新規事業の立ち上げ・事業化を支援するプロフェッショナルファーム

新規事業の立ち上げプロセス|7段階の進め方と判断基準

「新規事業を任されたが、何から始めればよいのか」。「実証実験まで進んだのに、事業化の承認が下りない」。

新規事業の立ち上げは、顧客の困りごとを確かめ、小さく試し、有料提供と継続的な収益につなげる活動です。大切なのは、作業の順番だけでなく、次へ進む条件を先に決めることです。

この記事では、立ち上げを7段階に分け、各段階の進め方と判断基準、初週に用意する3つの資料を解説します。

この記事のポイント

  • 立ち上げは、顧客課題の確認から有料提供・収益の継続までを見通して進めます。
  • 各段階で「確認した事実」「まだ分からないこと」「次へ進む条件」をそろえます。
  • 初週は、目的と判断条件、顧客課題の仮説、役割と稼働時間をまとめた3つの資料を作ります。

新規事業の立ち上げは、作業と「次へ進む条件」をセットで決める

立ち上げのプロセスは、企画書や製品を順番に完成させるだけのものではありません。顧客が困っていること、選んでもらえる理由、対価を受け取れる条件を確かめながら、投資する範囲を広げていく進め方です。

新規事業では、最初の計画に分からないことが多く含まれます。そのため、詳細な予定表を作ることと同じくらい、「何が分かれば次へ進めるのか」を決めることが重要になります。

たとえば、工場向けの点検支援サービスを考える場合、試作品が動いたことと、工場が購入を決めることは別です。実際、点検時間が減っても、導入費用や現場の運用負担が大きければ、購入に至らないことがあります。

そのため、技術を試す段階から、購入判断に必要な条件も確認します。

この記事では、アイデアから黒字化までの進み方に、継続・変更・撤退の判断を加え、7段階で整理します。第7段階の判断は、黒字化の後だけでなく、すべての段階で行います。

なお、7段階は実務を整理するための区分であり、必ず一本道で進むものではありません。

立ち上げの各段階で確かめることと、次の判断
段階 確かめること 次の判断
1. 顧客とテーマを絞る 困っている人が実在し、自社が取り組む理由があるか 顧客に会い、仮説を検証するための時間と予算を使うか
2. 顧客課題と解決方法を試す 困りごとを解決でき、導入を検討してもらえるか 有料提供に向けた計画を具体化するか
3. 事業計画と追加投資を決める 価格・販売数・費用の前提に根拠があるか どの範囲まで開発・販売に投資するか
4. 有料提供を始める 顧客が対価を払い、約束した内容を提供できるか 提供先を増やしてよいか
5. 継続売上と運営を整える 使われ続け、無理のない負担で顧客を増やせるか 販売と運営の体制を拡大するか
6. 黒字化と投資回収を確かめる 事業の利益が継続し、過去の投資を回収できるか 拡大投資や事業の引き継ぎを行うか
7. 継続・変更・撤退を判断する 各段階の結果が、あらかじめ決めた条件を満たすか 続ける、対象や方法を変える、終了する、のどれを選ぶか

この表は、すべての作業を順番待ちにするためのものではありません。顧客との対話、技術の検証、社内調整を並行して進めても構いません。

ただし、何を確認しないまま進んでいるのかは、関係者で共有します。

全体の進め方や準備する順序から確認したい場合は、新規事業の進め方も参考になります。ここからは、各段階で何を判断するかに焦点を当てます。

888名調査では、PoC・顧客ヒアリングが到達段階の最多だった

検証を行った事実と、その後の投資を判断できる状態は、分けて確認する必要があります。

大企業の新規事業関与者888名への調査では、直近で関わった案件の、現在までに到達した最も進んだ段階として「PoC・顧客ヒアリング」を選んだ回答が219名、24.7%で最多でした。PoCは、アイデアや技術が実際に成り立つかを小さく試す検証です。

888名調査の到達段階の構成比。アイデア承認14.08%、PoC・顧客ヒアリング24.66%、事業計画12.84%、リリース14.41%、売上継続14.75%、黒字化11.04%、活動継続だが未到達7.09%、中止・撤退1.13%

出典:イノベーション総合研究所「新規事業の実態と意思決定に関する調査」(2026年4月、n=888、調査実施:株式会社マクロミル)

この数字は、調査対象者が答えた到達段階の構成比です。同じ事業を追跡したデータではないため、「PoCから次に進める割合」や「失敗率」は計算できません。

また、大企業の新規事業に関わった方を対象としており、あらゆる企業に同じ割合が当てはまるわけではありません。

イノベーション総研は、この結果を、実証実験の実施件数だけで進捗を評価しないための点検材料と考えます。

すでにPoCを進めている場合は、次の会議で「技術としてできたこと」に加え、「誰が、何を条件に、お金を払うのか」を説明できるか確認してください。分からない点が残るなら、検証を一式やり直すのではなく、その一点を確かめる計画に絞ります。

7段階ごとに、やること・つまずく理由・判断基準を確認する

ここでは、各段階で何を進め、どこで立ち止まって確認するかを解説します。なお、工場向け点検支援サービスの例は、進め方を説明するための架空事例です。

そのため、数値目標や検証期間は、自社の顧客、提供方法、リスクに合わせて決めてください。

1. 顧客の困りごとと、自社が取り組むテーマを絞る

最初に決めるのは、作りたい製品だけでなく、誰のどの困りごとを解くのかです。「製造業向け」では広すぎるため、対象となる工場、部署、担当する業務まで具体化します。

点検支援サービスなら、「点検に時間がかかるはず」と決めつけず、担当者が何を確認し、どの作業に時間を使い、異常を見落としたときに何が起きるかを聞きます。現在使っている道具や外部サービスも調べます。

つまずきやすいのは、顧客の問題が曖昧なまま、社内で評価されそうな企画に仕上げることです。経営方針との一致は必要ですが、それだけでは顧客が買う理由になりません。

次へ進む条件:会って確認できる顧客候補があり、困りごとの仮説と、自社の技術・顧客接点などを活かせる理由が説明できること。そのうえで、検証の責任者、使える予算と時間、次の判断日を決めます。

まだ顧客候補が見つからない場合は、開発に着手する前に、営業部門や業界の接点を通じて話を聞く機会を作ります。テーマを狭める判断も、この段階の前進です。

2. 顧客課題と解決方法を、小さな検証で確かめる

顧客との対話やPoCで、課題の重要さと解決方法を試します。「困っていますか」と聞くだけでなく、直近の出来事、現在の対処方法、かかっている時間や費用を確認します。

点検支援の例なら、まず一部の設備や作業に対象を絞り、従来の点検と比べて何が変わるかを見ます。機能を増やす前に、作業時間、見落とし、現場の使いやすさなど、今回確かめたいことを決めます。

ここでは、「使う人の評価」と「購入を決める人の条件」を分けて確認します。現場で好評でも、予算を持つ部署が違ったり、導入時の工事や教育が負担になったりすれば、購入にはつながりません。

つまずきやすいのは、試作品の性能だけを測り、「好評だった」で検証を終えることです。反対の意見や利用されなかった理由も残し、当初の仮説が合っていたかを見直します。

次へ進む条件:解決したい課題、確認できた効果、導入を決める人、支払いを検討する条件が整理できること。購入条件が不明なら、事業計画の数字を埋める前に、決裁者や予算を持つ部署への確認を追加します。

もちろん、技術の実現性だけを確かめるPoC(概念実証)が必要な場合もあります。その場合は、実験の目的を限定して共有し、成功したことをそのまま事業化の承認理由にはしません。

検証の組み立て方は、PoCの意味と事業化につなげる進め方で詳しく解説しています。

3. 検証結果を事業計画に反映し、追加投資の範囲を決める

事業計画では、売上の予測と、それを支える確認済みの事実をつなぎます。価格、契約数、提供原価、開発費、営業にかかる費用を整理し、まだ確認できていない前提は区別します。

点検支援の例なら、現場が使いたいと答えたことを、そのまま契約見込みに数えないようにします。予算、購入条件、導入時期を確認したうえで、初期顧客の候補と必要な営業活動を見積もります。

つまずきやすいのは、精密な売上計画を作れば不確実性がなくなると考えることです。販売数や価格が未確認の段階では、数字を細かくするより、どの前提が外れると計画が成り立たなくなるかを示します。

次へ進む条件:今回承認してほしい投資の範囲、その根拠、残る不確実性、次に判断する時期を説明できること。長期の全額投資だけを求めず、「この顧客層への有料提供まで」と区切る方法も検討します。

開発期間が長い事業や安全性の確認が必要な事業では、販売前にも大きな投資が必要です。その場合も、技術、顧客、規制、提供体制について、どの条件がそろったら次の投資を行うかを明記します。

計画書の項目と数字のまとめ方は、事業計画書の書き方と記入例を参考にしてください。

4. 有料提供を始め、顧客への約束を守れるか確かめる

提供開始では、顧客が実際に対価を払うことと、約束した内容を安定して届けられることを確認します。受注だけでなく、導入、説明、問い合わせ、請求までを一続きで点検します。

点検支援の例なら、契約後に誰が初期設定を行い、現場からの質問に誰が答え、不具合が起きたときにどう対応するかを決めます。試作品を作った担当者が、そのまますべての顧客対応を背負う状態は避けたいところです。

つまずきやすいのは、「公開した」「受注した」をゴールにして、提供後の確認を後回しにすることです。無料の試用と有料契約も分けて記録します。

次へ進む条件:有料契約の条件、実際の利用状況、提供時の負担を把握でき、問題があった場合の対応者が決まっていること。安全性や品質上の条件が満たせない場合は、顧客数を増やす前に、提供範囲や開始時期を見直します。

5. 継続して選ばれる理由と、無理なく運営できる方法を確かめる

初回の受注が得られたら、同じ顧客が使い続けるか、似た顧客にも提供できるかを確認します。売上総額だけを見ると、解約や個別対応の増加を見落とすことがあります。

点検支援の例なら、契約が続く工場と利用が止まる工場の違いを比べます。点検対象、担当者の交代、既存の業務手順など、利用を続けるうえで必要な条件を把握します。

同時に、顧客1件あたりの営業費用、導入作業、問い合わせ対応の時間を記録します。一部の顧客だけに大きな手間がかかるなら、提供範囲、価格、契約条件を見直します。

次へ進む条件:継続利用や追加購入の理由を説明でき、顧客を増やした場合の人員と費用を見積もれること。担当者の特別な努力に依存している作業は、手順化するか、提供方法を変えてから拡大します。

単発販売の事業では、月ごとの契約更新だけが継続性の指標ではありません。追加購入、紹介、保守契約、次の顧客の獲得など、事業の仕組みに合う形で確認します。

6. 黒字化と投資回収を分けて確認し、拡大方針を決める

黒字化とは、決めた期間の収益が費用を上回ることです。一方、投資回収は、それまでに投じた開発費などを回収できるかを見るものです。

単月の黒字だけで、投資を回収したとは言えません。

点検支援の例なら、売上から提供や運営にかかる費用を引いて利益が残っていても、初期開発費の回収には時間がかかる場合があります。どの費用を事業の費用として扱い、どの期間で採算を見るかを、経営側とそろえます。

つまずきやすいのは、黒字化を理由に、改善のための人員や予算を早く引き揚げすぎることです。反対に、利益が出た一部の顧客だけを見て、採算の合わない顧客層へ一気に広げることにも注意します。

次へ進む条件:利益が続く理由、追加投資の使い道、回収の見通し、運営責任者を説明できること。事業部へ引き継ぐ場合は、顧客との約束、判断の経緯、業務手順も一緒に渡します。

7. 各段階で、継続・変更・撤退を同じ条件で比べる

継続・変更・撤退は、成果が出なかった最後にだけ考えるものではありません。検証や追加投資の前に、それぞれを選ぶ条件を決め、結果が出た時点で比べます。

たとえば、点検時間は短縮できても、現場への導入負担が大きい場合、開発をそのまま続ける以外にも選択肢があります。提供対象を絞る、既存の点検会社を通じて提供する、今回の方式を終了する、といった案を並べます。

判断に必要な条件:確認できた事実、各案に必要な追加費用と時間、残る不確実性、判断者がそろっていること。判断を保留する場合も、何を誰がいつまでに確認し、いつ決め直すかを残します。

新しい事実によって基準を変えることはあります。ただし、目標を達成していないという理由だけで、後から条件を緩めないようにします。

変更理由と承認者を記録し、前の基準も消さずに残してください。

段階ごとに進むかを判断する仕組みは、ステージゲート法と判断基準の作り方で詳しく説明しています。

いま止まっている理由から、確認することを選ぶ

近い状態を開くと、確認項目と記事内の説明・関連支援が分かります。

01 顧客の困りごとがはっきりしない

企画書を厚くする前に、実際に困っている人の行動を確認します。

  • 対象顧客を具体的に挙げられるか
  • 今の対処方法を確認したか
  • 困りごとが起きる場面を観察できるか

顧客とテーマの絞り方を見る →

02 実証実験の結果を判断に使えない

技術の評価と、顧客が導入する条件を分けて整理します。

  • 何を確かめる実験か決まっているか
  • 導入を判断する人に会えたか
  • 結果ごとの次の行動が決まっているか

PoCの設計と進め方を読む →

03 事業計画の承認が下りない

数字の大きさだけでなく、その前提と追加投資の範囲を確認します。

  • 価格や販売数の根拠があるか
  • 今回承認してほしい範囲が明確か
  • 判断者と会議日が決まっているか

事業計画書の記入例を読む →

04 有料提供を始めても継続されない

販売数を増やす前に、使われ続ける理由と運用負担を確かめます。

  • 利用を続ける顧客の共通点があるか
  • 解約や利用停止の理由を確認したか
  • 問い合わせ対応の負担を把握したか

継続売上と運営の確認項目を見る →

05 継続か撤退かを決められない

継続・変更・撤退を並べて、次の判断に足りない事実を特定します。

  • 予算と期限の上限があるか
  • 判断に反映する条件を先に決めたか
  • 保留の場合の担当と再判断日があるか

段階ごとの判断基準の作り方を読む →

06 進め方は分かるが、動かす人が足りない

調査、開発、営業のどの仕事が不足しているかを切り分けます。

  • 次の検証を担う人がいるか
  • 既存業務と調整した稼働時間があるか
  • 外部支援に任せる仕事が明確か

新規事業立ち上げ支援を見る →

NEXT STEP

次のステップ

次の検証と、実行する体制を整理する

課題が絞れていない場合は無料診断から。顧客検証、開発、初期顧客の獲得を進めたい場合は、新規事業立ち上げ支援の内容をご確認ください。

立ち上げ初週は、目的・顧客課題・体制を3つの資料にまとめる

最初の1週間は、詳細な計画を完成させる期間ではなく、次の検証を始めるための準備期間と考えます。以下の3つを短い資料にまとめ、分からない点は空欄のままにせず、確認する相手と期限を書きます。

1週間は着手の目安です。顧客との面談や社内承認に時間がかかる場合は、その予定を先に押さえます。

すべての項目を確認したことにして、先へ進む必要はありません。

1. 目的と判断条件を、経営側との合意メモにする

まず、責任者と経営側の判断者で、「何のために取り組み、今回どこまで試すか」をそろえます。経営側の後ろ盾となる人がいても、任せられる判断と、承認が必要な判断が曖昧では、現場は動きづらくなります。

  • 対象とする顧客課題と、自社が取り組む理由
  • 今回の検証で明らかにしたいことと、対象外にすること
  • 使える予算・稼働時間の上限
  • 継続・変更・撤退を選ぶ条件
  • 判断する人と、次の判断日

書く量は、関係者が同じ理解を持てる範囲で十分です。「事業を成功させる」ではなく、「この顧客層に有料で提供できるかを確かめる」など、今回の判断対象が伝わる言葉にします。

2. 顧客課題の仮説を、事実と未確認事項に分けて書く

顧客課題の仮説は、チームの予想と、実際に聞いたことを混ぜずにまとめます。顧客の発言を引用する場合は、いつ、どの立場の人に聞いたのかを記録し、公開・共有できる範囲にも注意します。

顧客課題を整理するための記入項目と例
記入項目 点検支援サービスでの記入例(架空)
対象顧客 設備の日常点検を行う工場の保全担当者
困っている場面 複数設備の点検結果を記録し、異常がないか確認するとき
現在の対処方法 紙の点検表を使用。記録後の確認作業は未観察
確認済みの事実 担当者から「転記の負担がある」と聞いた。作業時間は未計測
チームの仮説 記録と確認を一緒にできれば、転記の負担を減らせるのではないか
次に確認すること 実際の作業時間、他の担当者にも同じ問題があるか、購入を判断する部署

「転記が大変だと聞いた」ことから、「自社のサービスに予算を出してもらえる」とはまだ言えません。足りない確認を分けて書くことで、次の顧客面談や観察の目的が決まります。

3. 役割と稼働時間を決め、最初の検証予定を入れる

体制表には、メンバー名だけでなく、誰がどの仕事を担い、いつ動けるかを書きます。最低限、全体の判断をまとめる役割、顧客との対話を進める役割、技術や提供方法を確かめる役割を割り当てます。

この3つの役割があるからといって、必ず3名を配置するという意味ではありません。初期には兼任もできますが、できない仕事や不足する時間を明らかにし、既存業務との調整や外部支援を検討します。

最後に、最初の顧客面談、検証の着手日、結果を振り返る会議を予定に入れます。体制表を作って終わりにせず、「次の判断に必要な事実を、誰が集めるか」まで決めることが、この資料の役割です。

プロセスを機能させる3つの運用ルール

青く光る通路と都市の夜景を重ねたイメージ

段階の区分や資料があっても、会議で判断し、日々の行動を変えられなければ活用できません。運用では、判断日、顧客との対話、記録の残し方をそろえます。

1. 判断日を先に決め、報告だけで会議を終えない

検証が終わってから会議を探すと、結果が出ても次の予算や担当者が決まらないことがあります。先に判断日を押さえ、そこまでに集める情報を逆算します。

会議では、「今週何をしたか」だけでなく、「何が分かったか」「まだ何が分からないか」「その結果、どの案を選ぶか」を確認します。細かな作業報告は事前に共有し、判断に必要な論点へ時間を使います。

検証結果を次の判断につなげる会議メモの例
確認する項目 点検支援サービスでの記入例(架空)
今回決めること 対象設備を広げるか、導入方法の見直しを先に行うか
確認できたこと 点検記録の作業時間は短くなったが、初期設定は担当者の支援が必要だった
未確認のこと 顧客側だけで初期設定を行えるか。購入時の条件は何か
選んだ方針 対象設備の拡大は保留し、導入手順の改善と購入条件の確認を先に行う
次の担当と期限 技術担当が導入手順を見直し、顧客担当が決裁者へ確認。次の判断日までに結果を共有する

実際に使う際は、「次の判断日まで」を具体的な日付に置き換えます。保留は何もしない状態ではなく、決めるために足りない確認が指定された状態にします。

2. 顧客との対話を、提供開始後も続ける

顧客に話を聞くのは、アイデアを考える時期だけではありません。試用時には使い方、有料提供時には購入条件、提供開始後には継続や解約の理由と、段階によって聞くことを変えます。

対話の回数だけを目標にすると、会いやすい相手に同じ話を聞き続けることがあります。回数は活動量の目安として使い、何が分かり、仮説や判断をどう変えたかも確認します。

購入を見送った相手や、使わなくなった相手の話にも意味があります。自社に都合のよい評価だけを集めず、対象顧客、価格、提供方法を見直す材料として扱います。

3. やらないことと判断の理由を残し、担当交代で失わない

検証中に機能や対象を増やすと、何を確かめたかったのかが曖昧になります。今回やらないことを決め、追加の要望は、今の判断に必要なものかを確認してから取り込みます。

たとえば点検支援なら、最初からあらゆる設備への対応を目指さず、今回の顧客課題を確かめられる範囲に限定します。対象外にした理由も残せば、担当者が変わったときに同じ議論を繰り返しにくくなります。

記録には、顧客から得た事実、否定された仮説、判断した人と日付、次に確認することを残します。終了した案件の知見も、個人フォルダに閉じず、顧客課題や技術などの分類で探せる形にします。

この運用を社内だけで進めるのが難しい場合は、何を任せたいかを分けて支援を選びます。顧客検証や開発の実行が足りないのか、事業全体の課題を整理したいのかで、必要な支援は異なります。

イノベーション総研の関連サービス:

新規事業立ち上げ支援|検証・開発・初期顧客の獲得を進める →

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イノベーション総研の支援事例|検証の入口と事業化への移行を進めた例

立ち上げの段階が変わると、必要な判断材料と担い手も変わります。企画からPoCへ進んだ例と、PoC後に量産体制を整えた例を、段階の違いに着目して紹介します。

経営の判断材料から企画を組み直し、PoC予算を確保

大手BtoB企業では、企画書が3回差し戻されていました。イノベーション総研は過去の指摘と経営層への確認から、検証論点・撤退条件・初期投資を中心に再構成。

約2か月の支援で4回目の提出が承認され、PoC予算を確保しました。

この支援事例の詳細を見る:経営の判断材料から企画を組み直し、PoC予算を確保

PoC後の不足機能を整理し、量産契約と予算承認へ

大手製造業では、PoCで技術とニーズを確かめた後、量産への移行が1年間止まっていました。イノベーション総研は生産・品質・供給・販路・収益の5領域を整理し、担い手と計画を再設計。

約5か月で製造委託契約と事業化予算承認へ進みました。

この支援事例の詳細を見る:PoC後の不足機能を整理し、量産契約と予算承認へ

企画承認では検証論点と予算、量産への移行では必要機能と契約・生産計画を整理しています。自社の現在の段階に合わせ、次へ進む条件と、その条件を整える担当者を決めてください。

自社でも同じ課題がある場合:現在の関連サービス「TeamPro Pilots」で支援範囲を確認できます。
検証から事業化までの実行支援を見る / 現在の段階と次に進む条件を相談する

新規事業の立ち上げプロセスでよくある質問

着手する順序、期間、PoC後の判断について、よくある疑問を整理します。

Q. 新規事業の立ち上げは、何から始めればよいですか?

A. まず、誰のどの困りごとを解くのかと、自社が取り組む理由を一文にします。そのうえで、判断する人、使える予算・時間、最初に会う顧客候補、次の判断日を決めます。詳細な事業計画より先に、顧客課題を確かめる準備を整えます。

Q. 7段階は、必ず順番どおりに進める必要がありますか?

A. ありません。検証結果によって顧客や提供方法を変え、前の段階に戻ることがあります。また、継続・変更・撤退は第7段階だけでなく、すべての段階で判断します。7段階は進め方を整理するための実務上の区分で、唯一の標準ではありません。

Q. 新規事業の立ち上げには、どのくらいの期間がかかりますか?

A. 事業の内容、開発の難しさ、顧客の購買手続き、許認可の要否によって変わるため、一律の期間は示せません。提供開始までに必要な条件を洗い出し、次の検証と判断日を先に決めます。初週の3つの資料は準備の目安であり、1週間で事業性を確かめきるという意味ではありません。

Q. PoCに成功したら、事業化してよいですか?

A. 技術の実現性を確認できただけでは、事業化できるとは限りません。顧客が対価を払う条件、導入する際の負担、提供原価、運営体制を確認します。足りない情報がある場合は、その一点を確かめる追加検証を設計します。

Q. 撤退基準は、いつ決めればよいですか?

A. 検証や追加投資を始める前に、期限、予算上限、確かめる条件とあわせて決めます。結果を見てから都合よく変えないことが大切です。新しい事実で基準を変更する場合は、理由と承認者を記録します。

まとめ|現在の段階と、次へ進むために足りない事実を確認する

新規事業の立ち上げでは、各段階の作業を終えることに加えて、次の投資や提供範囲を判断できる状態を作ります。顧客の反応、費用を負担する条件、継続して提供できる体制を、段階に合わせて確かめてください。

まずは現在の案件について、「確認済みの事実」「まだ分からないこと」「次の判断日」を一枚にまとめます。その中から、判断を最も変えそうな未確認事項を一つ選び、確認する担当者と期限を決めることが、次の行動になります。

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顧客の反応、これまでの検証結果、社内で止まっている判断をもとに、次の行動を整理します。課題の整理から始める場合は無料診断、具体的な進め方を相談したい場合はお問い合わせをご利用ください。

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この記事の執筆・監修

執筆

イノベーション総合研究所 編集部

監修

長尾 浩平(株式会社イノベーション総合研究所 代表取締役)

外部出典

本文の例は説明用の架空事例です。

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