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α世代とは?国内外8事例で読むマーケティングの条件

α世代とは、一般に2010年から2024年ごろに生まれた人々を指す呼び名です。この区切りでは、2026年中に2〜16歳になる層に当たります。

デジタル環境が身近でも、未就学児と高校生では、使える機能、理解できる説明、購入を決める人が異なります。

企業が見るべきなのは、「若者はデジタルが得意」といった印象ではありません。むしろ、子どもが遊び、学び、作りたくなる価値があるか、保護者が安全性と支出を納得できるか、年齢に応じて機能と説明を変えられるかです。

α世代向けの事業では、子どもが使いたい理由と、保護者が利用を認める条件を別々に確かめます。

本記事では、α世代の意味とZ世代との違いを整理します。企業事例は国内外から8件を選びました。

海外はRoblox、LEGO、Gamefam、SuperAwesome、k-ID、Greenlightです。国内はKONAMIとタカラトミーです。

最後に、新規事業として狙える参入方法と、未成年者を相手にする企業の責任を考えます。

情報確認日:2026年9月28日。各社の対象顧客はα世代に限りません。

事例の公表数値は、利用規模・導入・出荷のどの段階を示すかを添えて紹介します。

この記事の結論

α世代は、おおむね2010年代以降に生まれた層を指しますが、事業では実際の年齢を明記します。

  • 世代差と年齢差を分け、現在の利用者、支払者、同意者が誰かを確かめます。
  • 国内外8事例は、参加型体験、安全基盤、親子の権限、実物との接続を別々の強みにしています。
  • 参入では、子どもの参加価値と保護者の安心を同時に設計し、取得するデータを最小限にします。

目次

α世代とは?おおむね2010年以降に生まれた世代

世代研究者マーク・マクリンドル氏の定義は2010〜2024年生まれです。法律や公的統計で統一された区切りではないため、本記事も商品や調査を検討するときは、実際の対象年齢を優先します。

事業では、世代名に加えて年齢・地域・利用場面を明記します。「α世代向け」と書くだけでは、保育園児向けなのか、中学生向けなのか分からないからです。

しかも、必要な安全機能、理解できる説明、購入を決める人も大きく変わります。

世代名は時代環境を考える入口になります。例えば次の接点や機能が広がっていますが、利用経験は年齢、家庭、学校によって異なります。

  • タッチ操作と動画が身近にある
  • ゲームの中で友人と遊び、作品を作る
  • 学校でも端末やデジタル教材を使う
  • オンラインと実店舗を行き来する
  • AIが検索、学習、創作へ入ってくる
  • 保護者が時間、課金、交流相手を管理する

こども家庭庁の青少年インターネット利用環境実態調査も、年齢層を分けています。これは、利用機器、利用内容、利用時間、家庭のルール、安全対策を確認する調査です。

そのため、企業も同じように、世代を一枚で捉えず、年齢と利用場面を分けるべきです。

Z世代との違いは、年齢と育った環境を分けて考える

保護者の関与が大きい理由を、世代の性格ではなく現在の年齢から考えます。一般には、Z世代の後に続く層をα世代と呼びます。

次の表は現在の年齢と利用環境を整理するもので、生まれた時期が好みや能力の違いを生むと証明するものではありません。

Z世代とα世代の違い
比較軸 Z世代 α世代 事業で確認すること
おおよその出生年 1990年代後半~2000年代 2010年代~2020年代前半 実際の対象年齢を明記する
デジタル環境 SNSとスマートフォンが普及する過程を経験 タッチ端末、動画、ゲームが幼少期から身近 端末より利用場面を見る
購入の主体 本人が契約・購入できる層が多い 保護者が契約・決済する場面が多い 利用者と支払者を分ける
主な接点 SNS、動画、EC、コミュニティ ゲーム、動画、創作、学習、リアル体験 見るだけでなく参加できるか
安全設計 年齢・地域・用途に応じて確認 年齢確認、保護者同意、初期設定が重要 年齢ごとの権限を変える
評価の注意 世代内の差が大きい 年齢差と家庭差がさらに大きい 一括りにせず検証する

Z世代の上の層はすでに働き、家計を持っています。一方、α世代の多くは未成年です。

商品を使うのは子どもでも、購入、登録、課金、時間管理を決めるのは保護者という場面が増えます。

Z世代も子どもの時期には保護者の関与を受けており、この違いをα世代だけの特徴にはできません。現在の商品設計では、意思決定者の分担を確認します。

たとえば、α世代向けの事業では、利用者、支払者、同意者、見守る人が分かれます。さらに、学校へ入るサービスなら、教員や自治体も加わります。

α世代マーケティングは「子どもと保護者」の二重設計

子どもの評価が高くても、保護者が料金や安全性を理解できなければ購入へ進まない場合があります。親子それぞれが判断する条件を分けて調べます。

子どもには、遊ぶ・作る・学ぶ体験のどこに価値を感じるかを確かめます。保護者には、対象年齢、時間・課金の設定、情報の扱い、購入目的を尋ねます。

「子どもは共有したがる」「保護者は学習効果を求める」と先に決めないことが大切です。

企業が陥りやすいのは、保護者を「購入を承認する人」とだけ見ることです。実際には、保護者は、商品を選ぶ理由を子どもに説明し、初期設定を行い、問題が起きたときの相談先にもなります。

そのため、保護者向けの画面や説明は、付属機能ではありません。

調査から考える、保護者向け説明と初期設定の必要性

保護者なら設定方法やリスクを知っていると前提にしないことが重要です。登録時に課金・公開範囲・利用時間を一緒に確認できる案内を用意します。

こども家庭庁の令和7年度調査(報告書133頁)では、10〜17歳の子どもと同居する保護者3,158人のうち19.5%が、インターネットの危険性について啓発や学習の経験が「ない」と回答しました。調査は2025年11〜12月に実施されています。

α世代だけの集計でも、危険を知らない人の割合でもありません。

後から設定を変えられる案内も用意します。

説明を表示した回数より、保護者が自分で設定を確認・変更できるかを試します。

設計時には、次の四者を分けます。

  • 子ども:何を楽しみ、何を作り、何を学ぶか
  • 保護者:何を承認し、どこまで管理できるか
  • 企業:どのデータを、何の目的で扱うか
  • パートナー:プラットフォーム、学校、小売、専門家が何を担うか

利用者と支払者が違うことを前提にすると、価値、安全、収益の議論が同じ表でできます。 これは玩具、教育、金融、ゲーム、動画のすべてに共通します。

α世代向け事業を、子ども、保護者、企業、パートナーの四者で設計する図
図:親子の価値を分けて検討するための本記事の整理。国内外8事例を参考にイノベーション総研作成。特定の機能による継続率の改善を実証した図ではありません。

接点は動画からゲーム・創作・学習へ広がる

参加型の体験でも広告であることを示し、参加しない・途中でやめる選択を守ります。テレビCMや店頭に加え、ゲーム、動画、学習、作品づくりにも接点があります。

どこへ広げるかは、対象年齢と届けたい体験に合わせて選びます。

たとえば、ゲーム空間では、ブランドの世界を歩き、アイテムを集め、友人と遊べます。また、玩具では、画面の中のキャラクターに触れる仕掛けが生まれています。

さらに、教育コンテンツでは、学んだ結果を自分でゲーム内へ追加できます。

ここで大切なのは、没入時間を長くすること自体ではなく、子どもが何をしたかです。見る、選ぶ、作る、試す行動が目的に合っているかを確認し、終了時点や休憩も設計します。

行動回数や滞在時間だけを増やすことを成果にしません。

一方、広告と体験の境界は曖昧になります。そのため、ゲーム内のクエストやインフルエンサー企画が広告なら、子どもにも分かる形で示す必要があります。

また、無料アイテムのために過度な行動や課金を促していないかも確認します。

推し活の記事で整理したように、参加型の市場では、企業が会話を支配しないことが重要です。企業は完成した答えを押しつけるのではなく、遊び方と表現の余白を提供します。

国内外8事例に見るα世代との関わり方

α世代向け事業は、ゲーム会社だけの市場ではありません。実際には、体験を届ける会社、安全と同意を支える会社、家庭内の意思決定を助ける会社が分業しています。

八つの事例を横並びにすると、参入位置が見えます。

以下は事業の役割を比べるための事例で、8社すべての売上増加や子どもへの効果を検証したランキングではありません。

国内外8事例の役割と事業への示唆
企業・サービス 主な役割 提供しているもの 子どもへの価値 保護者・企業への価値 事業への示唆
Roblox 参加型プラットフォーム ユーザーが作るゲーム・交流空間 遊ぶ、作る、友人と参加する 年齢別設定、利用時間、交流・支出管理 体験と安全運用が一体になる
LEGO Group×Epic Games IP・ゲーム・フィジタル連携 LEGO Fortniteと実物商品 創作、協力、画面外の遊び 年齢区分、保護者コントロール デジタルと物理を往復させる
Gamefam ブランド体験制作 Roblox内のクエスト、報酬、IP体験 広告と分かるブランド体験への参加 ブランドの世界観と行動指標 既存IPを参加型へ翻訳する
SuperAwesome 広告・クリエイター支援 動画広告、クリエイター企画、分析 年齢に合う体験 対象に応じた広告運用 広告の内容と配信方法を設計する
k-ID 年齢・同意インフラ 年齢確認、保護者同意、地域別設定 必要な機能へ適切にアクセスする 国・年齢に応じた権限管理 規制対応をAPI化する
Greenlight 家族向け金融 子ども用デビットカード、貯蓄、投資学習 自分で使い、貯め、学ぶ 保護者が上限と承認を管理する 親子の別画面が商品価値になる
KONAMI エデュテインメント 桃太郎電鉄 教育版Lite 遊びながら地理・経済を学ぶ 教員が授業範囲と時間を管理する 学校を導入者として設計する
タカラトミー フィジタル玩具 ぷにるんず 画面内キャラクターへ触れて世話をする 実物商品として購入・見守りやすい 触感をデジタル体験へ組み込む

共通するのは、広告枠を売るだけではないことです。むしろ、創作、操作、学習、管理、同意といった機能を持っています。

つまり、α世代向け市場で競争力になるのは、子どもの注意を買う力より、関係を安全に続ける仕組みです。

NEXT STEP

次のステップ

α世代向けの構想を、親子に選ばれる事業の設計図へ。

対象年齢、利用者、支払者、同意者、参加体験、安全運用、提携先、採算と見送り条件を整理します。

RobloxとLEGOは、遊ぶ人を作る人へ変える

創作できる機能と、年齢に応じた制限・保護者設定を一緒に設計します。というのも、子どもが作れることと、保護者が管理できることを同時に整える必要があるからです。

RobloxとLEGO Fortniteは、その二面を示します。

Robloxは創作基盤と保護者機能を同じ商品にした

Robloxは、利用者が3D体験を作り、公開し、遊べるプラットフォームです。企業にとっては広告媒体ですが、利用者にとってはゲームと創作の場所です。

そのため、この立場の違いを理解しないと、ブランド企画は単なる看板になります。

Robloxは2026年6月、年齢を確認した利用者向けに5〜8歳の「Roblox Kids」、9〜15歳の「Roblox Select」を世界へ展開したと発表しました。チャット利用には年齢確認が必要で、Kidsのチャットは初期状態で無効です。

保護者が管理できる範囲も年齢で異なり、13歳未満では友人・時間・支出、16歳未満ではチャットとゲームの許可・ブロックなどを設定できます。機能は地域等でも変わるため、企画時に現行の条件を確認します。

事業の示唆は、安全が利用規約の末尾ではなく、体験を成立させる製品機能になっていることです。子ども向けの場を作る会社は、制作ツール、公開審査、通報、保護者画面、年齢別設定まで含めて設計する必要があります。

LEGOとEpic Gamesはデジタルから実物へ体験をつないだ

LEGO GroupとEpic Gamesは、LEGO Fortniteを開発しました。同作は、子どもと家族が楽しめる、安全なデジタル空間を目指しています。

たとえば、ゲーム内では、素材を集め、建物を作り、仲間と協力します。つまり、受け身で映像を見るのではなく、自分の物語を作る設計です。

さらに、LEGOはFortniteのキャラクターや乗り物を実物のセットへ展開しています。2024年の実物セットの発表では、ゲームのキャラクターや乗り物を4商品に展開し、商品ごとに9歳以上から18歳以上まで対象年齢を分けています。

ゲームへの接触が実物商品の購入をどれだけ増やしたかは、ここで参照した資料からは分かりません。デジタルと物理をつなぐ際にも、同じ対象年齢と決めない点が参考になります。

OMOの記事で扱ったオンラインと店舗の統合が、子どもの遊びにも広がった例です。

保護者向けガイドでは、チャット、友人、課金、年齢区分の設定を説明しています。子ども向けコンテンツでは、魅力的な世界観だけでなく、保護者が設定できる言葉と画面が必要です。

Gamefamは広告をクエストへ変える

ブランドがゲーム空間へ入るには、ゲーム設計と広告表示、安全運用を合わせて検討します。というのも、ゲームの文法、利用者の文化、IPの扱い、安全基準を理解する制作会社が必要だからです。

Gamefamは、その間を埋めています。

ブランドは説明するより、遊び方へ翻訳する

GamefamのGarfield事例は、2024年の映画公開に合わせ、Sony PicturesとRoblox内の4ゲームにキャラクターやクエストを組み込んだ企画です。「Milk Heist Quest」などの遊びを通じて作品に触れる設計にしました。

ゲームとして遊べても商業企画であり、広告であることが分かる表示は別途必要です。

Gamefamは、18日間で3,100万超のゲームプレイと3億3,400万分超の参加時間を報告しています。プレイ回数は実人数ではなく、映画チケットの購入数や売上への効果とも分けて読みます。

年齢別の内訳も示されていないため、全てをα世代の成果とは扱いません。事例から分かるのは既存ゲームを使った接点の規模で、販売への貢献は別の検証が必要です。

企業が学ぶべきなのは、人気プラットフォームへ看板を置くことではありません。むしろ、既存の遊びを壊さず、ブランドがゲームの目的や報酬へ自然に入ることです。

そのため、制作会社には、IP監修、ゲーム設計、クリエイター連携、安全審査、効果測定をまとめる力が求められます。

広告への反応は、世代ではなく企画ごとに確かめる

広告を受け入れるかどうかを、世代の好みだけで予測しないことが重要です。子どもが何の企画か理解できるか、参加を断れるか、課金や情報提供を求められる範囲が明確かを、実際の画面で確認します。

遊びが面白いことと、安全で適切な広告であることは別の評価です。制作会社との契約にも、表示、年齢条件、問い合わせ先、公開後の監視と修正の担当を含めます。

企業は「広告かコンテンツか」の二択で考えない方がよいでしょう。商業的な意図を明示し、参加を強制せず、課金やデータ取得を最小限にする。

そのうえで、ブランドが遊びへ何を足すかを考えます。

α世代を支える安全基盤は、新しい事業領域になる

広告運用、年齢確認、保護者同意は、現在の提供範囲と責任分担で事業者を選びます。というのも、年齢、地域、保護者の同意に応じて機能を変える必要があるからです。

この領域では、広告の運用支援と、年齢・同意の管理を分けて事業者を選びます。

SuperAwesomeは広告とクリエイター施策を支える

SuperAwesomeの現行サイトは、動画広告、クリエイターとの企画、利用者理解のための分析を紹介しています。なお、2023年の独立に関する発表では、保護者同意等を扱うKids Web Services(KWS)はEpic Games側に残ると説明しています。

過去のSuperAwesomeの製品一覧を、現在の同社の提供範囲として使わないことが必要です。

広告主は、企画内容と配信対象、クリエイターの関与、取得する情報を依頼前に確認します。外部サービスを導入しても、適用法令の確認や、広告主・サービス運営者としての責任がなくなるわけではありません。

この領域では、安全をコストだけで捉えないことが重要です。というのも、保護者が安心できる表示、設定、問い合わせ対応は、利用を続ける理由になるからです。

そのため、規制対応と顧客体験を同じチームで設計する必要があります。

k-IDは年齢と地域に応じた権限をAPIで返す

k-IDは、ゲームやオンラインサービス向けに、年齢確認、保護者同意、地域別のコンプライアンス設定を提供します。サービス提供者は、利用者の年齢と地域に応じて、チャット、課金、データ利用などの権限を変えられます。

同社の現行製品には、年齢区分を扱うAgeKit、年齢確認のAgeKit+、権限を管理するCDK、保護者向けのFamilyConnect、再利用できる年齢確認情報を扱うAgeKeyがあります。選定では、対応国と年齢判定の方法、保存情報、誤判定の訂正、同意撤回後の動作を確認します。

製品名やAPIの有無だけで適法性を判断しません。

新規参入では、子ども向けアプリを作る会社だけを見る必要はありません。年齢確認、同意、監査、保護者対応、コンテンツ審査は、多くのサービスが共通して必要とする機能です。

家族向け金融はα世代の「使う」と「見守る」を分ける

子どもができる操作と、保護者の上限設定・承認の権限を分けます。たとえば、Greenlightは、親子に同じ画面を見せるのではなく、権限を分けています。

つまり、二重設計がそのまま商品価値になった例です。

Greenlightは子どもの行動と保護者の権限を分けた

Greenlightは、子ども・10代向けのデビットカードと、家族向けアプリを提供しています。具体的には、子どもは、使う、貯める、投資を学ぶといった行動ができます。

一方、保護者は、利用上限、通知、承認、送金などを管理します。

同社サイトは、650万人超の「家族メンバー」と子ども・10代の貯蓄7億ドル超を掲げています。これは650万世帯やα世代だけの人数を意味せず、貯蓄額から金融知識の改善幅やサービスの因果効果は計算できません。

参考にするのは、子どもの操作と保護者の上限設定・承認を別々の画面と権限にする設計です。

金融に限らず、教育、健康、ゲームでも同じ構造を使えます。つまり、子どもには小さな選択と達成を渡し、保護者には上限と確認の権限を渡します。

すべてを禁止するのでも、自由にするのでもない中間を製品として設計します。

日本企業は学びと触感から参加をつくる

学校への導入数と学習効果、商品の出荷数と実売・利益は分けて評価します。KONAMIとタカラトミーは、デジタルだけで完結しない体験を作っています。

KONAMIは桃太郎電鉄を学校の教材へ変えた

KONAMIの「桃太郎電鉄 教育版Lite」は、ゲーム性を生かしたブラウザ教材です。たとえば、教員は、学習する地域や時間を設定できます。

一方、児童・生徒は、日本を巡り、地理や経済に触れます。

KONAMIは2025年3月26日、教育機関へのID発行数が1万2,300校を超えたと公表しました。小学校から大学等までを含む学校の申込み・ID発行の実績であり、全校の継続利用や学力向上を示す数字ではありません。

同じ発表では、調べた地域の観光・企業・農産物等をゲームの物件にできる「マイ桃鉄」を4月1日に追加する予定としています。

この事例は、人気IPを教育へ置くだけではありません。むしろ、授業時間、教員用管理、端末対応、学校単位の申込みまで整えています。

つまり、子どもが利用者、教員と学校が導入者という構造を製品へ反映しています。

学校向け無償提供の事例なので、申込み数を有料契約の需要に読み替えることも避けます。自社の教材なら、教員が授業を準備できたか、実際にどの授業で使ったか、学習目標に照らして何が確認できたかを別々に測ります。

タカラトミーは画面の中へ触感を持ち込んだ

タカラトミーの「ぷにるんず」は、本体の穴へ指を入れ、画面内のキャラクターへ触れる感覚を作った玩具です。食事、世話、ミニゲーム、成長といったデジタル体験に、触る行動を加えています。

開発インタビューでは、2018年に構想を始め、触感を実現するために約10種類の素材を検討したと説明しています。2021年7月の発売から3年間で、アジアを含む出荷が90万個に達したという会社公表の実績もあります。

これは消費者への実売数や利益、2026年時点の累計ではありません。素材の感触と画面の反応を組み合わせ、既存のデジタル玩具と異なる操作を作った点が事例の中心です。

この事例から分かるのは、デジタル化が画面を増やすことではない点です。むしろ、自社が持つ素材、触感、店舗、イベントを、デジタル体験へ接続できます。

そのため、競争相手と同じアプリを作るより、自社にしかない物理的な強みを使う方が参入しやすい場合があります。

α世代向けサービスの業界構造は四つの層で見る

α世代向け市場を、玩具、ゲーム、教育のような業種だけで切ると、参入余地を見落とします。本記事では、子どもへ届くまでの役割を四つの機能に整理します。

一社が複数の役割を持つ場合もあります。

第一は、接点を持つプラットフォームです。具体的には、ゲーム、動画、学習サービス、コミュニティが該当します。

これらは、利用者とクリエイターを集め、継続して体験を運営します。

第二は、体験を作る会社です。具体的には、ゲーム制作、IP運用、クリエイター連携、イベント、教材開発を担います。

つまり、ブランドのメッセージを、遊びや学びへ翻訳します。

第三は、安全と同意の基盤です。具体的には、年齢確認、保護者同意、広告審査、通報、モデレーション(投稿の監視・管理)、監査を提供します。

直接目立ちませんが、継続運営の条件になります。

第四は、現実世界との接続です。たとえば、玩具、カード、店舗、学校、イベント、物流があります。

これらは、デジタルで得た関心を、購入、学習、共同体験へつなぎます。

新規事業では、四層をすべて自社で持つ必要はありません。むしろ、自社が強い層を一つ選び、不足する層を提携で補います。

たとえば、IPを持つ企業なら制作会社と安全基盤、学校販路を持つ企業なら教材IPと端末運用が候補になります。

成果指標は参加・購入・安全を分けて見る

α世代向け施策で表示回数だけを追うと、体験の良し悪しが分かりません。一方、子ども向けでは、追跡データを増やすほど良いとも限りません。

そのため、取得するデータを減らしながら、行動の深さを測る必要があります。

指標は四段階に分けると整理できます。

  • 到達:体験を知った人、開始した人
  • 参加:プレイ、創作、選択、クエスト完了
  • 継続:再訪、作品の更新、家族・友人との共有
  • 接続:店頭訪問、商品購入、学習利用、保護者の承認

年齢を問わず、目的に必要な範囲で集計します。例えば作品の完成や授業の実施を、個人の長期追跡をせずに確認できるか検討します。

セッションIDを付けても自動的に匿名になるわけではなく、学校単位の少数集計でも個人を推測できる場合があります。測定のために子どものデータを増やすのではなく、事業判断に必要な最小限の指標を先に決めます。

取得項目、同意等の法的根拠、保存期間、閲覧者を先に決めます。

架空例|10〜12歳向けの創作教材を家庭と学校で試す

次は設計を具体化するための架空例です。地域を調べて作品を作る教材を想定します。

家庭向けは保護者、学校向けは教員・導入責任者の判断を別に扱い、無料体験での好評を有料需要や学習効果と同一視しません。

架空例:誰の、どの行動を確かめるか
確認する相手 試すこと 結果を受けた判断
子ども 説明を理解し、作品を作り、無理なく終了できるか 迷う操作を直す。長時間の利用だけでは合格にしない
保護者 公開範囲と料金を理解し、設定の確認・変更ができるか 説明と画面を直した後、価格を提示して購入意向と行動を分けて確認
教員・学校 授業準備、端末運用、個人情報の扱い、予算の承認が可能か 授業での利用と有料導入の条件を別々に確認
運営者 問い合わせや削除依頼、誤投稿に対応できるか 対応者・期限・停止条件が決まるまで対象を広げない

安全面では、誤課金、通報への応答、設定の変更、保護者の困りごとも確認します。相談件数が少ないだけでは安全と判断できません。

窓口が見つけられない可能性もあるためです。重大な問題は件数が少なくても対応し、原因を確認するまで該当機能を停止する条件を決めます。

α世代向け事業を、六つの詰まり方で整理する

年齢、親子の価値、体験、安全、データ、提携の未確認条件を見つけます。

01 世代名だけで対象を決める

対象年齢、地域、利用場面を一文で定義します。

  • 何歳が使うか
  • 家庭か学校か
  • 誰が選ぶか
02 子どもだけを顧客にする

利用者、支払者、同意者、見守る人を分けます。

  • 誰が支払うか
  • 誰が同意するか
  • 保護者の価値は何か
03 広告枠から考える

ブランドを、遊ぶ・作る・学ぶ行動へ翻訳します。

  • 何を体験できるか
  • 参加は選べるか
  • 広告と分かるか
04 安全を規約に任せる

年齢別設定、課金、交流、通報を製品機能にします。

  • 初期設定は安全か
  • 保護者が管理できるか
  • 事故時に誰が対応するか
05 測定データを増やす

事業判断に必要な最小限の指標を先に決めます。

  • 匿名で測れるか
  • 保持期間は必要か
  • 削除できるか
06 すべてを自社で作る

自社が強い一層を選び、制作、安全、販路を提携で補います。

  • 自社資産は何か
  • 負える責任はどこか
  • 提携先は誰か

α世代市場で狙う四つの新規事業

参入先は、自社のIP・技術・販路と、継続して担える安全運用から選びます。むしろ、自社のIP、販売先、技術、現場接点を起点にできます。

ここでは、四つの参入方法を比べます。

一つ目は、既存IPの参加型体験です。具体的には、キャラクター、スポーツ、地域、学習コンテンツを、ゲーム、創作、クエストへ変えます。

その際、制作会社や既存プラットフォームと組み、自前で集客基盤を作らない方法が現実的です。

二つ目は、安全・同意の共通基盤です。具体的には、年齢確認、保護者同意、広告表示、モデレーション、問い合わせ対応をBtoBで提供します。

そのため、規制とプラットフォーム要件を継続して更新する運用力が必要です。

三つ目は、親子の意思決定を支えるサービスです。たとえば、お金、学習、健康、時間管理で、子どもの選択と保護者の権限を分けます。

そのうえで、保護者が支払う理由と、子どもが使う理由を別々に確かめます。

四つ目は、フィジタルな商品と場です。具体的には、玩具、店舗、イベント、学校、地域施設とデジタル体験をつなぎます。

そのため、製造、店頭、教育現場など、自社が持つ物理的な資産を差別化へ使えます。

参入前には、利用者の年齢、支払者、同意者、提供場所を一文で書きます。たとえば、「小学生が家庭で使い、保護者が月額を払い、親子で初期設定する」のような形です。

逆に、これが書けない構想は、顧客と責任がまだ曖昧です。

未成年データ・広告・AIで負う責任

年齢・地域ごとの法令確認に加え、広告表示、データ利用、通報対応を製品に組み込みます。というのも、子どもは、広告の意図、長期のデータ利用、AIの誤りを大人と同じように判断できるとは限らないからです。

そのため、設計段階から子どもの権利を考える必要があります。

米国の改正COPPAルールは2025年6月23日に施行され、原則として2026年4月22日までの遵守が求められています。対象は13歳未満向けの商用オンラインサービス等で、世界の全ての未成年者に同じ条件が適用される制度ではありません。

改正では、サービスに不可欠な場合等を除く第三者への個人情報開示に、別個の確認可能な保護者同意を求めます。取得目的に必要な期間を超えて情報を保持せず、削除の方針を定めることも求めています。

提供先の国、対象年齢、取得・開示する情報から、専門家と適用を確認します。

UNICEFの2026年版ツールキットは、ブランド、代理店、広告技術会社、プラットフォームの役割別に対応を整理しています。ブランド向けガイドは、子どもが主な対象でなくても届き得る広告の影響を評価し、対応する責任者を置くことを勧めています。

法律の対象年齢だけで安全対策を終わらせず、企画・配信・運用で子どもに何が起きるかを確認します。

生成AIを入れる場合は、さらに確認項目が増えます。AIコンパニオンの記事で触れたように、会話相手のようなUIは信頼を得やすい一方、誤情報、依存、個人情報の入力を招きます。

そのため、子ども向けでは、次の条件を先に決めます。

  • AIであることを常に分かるようにする
  • 入力データを学習や広告へ使う範囲を明示する
  • 不適切な会話と危機場面を人へ引き継ぐ
  • 保護者が利用範囲と履歴の扱いを設定できる
  • 年齢に合わない機能を初期状態で止める
  • 削除、異議申立て、問い合わせの方法を用意する

参入を見送る条件も必要です。たとえば、年齢を把握できない、保護者の同意を記録できない、広告とコンテンツを区別できない、通報や問い合わせに人が対応できない、といった場合です。

これらが未解決なら、提供を始める前に体制を整えます。学校や既存プラットフォームと提携しても、年齢・同意・通報対応の責任は消えません。

提携先が担う範囲と自社に残る範囲を文書で確認します。

α世代に関するよくある質問

α世代の定義と事業設計で、よく出る質問を整理します。世代名だけで対象を決めず、実際の年齢と利用場面を確認してください。

Q. α世代とは何年生まれですか?

A. 一般には2010年から2024年ごろに生まれた人々を指します。ただし、世界で統一された定義ではありません。商品や調査では「α世代」だけでなく、対象年齢、地域、調査時点を併記する必要があります。

Q. α世代とZ世代の違いは何ですか?

A. α世代は、Z世代より後に生まれ、タッチ端末、動画、ゲーム、AIが身近な環境で育っています。多くが未成年であり、購入、登録、課金を保護者が決める点も重要です。性格の違いとして一括りにしない方がよいでしょう。

Q. α世代マーケティングで重要なことは何ですか?

A. 子どもが参加したくなる価値と、保護者が許可できる安全性を同時に作ることです。広告を見せるだけでなく、遊ぶ、作る、学ぶ体験へ変えます。広告表示、課金、データ取得は年齢に合う形へ制限します。

Q. α世代向けの企業事例には何がありますか?

A. 海外では、Roblox、LEGO Fortnite、Gamefamなどがあります。広告・クリエイター支援のSuperAwesome、年齢確認・同意基盤のk-ID、家族向け金融のGreenlightもあります。国内では、KONAMIの桃太郎電鉄 教育版Liteと、タカラトミーのぷにるんずを紹介しました。対象はα世代に限らず、各社が提供する機能と公表した成果を分けて比較します。

Q. α世代向け事業へ新規参入できますか?

A. 可能です。既存IPの参加型体験、安全・同意基盤、親子の意思決定支援、フィジタル商品が主な入口です。自社が持つIP、販売先、技術、現場接点を起点にし、未成年者を守る運用責任を先に決めます。

まとめ:α世代には参加と安全を一緒に設計する

誰が使い、払い、同意し、問題に対応するのかを決めてから事業を検証します。2010〜2024年生まれという定義では、2026年中に2〜16歳になる幅を含むため、一つの価値観ではまとめられません。

事業では、世代名より実際の年齢と利用場面を明記します。

国内外8事例は、機能と成果の測り方を分けて参考にします。RobloxとLEGOは創作できる場を作り、Gamefamはブランドをクエストへ翻訳しています。

SuperAwesomeは広告・クリエイター施策、k-IDは年齢・同意管理を支えています。Greenlightは親子の権限を分け、KONAMIとタカラトミーは学びや触感をデジタルへ接続しています。

新規事業では、子ども、保護者、企業、パートナーの役割を分けます。自社が強い層を選び、不足する制作、安全、販路を提携で補います。

最も避けたいのは、α世代という言葉を使い、子どもを一括りにすることです。誰が使い、誰が払い、誰が同意し、誰が守るのか。

この四つを決めることが、面白さと安全性を両立する出発点になります。

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この記事の執筆・監修

執筆

イノベーション総合研究所 編集部

監修

長尾 浩平(株式会社イノベーション総合研究所 代表取締役)

外部出典

McCrindle、こども家庭庁、FTC、UNICEF、Roblox、LEGO Group、Gamefam、SuperAwesome、k-ID、Greenlight、KONAMI、タカラトミーの公式サイト・公表資料。根拠は本文中のリンクから確認できます。

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