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新規事業の進め方|初週の準備と3カ月の検証手順

「新規事業を任されたが、企画書づくりと顧客へのヒアリング、どちらから始めればよいのだろうか」。

新規事業の進め方で最初に決めるのは、誰のどんな困りごとを、どの方法で確かめるかです。アイデアを完成品にする前に、顧客の課題、解決策の有用性、お金を払ってもらえる条件を順に調べます。同時に、担当者が使える時間・予算と、次へ進むかを決める責任者をそろえます。この記事では、初週に用意する3つの準備から、最初の3カ月の検証、結果を受けた継続・修正・停止の判断までを解説します。法人向けの業務支援サービスを考える架空例を使うので、自社の計画へ置き換えながら読めます。3カ月は発売を約束する期限ではなく、次の投資判断に必要な材料を集める計画例です。

この記事のポイント

  • 最初に決めるのは、対象顧客・困る場面・確かめる方法
  • 初週は、進める条件・課題仮説・実行分担の3つをそろえる
  • 最初の3カ月は、課題・提案への反応・支払い条件を順に確かめる
  • 資料の完成や面談件数だけでなく、分かった事実から次を判断する

目次

新規事業の進め方は、顧客の課題から次の投資判断へつなげる

新規事業では、計画どおりに作業を終えるだけでなく、「この顧客に、この方法で価値を届けられる」と言える材料を集めます。企画、顧客への確認、試作品づくり、社内判断を別々に進めず、前の仕事で分かったことを次へ渡すのが基本です。

指標を決めるだけでなく、誰がどう判断するかをそろえる

イノベーション総研が、新規事業に関与した大企業勤務者888名に尋ねた調査では、KPI(進捗を判断するための指標)について、経営層と合意し、定期的に確認され、判断基準として機能していたという回答は28.6%でした。

出典:イノベーション総研「新規事業の実態と意思決定に関する調査」2026年4月、従業員1,000名以上の企業で新規事業に関与した888名。

この結果を踏まえ、イノベーション総研は、初期計画に作業だけでなく判断の場も組み込むことが重要だと考えます。たとえば「顧客への面談を終える」ではなく、「課題が実在するかを確認し、次の試作に進むかを責任者と決める」と置きます。

これは、すべての会社に同じ指標を当てはめるという意味ではありません。検証の初期と、すでに有料提供している事業では、必要な材料が違います。まずは、いま何を決めるために、何を確かめるのかを一文にします。

初週から3カ月を、準備・検証・判断の時間軸で考える

次の表は、顧客の課題がまだ十分に確かめられていない案件の計画例です。期間を守ることより、右の列にある判断材料をそろえることを優先します。

初週から3カ月で進める仕事と、次へ進むための判断材料
時期の目安 進める仕事 次の判断に必要なこと
最初の1週間 顧客と課題の仮説、使える資源、担当をそろえる 誰に何を聞き、誰がいつ結果を判断するかが決まっている
1カ月目 顧客の現在の仕事と、困る場面を調べる 誰が、なぜ、今の方法では困っているかを説明できる
2カ月目 提案資料や試作品で、解決策への反応を見る 顧客が試す理由と、試さない理由を区別できる
3カ月目 支払い・導入・提供に必要な条件を確かめる 継続・修正・停止のうち、どれを選ぶか説明できる

顧客の都合で対話に時間がかかるなら、面談先の確保を前倒しします。設備や素材の開発など、性能確認に長い期間が必要な案件は、顧客の課題を調べる仕事と技術検証を並行して計画します。3カ月後の発売や黒字化を約束する表ではありません。

市場投入後も含む全体像を先に見たい場合は、新規事業の立ち上げプロセスもご覧ください。本記事は、その初期段階で担当者が実際に動くための手順に絞ります。

技術や社内提案を、「誰のどんな困りごとか」に置き換える

技術シーズ、中期経営計画、現場の提案など、アイデアの出発点はさまざまです。どこから始まっても、顧客の仕事や生活にどんな変化をもたらすのかを具体化してから、確認へ進みます。

「この技術を売りたい」から、顧客の作業を主語にする

たとえば「画像認識技術を使って新しいサービスを作る」という案だけでは、誰に話を聞けばよいか決まりません。「工場の点検担当者が、現場で撮った写真を帰社後に報告書へ貼り付ける作業を減らせないか」とすれば、調べる場面が見えてきます。

ここから先は、工場向けの点検報告書作成サービスを検討する架空例で説明します。実在の企業や、イノベーション総研の支援実績を示すものではありません。

この段階で「報告書づくりは大変なはず」と決めつけないことが大切です。写真の整理は問題なく、上司の承認待ちが主な負担かもしれません。あるいは、既存の仕組みで十分に対処できている可能性もあります。技術の用途を説明する前に、現在の仕事を見せてもらいます。

顧客・場面・今の対処・変えたい結果を具体化する

課題の仮説は、次の4つを埋めると、人に確かめられる形になります。仮説とは、事実として確認する前の見立てのことです。

  • 顧客:誰が困っているか。例では、工場の点検報告書を作る担当者です。利用者と購入を決める人は、後で分けて確認します。
  • 場面:いつ、何をするときに困るか。例では、複数設備の点検を終え、写真を整理して報告書を提出するときです。
  • 今の対処:何を使い、どんな手間をかけているか。表計算ソフトへの手入力や、別の担当者への確認などを調べます。
  • 変えたい結果:何が改善すれば価値になるか。作業時間の短縮だけでなく、写真の取り違えを防ぐことや、提出の遅れを減らすことも候補です。

「製造業なら全部」「人手不足を解消する」といった広い表現のままでは、反応の違いを説明しにくくなります。最初は、似た業務条件を持ち、実際に連絡できる顧客候補へ対象を絞ります。対象を狭めるのは市場を小さく決めるためではなく、最初に確かめる問いを明確にするためです。

書き方に迷う場合は、課題仮説の作り方と検証方法を参考に、事実として分かっていることと、これから確かめることを分けて記入してください。

初週にそろえる3つの準備は、進める条件・課題仮説・実行分担

最初の1週間では、立派な事業計画書を完成させるよりも、顧客へ確認に行ける状態をつくります。用意するのは、責任者との合意、検証する課題のメモ、担当者が動くための予定です。

1. 進める条件を、スポンサーとなる責任者と合意する

スポンサーとは、事業の方針や必要な資源について判断し、社内で後ろ盾となる責任者です。応援してくれる人というだけでなく、検証予算や他部署への協力依頼を誰が決めるかを確認します。

点検報告書サービスの例なら、「顧客が抱える負担と、試作へ進む価値があるかを確かめる」ことを初期の目的にします。そのうえで、担当者が使える時間、外部への支出上限、情報を社外へ出す際の承認範囲、最初の結果を確認する日を決めます。

合意した内容は、後から読み返せる場所へ残します。「自由に進めてよい」と言われた場合も、発注や顧客への約束まで自由とは限りません。担当者の裁量と、承認が必要な行為を分けておきます。

2. 課題仮説を、顧客に確かめる質問へ変える

課題仮説のメモには、対象顧客、困る場面、現在の対処方法、確認する問いをまとめます。事業を紹介する説明資料と、相手から事実を聞くための質問メモは分けます。

例では、最初から「報告書の自動作成サービスが欲しいですか」と聞きません。「直近の点検後、報告書を出すまでにどんな作業をしましたか」「どこで手戻りがありましたか」「今のやり方を変えようとしたことはありますか」と、実際の経験を尋ねます。

相手が困っていなかった場合も、失敗した面談とは限りません。点検の件数、報告書の形式、承認手順など、困っている相手との違いが分かれば、対象を見直す材料になります。反対の答えが出たとき、何を変えるかもメモにしておきます。

3. 実行分担と、最初の顧客面談の日程を決める

チーム名簿を作るだけでなく、誰が顧客へ連絡し、誰が面談を行い、誰が記録をまとめるかを決めます。同じ人が複数の役割を持っても構いませんが、仕事の責任者は曖昧にしません。

兼務者については、使う時間だけでなく、その分減らす既存業務も上司と確認します。担当者に「空いた時間で進めて」と伝えただけでは、顧客との面談時間を確保できないことがあります。

初週の終わりに、次の状態を確認してください。

  • 責任者との合意が、時間・予算・判断日を含めて記録されている
  • 課題仮説のメモを見れば、顧客へ何を聞くか分かる
  • 面談候補への連絡担当と、次の行動日が決まっている

初週の成果は、資料の厚さではなく、最初の確認に動ける状態です。面談日程がまだ決まらない場合も、誰に、いつまでに、どの経路で連絡するかまで具体化します。

いま進められずにいる仕事から、確認する

近い状態を開くと、確認項目と記事内の説明・関連支援が分かります。

01 顧客や課題を絞れない

アイデアを、実際に話を聞ける相手と困る場面へ置き換えます。

  • 対象の担当者を挙げる
  • 困る場面を具体化する
  • 今の対処方法を調べる

顧客課題の決め方を読む →

02 任されたが、動ける条件がない

最初の検証に使う時間・予算・判断者を確認します。

  • 使える時間を確保する
  • 予算の範囲を確認する
  • 次の判断日を決める

初週の3つの準備を見る →

03 試作品をどこまで作るか迷う

確かめる問いを先に決め、必要な範囲だけを作ります。

  • 試す顧客行動を選ぶ
  • 必要な機能を絞る
  • 安全に試せる範囲を決める

3カ月の検証手順を読む →

04 検証したのに、次が決まらない

確認できたことと残る条件を分け、選択肢を比べます。

  • 事実と解釈を分ける
  • 継続・修正・停止を比べる
  • 担当者と期限を残す

結果から判断する方法を読む →

05 実行を担う人や専門性が足りない

不足する仕事を特定してから、必要な支援を選びます。

  • 止まっている仕事を挙げる
  • 社内に残す判断を決める
  • 支援に求める成果物を定める

新規事業立ち上げ支援を見る →

06 何が原因か、まだ整理できない

無料診断で事業の現在地とリスクを整理できます。顧客需要の検証とは別に使います。

  • 現在の段階を確認する
  • 社内の認識をそろえる
  • 次に扱う課題を選ぶ

新規事業のリスク診断を無料で試す →

NEXT STEP

次のステップ

検証計画を、実際に動ける仕事へ落とし込む

顧客への確認方法、試作品の範囲、必要な人材まで一緒に整えたい場合は、新規事業立ち上げ支援をご確認ください。課題がまだ曖昧な場合は、無料診断から現在地を整理できます。

新規事業の最初の3カ月は、課題・解決策・支払い条件を順に確かめる

資料と電卓を置いたテーブルで、打ち合わせ相手と握手を交わす様子

顧客と接点を持てたら、課題があるか、提案に価値があるか、導入してもらえるかを順に調べます。以下の月割りは計画例です。分からない点が残ったまま、日付だけを理由に次へ進めないようにします。

1. 1カ月目:顧客の実際の仕事と、課題の大きさを調べる

最初に集めたいのは、好意的な感想ではなく、現在の仕事で起きている事実です。点検報告書の例なら、報告書の作成から提出までの流れ、作業に使う時間、手戻りの内容、既存ツールを調べます。可能であれば、共有してよい範囲の帳票や作業記録を見せてもらいます。

「時間がかかる」という発言だけで終わらせず、どの作業にかかっているのかを確認します。写真の整理が負担なのか、設備名の確認なのか、承認待ちなのかで、必要な解決策が変わるからです。

ここで、「写真の貼り付けはすでに自動化されている」と分かれば、当初の案をそのまま試作しません。別の負担を調べ直すか、その顧客群を対象から外すかを検討します。逆に、似た条件の顧客で同じ負担が確認でき、試行に協力する理由も分かれば、解決策を見せる準備へ進めます。

面談記録では、相手の発言、確認できた資料、自社の解釈を分けます。「効率化に関心がある」という言葉を、無断で「導入意向が高い」に読み替えないことが重要です。

2. 2カ月目:確かめたいことに合う提案や試作品を見せる

何を作るかは、顧客に何を確かめたいかから決めます。顧客開発を提唱したスティーブ・ブランクは、顧客、価格、機能など、検証する仮説によって必要なMVPが異なると説明しています。MVPとは、この段階で必要な学びを得るための最小限の提供物です。

出典:Steve Blank「Why Build, Measure, Learn – isn’t just throwing things against the wall to see if they work – the Minimal Viable Product」(2015年)。

この考え方を実務に当てはめると、価値が伝わるかを確かめる段階では、提案書や画面の見本で足りることがあります。一方、報告書を正確に作れるか、顧客の負担が実際に減るかを確認するには、操作や処理を試せるものが必要です。完成度を一律に決めるのではなく、答えを得たい問いに合わせて作る範囲を決めます。

点検報告書の例なら、まず架空データで作った画面の見本を使い、必要な情報や手順を確認します。その後、許可を得たデータと限定した作業範囲で、入力の負担や報告書の正確さを試します。手作業で裏側を補う場合は、その事実を相手に伝え、実際の運用負担も記録します。

機能を絞ることと、安全性や情報管理の確認を省くことは別です。設備の制御や重要な判断に関わる機能は、担当部署と利用条件を確認し、安全に試せる環境を用意してから扱います。使い分けは、MVPとプロトタイプの違いでも解説しています。

3. 3カ月目:支払いを決める人と、導入・提供の条件を確かめる

利用担当者が「便利だ」と言っても、会社が購入するとは限りません。誰の予算で、誰が、どの条件なら導入を決めるのかを確認します。利用者、管理者、購入を承認する人が違う場合は、それぞれの懸念を分けて聞きます。

例では、点検担当者が使いやすさを評価していても、管理者は報告書の正確さ、情報システム部門はデータの保管方法、決裁者は費用と運用効果を重視するかもしれません。承認に必要な資料と、次に会う相手が具体化しているかを確認します。

あわせて、自社が提供し続けられるかも見ます。初期設定、問い合わせ対応、帳票変更への対応にどの程度の時間がかかるのか。顧客が受け入れられる価格で、その負担を賄える見込みがあるか。売上の見通しと提供コストを同じ計画で扱います。

顧客の次の行動は、検証の目的に合わせて選びます。決裁者との面談、利用条件の合意、有償試行の契約などです。ただし、面談への同意は購入確約ではなく、有償試行の成立も継続利用の証明ではありません。その行動でどこまで分かったかを限定して記録します。

検証結果から、継続・修正・停止のどれを選ぶか決める

検証後の会議では、活動報告に加えて、次に選べる行動とその根拠を示します。結論が出せない場合も、「何が分かれば決められるか」を具体化して終えます。

始める前に判断条件を置き、結果を見て都合よく変えない

初期に置く判断条件は、事業全体の成功を証明するものではなく、次の段階へ進むかを決める条件です。課題を確かめる段階なら、同じ条件の顧客に課題があり、現在の対処に残る負担を説明できることが候補になります。

提案を試す段階では、対象顧客が使いたい理由、使えない条件、次の試行に協力する具体的な行動を見ます。数値を置く場合は、顧客の業務条件や、自社が提供可能なコストから理由を説明します。どの事業にも同じ面談件数や改善率を当てはめません。

結果を受けた選択肢は、次のように整理できます。

検証で分かったことに応じた、継続・修正・停止の選び方
選択肢 選ぶ状況の例 決定後にすること
継続 今回確認する条件を満たし、次の検証で確かめることが明確 次の範囲、追加費用、担当、判断日を決める
修正 顧客の課題はあるが、対象・提供方法・価格の前提が合わない 変更する前提を絞り、変えない条件と分けて再検証する
停止 重要な前提が崩れ、許容できる範囲で修正する案もない 新たな支出を止める範囲を決め、関係者対応と知見の引き継ぎを行う

情報不足は、条件を満たしたこととは違います。追加確認を選ぶなら、残る問い、必要な費用、確認できる見込みを示します。同じ問いを同じ方法で繰り返すだけになっていないかも点検します。

顧客の購買時期が変わるなど、判断条件の更新が必要な場合はあります。そのときは、変えた理由と根拠、承認した人を記録します。検証結果を良く見せるために、後から基準を下げる運用は避けます。

顧客の反応を、「分かったこと・残る条件・次の行動」に分ける

点検報告書サービスで、利用担当者は試行を続けたいと答えたものの、予算を持つ責任者にはまだ会えていないとします。この場合、「導入見込みあり」とまとめるだけでは、次の仕事が曖昧です。次のように残します。

  • 分かったこと:利用担当者は報告書の作成支援に関心があり、試行の継続を希望した
  • まだ分からないこと:購入の決裁者、予算の所在、導入を認める条件は未確認
  • 今回の判断:本開発への投資はまだ決めず、決裁者への確認を先に行う
  • 次の行動:顧客窓口を担当するメンバーが面談を依頼し、回答期限と次回の判断日を決める

この記録なら、前進している部分を認めつつ、未確認の売上を計画に織り込むことを避けられます。顧客との約束や期限も併記し、別の担当者が引き継いでも同じ状況を理解できるようにします。

新規事業チームは、実行する人と判断する人を分けて動かす

体制づくりでは、人数を増やす前に、いま必要な仕事と責任を確認します。顧客を知る人、試せる形にする人、結果を整理する人、資源を配分する人がつながっていることが大切です。

肩書ではなく、引き受ける仕事と決められる範囲を明確にする

初期チームの役割を、次のように分けます。これは必要人数を指定する表ではありません。少人数の案件では兼任できますが、顧客への窓口や最終判断の責任は明らかにします。

初期チームで分担する仕事と、責任の持ち方
役割 引き受ける仕事 明確にする責任
顧客との窓口 対象顧客への連絡、面談、次の行動の合意 約束した内容と期限を管理する
検証・試作の担当 問いに合う検証方法と、試作品の範囲を決める 確認できたことと、試せていない範囲を分ける
案件の推進責任者 事実と課題を整理し、継続・修正・停止の案をまとめる 仕事の優先順位と、担当・期限を管理する
スポンサー 予算・人員・方針を判断し、部署間の調整を担う 進める条件、裁量、次の判断日を合意する

点検報告書の例なら、営業担当が顧客窓口を担い、開発担当が試作を進める形が考えられます。ただし、営業が聞いた課題を開発へそのまま伝えるだけで終わらせず、何を確かめるためにどこまで作るかを一緒に決めます。

法務、情報管理、品質保証などの専門部署も、該当する論点が出た時点で巻き込みます。検証の最後に一括で確認を依頼すると、顧客に提示した条件を見直す必要が生じることがあります。

会議では、活動量と分かったことを分けて確認する

面談件数や試作の進捗は、仕事が実施されているかを知るために使えます。それだけで、事業の見通しが良くなったとは判断しません。会議では、活動の結果として何が分かり、次の選択がどう変わったかを確認します。

「面談を実施した」に加え、「対象としていた工場では、写真整理より承認待ちが大きな負担だった。次は承認する管理者へ話を聞く」と共有できれば、チームが次に動く理由が分かります。想定と違う結果も、早い段階で共有します。

仕事が止まっているときは、本人の意欲だけを原因にしません。顧客に会えないのか、兼務で時間を使えないのか、誰も判断できないのかを切り分けます。検証の設計や試作、初期顧客の獲得を社内だけで担えない場合は、新規事業立ち上げ支援のような外部支援も、不足する仕事を明確にしてから検討します。

新規事業の進め方でよくある質問

取りかかる順番、顧客への確認量、期間や体制で迷いやすい点を補足します。

Q. 新規事業では、企画書と顧客ヒアリングのどちらを先に進めますか?

A. 最初に、対象顧客・課題の仮説・確認方法・使う時間と予算を短い企画メモにまとめます。その内容で社内の承認を得て顧客に話を聞き、分かった事実を企画書へ反映します。長期の売上予測を細かく作り込んでから、初めて顧客に会う必要はありません。

Q. 顧客には何人くらいヒアリングすれば十分ですか?

A. どの事業にも当てはまる人数の基準はありません。対象顧客の種類と、判断を変える未確認事項から計画します。同じ困りごとが繰り返し聞かれるだけでなく、困っていない相手との違い、現在の対処方法、支払いを決める条件まで説明できるかで、追加の確認が必要かを判断します。

Q. 最初の3カ月で売上が出なければ、撤退すべきですか?

A. 期間だけで撤退を決めません。この記事の3カ月は、次の投資判断に向けた計画例です。顧客の購買時期や技術検証に必要な期間を踏まえ、何が確認でき、何が残っているかを見ます。延長する場合は、確認する条件・追加費用・担当者・次の判断日を具体化します。

Q. 技術シーズから始まる新規事業にも、この進め方は使えますか?

A. 使えます。技術の特徴を、誰のどの作業をどう変えられるかという仮説に置き換えます。顧客の課題と支払い条件を調べる仕事と、技術が必要な条件で動くかを試す仕事を分けて進めます。安全性や性能が重要な領域では、実際の利用を伴う検証の前に必要な確認を済ませます。

Q. 担当者が1人でも、新規事業を進められますか?

A. 初期の情報整理や顧客への連絡は1人でも始められます。ただし、投資判断や他部署への依頼まで1人で抱え込まないよう、スポンサーとなる責任者と相談先を決めます。社外対応や安全性の確認など、必要な承認・専門性が得られない仕事は、体制を整えてから実施します。

まとめ:新規事業は、次に確かめることと判断する日を決めて始める

最初の一歩は、アイデアを完成させることではありません。対象顧客と課題の仮説を置き、使える時間・予算・責任者をそろえ、顧客の実際の仕事へ確かめに行くことです。

初週の準備ができたら、課題、解決策への反応、支払いと提供の条件を順に調べます。検証結果は、分かったことと残る条件に分け、継続・修正・停止の判断へつなげます。期間や試作品の完成度を一律に当てはめる必要はありません。

まずは、担当している案件について「次に何を決めるのか」「そのために誰へ何を確かめるのか」を一文にしてください。その確認を担当する人と、結果を判断する日まで決めれば、次の仕事が具体的になります。

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何から確かめるべきか、どこまで作るべきか、誰を巻き込むべきか。新規事業の進め方で迷っている点をお聞かせください。現在の段階と社内の条件を整理し、必要な支援をご提案します。

ARTICLE INFORMATION

この記事の執筆・監修

執筆

イノベーション総合研究所 編集部

監修

長尾 浩平(株式会社イノベーション総合研究所 代表取締役)

外部出典

本文の該当箇所に、イノベーション総研の2026年調査と、顧客開発を提唱したスティーブ・ブランクの公式記事を記載しています。外部情報は2026年9月10日に確認しています。

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