舗からメールや電話で届く備品の依頼を、本部の担当者が発注一覧へまとめています。担当者への聞き取りで、連絡の見落としと、同じ内容の転記が負担になっていると分かった、という設定です。
そこで最初の対象を、複数店舗を持ち、本部で発注依頼を取りまとめている会社に絞ります。店舗単体で発注が完結する会社は、当面の優先対象にしません。困りごとと提案する機能が合わないためです。
価値の説明も、「あらゆる店舗業務を効率化」から「店舗からの備品依頼を一覧にまとめ、取りまとめ作業を見直す」へ変更します。どれだけ時間が減るかはまだ分からないため、実際の業務で確かめる内容として残します。
問い合わせの数ではなく、話した相手と止まった場面を見る
業務の整理方法を紹介する記事を公開し、既存の紹介先にも案内したところ、問い合わせが届いたとします。しかし、説明後に試用の申込みが増えません。ここで「集客が足りない」と判断して広告費を追加する前に、商談内容を確認します。
問い合わせた本部担当者は取りまとめ作業を減らしたいものの、試用には店舗側の入力方法を変える必要がありました。また、上司に説明するための料金と導入手順も不足していました。担当者が前向きでも、一人では次へ進めない状態です。
この場合の改善は、単に問い合わせを増やすことではありません。店舗側で何が変わるかを実演で示し、料金に含まれる支援と試用の流れを整理します。そのうえで、担当者が関係者へ説明する場を設けられるかを確認します。
提案を変えたら、次の具体的な行動を確かめる
販売ページの案内も、「詳しくはお問い合わせ」だけでなく、「現在の発注方法を伺い、試用する業務の範囲を相談する」と、相談後の内容が分かる形にします。案内したとおりに対応できる体制も必要です。
営業担当は、関係者への説明が実施されたか、試用する店舗と担当者が決まったか、価格や導入手順への疑問が解消されたかを記録します。担当者の「便利そう」という感想だけで、購入が近づいたとは判断しません。
こうした変更でも進まない場合は、いまの方法を変えるほど困っていないのか、導入負担が大きいのかを聞き直します。説明を増やし続けるのではなく、対象顧客や商品の範囲を戻って考えることも選択肢です。
この例から分かるのは、問い合わせ後の問題が、集客方法だけでなく価格や商品設計に関わることです。マーケティング担当だけで結論を出さず、営業・商品担当が同じ顧客の反応を見るようにします。
新規事業マーケティングの成果は、問い合わせの先まで追う
成果指標は、会議に並べる数字ではなく、施策を続けるか、変えるか、増やすかを決める材料です。初期から売上だけを追っても途中の問題が分からず、閲覧数だけを追っても事業につながったかが分かりません。
顧客が次へ進んだかを、段階ごとに確認する
知ってもらう段階、比較する段階、購入する段階で、確かめることを分けます。次の表は、主に相談や試用を経て契約する法人向けサービスを想定したものです。通販で直接購入する商品なら、商談の代わりに購入手続きなど、実際の流れに置き換えてください。
| 顧客の段階 | 確認する結果 | 進まないときに見直すこと |
|---|---|---|
| 知る・関心を持つ | 対象に合う人への到達、内容の閲覧、相談や申込み | 届ける相手、入口の表現、案内とページ内容の一致 |
| 比較・相談する | 用途や困りごとの確認、関係者への説明、試用への移行 | 提案の分かりやすさ、価格情報、導入負担、社内の判断手順 |
| 購入・利用する | 有料契約、実際の利用、継続または再購入 | 期待とのずれ、使い始めの支援、商品自体の価値 |
件数や割合を見るときは、何を数えたかをそろえます。問い合わせ件数に同じ会社からの再連絡を含めるのか、商談は日程調整だけで数えるのかで、結果は変わります。毎回の会議で同じ意味の数字を見られるよう、集計の定義を短く記録しておきます。
また、同じ月の問い合わせと成約を単純に割ると、前月に相談した顧客の契約が混ざることがあります。購入まで時間がかかる事業では、最初に接触した時期ごとに、その後の動きを追う方が判断しやすくなります。
獲得費用と、提供を続けるための負担を分けて見る
集客費用だけでなく、商談、初期設定、問い合わせ対応などにかかった手間も確認します。広告では安く問い合わせが集まっていても、対象外の相談への対応が増えれば、担当者の負担は大きくなります。
顧客獲得費用を見るなら、何の費用を含めるかを決めたうえで、新しく獲得した有料顧客数と対応させます。広告費だけの数字と、人件費や制作費を含む数字を同列に比較しないでください。受注までの期間が長い場合は、費用と成約の時期のずれにも注意が必要です。
さらに、顧客獲得後の利用料から、提供や支援にどれだけ費用がかかるかを見ます。特別な個別対応がなければ使われない商品を、その手間を数えずに拡販すると、売上が増えても運営が苦しくなる可能性があります。
継続実績がまだない段階で、長期の利用収入を大きく見積もり、広告費を正当化するのは慎重に考えたいところです。確認できた利用期間の収入と、将来の想定を分けて、追加予算の上限を決めます。
結果が悪いときは、一度にすべてを変えない
Google 広告の信頼性の高いテストを実施するためのガイドでは、明確な仮説を置き、一つずつ変数をテストし、評価する指標を先に決めることが示されています。これは広告機能のテストに関する説明です。
新規事業の改善でも、何の影響を見たいかを決めることは役立ちます。イノベーション総研では、比べたいときは変更点を絞り、方向を探すときは顧客の理由を詳しく聞くという使い分けを勧めます。
たとえば広告文の違いを比べたいなら、対象顧客や案内先をできるだけそろえます。顧客像から見直す必要があるなら、複数の要素を変えることもあり得ますが、その結果だけで「見出しを変えたから売れた」と原因を決めつけないことが大切です。
少数の反応は、改善の手がかりにはなっても、市場全体で同じ結果になる証明ではありません。販売条件を絞って確かめる進め方は、テストマーケティングのやり方で詳しく紹介しています。
実行計画は、担当者・上限・判断日まで決める
方針があっても、誰が動き、何を見て次へ進むかが決まっていないと施策は止まります。大きな計画書をつくる前に、今回の実行と判断に必要な内容をまとめます。
最初の計画には、試す提案と予算・期間の上限を書く
まず次の項目を一枚にまとめると、担当者同士の認識をそろえやすくなります。すべての施策を網羅するのではなく、今回実行する範囲を明確にするためのメモです。
- 対象顧客と困りごと:誰のどの場面を変えるか
- 提案内容と価格:何を、どの条件で提供するか
- 接点と次の行動:どこで知り、何に進んでもらうか
- 実行担当と対応範囲:集客・商談・試用・記録を誰が担うか
- 予算と期間の上限:制作、集客、顧客対応にどこまで使うか
- 判断日と確認事項:何が分かれば継続・修正・拡大を選ぶか
期間は、顧客が判断するまでの時間から考えます。法人向けで社内説明や試用が必要なのに、短期間のクリック数だけで販売拡大を決めると、購入条件を確認しないまま費用が増える可能性があります。
一方、結果がまだ分からないことを理由に、期限なく続けるのも避けたい状態です。判断日には、確認できたこと、時間が足りず確認できていないこと、追加で確かめる価値があることを分けます。延長するなら、追加費用と次の期限も決めます。
顧客の声を、マーケティング・営業・商品担当で共有する
役割分担は会社の規模によって変わります。専任者がいなくても、次の役割を誰が持つかは明確にできます。
- マーケティング担当:対象顧客に届く接点と、誤解のない案内を整える
- 営業・顧客対応担当:困りごとや購入条件、断られた理由を聞き取る
- 商品担当:要望が想定用途に合うか、どこまで対応するかを判断する
- 事業責任者:集客・提供の両面を見て、次の予算と優先順位を決める
共有するのは「反応がよかった」「予算がない」といった要約だけでは不十分です。誰が、どの場面で、何と話し、実際に何をしたかを残すと、別の担当者も状況を理解できます。発言そのものと担当者の解釈は分けて書きます。
会議では、報告の後に「次は販売ページを直すのか」「関係者への説明を用意するのか」「商品範囲を見直すのか」を決めます。施策が一つも変わらない報告が続くなら、集める情報か会議の進め方を点検する時期です。
社外に集客や営業を依頼する場合も、件数報告だけで終えず、質問内容や見送り理由を共有できる方法を相談します。顧客の機密や個人情報を不用意に広げず、改善判断に必要な範囲で記録を扱うことも大切です。
新規事業マーケティングで避けたい4つの失敗
うまくいかないとき、施策を増やす前に見直せる点があります。ここでは、顧客獲得の判断を難しくしやすい4つの状態と、その直し方を整理します。
1. 対象を広げすぎて、誰にも具体的に伝わらない
多くの顧客に使ってほしいと思うほど、商品説明は抽象的になりがちです。「あらゆる業務を支援」よりも、最初は困りごとが明確な場面を選び、そこで役に立つ理由を説明します。
対象を絞るのは、将来の顧客を永久に限定することではありません。ある顧客で選ばれる条件を確かめた後、同じ困りごとを持つ隣接した顧客へ広げる方が、何を変える必要があるかを考えやすくなります。
2. 閲覧数や問い合わせ数だけで、成功と判断する
よく読まれた記事や、問い合わせが集まる広告にも価値はあります。ただし、閲覧者が対象外だったり、価格を知らずに相談していたりすると、購入に結びつかない可能性があります。
量が増えたときほど、どんな顧客が増え、その後に何をしたかを確認します。逆に、閲覧が少なくても、対象に合う顧客との具体的な相談が生まれていれば、件数だけで施策を打ち切らない視点も必要です。
3. 反応が悪いたびに、顧客・価格・媒体を同時に変える
すべてを変えると、反応が変わっても理由が分からなくなります。まず、対象顧客に届いていないのか、提案が伝わっていないのか、条件が合わないのかを整理し、確かめたい点を決めます。
方向転換として複数の要素を変える必要がある場合は、以前と同じテストだと思わないことです。新しい提案として条件を記録し、何が分かったかを改めて確かめます。
4. 外部に任せたまま、顧客の反応を社内へ戻さない
広告運用会社や販売パートナーの力を借りること自体が問題なのではありません。成果件数だけを受け取り、顧客が何を評価し、なぜ断ったかを社内で把握しない状態が問題です。
依頼時に、受け取る情報、定期的に見直す内容、提案や商品を変える判断者を決めます。顧客の反応を自社に残せれば、外部の専門性を借りながら、次の施策を自社でも判断しやすくなります。
よくある質問
新規事業の集客に取り組む際に迷いやすい、開始順序、広告、予算、役割分担、期間についてまとめます。
まとめ:次の施策は、顧客が止まっている場所から決める
新規事業マーケティングでは、顧客・価値と証拠・価格・販売経路・訴求内容の5要素をつなげます。集客方法を増やすことよりも、顧客が商品を選ぶ理由と、実際に購入できる条件を整えることが出発点です。
まずは、いま接点を持っている顧客について、「誰が」「何に困り」「どこで購入へ進めなくなっているか」を書き出してください。そこから、対象を変えるのか、説明や条件を直すのか、接点を増やすのかを一つ選びます。
実行した後は、閲覧や問い合わせの数に加え、購入・利用の動きと対応の負担を確認します。営業と商品担当がその結果を共有し、次の施策に反映できれば、集客を単発の作業で終わらせず、事業を改善する活動につなげられます。
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お問い合わせ
集客の悩みを、次に試す具体策へ。
顧客像、商品説明、問い合わせ後の対応をつなげて考えると、改善する場所が見えてきます。現在の施策や顧客の反応をもとに、次に確かめることと実行体制をご相談いただけます。